2009年03月25日

リリィ、はちみつ色の秘密 ★★★★★

公式サイト プラデラレビュー

『シャーロットのおくりもの』以来、久々にスクリーンで出会った主演のダコタ・ファニングが、息を呑むほどの完璧美少女に成長してて驚く。本当に少女の成長は予想がつかない。

微妙なお年頃の少女が、母を失った過去のトラウマや父の暴君ぶりに悩み苦しんだ挙句、黒人召使いと共に逃亡し自分探しの旅に出る。という流れから、明らかに『ハックルベリー・フィンの冒険』の少女版として作られてると考えて問題ないだろう。ただし時代は公民権法が制定された60年代、最近の『ヘアスプレー』や『ドリームガールズ』など黒人差別をお題の一つとした作品と同時代に設定。

その『ドリーム〜』のジェニファー・ハドソンが黒人召使い役で出演。『スモーキン・エース』にて、作品の出来はともかく強烈なブラックビューティーぶりで印象を残したアリシア・キーズも、そのビジュアルままのクールな美女役にハマっている。黒人だけでなく女性もまた弱者であった時代。末妹のメイが見せる「弱さ」のキャラクター描写にそれが象徴的に投影されて、作品内のネガティブ面を一手に引き受ける事となる。

主人公を囲む4人の黒人女性に全くタイプの異なるキャスティングを行ったのは、ステロタイプな「黒人像」を明確に裏切る意図か。主人公も含め女性陣のあらゆる挙動がいちいち魅力的だ。一方で男性側は極めて類型的に描かれているのも、黒人女性の多様性を際立たせる狙いだろう。

主舞台となる蜂蜜農場を、黒人差別が根強い時代において別次元の様な楽園として描写。もちろん蜂蜜そのものが、その環境へのメタファーとして用いられている。そして、楽園を平時として受け入れた段階になって、思い出した様にKKKばりの黒人差別描写が登場するからこそ、それに対するインパクトと嫌悪感が増す様に作られている。上手い。

主人公の主観に立脚した、メンタル面における普遍的なドラマがまずあり、その背景としての社会派な題材および寓話的な設定が相互に絡み合い、独自の作品へと昇華。厳しさと優しさがせめぎあう傑作。

『シャーロットのおくりもの』レビュー
『ドリームガールズ』レビュー
『ヘアスプレー』レビュー
『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』レビュー

tsubuanco at 14:46│Comments(7)TrackBack(4)clip!映画 

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JUGEMテーマ:映画 2009年3月20日(金) 公開 ★★★★★+α あぁ〜もぉなんだかとっても好きだこれ♪ 星5つに+α付けちゃう! 姉妹の名前が暦からっていうのが岡倉姉妹(渡鬼)といっしょね♪ 予定に無かった作品だったのですが、ご覧になられた...
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4. リリィ、はちみつ色の秘密  [ 佐藤秀の徒然幻視録 ]   2009年04月03日 23:12
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この記事へのコメント

1. Posted by ダコタハミング   2009年03月26日 01:45
エントリありがとうございました!参考になりました!
2. Posted by 力薬   2009年03月26日 16:46
お久しぶりです。
ダコタ目当てで行きましたら、見事な拾い物でした。公開館数の少なさが悔やまれます。

原作未読ですが、主人公が物語を書き終わったところで映画が終わるところなど、昨年の「つぐない」が思い出されました。
ちなみに映画館での顛末にはぞっとしました(特にチケット売り場のシーン)。
映画を見ている最中に襲われるということには、意味があるのでしょうか。
3. Posted by 力薬   2009年03月26日 17:36
すみません、物語でなく日記でしたでしょうか。何かと混同してました。申し訳ないです。
4. Posted by くろろ   2009年03月27日 04:42
こういうハートフル系に全然興味を惹かれないのは、
僕の心に何か欠陥があるのだろうか。
5. Posted by つぶあんこ   2009年03月27日 14:41
上映館数の少なさは意味不明ですよね。
ダコタとハドソンあたりの名前で売り出せると思うんですが。

ハートフルどころか結構シビアな話ですよ。
6. Posted by いなき   2009年03月28日 05:33
ハートフル系と感じてしまうのはこの邦題に大きな原因がある気が……
7. Posted by つぶあんこ   2009年03月31日 16:16
原作の邦題に準じたタイトルですからねえ。

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