2009年04月10日

This is England ★★★★

公式サイト プラデラレビュー

サッチャー政権期のイングランドを舞台に、フォークランド紛争で父を失った少年の視点から、スキンヘッズの若者達、移民問題、人種差別、極右活動などをリアルに且つ子供視点ならではのカリカチュアライズにて描く社会派作品。子供が主人公だがちっとも子供向けじゃないのがいい。

少年が憧れるワルをまず、ブリティッシュロックンロールなノリでスタイリッシュに描いて微笑ましく見せて世界に入り込ませ、背伸びした少年の行動のいちいちにノスタルジーや笑いを感じさせて楽しませる描写力がまず秀逸。そこから徐々に極右活動の胡散臭さや矛盾を露呈させていき、クライマックスのカタストロフにて少年が受けるショックを観客にも共有させる、との構成もまた秀逸。若者達のファッションのみならず、少年の母親のメガネや髪型などダサ方面でも時代性を顕著に表現しているのも面白い。

題材やノリは英国ならではのものながら、当時の社会情勢を大して知らずとも大丈夫な様に、テーマ自体は普遍的なもの。というより現在の不況により浮き彫りとなった社会問題は基本的に共通しているため、自らの周囲に置き換えて観る事も可能であり、間口は広い筈。だがそうである事は、人類が経験から学ばず全く進歩していない事の証左でもあり、自身も含め情けない限りと痛感させられる。

少年が好きになる相手が、普通なら一番選ばないゴスパンク的少女、というのも子供目線の憧れをよくわかった作劇。溜まり場に乗り込んだ母親の言動も、予想を気持ちよく裏切ってくれて笑える。彼女が去った後の皆のリアクションもリアル。傑作。

tsubuanco at 16:08│Comments(1)TrackBack(1)clip!映画 

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1. THIS IS ENGLAND  [ 佐藤秀の徒然幻視録 ]   2009年04月10日 22:15
公式サイト。マーク・ハーバート製作、シェーン・メドウズ監督、トーマス・ターグーズ、スティーヴン・グラハム、ジョー・ハートリー、アンドリュー・シム、ロザムンド・ハンソン。いじめられっ子が排外主義に取り込まれるプロセスをきめ細かに描いた1980年代のイギリスの青....

この記事へのコメント

1. Posted by サスケ   2009年04月28日 15:18
5 珍しく役のアップがそれぞれ均等的にあって表情が印象的な映画でした。
ミルキーはなぜ女性を置いて彼についていったのかいまいち分かりませんでした。

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