2009年11月23日

シャム猫バンビ登場!@ 吉祥寺 曼荼羅

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衝撃のSally解散から3週間。
小林しのぶの新ユニットが早くも始動、である。
その名も《シャム猫バンビ》!
なんだそりゃ!
みたいなネーミングですが、語呂は良い。
語呂が良ければ、それで良い。
いや、そんなものですよ、ネーミングって。
その代わり、語呂には物凄く気をつけなければ、というものなのです。
特にバンド名とかは。


11月22日、日曜日。
吉祥寺、曼荼羅。


世間では3連休の真ん中らしい。
ラジオで知りました。
そのラジオで言ってた天気の崩れもなく、ひと安心。
小林しのぶは雨が嫌いだそうだから。
ちなみにこの日、高知では青葉市子がワンマン・ライブ。
むむ。


スタートは18時半。
25分くらいに着くと、何と長蛇の列!(曼荼羅比)
隣りのラーメン屋さんの入口を塞ぐほどに伸びた入場者の列に入って、おとなしく待つ。
半を回っても、全然入場し切れない。
そのうちオープニング・アクトが始まってしまった。

入場に時間がかかっただけあって盛況。
椅子は全て取り払われて、オールスタンディング。

シャム猫バンビはオープニング・アクトの次に出て来た。
後ろが詰まりがちで、前が空いていたので、シャム猫バンビの客はぞろぞろ前へ。
前じゃないと何も見えない状態でもあった。
小林しのぶには女子ファンが多いので、身長差で余計に。


さてさて。
シャム猫バンビとは、ヴォーカル小林しのぶと、ピアノ松下福寿によるデュオである。
とはいえ、この編成にこだわるつもりは全くないらしい。
MCでは、その辺のことは言ってなかったので、これはクレーター通信社独自取材(笑)だが、要するに正式メンバーがこのふたり、とのこと。
今後はフレキシブルにバンド編成やアコースティック編成を使い分けて行きたいようだ。

まぁ、そういう意味では、Sallyと同じだ。
そもそも松下福寿は、Sally最初期を支えたメンバーであった。
3年ほど時間を巻き戻して、パラレル・ワールドが始まったみたいなものかもしれない。

ともかくお披露目ということで、《新曲で・ふたりで》、というコンセプトのライブを考えていたのではないかな、小林しのぶは。
松下福寿は、取りあえず今回は、演奏のことしか考えてないように思う(笑)。
「やるからには、やるよ」的な雰囲気で、それだけで十分だと、ぼくは思った。


胸から下に全体的にレースをあしらったベロアのワンピースを着て現われた小林しのぶ。
特に奇を衒ったイメチェンなどはなく、単にいまの自分、というムード。

松下福寿は、さすがピアニストだなぁと思ったのは、使い捨てカイロを持って出て来たところ。
直前まで指先を温めていた訳だ。
一緒に酒瓶も持って来てたけれど(笑)。
それらを足もとに置いて、鍵盤に向かう。

1曲目。
もちろん新曲。
いきなり「バイバイ」と歌い出す。

音楽的にはもちろん、背景も全く違うけれども、ハイロウズを思い出した。
あれは明らかにブルーハーツとの決別だろうと聴き手に思わせるデビューだった。
さよならする、きれいさっぱり、バイバイバイ、と歌って登場したのだ。

本当にブルーハーツとの決別を念頭に置いて曲が作られたかどうかは判らない。
聴き手がそう思った、というのが重要なポイントだ。

シャム猫バンビが、というか小林しのぶが、1曲目で「バイバイ」と歌い出したことにも同じことが言える。
それがSallyについての歌かどうかは判らないし、全然関係ないかもしれない。
でも小林しのぶはこれを1曲目に持って来たし、そして聴き手の側にも、好きに解釈する自由がある。

実際には、もしかしたら単に、お気に入りのネイルがはがれちゃった、バイバイ、というところから出来た歌かもしれないが、きっかけは何でもいい訳で。
観客としては、別れと新たなる始まりをはっきり感じることが出来たオープニングであった。

2曲目は、ちょっと怪しいムードで、ぼくはこういうのがシャム猫バンビの本線だと予想していたのだが、小林しのぶお得意の情念系ラヴソングであった。
例えば竹内まりやが、実生活では有名なおしどり夫婦であるのに、書く曲書く曲不倫とよろめきと自立のオンパレード(笑)、だったりするのを思い出したりして。
そういう女性ソングライターの性(サガ)を感じさせる、妄想爆発、な楽曲。

一方、3曲目は実体験から生まれたという、ちょっと青い恋の歌。
教室、とか歌詞に出て来る。

こうしてみると、バラバラである。
いま、新しくやりたいことが爆発している、って感じだ。
この調子でどんどん行けば良い、と思う。

ところで松下福寿は、というと、小林しのぶが喋っている後ろで、例の酒瓶、カクテルか何かだけど、ずっとぐびぐび飲んでいた。
で、飲み干して拍手をもらうという、早くも飲んだくれキャラが確立されていたけれど。
あれは良いのかな、イメージ的には(笑)。

一応、メンバー紹介では、「シャム猫バンビのシャム猫」が松下福寿だと言っていた。
で、「シャム猫バンビのバンビ」が小林しのぶだと、「自分で言っちゃった、恥ずかしい〜(笑)」と喋ってましたが。
大丈夫ですよ、小林しのぶさん。
あなたの師匠は自分のことを歌姫と自称してるではありませんか。
恥ずかしがることはないのです(たぶん)。

ラストは、驚きの選曲だった。
ぼくはSally以前のソロ活動も観ているのだが、何とその頃の曲を歌ったのである。
詞だけ担当して曲は自作ではない、小林しのぶ高校時代の曲。
その頃の作品は、もう封印したのかと思っていたが、そういう訳でもないようで。
むしろ、いまのタイミングだとSallyの曲がやれない、とは思うけれど。

つまり、本当に新しい始まりであり、これから自由に自分たちらしく、その「らしく」ってどんなものかってことも含めて、やって行くぞ、というエネルギーに満ちたライブであった。
まだ、ほんの一部しか見えないし、今回はまだ小林しのぶのソロに近いところもあったけれど、今後どんどんグループっぽくなって行くだろうから期待したい。


写真は曼荼羅の入口にて。
Sally解散で感傷的になってるひとは、この写真の小林しのぶをじっくり見て下さい。
もう彼女は、新しいキャリアを歩んでいるのです。

シャム猫バンビ、始まりました!




小林しのぶのブログはこちら!

『しのぶろぐ』
http://m.ameba.jp/m/blogTop.do?unm=shi--no--bu

2009年11月22日

ヤフヤフ祭り @ 吉祥寺スターパインズカフェ

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某音楽学校での授業を終えて、吉祥寺スターパインズカフェへ駆け付ける。
ついさっきまで頭の中は90年代で、カート・コバーンやトム・ヨークだったりしたのだけど、2009年に戻ってスタパの階段を下りる。

11月20日、金曜日。
矢舟テツロー・バースデイ・ライブ、
改め、
『第9回 ヤフヤフ祭り』。

ひとつ、言いたい。
名称の変更は今回からなのに、『第9回』とするのは、詐欺ではないか(笑)。
ま、いいですが。
すっかり恒例となった誕生日のスタパ・ワンマンです。

オープニング・アクトのファシネイションズには間に合わず。
時間的には、矢舟テツローのスタートにも間に合っていない筈。
なのだが、入場しようとしたら、受付辺りでも音が聴こえない。
ちょうど、長いMCの時に到着したらしい。

何を喋っていたのかは判らないが、とにかく入場し、カウンターでドリンクを引き換え、席を探す。
ほぼ、いい感じに埋まっていたが、おあつらえ向きにひとり分のテーブルと椅子が空いていたので、そそくさと着席。

ステージでは、ベース鈴木克人、ドラムス柿澤龍介、そしてピアノ&ヴォーカル矢舟テツローのトリオが、自作曲のリメイクを演奏しようとしていた。
この日は初披露となる曲がやたら多かったのだが、その手始め、という感じで。
“DEEP BLUE SEA/青い海の底深く”。
元々は“心の鍵”として知られる、セカンド・アルバム収録曲。
なるほど、新しい試みですな。

今回はいつになく、新しい矢舟テツロー、を前面に押し出したステージだった。
途中からお馴染みのメンバー、ギター村松トマ、テナー・サックス山崎浩、が参加した。

最大のトピックはやはり新曲。
大好評だった、カリプソ(!)を取り入れたアッパーな“君は虹ガール”。
そしてモータウン・ビート(!)の“WINTER COLLECTION”。
そうしたサウンドをジャズ・コンボのスタイルでやる訳だ。

矢舟テツローの場合は何をやるにも、飛び込んで行くというより、自分に引き付けてやる方向のようだ。
だから変に浮ついたりブレたりしない。
その代わり、かなり冒険しないと、チャレンジを判ってもらえなかったりしがちなタイプだと思うので、こういうトライアルは大歓迎である。

来年の頭リリースのニュー・アルバムに向けた、カラフルな変化がはっきり見て取れたライブだった。
アルバムってことは、新曲はまだまだあるのだろうから、ヤフヤフ・ワールド(笑)の新展開に注目したい。

個人的にはアンコールの、一時は
「矢舟テツローといえばこの曲」
という代名詞的ナンバーだった“バールに灯ともる頃”が、フォービートで演奏されたのが良かった。
本来はボサノヴァ・タッチの曲なのだけど、要するに、いまの矢舟テツローはそれだけ自由度が増しているということなのだろう。

ライブ中ずっと、わりとどの曲でも、矢舟テツローは落ち着きがなかった。
というか、まるでポップスに仕えるピエロであるかのように振る舞っていた。
いっそ立って演奏したらいいじゃないか、ってくらい腰を浮かせて踊るように動いてみたり。
いまの気分はジャズマンよりも、ビリー・ジョエルやエルトン・ジョンに近いのでは、とか思ったりもした、そんなアクティブなステージングだった。


写真は終演後。
隣りにこそっと写っているのは、ファシネイションズ渡辺氏。

来年はこのスタパでのバースデイ・ライブも10周年。
大きな変化が予想されるアルバムがどんな反響をもたらすか、ということも含め、記念すべきライブになりそうですが。
何はともあれ、そう、誕生日おめでとうございます。

2009年11月20日

marble Bee、下北路上にあらわる!

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そんな訳で、11月18日のパート2。
下北沢編であります!
吉祥寺GBを後にして井の頭線に飛び乗る。
砂場の後はmarble Beeである。

下北沢駅、南口。
ここでmarble Beeが、路上ライブを敢行するという情報をキャッチしまして、やってまいりました。


だいたい21時頃からやると聞いていたので、途中から観るつもりで到着。
21時半くらい。

南口に降りてすぐ目の前に、たかはしまいこと中川愛菜がいて、ふたりを観客が取り囲んでいる。
今回の編成は路上仕様のデュオってことらしい。
が、既に1ステージ終えたそうで、休憩中でした。

中川愛菜さんは今回、キーボードを持って来ていた。
それと、ピアニカ。
たかはしまいこは生ギター。
マイクなし、地声でのライブ。

みんな寒い寒いと言っている。
ぼくは到着したばかりなので、そうでもなかったけど(だんだん、寒くなった・笑)。
寒いから始めようってことで休憩を切り上げて、演奏再開。

愛菜さんがピアニカを吹き、“放課後クローバー”からスタート。
途中からピアニカを置き、キーボードを弾き始める。

たかはしまいこは風邪気味らしく、マスクを顎に引っ掛けたまんまで歌う。
1曲終わると、次はどうしようか、ということになり、何故か“せっけん”が選ばれる。

路上向きの選曲とはどんなものか、ひとそれぞれだろうけれど、やはり一般的には、
どちらかというとアップテンポ、
どちらかというと明るい、
どちらかというと声が通りやすいキーやメロディを持った曲──ということになるだろうか。

という訳で、“せっけん”は微妙な選曲ではある。
曲じたいは良いのだけれど。

たぶん、ぼくが来る前に、路上向きの曲はあらかたやってしまったのだろう(笑)。
でも、同じようなセットを2〜3回繰り返しても良いんだけどね。
1ステージ4〜5曲で。

と、ここで駅の警備員が巡回に来て中断。
敷地内だからいけないということらしい。
となると、敷地内での居酒屋の呼び込みは良いのか、ということになるが、その辺が文化全般に対する風当たりというものなのだろうと思う。
下北沢でもそれは変わらない。

このタイミングで、お客さんがひとり去る。
nicco繋がりで来てくれたらしい、みんなに森ガール(笑)と呼ばれていた方。
marble Beeのふたりが見送りながら口々に、「森ガール…」「森ガール…」と言ってたのがおかしかった。

いったん、すぐ隣りのガード下方向へ移動する。
漫画読みのおじさんがいるところの先。
公衆トイレの向かい辺り。
すると、漫画読みのおじさんがやって来て、ここは民家の前になるからすぐ通報されるよ、と言って去ってゆく。
それが親切な忠告なのか、自分の近くでやって欲しくないからなのかは判らなかったが、この際、北口へ移動することに。
幸いすぐ近くのエレベーターで、キーボードを抱えて改札階まで上がることも出来た。

北口はたぶん大丈夫なのだが、人通りが少ないので、宣伝にはあまり向かないかもしれない。
いや、そう言い切れはしないけれど。

既に演奏しているギター・インスト・デュオがいたので、少し離れて陣取る。

ここでまた新しいお客さんがひとり到着。
あったかい曲がいい、という声に、うーん、じゃあ“ほかほか”にしよう!となる。
それタイトルだけじゃん!(笑)
しっとりナンバーが演奏される(笑)。

そもそも、今回たかはしまいこが路上ライブをやろうと思い立ったのは、marble Bee企画の宣伝の為である。
それはニュー・アルバムのレコ発ライブでもある。
そのニュー・アルバムからの曲も、演奏された。
“イキモノ”。
これは現在、路上ライブで配布中の、2曲入りCDにも収録されている。

演奏中に何かの業者のクルマがすぐ近くに停まったりして、思わず長いブレイク風に演奏が止まる場面もあったりしたが(笑)、“イキモノ”はmarble Beeらしさが感じられる、スケールの大きな曲だ。
新しいmarble Beeの、新しい代表曲、と言えるかもしれない。

愛菜さんの電車の時間もあり、“トウメイゴコチ”で終わりということになった。
「この曲をやると、つい、熱くなる」
と言って始まったが、これはもう、そういう曲なのであって、演奏する側がまず熱くならないと成立しない。
たぶん、ニュー・アルバムの核になっているんではないか。


写真は、中川愛菜さんと、たかはしまいこ手描きの、スケッチブックと共に。
これを置いて路上ライブをやってた訳なんですが。

11月27日、下北沢モナレコード。
ついに、というか、ようやく!niccoと共演であります!
もう来週だ。
これを観ずして11月は終わらないでしょう。
いや〜、楽しみ楽しみ♪

marble BeeのHPはこちら!
http://marblebee.net/

2009年11月19日

砂場、今年最後の東京ライブ @ 吉祥寺 ROCK JOINT GB

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11月18日、水曜日。
その、パート1。
まずは吉祥寺編。


吉祥寺GBは、Sallyの解散発表ライブ以来である。
…って、まあまあ最近でしたね。

砂場です。
このたび、夏に続いて配信シングルレコ発であります!
何か勢いがあるぞ!
実際、夏の配信シングル(お皿でも販売)は素晴らしい出来で。
音楽雑誌に載ってるあのバンドやこのバンドとかより、ずっと良いと思います、マジで。

今回はしかし、お皿での手売りはないらしくて、配信のみみたいですが。
ジャケット写真は、ベース・ウキタヨウヘイの日記で見たんだけどなあ。

トリ前、という絶好の位置で登場の砂場。
相変わらずステージ・ドリンクは『おいしい牛乳』のヴォーカル&ギター・ミヤザキナツキ。
今日は500mlパック。

一応、新曲をやるという触れ込みがあったので、配信リリースと共にそれが目玉である。
あ、判りづらいかな。
配信シングルの曲とは別の、まっさらな新曲を初披露、ということなんですね。

その新曲は、2曲目に演奏された。
「吉祥寺の街と、もう少し仲良くなったら、ジョージって呼べるのかな」
とか、よく判らないトークの後に、
「おもむろに新曲を始めます」
と言ってから、スティックでカウントが鳴らされた。

ドカドカッというフィルからイントロが始まる。
フィルの頭がバスドラである。
YMO“ビハインド・ザ・マスク”のユキヒロみたいである。

曲じたいは、ゆったりとしたテンポの、しかし切迫感のある、非常に堂々としたロック。
砂場の曲では他にないタイプかもしれない。
いや、判らないけど、何となく(笑)。
“ラジオ”ともまた違うし。
これからどんどん磨かれてゆくのが楽しみ、って感じ。

MCの間は常に、微かに、ピンピンピンピンという音がしている。
ミヤザキナツキがギターのチューニングをする音である(笑)。
このひとはチューニングを、八分のダウンピッキングでするのである。
普通のひとはだいたい白玉を鳴らしてチューニングするので、較べると、大変せわしないのです(笑)。

今回は会場の雰囲気が冷めていて、喋りはいつもと変わらなかったのに、何故か空回っている印象が残ってしまった。
特にバンド側に落ち度がある訳でもないのだが。
ブッキングや客層などの組み合わせが、うまく波長が合わなかった原因だろう。
まぁ、こんなこともある。
喋りがつまらなかった訳ではない。
配信を説明するのに、
「配る信用、と書きます。我々は信用を配っているんです」
というのはなかなか面白かったと思う。

MCというのは、ネタではなくて雰囲気だから、会場が冷めていると辛い。
でも砂場は音楽が良いので、演奏そのもので盛り返して、雰囲気を変えて行った。

3曲目は“クラゲ”。
透明な心象風景が爆音で表現された、オルタナ以降のパワーポップの傑作。
構造的に、展開があるのに全編サビに聴こえる、という不思議な曲でもある。
バンドをやってる方は参考の為にもダウンロードしてみては、と思います。
ささ、ポチッと。

続いて“ドロップ”。
砂場の持ち味である、リリカルな世界観が、しっかり楽曲に反映されたシングルにぴったりの曲。
これが今回の配信シングル。
みなさん、ためらうことはありません。
ささ、ポチッと。

この2曲で拍手が大きくなる。
判りやすい。

ラストは“ラジオ”。
これまで何度も書いているが、これからも懲りずに書いていこう。
“ラジオ”は日本のロック史に残る超名曲である。
砂場が敬愛するくるりですら、これ以上の曲があるかといったら、ぼくはくるりは好きだが即答出来ない。
それほどに並外れた名曲なのだ。
もちろんバンドそのものの格みたいなものは砂場の方がくるりよりちんまりしているだろうけど(笑)。
だからといって、それは劣っているって意味ではない。

敢えて大胆な喩えをするなら。
くるりをビートルズとしたら、砂場はバッド・フィンガーである。
そして“ラジオ”は、“ウィズアウト・ユー”なのである。
そういうことなのだ。


横浜でのライブがあったりするが、都内ではこれが年内ラスト。
次回は1月3日、やはりGBで。
確か昼ライブで1000円だったかな。

写真は受付にて。
ミヤザキナツキが手にしたレトロな電卓を囲んでの砂場の面々。
右手、ウキタヨウヘイのTシャツが良いのだが、ちと判りづらいかな。
左のハタケヤママサユキについては、あまり触れない方向で(笑)。
でもブログは3人の中で、いちばん面白いです、たぶん。

砂場の携帯サイトはこちらです。
是非。


★web 砂場★
http://www16.plala.or.jp/sunabarhythm/mobilemain.html

2009年11月16日

音楽で世界を変えよう/Prefab Sprout『Let's Change The World With Music』

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秋から冬にかけて、ぼくが最も多く聴くのがプリファブ・スプラウトである。
いつの頃からか、そういうことになっている。

今年は新譜が出た。
という訳で、いま、ぼくの部屋でヘビロテなのがプリファブ・スプラウトのニュー・アルバム。
もう、タイトルを知った瞬間に泣きそうになってしまった。
『レッツ・チェンジ・ザ・ワールド・ウィズ・ミュージック』。


日曜日の午後、部屋にいる時には、だいたいラジオをつけている。
TOKYO FMである。
13時からがユーミン、14時からは山下達郎。
最近は聴くだけだけれど、一時は山下達郎の番組は毎回録音していた。

11月8日の日曜日。
13時になったと思って何気なくラジオをつけたら、いきなりプリファブ・スプラウトが流れ出した。
あ、ユーミンがかけてくれたんだ、と思って聴いていたら、これがどうやら特集らしい。
何と。
しかも新譜だけではなく、キャリアを通しての総括的な特集。
もう、うっとりするくらいの名曲の数々が、ユーミンが喋るバックにも流れていた。
プリファブ・スプラウトのライナーを手掛けている、渡辺亨さんの解説コメントも何度か流れ、バンドの歴史と現在を多角的に浮き彫りにしていた。

渡辺亨さんの解説に対してユーミンが、ミュージシャンとしての視点から異論を持ち出したりするのも面白かった。
それはコード進行に関することだった。
プリファブ・スプラウトのパディ・マクアルーンは、80年代に登場した最も優れたソングライターのひとりと言えるが、コード進行の複雑さについてもよく言われている。
ユーミンは、複雑なコード進行は狙ったのではなく、メロディありきで結果的に付いたコードが複雑になったのではないか、と推測していた。
それってユーミン自身のことじゃないか、とぼくは思ったのですが(笑)。
インタビューで言ってたことあったな、と。
ということは、ソングライターとして、少なくともメロディメイカーとして、ユーミンはパディ・マクアルーンを同類として捉えているのかな、と興味深かった。

キャリア全体の総括的な特集、と書いたが、前作にあたる『ザ・ガンマン・アンド・アザー・ストーリーズ』からは曲はかからなかった。
まぁ、このアルバムだけレコード会社も違うし、ちょうど紙ジャケによるリイシューが出ているし、という事情からエピック作品だけだったのかもしれないけれど。
でもそんなのは些細なことだ。
だってこの番組には、ふだんは幾つかコーナーがある筈なのに、この日は丸々プリファブ・スプラウト特集だったのだから。
日本に、直接的なセールス面だけでも数百万はいるユーミン・ファンの、ごく一部のひとしか聴いてなかったとしても、プリファブ・スプラウトのセールスを軽く上回る人数が、パディ・マクアルーンの歌声を聴いたのは間違いない。
夢のようだ。

番組の中で渡辺亨さんが触れていたが、パディ・マクアルーンは現在、健康面が思わしくないらしい。
視覚障害に加え、難聴もあるという。
今作も純然たる新作ではなくて、90年代に作りかけで未完成だった作品に手を加えたものだ。
でも寡作なひとだし、こつこつ作り続けてくれたなら嬉しいのだけれど。
少しでも体調が良くなるよう、ぼくも祈っている。


ニュー・アルバムは素晴らしい。
既に幾つかのレビューが出ているが、だいたいみんな、同じことを言っている。
──最初に聴いた時は音が古く感じる。
──これは、90年代に放置されたものに手を加えたということが要因として推測される。
──けれど、聴いてゆくうちに気にならなくなり、どんどん良くなる。
──名盤である。
…と、どのレビューもそういう感じで、ぼくもそう思う。

サウンド・デザインがやや古く感じるのは、しかし、パディの場合は狙っているのかもしれない。
例えば、山下達郎のシンセの使い方みたいなものではないか。
達郎はエレクトロニカなどと較べると、いまどきないような音色を使っている。
でも彼はかなり初期から意識的にシンセを使ってきたから、そんなのは承知の上でやっていると思う。
すぐに古くなる最先端の音は敢えて避けて、MORに相応しい、ベーシックなサウンドを追求しているのだと思う。

そう考える根拠としては、山下達郎は、CDをマスタリングする時に音のレベル(音量)を上げ過ぎないようにした、と以前語っていたことがあるからだ。
最近の新譜はマスタリングのレベルが、技術の発展と共に際限なく上がって行くが、そうじゃないだろう、適切なレベルがある筈だろう、と。
山下達郎は確か、そんな風に語っていた。
そうしたことから思ったのは、ミュージシャンの在り方として、出来るからといってやればいいってものではない、という節度のようなものがあるのではないかと。
パディ・マクアルーンも、そういう感じなんじゃないだろうか。

それに、サウンドの現代性についてなんてことは、このアルバムを聴くと吹き飛んでしまう。
いきなり時間を超越してしまうのだ。
いまが何年とか、どうでもよくなる。
それは詞についても同様で──アルバム冒頭が、いきなりラップで始まるのはびっくりしたけど(笑)、まぁラップは十数秒ほどなんだけど──そこで歌われるのは何と、世界の始まり(!)なのだ。
ビッグバンと創世記がミックスされたイメージで、光あれ!的な調子で、音楽よあれ!と歌って始まるアルバムなんである。

そう、このアルバムのテーマは明らかに、何処からどうみても、音楽と愛、なのだ。
曲名だけみてもそう。
「Music」が4曲で、「Love」が3曲、タイトルに使われている。
“I Love Music”というタイトルまである。
これはつまり告白である。
パディ・マクアルーンから《音楽》に向けたラヴレターである。
ほとんど信仰告白に近い。


ぼくがいちばん好きな曲は、“ミュージック・イズ・ア・プリンセス”。
曲が始まった途端、それこそ音楽の神様に出会ったかと思って泣きそうになった。
曲が終わる頃には本当に泣いていた。
あっと言う間に、ぼくにとって重要な曲になってしまった。
あまりにも美しく、あまりにも切実で、あまりにも個人的な告白。
そんな曲は他には、あと1曲しかない、ぼくにとっては。
イアン・マクナブの、“トゥルース・アンド・ビューティ”だ。


音楽はお姫さま、
彼女の前では、ぼくはボロを纏った少年、
ただの無名の男、
一生をあなたに捧げよう──
パディ・マクアルーンはそう歌う。
なんてことだ。
ぼくも同じ気持ちだ。


パディ・マクアルーン自身がライナーで語り、また幾人かが触れていることだが、このアルバムは果たして現代の『スマイル』なのだろうか?
そうした考え方は、興味深くないこともないが、ぼくはあまり関心がない。
ぼくが関心を持っているのは伝説や神話ではなく、いまここで鳴っている、この素晴らしい音楽だ。


プリファブ・スプラウトは、かつてはバンドだった。
93年にこのアルバムに着手した時は、まだメンバーが揃っていた。
しかし、いま、パディ・マクアルーンひとりになってしまった。
「マーティやウェンディやニールやトーマスといっしょに録音したかった…」
「だけど、ぼくらはその機会を逸してしまった。」
「どうしてそんなことになってしまったのか?ぼく自身にも、まったくわからない。考えれば考えるほど、胸が痛くなってくる。」
彼自身によるライナーには、そんな言葉も並んでいる。

アンドロメダ・ハイツという名の、彼の自宅スタジオ。
かつてアルバム・タイトルにもなった(これも名盤!)そのスタジオで、このアルバムも制作されたのだろうか。
取り返しのつかない想いに胸を痛めながら、ひとりで完成させたのだろうか。
アルバムはかつてのプリファブ・スプラウトのメンバーと、かつてのプロデューサーであったトーマス・ドルビーに捧げられている。


だけどパディ、
あなたはひとりじゃない。

2009年11月15日

松倉如子、袋つきライブ @ 吉祥寺・喫茶 darcha

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そんな訳で松倉如子ですよ。

11月14日、土曜日。
吉祥寺、喫茶ダーチャ。

ダーチャは松倉如子のキャリアにとって、重要な位置にあるお店である。
MCでも言っていたけれど、ずっと一緒に演奏しているパートナーの渡辺勝さんと出会ったのもダーチャだそうだし、松倉さんにとっては恐らく、東京生活のルーツ的な場所ではないだろうか。

ダーチャでは時折、生声でのライブが開催されている。
この、時折、というのが何とも言えず良い。
ぼくが前回来たのは、確かケチャップとヤング☆ナッツの時だったかな。

定刻の17:30に、僅かに遅れて到着すると、もう始まっていた。
それもどうやら2曲目だったらしい。
5分も遅れなかった筈だが、松倉さんの場合はさくさく進行することが多いので、今回もたぶん、だいたい17時半になったからもう始めちゃうか、って感じだったのではと想像したりして。

今回は《限定15名・パンパラハラッパの袋付き・秋の大感謝祭》とのことで。
行けるかどうか、直前まで判らなかったのだけど、どうにか予約は出来た。
店内はしっかりお客さんで埋まっている。
入場時に袋も貰った。
どんな袋かは、8月2日の記事の写真参照で。
松倉画伯のイラスト入りトートバッグです。

ライブは二部構成だった。
いや、構成というのは語弊があるかな。
二部に分かれてはいたけれど、構成らしきものはなかった(笑)。
次にやる曲を、その都度決めていくという、完全に気分次第のステージ。

一応、演れる曲のリストだけは書き出してあったようだけれど、そのメモがあるのに、松倉さんはそっちを見るのを毎回忘れる。
で、毎回、渡辺勝さんの譜面をぱらぱらやって、
「いや、こっち見ても判らないでしょ」
と注意され、
「あ、そっか」
というのを何度も繰り返していた。
おかしい。

今回はアルバム『パンパラハラッパ』にもイラストを提供している絵描きさんで、絵本作家でもある田沢千草さんの絵も展示されていた。
絵本も展示・販売されてましたね。
いつか田沢千草さんが大きな展覧会をやる時は、松倉さんがそこでライブをする──という約束を、ふたりはしているのだとか。
ということは、今回はそのミニチュア版といえるだろうか。

前半、松倉さんはハットを被り、虹のように鮮やかな色に染められたポンチョ(かな)を羽織って歌った。
また、今回初の試みだったようだけど、アコーディオンを取り入れていた。
演奏は渡辺勝さん。
松倉さんが演奏したのはリコーダー、トイピアノ、グロッケンといったところ。

何しろ1曲ごとに曲目を決めているから、アコーディオン、ギターと来てまたアコーディオン、となることもあり、そのたびに、よいしょって感じで松倉さんがローディーっぽく楽器を交換する。

そういえばグロッケンは、松倉さんがずっと鉄琴が欲しいと思っていたら、渡辺勝さんがヤフオクでゲットしてくれたんだとか。
何と1000円という破格のお値段で落札したという。
きっと次のアルバムで活躍するでしょう。

松倉如子には、常に過渡期のひと、という印象がある。
最初に観た時から、どんどん変わって行くのだろうな、と思わせるところがある。
それはつまり、巨大な才能の未完成の姿なのだ、と感じさせるものであり、歌手・松倉如子の評価は概ねその点で一致していると思う。
『星』は最初の一歩であり、『パンパラハラッパ』は旅の途中の便り、という感じで、常に未来に期待しつつ聴いているひとがほとんどではないだろうか。
この日のライブでも、変わり行く姿を垣間見せてくれた。

渡辺勝さんと一緒に演奏する時は、もはやソロとユニットの境界もないようで、ふたりでのコンサート、という感じである。
松倉さんが歌わない曲も何曲かある。
そういう時はリコーダーなどを演奏するか、でなければ、しゃがんで休んでいる(気配を消そうとしているのかもしれない)。
確か“枯葉”の時がそうだった。

来年の2月3月は、ライブを休むという。
曲づくりに打ち込みたいそうなので、その成果を待っていたい。
ちなみに今回のライブでは“いとしい人”も“ともだち”も“星”もやらなかった。
ずっとやらないって訳じゃないだろうけど、新しいところへ向かっているのは判るし、前向きなモードのライブだったと思う。


写真は終演後。
渡辺勝さんと共に。
壁に飾られているのが田沢千草さんの絵。
松倉さんは二部からはオーバーオール姿だったのだけど、この時はクッションを抱えてるようです。

2009年11月12日

エレクトリックトイズ、レコ発ライブ!@ 代々木 Zher the ZOO

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そんな訳でエレクトリックトイズです。
既にチケットを購入していた3マンの日がやって来ました。
喉は微妙なままですが…。


11月10日、火曜日。
代々木、ザーザズー。
『MUSIC PARADE』。


エレクトリックトイズは1番手。
またしても長めのステージということで、後で配られたアンケートのセットリストを見たら、11曲も演奏してました。
何しろいまどき《3分間》をコンセプトにしようってバンドであるからして。
ある意味正しいポップバンドなんである。
ちなみにビートルズは当時、1ステージ30分で12曲だった。

もちろん、その正しさはあくまでも「ある意味」である。
そしてまた、かつての《3分間》の根拠は、アナログ7インチ、いわゆるドーナツ盤の収録時間を反映したものだったことも忘れてはならない。
つまり、いま《3分間のポップ》にこだわるなら、それなりの中身が要る、ってことだ。

エレクトリックトイズは、その「中身」という命題に対し、何と、
中身はない!
という見事な解答をもたらした、完璧なポップバンドである。


このところ毎回、というのは、ぼくが観ている限りにおいての話だが、オープニング・ナンバーとなっている、“気まぐレゲエ”。
何とも脱力させる、まるで仮タイトルみたいな曲名だが。
今回はドラムにダブっぽいディレイが曲の間中ずっとかかっていて格好良かった。
卓の方でやってもらっているそうなので、ハコやひとによって音のニュアンスが変わるみたいだ。

前回・前々回にあったヴォーカルのりこさんの最初のひと声、
「エレクトリックトイズの、3分間のゆるい音楽に乗って、宇宙人襲来」
というのが、今回はなく。
代わりに、のりこさんとギターてるみさんによるユニゾンで、
「う〜〜〜〜〜っ」
というコーラスが入っていた。
別に大したことをしている訳じゃないのに、非常にうまくハマッていて効果的だった。

このひとたちは判ってるのだ。
ポップの秘密を握っているのだ。
要するに、センスがあるのだ。

ちなみに歌詞は、宇宙人が襲来したらしくて地球人が混乱している…という内容。
それだけ、ではある。
が、しかしですよ。
世の中には、
あなたがいなくて悲しい、
とか、
あなたと一緒にいられて嬉しい、
だの、
あなたに会えてよかったねきっと私、
みたいな(笑)、
要約すればそれだけ、の曲がゴマンとあるのだから、“気まぐレゲエ”のような曲があることは、とても喜ばしい。

よくMCで、のりこさんは、
「ふざけたバンド」
「変なバンド」
「こんなバンド」
と自虐の限りを尽くして卑下しているが、あれは誇らしさの裏返しであろう、と思う訳です。
だいたい、本当にそう思ってたら、バンドが続く訳がない(笑)。

ナンセンスであろう、とすることは難しい。
メロディやサウンドにおいては、奔放にはじけてナンセンスな世界を創れる。
しかし歌詞は、完全に意味性から逃れるのは大変である。
エレクトリックトイズの歌詞にも、時々、シリアスな本音がチラッと覗くこともある。
でも、エレトイの場合は、そのナンセンスに徹しきれないところが実は魅力になっているように思う。

ということは、何だ、いまのままで良いんじゃないか。
エレクトリックトイズはバッチリだ、と。


ベースばんないさん、ドラムスさとみさん、リズム隊のふたりは仲良く髪をアップにしてました。
女子は髪でいろいろ出来ていいな。
ましてエレトイみたいなバンドであれば、髪に限らず何でも出来そうな感じがある。
その辺はバンドの楽しそうな雰囲気から来るイメージなんだろうけれど、自由な感じで良い。

もちろん、本当は自由なんかじゃない。
でも、自由で「あろうとする」ことだけが、自由へ続く唯一の道であると、エレクトリックトイズのパフォーマンスは思い出させてくれる。
ステージ上というのは実は制約だらけの空間なのだが、ロックバンドはそこで最も自由になれるのだ。


ところで、今回のライブは確か、レコ発ライブだった筈ですが。
2曲入りのシングル、
『お邪魔スター/マジカルるるミステリーツアー』
の発売ライブ!…な訳ですが。
あんまりその辺、強調してなかったような気が、そういえばしますが(笑)。

エレトイみたいなバンドは、良い意味で金太郎飴的、なんて言われがちなタイプだが、実際にこうして続けて観てみると、毎回違うところがあって、毎回違う楽しさがある。
特に、サウンドを牽引してゆくギターは、必ずスリリングな瞬間を作り出す。
ソロもそうだし、シンセとの掛け合いみたいなパートも面白かった。

そして、当たり前過ぎて後回しになってしまったが、こんなにヴォーカルが素晴らしいバンドもなかなかない。
愛すべき個性を持ったシンガーは、たくさんいるけれど。
自在でパワフルで繊細で、ルックスも兼ね備えたオールマイティな女性ヴォーカルといったら、クレーター通信的には、歌姫楽団かキッチンか、くらいなものだ。
あ、判りづらい?(笑)
まぁ、試聴でもしてみて下さいまし。
のりこさんのヴォーカルは、ちょっと頼りなさそうなところもあるのだけれど、ステージを通して聴くと、そういうのは曲によって歌い方を変えていたのだと判る。
ピッチもしっかりしているし、安心してファニーでキュートなエレトイの世界に浸れる。

電子音が飛び交い、演奏が白熱して来ると、フロントの3人がぴょんぴょん跳ねるのが良いのだが、こういうのも女子バンドならではだろう。
特に決まりごともなく好き勝手に動いているだけだと思うけれど、やたら楽しくなってくるステージングになっている。

そういえば演奏中に、のりこさんのミニ・コルグに、ギターてるみさんが手を伸ばして、ツマミか何かいじってたのは何だったんだろう(笑)。
そして、隣りで何があろうとも、ベースばんないさんは、楽しそうに演奏を続けるのでした。


そんなエレクトリックトイズ、写真は終演後であります。
可愛く、楽しく、格好良い。
ロックンロール。
また観に行きます。


★エレトイモバイル★
http://www.eletoy.com/mb.xhtml

2009年11月11日

オープンマイクの青葉市子 @ 池ノ上 ruina

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青葉市子、11月の東京ライブ。
それは、6日だった。
つまり、歌姫楽団ワンマンの日。


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しかも、それは2マンだったのだ。
そこで新曲をやり、更に相対性理論のカバーまでしたのだ!
“地獄先生”の!


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仕方ない、そういうこともあるさ。
ふう。

で、今回の東京行きのおまけ編。
こちらに行って来ました。


11月9日、月曜日。
池ノ上、ルイナ。


この日は、オープンマイクである。
オープンマイクとは、文字通りマイクを解放するということで、誰でもステージに立てる。
持ち時間は10分ほど。
これはルイナだけの企画という訳ではなく、イギリスのパブやアメリカのクラブなど、海外にもあるから、つまり全世界的にあるのだとは思う。
近いところだと吉祥寺曼荼羅でも、オープンマイクの日がある。
大抵、入場料は安く、この日のルイナもドリンク別1000円。

到着してみると、誰もいない。
ドアがいつの間にかガラス張りになっていてプチ改装されている。
カウンターにマスターのPJ氏。
青葉市子はというと、客席でガットギターを抱えている。
ギターケースをその辺に転がしたまま。

実は歌姫楽団ワンマン以降、ぼくは風邪っぴきである。
熱は全くなく36度台、喉だけおかしいという変な症状で。
声が出ない。
この日はだいぶ良くなったのだが、明らかに変な声であった。
マスターに、ノンアルコールのあったかいものを作っていただく。
香港の民間療法をアレンジしたという、特製ドリンク。

そうこうするうちに、もうひとりお客さんが来店。
安部たかのりさんでした。
名前は結構お見掛けするのですが、お顔を拝見するのは初めてであります。

で、結局この日のオープンマイクは、青葉市子と安部たかのりの2マン、みたいな状態になったんでした。
贅沢だ。

まずは、青葉市子がステージへ向かう。
今回はもう、ステージ衣装でもなく普段着。
最初のうちはピアノを弾いたりして遊んでたのだが、やがてギターを抱えてマイクに向かう。

「公開練習です」
と言いながら、結構いろんなことをやった。
最初の方は、比較的まともに、いつもの感じで。

適当にギターを爪弾きながら、何かつぶやいているな、と思ったら
「生きろ、そなたは美しい」
だって。
ギターに語りかけていたのかもしれない。

そして1曲目。
“不和リン”から始まる。
続けて“腸髪のサーカス”、“ココロノセカイ”。

中盤は短めの曲や作りかけの曲を、とりとめない感じで続ける。
断片集、みたいな。

青葉市子はいままさに成長期であり、しかも成長がはやい。
演奏の端々から、脱皮したがっていると思われる、演奏者としてのもどかしさが感じられた。
気のせいだろうか。
ついこないだまで夏だったのに、まだ冬にもならないうちに、春を呼び込もうとしているみたいな。
しかし《練習》は未来を呼び込むための行為だから、そう聴こえてしまうのも当然なのかもしれない。

PJ氏はカウンターから客席に出てきてしまい、
「贅沢だね、結局ワンマンみたいな…」
と言って、この日の商売は諦め(たぶん)、青葉さんは、
「私、練習しますから──、
(安部たかのり氏に)キャロットライス、食べてて下さい」
と勝手知ったるルイナで練習に励む。
でも、いちおう観客は意識していたようで、その辺りが実験的なムードになっていたような、いなかったような。
淋しいから拍手はいらない、会話にしよう、ということで、PJ氏と安部さんが主に会話に参加。
ぼくは声があまり出ないので(笑)。

何だろう、ホームパーティー?(笑)
「何だか判らない会」
とは青葉さんの弁。

1月に全国発売されるCDについても、少し触れていた。
この辺は、まだ書いてはいけないこともあるので、迂闊に文章にしてはまずい(笑)。
慎重に(笑)。
普通のライブと違うから、ステージでの発言も公にしていいものか微妙なところがあるように思えたりして。
とにかく、青葉市子の十代をパッケージしたアルバムが、来年早々に、全国のCDショップに並ぶ訳です。
詳細は追々、青葉市子の公式サイトでも出て来る筈です。
もう、すぐだしね。
聴いて驚け、って感じですよ。

公開練習は続き、結局6日に演奏された新曲も聴けた。
あと“地獄先生”も、少しだけ聴けた。
本人によると、カバーというより物真似に近いそうだが、確かに似てました、やくしまるえつこに。
ちゃんとあのギターリフなんかも、ガットギターで演っていた。

もちろん、というか、oranさんの曲も、練習をいいことに中途半端に披露。
もう少し練習すれば、相対性理論にしても、oranさんにしても、すっかり青葉市子のレパートリーになるのではないだろうか。
まぁ、今後セットリストに入れるかどうかは別として。

12月16日に、新宿紅布で日比谷カタンさんと共演する件も告知。
PJ氏は、これはまだ知らなかったようで。
青葉さんが他の出演者を、
「あと中ムラサトコさんと、もうひと方、お姉さまが…」
と詰まったので、
「鈴木亜紀さんです」
と教えてあげたらさすがのPJ氏ものけぞってましたね(笑)。
物凄いメンツを集めたものです。
これはもう、全員来て下さい、って誰に言ってるのか判りませんがとにかく必見です。

「私の曲ではありませんが…いえ、私の曲です」
と言って始まったのは“はるなつあきふゆ”。
この辺り、いずれちゃんとレコーディングして欲しいですね、“機械仕掛〜”とか含め、師匠の曲を。

公開練習、最後の曲は“重たい睫毛”。
ぼくは既に、自分の中にこの曲が存在する人生を生きている訳だけれど、来年になれば、この国のあちこちで、この曲や“腸髪のサーカス”と出会うひとが現れるのだ。
…もしかしたら、これを読んでいるあなたの現在は、2010年かもしれませんね。
不思議だな。
素晴らしい。


終わった後もピアノで久石穣の曲をたらたら弾いていた青葉さんであったが。
安部たかのりさんが演奏する気になると、羽ばたくように客席へ飛び込んで、至福の時を過ごしたようです。
PJ氏も、演奏中はすっかり観客。
ちなみに安部さんは、普段はスチール弦のアコギを弾くそうで、たまたま立ち寄ったこの日のルイナにはガットギターしかなく、
「弾けるかな?」
と言いつつ始まったのだけど、最後には
「ガット良いな、これから使おう」
と、キャリアの重要な転換にルイナのオープンマイクが関わってしまった(かもしれない)瞬間を目撃したのでした。

初めて聴いたけれど、いや、良かったです。
男性のシンガーソングライターで良いひとって、最近は少ないように思うのだけど、居たじゃないかここに、って感じでした。


この夜はまだまだ続いたのだけど、ここから先は、今のところ書けません。
じゃあ、いつか書けるのか?
もしかしたら、書けるかもしれない。
さて、どうかしらん。
いずれにせよ、いろんな意味で、特別な一夜だったのでした。

青葉市子の東京ライブは、また来月。
公式サイトはこちらです。
http://m-pe.tv/u/page.php?uid=aobaichiko&id=1

2009年11月09日

歌姫楽団ワンマンライブ『泡沫ノ夜ト薔薇』@ 渋谷 O-WEST

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人生で大切なのは恋愛と音楽、あとは消えちまってもいい、だって醜いんだから──、
というようなことを言った作家が、かつて、フランスにいた。
彼の代表的な作品のひとつは、日本では、翻訳の違いによって、2種類のタイトルが知られている。
すなわち『日々の泡』と『うたかたの日々』である。
冒頭のフレーズは、この作品のまえがきに、もう少しちゃんとした言葉で書かれている。
「泡沫(うたかた)」、と聴いてまず思い浮かぶのは、ぼくにとってはボリス・ヴィアンのそのフレーズだ。


11月6日、金曜日。
渋谷、O-WEST。


歌姫楽団、もはや恒例となった秋のワンマン・ライブ。
今回のタイトルは『泡沫ノ夜ト薔薇』。
ちなみに前回は『万華鏡秋風綺譚』。
その前は『東京近代少女(トーキョー・モダン・ガール)』。

…気のせいか、だんだん淋しく儚い方向へ向かっております(笑)。
でもね、それがロックなの。
一夜限りの夢、ワン・ナイト・スタンド。
そして肝心なのは、バンドが充実していないと、淋しさや儚さは言葉にしづらいってことだ。
中身が不安定であったり、キャリアが始まったばかりだったり、逆に解散寸前だったりしたら、強くて勇ましい言葉を求めるものである。


入口の階段下辺りで、そろそろ入ろうかと思っていたら、知ってる顔が続々とやって来る。
Sad Paradise ObsessionのMofA、福士恵美などの若い才能。
星屑オーケストラのドラマー、伊藤荘一。
YUKKIY、サックス奏者の村瀬和広など、バンドと縁のあるミュージシャン。
などなどなど…。

入場すると、まずセットに目がいく。
毎回、秋をイメージさせる造りだが、だんだんシンプルになって来ていて、変な気負いのなさと、自信を感じる。
今回は何となく樹の下って雰囲気。
枯れ葉が降ったりもしたんでした。

音楽に限らないが、足すことより引くことが重要だ。
削ぎ落とし、身軽になることが。


19時を少し回った頃。
客入れのSEが続く場内に、SEのうちの1曲という感じで、スモーキー・ロビンソンが流れる。
かつてRCサクセションが、ライブ盤のタイトルにしたソウル・ミュージック。
その途中で客電が落ち、拍手と歓声に包まれてメンバーが登場する。
この登場の仕方にしても、いつもよりさり気ない。

ドラムのスティックが打ち鳴らすカウントで1曲目が始まる。
“クラムボンウォータードロップス”。
少し長めのイントロ。
フォービートのリズムにブルージーなギター・ソロが絡む。
そこへ姫が登場し、場内が再び歓声と拍手で満たされる。
そのホットなムードの中、歌はあくまでもシャープだ。

宮沢賢治の童話の中では、クラムボンは泡みたいなイメージでもある。
ふむふむ。
しかし、このO-WESTワンマンでは、これまで2曲目が本当のスタートみたいな構成であったことも忘れてはいけない。
今回の2曲目は──、
“赤いコートの君が笑う”!
この位置で演奏されるのは初めてだろう。
そしてこの曲には、うたかた、という言葉が登場する。
やはり、実質的なオープニングを担う曲として選ばれたのかな、という印象。

姫の着物は今回、鮮やかな色が飛び散ったアクション・ペインティングを連想させる、非常にカラフルな模様だった。
衣装といえば、ベース縫田君はカーディガンだったのだが、胸に何かブローチみたいなものを付けていた。
たぶん、黄色い薔薇だったと思うのだけど、ちょっと離れた場所から見たせいか、スコーンが付いてるのかと思いました(笑)。
いや、そういうお菓子モチーフのブローチやコサージュもあるじゃないですか。
後でその発見を言ったら「見える!」ってウケてました、ぼくの内輪で(笑)。

ちょっと離れた場所から、といえばこの曲。
3曲目は“Sugar”。
姫がトライアングルを持って歌うのだが、ここで何とゲストが!
さっきから今回はさり気ないって書いてるけれど、さり気なさ過ぎだろう。
ベースの後ろ、ステージ向かって左奥に置かれたキーボードに座ったのは、須藤信一郎!
この曲のオリジナル・ヴァージョンでピアノを弾いている、かつての正式メンバー。
そうか、こういうのもアリなところに来たって訳だ。

歌の解釈も昔と違う。
いや、歌だけではなくギターもベースもドラムも、全員が成熟と、同時に緊張感に満ちた演奏を繰り広げる。
3曲ほど続けてピアノを弾くと、須藤信一郎は引っ込んだ。
紹介もないから、また後で出て来るのだろう。

前半、ベースはアップライトを使用した。
ギターはストラトキャスターだったが、“青林檎”でアコギに持ち替えたのを機に、その後はジャズマスターに移行した。
そしてピアニスト須藤信一郎は本編ラストに再び登場し、今度はちゃんと紹介された。

ちなみに、中盤に演奏された“イケナイ恋の唄”。
ここにも「うたかた」というフレーズが登場する。
昨年の「万華鏡」というフレーズといい、新曲とライブのテーマがリンクするシリーズ、というか。

本編が16曲。
これは前回、前々回と同じ。
アンコールは最初が3曲、2回目が1曲。
トータルで20曲。
O-WESTでのワンマンでは、最多の演奏曲数となった。
アンコールで新曲をやった分、1曲増えたのかもしれない(笑)。

新曲は、最近にはない感じだが、昔はこんなの結構あったなぁ、と遠い目になるような曲調だった。
歌姫楽団の独自のカラーを出していこうとする際に、こぼれ落ちてしまった、まともに音源として残されていない曲群がある。
そうした曲の、ひとつのタイプと言えるだろう。
ということは、いまはこれもオッケーなのかもしれない。

歌姫楽団は守備範囲が異様に広い。
サザン、ユニコーン並みに何でもありなのだが、この数年は敢えて絞って来た感がある。
今後どうなるかは判らないが、いずれにしろ見せてない面はまだあるだろうし、だいたい今回のワンマンにしても、ウエスト最多演奏曲数のわりには演ってない曲多過ぎである。
別に、マニアックな曲を演れって意味ではなく、普通に演りそうな曲が外れている。
代わりに新曲が増え、おまけに千葉マリンスタジアムでしか演奏していなかった“空と海の真ん中で”もアンコールで登場した。

カバー曲も減った。
歌姫楽団の場合、曲がないからカバーを演る訳ではなく、むしろ曲は常に有り余っているのだが、敢えてカバーをしてきた。
でも今回は、“危い土曜日”くらいだ。
“男5分5分女5分5分”もカバーだが、あの曲は元々知られていないので、ちょっと意味合いが違う。

そろそろ、アルバムを作るべきだと思う。
バンドという運動体は曲を形(音源)にして吐き出さないと、煮詰まってしまう。
そして、機は熟している。
そういう状況が露わになったライブだったと思う。

何なら全曲違うセットで、もう一度ワンマンが出来るくらいの余裕が、レパートリー的にはある。
バンドの体力的には難しいだろうけど(笑)。
いや、別に続けてやったら、なんて言いたい訳ではない。
ただ、こうは言いたいのだ。
ワンマンの回数を増やしたらいい、と。

オーラスは、オープニングと対になるかのように、ライブのタイトルに織り込まれた曲。
“雨の夜と薔薇”。
この曲が、シングルのカップリング曲であるということ。
あるいは“万華鏡”が未CD化であること。
というかセットリストの四分の一が未CD化曲であるということ。
そういう事態になっているのだ。
もどかしい。

3回目のアンコールには応えられず、メンバー全員が出て来て挨拶するだけで終わった。
姫はその時、
「びっくりするくらい歩みが遅いバンド」
と言っていた。
正式なバンド・ヒストリーとしては、来年は結成10周年となる。
でも、歩みの遅さをどうこう言う気はない。
止まらなければいい。
迷子にならなければいい。
今年もまた前進した。
少しずつだけど。
逆に言えば、いつでもダッシュ出来る力は、バンドの中に蓄えられている、筈だ。


終演後は、アンコールで出て来た時の、新曲に引っ掛けたブルーのTシャツが、しんちゃんとヒデキはお揃いかと思うような色だったのに、縫田君だけブルーはブルーでもちょっと違う、といった、いかにもファンらしい話に花が咲き、当日のみ販売のグッズであるキャンディ入りトラックも話題になっていた。
キャンディの入った箱が、バンドの宣伝トラックの形をしている、って代物ですな。

そんな訳で今回の写真は、ファン代表でこの3人に写っていただきました。
入口の階段に貼られたポスターの前で、手にしているのはキャンディ・トラック。
左から、大平絵美、永田恵也、高橋優。
将来が期待されるミュージシャンの卵のみなさんです。


そしてぼくは今回、ごく個人的な、小さな発見をした。
姫の歌詞には、実はほとんど共感することがないのだが(笑)。
そう、普段はそういう聴き方はしてないのです。
作品としてどうか、って思うだけで。
だって大変ですよ、あの歌詞にいちいち共感出来るパーソナリティだったら(笑)。
でも今回、久々に、共感できるラインを発見したのでした。
それは──、書こうと思ったけど、やっぱり内緒にしとこう(笑)。
誤解は最小限にとどめたい(笑)。

とにかくいろんな意味で、歌姫楽団の現在が明確に示されたライブだった。
よーく目を凝らせば、未来も見えたと思う。


アンコールで姫は、シャボン玉を飛ばした。
もしかしたら「泡沫」には、シャボン玉のような、ひとときの夢、といったイメージも託されていたのかもしれない。

2009年11月06日

ロイヤルハンチングス、レコ発ライブ! @ 高円寺 MOON STOMP

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そんな訳で、お馴染みのコントラバス奏者・熊坂義人の、たくさんやってるグループのうちのひとつ、ロイヤルハンチングスであります。
クラリネット瀬戸信行とのデュオ。
ただし、瀬戸信行は大阪在住という、関東−関西にまたがる言わば関所越え遠距離ユニット。


11月5日、木曜日。
高円寺、ムーンストンプ。


今回は、そんなロイヤルハンチングスが苦難(と書いて距離と読む)を乗り越えて制作したアルバムの、発売記念ライブ。
その名も『ファン大感謝祭〜東京編〜』。
大阪編もあるみたいです。

これが何とも盛り沢山な内容であった。
まず、入場者全員に、今回出たCDが付いて来る。
CD込みの入場料が、ドリンク別で3500円。
ちなみにCDは2520円だから、買うつもりのひとは来なきゃ損するくらいのお値段。
更にこの日だけの特典として、バッヂが付いて、その上、本人たちはライブ以上に力を入れているらしい抽選会がある。

入口で、紙袋を渡される。
書店で雑誌を買った時に入れてくれるようなマチなしの、大判の封筒みたいなやつ。
中にチラシとアンケート、そしてCDとバッヂが入ったセットになっている。
紙袋はこの日の為に作られたロイヤルハンチングス・オリジナル仕様で、抽選番号もスタンプで押されている。

それを持って席を探す。
ムーンストンプは、夏に、たらりらんが出演した楽やの隣り。
確かジプシー・ヴァガボンズが出ていたし、ハッチ・ハッチェル・バンドも出ている。
そんな雰囲気のライブ・バーである。

テーブル席は結構埋まっていたので、カウンターに落ち着く。
熊坂妹・るっちゃんこと、アコーディオン奏者の熊坂るつこもおります。
というか、後で演奏に参加する為に来ているのだけど。

ということは。
熊坂兄妹は、ふたりでケチャップというデュオも組んでいるから、何だかふたつのユニットが熊坂義人を中心に混ざったみたいな状態になったのですが。
いやもう、音楽さえ良ければ何でもありだし、実際、音楽は素晴らしいのだから、問題はない。

ライブは二部構成。
一部はロイヤルハンチングスのふたりで、このデュオの(たぶん)スタンダードなスタイルでの演奏。
ロイヤルハンチングスのコンセプトは、別にふたりともハンチングを被って演奏することではなく、世界の様々な音楽を、それも出来るだけ知られていない曲を、とにかくふたりで演奏しちまおう、というものらしい。
古いものでは20世紀初頭のカリブ海の音楽だとか、実に面白い曲をあちこちから見つけて来るんですよ。
ロシアの、やはり古い、しかもやはり知られていない曲をやったりして、めちゃめちゃ面白い。
「聴くな」と言われても聴いてしまう。

「聴くな」、というのは瀬戸信行がMCで言ったのだが、別に、強い調子での発言ではない。
真剣に聴かずにお喋りとかしていて欲しい、といったニュアンスでの話。
ロイヤルハンチングスは、《サロン・ミュージック》(日本のポップ・デュオの方ではなく)を標榜するユニットであるので、要はお酒のBGMみたいにして聴かれるのが望ましい──ってことのようだ。
現に今回完成したアルバム『シンガポールの小径で』には「◆隙間サロン・ミュージック集◆」というサブ・タイトルが付いている。
しかし、時代は隙間こそが全面展開する様相を呈しているではないか。
コンビニを見よ、ってなもんである。
本当の《音楽の愉しみ》がここにある。

数曲を演奏の後、休憩があり、その後、抽選会になった。
熊坂るつこが、ステージでひとり、アコーディオンを奏でる。
と、それをお囃子として、ロイヤルハンチングスが登場し、終始アコーディオンをバックに、賑やかに抽選会を繰り広げた。
ドラム・ロールならぬコントラバス・ロールを熊坂義人が担当したりして(笑)。

ちなみに景品は、メンバーそれぞれの別バンドのCDや、マニアックな音源、この場で一杯奢る券、京都で見つけたハンチング、といった、どれも良い感じのもの。
ぼくは当たらなかったが、外れたひと全員に残念賞が配られた。
森永の栗キャラメルなるもので、ちゃんと、残念賞のパッケージを作って来ていたのが楽しい。

抽選会の後、また少し休憩を挟んで第二部に突入。
ここからは熊坂るつこも加わった3人編成。
今やケチャップやソロのみならず、多方面で活躍中の熊坂るつこ。
何しろ、早川義夫さん(!!)とも一緒に演奏している。
兄と共に引っ張りだこである。
その理由は、演奏を聴けば判る。
すんばらしいのだ。
アコーディオン好きは聴かなきゃ、って思います。

おっと、ロイヤルハンチングスでした。

完全に生音で演奏している為、MCでは瀬戸信行が小さな拡声器をわざわざ使って、プールサイドの先生みたいに喋っていた。
そういう部分も含め、常にユーモアを忘れず好奇心を隠さず楽しく音楽を追求する様子が観客としても面白い。
最後は飛び入りで、チューバの高岡大祐さんも加わり、4人編成で、つまり正式メンバーの倍の編成(!)となって、ばんばんソロを回し、がんがん盛り上がって、大迫力の演奏で幕を閉じた。

その最後の曲は、熊坂義人のオリジナル曲だったのだが、アルバムには未収録。
惜しい、と思いきや。
何と、初回限定で、ライブCDが付いて来るのだが、そこに収録されてます!
大盤振る舞いである。
これは初回盤を買わないと!

ぼくは既に、ひと通り聴いたのですが。
これはマジで良い。
いや、いつでもマジですけどね、ぼくは。
インストもの、ジャズ寄りのもの、といった大雑把な括りで、ちょっと興味あるって方は素通りしちゃいけませんよ。

さて、その初回盤の、付録ライブCD。
『ロイヤルハンチングスと仲間たち/Live at BIG APPLE』というタイトルで、多彩なゲストを呼んでの非常に面白いものになっております。
特に注目すべき点は、ヴォーカルものが2曲収録されているのですが。
仮屋崎郁子さんの歌声が素晴らしい!
女性ジャズ・ヴォーカル、みたいな狭いジャンル的なことから離れて、とにかく必聴ものです。
件の熊坂義人オリジナル曲“最後の人間”はこちらにも熊坂るつこ参加で、ハイ・ヴォルテージな演奏を聴かせます。
瀬戸信行オリジナル曲“すずめとさくら”も21世紀の日本人が書いたとは思えない風格のある名曲。
ちょっとでも気になる方は初回盤で是非!

ちなみに、発売は来年の1月みたいです。
ライブ会場先行で手売り中という訳ですな。


写真は終演後、ムーンストンプの店内で。
左がコントラバス・熊坂義人、
右がクラリネット・瀬戸信行。


ロイヤルハンチングスの演奏からは、本物の自由を感じる。
かといって、じゃあその本物の自由とやらを400字以内で説明してみろ、と言われても難しい。
けれど、実際に彼らのライブを観れば、誰もが自由を感じるのではないか。

ひとは自由であり、音楽もまた自由だ。
アルバムのタイトル曲になった“シンガポールの小径で”は、アジアへの偏見に満ちた、ヘンテコな曲として紹介される。
そのヘンテコな音楽の中で、地上の何処でもない架空のシンガポールを我々は体験する。
音楽における自由とは、たぶん、そういうことなのだ。


シンガポールの小径で逢いましょう。