おはようございます。
「まおまお」で~す。
いつもブログを見ていただきありがとうございます。

今回の書籍の紹介はコレです。

大村 大次郎『税務署VS脱税者―どんな善人でも税金はごまかす』(KADOKAWA/角川マガジンズ,2014)  780円(税別)



■この書籍をサクッというと
マルサのような派手な脱税摘発はほんの一部に限られる。
多くの脱税摘発は中小企業相手のものだ。
元国税調査官の著者が摘発はどのようにして行われるのかを詳らかに解説している1冊。



■目次
序 章 税務調査ってなんだ?
第1章 使い込みという脱税
第2章 行列ができるラーメン店の脱税
第3章 住職の罰当たりな脱税
第4章 裏リベートという脱税手法
第5章 調査官は今もあなたを見張っている
第6章 隠し口座が見つかる
第7章 カリスマ・ホストの巧妙な脱税
第8章 領収書を偽造すれば脱税できるのか?
第9章 どんな善人でも脱税する
あとがき



■地道な作業で脱税者を追いこんでいく
何年かに一度、「まおまお」の会社にも国税調査官が来る。
「まおまお」の会社の場合、社長の方針が「納税して国民の義務を果たす」なので、脱税は恐らくしていないだろう。

だが、世の中には多くの中小企業が節税の度を越えて脱税をしている。
その脱税を暴き、追徴課税して税金を取るのが税務署の大きな仕事の1つだ。
しかし、その仕事は脱税を摘発された人にしか分からない。

今回は著者が架空の税務署員をロールモデルにして、具体的にどのように脱税を摘発しているのかを解説している。
これを読んでいくと脱税が摘発された際の追徴課税を含め、どれだけのリスクを背負っているのかよく分かるのだ。

何もきれいごとばかりが書かれている訳ではない。
実際に徴税の「ノルマ」に追われ、いかに効率よく徴税していくかというドロドロした部分もしっかりと描かれている。

調査で申告誤りが発見された場合、2種類に分けられる。
1つは「不正でないもの」。
この場合、新たに納付すべき税金は10%が割り増しになったもので「過少申告加算税」という。
もう1つは「不正なもの」。
この場合、新たに納付すべき税金は35%が割り増しになったもの(無申告の場合は40%)で「重加算税」という。
国税調査官としてはノルマもあるので、いかに「重加算税」、つまり不正を見つけるかがポイントとなってくるのだ。

国税調査官は税務調査をする際にいかに効率的にノルマを達成するかに知恵を絞る。
そのためには税金を取れそうな事業者を選定する。
その基準は「売上は上昇しているのに、利益があまり出ていない事業者」。
こういう事業者は脱税をしている可能性が高いのだ。

そもそも脱税とは「利益や資産を少額に見せかける」ということで成立する。
利益や資産を減らす方法は2つある。
1つは「収入(資産)を隠す」。
もう1つは「経費を水増しする」。
つまり、先の選定基準はこの方法に合致しているのだ。

国税調査官はあの手この手で脱税しようとしている事業者に対し、脱税ポイントを集中的に見て短期間で脱税を暴いていく。
その手法が1つずつのストーリーとして描かれているのが面白い。
脱税に至るストーリーを見るのは、ちょっとした娯楽小説のようだ。
いかに脱税が割に合わない行為なのかがよく分かる1冊。

ランキング評価
読みやすさ  3
情報量    3
情報質    4
価格     3
と言うことで「★★★」です。

次回も見に来てくれると嬉しいです。



■関連記事
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■大村 大次郎『税務署員だけのヒミツの節税術 ―あらゆる領収書は経費で落とせる【確定申告編】』(中央公論新社,2012)
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■大村 大次郎『税務署が嫌がる「税金0円」の裏ワザ』(双葉社,2012)
 通勤時間の本は何にする?:【税】サラリーマンの節税 3つの方法

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■大村 大次郎『お坊さんはなぜ領収書を出さないのか』(宝島社,2012)
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■大村 大次郎(2011)『あらゆる領収書は経費で落とせる中央公論新社
 通勤時間の本は何にする?:悪(?)の節税マニュアル

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著者:大村 大次郎
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久保 憂希也(2011)『すべての日本人のための 日本一やさしくて使える税金の本ディスカヴァー・トゥエンティワン
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奥村 佳史(2009)『法人税が分かれば、会社のお金のすべてが分かる光文社
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■大村 大次郎(2009)『無税生活ベストセラーズ
 通勤時間の本は何にする?:いろいろな節税(逃税)方法があるんですね

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