160630 マンション工事おはようございます。
「まおまお」で~す。
いつもブログを見ていただきありがとうございます。

今回の書籍の紹介はコレです。

船津 欣弘『新築マンションは9割が欠陥』(幻冬舎,2016)  800円(税別)



この書籍をサクッというと


新築マンションには何かしらの欠陥がある。
なぜそのようなことが発生するのか、そしてそのような物件に遭遇しないためにはどのような対策があるのかを解説した1冊。


目次


はじめに
第一章  欠陥住宅は今後もなくならない
第二章  新築信仰があなたを不幸にする
第三章  マンション価値を下げない業者の選び方
第四章  欠陥マンションから身を守る技術
第五章  欠陥問題をなくすための処方箋
品質重視のマンション選びチェックリスト&欠陥マンション診断チェックリスト
おわりに


今後もマンションの欠陥はなくならない


消費税10%への増税が再び先送りになったことで、今のうちに新居購入を考えている人もいるのではないだろうか?
都市部だとなかなか一軒家を購入することは価格的に難しいので、マンションを購入するというのが多い。

ところがマンションはさまざまな欠陥を持っている可能性が高い。
最近のパークシティLaLa横浜ではマンションが傾くという思いもよらない事態が発生した。

またちょっと古いが、姉歯一級建築士による構造計算書偽造問題では多くのマンションで耐震構造に問題があるマンションが何棟も出てしまった。

これらの問題はあるマンション業界に巣くう致命的な問題から発生しているというのが今回紹介する書籍。
もし新築マンション購入を検討しているのであれば、当書籍を読むことで致命的な欠陥マンションの購入を避けられる可能性がある。


なぜマンションの欠陥はなくならないのか?


今後も欠陥マンションが出る可能性を著者は危惧している。
というのもマンション業界には欠陥マンションを造り出す構造的な問題があるからだ。

その問題とは大きく2つある。
1つは下請けの多重構造の問題。
もう1つは複数工種の問題。

下請けの多重構造は事業主であるマンションディベロッパーから元請けのゼネコン、そして1次下請け、2次下請け、3次下請けとピラミッド構造になっていることを指す。

多くの企業が関われば、それだけ何重にも利益を抜かれ、末端の下請け企業にはほとんど利益が残らない。
そのような状況でちゃんとした工事をしろというのは無理なこと。

そしてもう1つの複数工種とはさまざまな工事が同時に行われるということ。
本来であれば順番を決めて、進めれば間違いは起こりにくいが納期の問題で、各工事は並行して行われ、自分の工事だけを見て進めるため施工不備が多く発生するのだ。

加えて深刻な人材難に遭遇しているのが現在のマンション建設。
ピンハネされ続けた結果、ベテランの職人から去って行き、その技術や能力が継承されないという事態が発生している。
そのため頭数はそろえたがちゃんとした仕事が出来ているか疑問が残るということだ。

このような欠陥マンションを造り出すマンション業界の問題が解決されないと、今後も欠陥マンションはなくならないと言うのだ。


新築マンションは買わない方がいい


著者は新築マンションを買うことに慎重な姿勢を持っている。
その理由を以下に挙げていく。

1.不備や欠陥が100%あるため


著者が関わって検査をしたマンションではほぼ100%何らかの.不備や欠陥が見つかっているのだ。

2.価格には新築プレミアムが乗っているため


新築分譲マンションには、土地や建物の原価の他にマンションディベロッパーやゼネコンなどの施工業者、設計事務所、販売担当事業者などの利益が上乗せされている。
そのため、物件の引き渡しをした瞬間から資産価値は目減りする。
資産評価されるのはあくまで土地や建物の原価だけなのだ。

3.2022年に地価が大暴落する可能性があるため


その原因は「生産緑地」と呼ばれる農地で、大都市における住宅地の農地のこと。
生産緑地に指定された農地の所有者には、建物を建てるというといった農業以外の行為が制限される代わりに、固定資産税が農地なみに軽減されている。
ただこの生産緑地は指定から30年で期限を迎え、所有者が死亡または農業が出来なくなった場合、運用上、生産緑地指定が解除される。
そうなると宅地として販売される可能性が非常に高く、大量に市場に土地が供給されて、地価が下落する可能性が高くなり、マンションの資産価値も下がることを意味するのだ。

4.分譲マンションの「ゴーストタウン化」が起こるため


人口減少や高齢者の増加による空室率の増加だけでなく、マンション修繕積立金を支払わない外国人などもいて、大規模修繕が出来ないままになってしまう可能性があるため。

そのため著者は賃貸を勧めている。


それでも新築マンションをと言う人には


それでも新築マンションを購入したい人言う人にとって大事なのが、どこの企業の物件を買ったらリスクが低く抑えられるのかということ。

著者はまず大手のマンションディベロッパー(住友不動産、三菱地所レジデンス、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、東急不動産、東京建物、大京)について品質管理体制や欠陥が発覚したときの対応、過失を認めるかどうかなどの視点で具体的に評価をしている。
加えてチラシから読み解く情報のポイントなども掲載されており、購入の際の判断材料として使える。

また施工業者であるゼネコン(鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店、大林組)についても同様に評価をしている。
これらを見るとどのマンションディベロッパーとゼネコンの組み合わせが無難なのかが見えてくる。
ここはポイントとして熟読を勧める。

まとめ


当書籍から分かったことは以下のようなこと。
 1.今後も新築マンションからは欠陥はなくならない。
 2.欠陥を生み出すのはマンション業界の構造的な問題に起因する。
 3.将来のことを考えると新築マンションを買うよりは賃貸の方がリスクを
  減らせる。


当書籍ではマンションの欠陥を見つけるポイントも記載されており、新築、中古に関わらず購入するときに役立つ。
悔いのないマンション購入をするためにも読んで損はない1冊。


ランキング評価
読みやすさ  4
情報量    3
情報質    4
価格     4
と言うことで「★★★★」です。

次回も見に来てくれると嬉しいです。


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