171004 介護おはようございます。
「まおまお」で~す。
いつもブログを見ていただきありがとうございます。

今回の書籍の紹介はコレです。

相川 祐里奈『避難弱者―あの日、福島原発間近の老人ホームで何が起きたのか?』(東洋経済新報社,2013)  1,800円(税別)



この書籍をサクッというと


東日本大震災が発生したとき、福島原発周辺に点在していた老人ホームはどのような対応を迫られたのか?
徐々に記憶が風化していく中、今後、震災が発生したときの対応も含め、いろいろと考えさせられるルポルタージュ。


目次


プロローグ「いまもまだ戦っている最中なんです」
第1章 「終わりだ。原発が爆発した」―死者が続出した老人ホーム、バラバラに
    避難した老人ホーム
第2章 「おらがこんな状況だから、みんなおらのことおいて逃げんだべ」
    ―最後まで取り残された老人ホーム、長距離避難を強いられた老人ホーム
第3章 「やっぱり、高齢者には避難は無理なんだ」―避難しないことを選択した
    老人ホーム
第4章 「最後は俺がケツを拭くから。明日にでも受け入れるよ」
    ―行政よりも早く避難者の受け入れに動いた会津の老人ホーム
第5章 「子どもができなくなったら、どう責任とるんだよ!」
    ―現場で戦った職員の本音
第6章 「弱者が淘汰されていくのかと思うほど簡単に亡くなっていく」
    ―今、何をすべきかあとがき
本書の刊行に寄せて
謝辞
原発間近の特養・養護老人施設の避難経緯


今、一度、真剣に考える時期


東日本大震災の記憶も徐々に風化しつつあり、人々は通常の日常生活に戻っています。
しかし、福島や宮城県ではまだまだ復興の途中。
日常生活が戻るのはまだまだ先のことかもしれません。

震災時の多くのニュースでは、なかなか報道されなかったのが老人ホームの避難についてです。
今回紹介する書籍は、福島原発周辺にあった老人ホームが原発爆発で避難を余儀なくされたときのことを関係者に丹念に取材をして書き上げたルポルタージュです。
寝たきりや介護が必要な老人ホームの入所者や職員が迫りくる放射能の恐怖や混乱した行政に振り回されながら、ギリギリの選択を強いられていく様子が克明に分かります。

避難手段はどうだったのか?


今回、取材をした老人ホームは福島原発の周辺にあり、避難命令を受けて施設から避難せざるを得ない状態に追い込まれます。

ところが行政自体が混乱しており、移動手段の手配がままならないことも。
移動手段であるバスが来たとしても、それは健常者が乗るためのもので、寝たきり状態の入所者は、椅子に座って移動できません。
結局、布団で身体をしっかりと固定して助手席に寝かすなどして移動。

しかし、結果的にはかなり健康状態に悪影響を及ぼすことになり、避難先で様態が急変しなくなる方もいまいした。

また、バスやヘリコプターの台数と避難者のバランスが崩れて、「置き去りにされる」という極度のストレスが掛かる入所者もおり、そこには健常者の避難とはまったく違う問題が多く発生したことが浮き彫りになっています。

避難先での物資不足


無事に避難先にたどり着いたとしても、ご存じのように物資が不足していました。
それは食料や水だけにとどまらず、紙おむつや医薬品など。

健常者とは異なり、日常から紙おむつなどを使用している入所者は大変なことに。
また医薬品の不足により認知症による徘徊(はいかい)や、せん妄なども発生。
これも老人ホームならでは課題として、今後どうしていくのかも考えなければならないでしょう。

職員の限界


震災に遭った後、多くの職員が自分の家族の安否を気にしながらも、入所者の対応をしていきました。

しかし、いつ終わるか分からない状況の中で、不眠不休状態になったり、次の入所先が決まらない状態での入所者のケアをしたりすることは、心身を極限の状態に追い込まれていきます。

職員が職場を離れる理由は、妊娠後に放射能の危険から避難するためだったり、家族からの強い要請だったりということ。
職場を離れていくことについて、職員も心に傷を負っている人もいました。

行政は混乱しており、自力で何とかしていかなければならないということは、健常者の健康管理とはまったく別の次元でサポートできる体制を作らなければならないと感じました。


当書籍は他にも関係者の取材を通じて、いろいろな問題を浮かび上がらせています。


まとめ


当書籍から分かったことは以下のようなことです。
1.震災で避難するとき、行政は寝たきりの入所者もいることを念頭におき、
 今からどうしていくのがいいのかを準備しておくことが求められます。
2.老人ホームの避難は避難先に設備があることが望まれますが、当然、そのような
 場所はないため、健康状態が急激に悪化し、死亡する例も。
3.避難先から受け入れ先(施設)で落ち着けるよう、普段より行政で
 ネットワークを構築しておくことも求められます。


だんだんと風化しつつある今だからこそ、読む必要があると思いました。
「まおまお」の母も施設に入居しており、いろいろと考えさせられました。

ほとんど報道されなかったことを知り、これから起こるであろう首都直下地震や南海トラフ地震などで生かされることを望む1冊です。


ランキング評価
読みやすさ  4
情報量    4
情報質    5
価格     4
と言うことで「★★★★」です。


次回も見に来てくれると嬉しいです。


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