2005年08月03日

平凡ポンチ3巻 ジョージ朝倉

平凡ポンチ3
現在もIKKIに連載中の作品の第三巻。普通っぽい連載ものでは「少年少女ロマンス」を超す長編になるのかな?

岡崎京子以降という視点と切り口では、その後継者リストの上位にランクさせている読者も多いであろうジョージ朝倉。

作品により時に見せる主題の深さ(もしくはそう思わせる何か)と設定や展開のアナーキズムは、正直岡崎京子の2005年ヴァージョンという域まで達していると思う。

少女マンガをオシャレなアイテムとして機能されるという点でみたならば矢沢愛「NANA」より上をいくし、男性に「わかってるな!」と言わせる点でなら羽海野チカ「ハチミツとクローバー」よりも性能は高い。そして二ノ宮知子「のだめカンタービレ」が足下にも及ばないアナーキズムをも持ち合わせている。

しかし、彼女の特徴として、その作品によって開放するチャンネルを選んでいるという節が見受けられるのも事実。例えば「ピースオブケイク」「恋文日和」「溺れるナイフ」では開放するチャンネルをそれぞれがかぶらないように選んでいる。もしくは、意図的に別のチャンネルを開こうとしている。

だからこそ彼女の作品にはバリエーションがあるし、読者を飽きさせもしない。そりゃそうだ、「NANA」も描けて「ハチミツとクローバー」も描けて「のだめカンタービレ」も描けるんだから。

しかしどれも長続きはしない。前述したが、最長でも「少年少女ロマンス」の全三巻なのだ。幅の広さという強みと認知度はそれによって得たかもしれないが、それと同時にいまひとつとらえどころの無い作家というレッテルをも貼られてしまっている。

彼女の持つ複雑に入り組んだ感受性をいかんなく発揮させるには、そのチャンネルの全てをひとつのトラックに詰め込む必要があったのだと思う。そしてそれはいつかは乗り越えなければならない壁でもあった。「平凡ポンチ」を描き始めるまでは。

その健全な実験の場が、部数的には一番少ないであろうIKKIであったのは興味深い。この連載が今持っている熱量を下げずに完結できたならば、きっとよりメジャーとされる少女マンガ誌において新たな挑戦を企ててくれることだろう。そしてその作品が彼女を矢沢愛、羽海野チカ、二ノ宮知子クラスの作家へと導くだろう。

ジョージ朝倉にまつわる伝説はまだ始まってもいないのかもしれない。

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この記事へのコメント
トラバありがとうございます。
ジョージ朝倉さんいいっすよね。
「恋文日和」映画化でブレイクするか?!と期待していましたが、
まだまだ知らない人が多いようで。
新しい漫画(NANAなど)を読んでいないので他と比較は出来ませんが、
どんどんでっかくなっていって欲しい作家さんです。
Posted by Hysaria at 2005年08月08日 23:36
TBどうもありがとうございます☆
平凡ポンチ3巻も出たんですねw
Posted by モーリ at 2005年08月20日 23:23
TBありがとうございます♪
私も平凡ポンチ3巻早速買いました。
とっても引き出しが広い作家さんだなぁと思います。
まだまだホントの実力はこんなもんじゃないんじゃないかと私も感じます!
今後により期待!
Posted by 椿 at 2005年08月24日 13:50