花彫風月−修業再び

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スプーンを作る3

190320_1730~0001錆漆の1回目が乾き、から研ぎをしたところ。黒い。

今まで白い素材を扱っていたので、作業台の上のものがこうも真っ黒だとなんだか奇妙な感じがする。

スプーンは、今のところ問題なく進んでいるように思う(私が思っているだけということは、大いにありうる)。

スプーンの作業と平行して、帯留めの試作も作っている。裏に紐通しの金具を付けたものが多く出回っているが、出来ることなら今までの素材同様、裏も彫り抜きで作りたいところ。ただ、今まで扱っていた素材と木とでは堅さが違う。彫り抜きで作った場合、軟らかい木の場合、使用に耐える充分な強度を確保できるかどうか心配があった。

根付を彫るのに適した細かい彫りに耐えうる目の詰まった木であれば、帯留めの紐通しの裏面を彫り抜きにしても必要な強度は得られると思うが、いろいろな木で拭き漆のサンプルを作ってみた結果、根付を彫るのに使おうと思っていた木は、どうも漆には合わないような感じだった。そのため、今回、試作で使った木は、軟らかすぎて彫りには適さないだろう思われる木と、漆芸で普通に使われる木の2つでやってみた。故に、形はシンプルなものにした。どちらも、木だけの状態では、裏面の使用時の強度はやや不安だった。

190320_1730~0002錆漆の作業は木地を硬くして強度を持たせるためのものという事前の知識はあったが、どれほど硬くなるのか検討が付かなかったが、研いでみた感じでは、このまま塗っていけば、充分、強度的にいけそうな感じだ。

190320_1731~0001スプーンの作業をメインにしていて、残った漆で帯留めの試作をするという、相変わらず、いい加減なことをやっている。スプーンを塗って残った錆漆の量があまり充分とはいえなかったため、帯留めには無理やりに伸ばして塗ったところ、研いだら剝げた。軽く研いだだけだったのに剝げたということは、かなり薄かったのだろう。

スプーンの方は、しっかり塗ったため、かなり研いでも剝げることはなかった。しかし、もしかしたら、少し厚塗り過ぎたかなと、、、このあたりの判断は経験値ゼロでは判断が付かない。

結び文の帯飾りは、もう見るからに剥げ剥げだが、これは薄塗りとか厚塗りというのとは別の問題のように思う。
今までの素材と同じモチーフでどこまでやれるか試してみたのだが、これは作るのに適していない形、適していないサイズであるだろうことが確認できた。

失敗するのが明らかに分かっていても、やってみて実際に失敗しないと納得できない性格なのだ。無駄な労力を使っているなと、自分でも思う。

おぼろ月夜

昨日は気温が上がった。天気予報で見たら20度を超えていたようだ。

夕方、雨戸を締めようと窓を開けると、ほーっとかすんだ月が出ていた。満月は明日のようだが、充分にまん丸に見えた。春の月だなと、感慨にふける間もなく、窓から流れ込んできた外の空気のニオイに気付く。嗅ぎ覚えのあるニオイ。

190320_1831~0001うっかり忘れていたが、毎年、この時期になると、陽気と一緒に土の中にある物質が地上に出てくるのだ。発症以前に庭に撒かれていた殺虫剤のニオイ。近所の家で使っている殺虫剤や除草剤。散布時に土にしみこんだもの、散布後、雨で流されて土にしみこんだもの、それらが春になって気温が上がってくると蒸気と一緒に空気中に出てくる。発症後、自分の嗅覚と体の反応(体調悪化)でそのことを知ったときのショックを今でも思い出す。ショックというより絶望に近かった気がする。

オーガニックの野菜や無農薬野菜を作るために、それまで薬剤を使っていた田畑を改善するのに何年も要するということを知ったとき、とても納得したものだ。

そうそう、確か、桜の頃・・・と、記憶が戻ってくる。汚染された土地にすんでいるんだよな、と。毎年、同じことが繰り返されるのに、春になってこのニオイを鼻にするまでは忘れている。もっとも、一年中、そのことを思い悩んでいたら身が持たないというものだが。

このところの体調不良は花粉と風邪のせいだと思っていたが、原因はここにあったかと、気付く。これも、毎年、同じ。

今日は朝から雨。少し前に雨が上がった。雨上がりは花粉の飛散量が増すだけでなく、土中からの物質の揮発量も増す。加えて、今日は彼岸の中日。近くの寺から線香のニオイを覚悟しないと。線香が化学物質の塊であることも発症後、知った。

ここで、大きく体調を崩してしまうと、夏が厳しくなる。なんとか持ち直さなくてはと焦る。

紫木蓮 桜

ハクモクレンは、よい感じに盛りになってきているが、このところ、また体調を崩していて、行動半径が極度に狭まっているため見たい木を見に行けない。

190319_1129~0001行動半径が狭くなっても行ける範囲では、紫木蓮が咲き始めた。この木は大木なので満開になるとかなり壮観だが、まだ咲き始めたところ。

同じく、極小行動半径内にある桜もつぼみが膨らみ始めている。

190319_1136~0001かなり膨らんできているなと思って他の木も見ていたら、既にピンク色の花弁が見え始めているものもあった。

今年は、桜の開花が早いのかな。ワクワクすると同時に、もう桜の季節になってしまったかと、時間の経つのが早いことに焦りも感じる。

卒業式や入学式、ちょうど年度替りに咲く花だからだろうか、桜の花は1年という時間のサイクルを意識させる気がする。

tenki.jp 桜開花情報2019

*
今日はかなり気温が上がっている。この時期、何を着ればよいのか困る。今日も買い物に出かける前、いつもの支度では暑いだろうと、薄着にして出かけたが、移動手段が徒歩なので、歩いているうちに暑くなる。自律神経があまりよく働かないので、体温調節が上手くできないためのぼせてくる。外出先でそれが起きてしまうと、かなり困る。

明日から隣の市のギャラリーで企画展が始まる。見に行きたいと思っていたが、急激な気温の上昇に体が付いていけるか、不安になってしまった。会期は月末までなので、それまでに体が気温に順応してくれればよいのだが。

椿 

梅は観察しそこなってしまったが、次は椿をと思っていた。花の観察に行く公園は道沿いに椿と山茶花が混在して植えられている。花を楽しめる時期を長くするためにあえてそうしたのかもしれないが、椿と山茶花は花が似ているので紛らわしい。確か、記憶では、この公園の木に関しては、山茶花の方が早く咲いて、その後に椿だったように思う。山茶花は少し前に終わったので、椿が咲いているかと思って見に行った。

190319_1132~0001190319_1133~0001咲いていたが、ぽつぽつ。ああ、梅に続き、椿も見逃してしまったかと落胆したが、よく見ると、散った後ではなく、まだ蕾がたくさん付いている。これからだったのかと、胸をなでおろす。

椿と山茶花の違いは、花の咲き方と散り方でなんとなく見分けていたが、少し前、知り合いの家に生垣にあった花弁が1枚ずつ散る花を山茶花と思っていたら、椿だと言われた。品種によっては花が首ごと散らない椿もあると何かで読んだことがある気がするので、彼女が勘違いしているのか、それともこの花はそういう品種の椿なのかと、ちょっともやもやした気分が残った。

調べてみた。

LOVEGREEN 椿(ツバキ)と山茶花(サザンカ)を見分ける方法をご紹介

はな物語 椿と山茶花の違い 簡単な見分けポイントとは

花で判断するより葉で判断した方が確かなようだということが分かった。山茶花の葉は縁がギザギザの形状だが、椿の葉の縁のぎざぎざはさほど見立たない。椿の帯留めを作るとき、葉の縁をギザギザにして作っていたが、一考の余地ありだな。

花ごと散らず花弁が散る椿は、椿と山茶花の交配種である「寒椿」がそうであることも分かった。

そして、椿の葉を観察するときは「チャドクガ」に注意が必要ということも。「毛虫本体がいなくても、脱皮した皮や葉に残った毛だけでも痒みが出ますので、食痕があるような葉は避けて観察してくださいね。」とのことなので、注意します。



誤差

風呂の温度&湿度管理が難しい。とりあえず、現状の温度と湿度がどうなっているのかを風呂内に入れた温湿度計で1時間ごとに計測。

以前の素材で使っていた時は、大まかな目安程度だったので、かなり小さい温湿度計を使っていた。小さくて場所をとらなくてよいのだが見ずらい。今回は、室内で普通に使っていた小さ目のものを入れて使っていた。しかし、アナログの針式のものだったため、きちんと数字を読んで記録するのには見ずらかった。

風呂用に温湿度計を新調しようと、デジタル式のもので小さめのものを購入。

しかし、一緒に風呂に入れてみたところ、室内用で使っていたアナログ式のものと新しく購入したデジタル式のものと、表示される数値の差が激しかった。どちらが正しいのかこの二つだけでは比べられないので、家にあった温湿度計を同じ机の上に置いて誤差を調べてみることにした。

風呂から出した温湿度計は、温度の方は比較的早く(といっても15分以上かかったが)室温に戻ったが、湿度の方は2時間近く放置しておいてもなかなか室内の湿度を表示できなかった。画像のものは、机の上に設置して3時間後のもの。
190316_1219~0001 温湿度計 誤差

画像を撮るのに、倒して置いたが、普通に立てて設置しておいた。
左から、
以前、風呂用に使っていたもの、今回風呂に入れたもの、新しく風呂用に購入したもの、右側の3つは室内で使用していたもの。
左から2番目のものと一番右側のものは同じメーカーの同じ製品だが、温度で3℃、湿度で8%の差がある。
直射日光は当たらないが日向に置いた。左から3つ目のものが他のものより温度が5度近く高いのはカバーの色が黒だったので熱を吸収しやすかったためなのか?(でもそんな理由でこんなに温度に差が出たら、温度計になりませんよね?)

しかし、ここまで温度、湿度共にばらつきが出るとは思っていなかった。

あくまで目安として使うにしても、うーん、どうしたものか。

ハクモクレン

結局、梅のスケッチが出来ぬまま梅の時期は終わってしまった。早くも桜の芽が膨らみ始めている。

190315_1123~0001先日、蕾が膨らみ始めたと思っていたハクモクレンが、早くも咲き始めている。

いつもの年より早い気がしたので、開花時期を調べてみたら、3月下旬から4月上旬とのことだった。少しだけ早いのかな。

開花時期を調べていて、花の寿命は3日と短いことを知った。ひとつの木にたくさんの花が咲くので、花の寿命がそれほど短いことには気が付かなかったが、散歩コースにあるハクモクレンが咲き始めたのを見て、もっと咲いた頃にまた見に来ようと思っていたものの、盛りを見逃してしまった経験が多い理由が分かった。

今年は見逃さないようにしようと思う。

拭き漆のサンプル

190315_0850~0001拭き漆のサンプルが出来た。とりあえず、仕事場にある全ての種類の木で作ってみた。彫るには柔らかすぎる木や木目の様子などから、彫りをメインに使うには無理があるだろうと思われる木も含まれる。

やる前から予想は付いていたことだが、黒檀はダントツできれいな仕上がり。磨いただけでもかなりきれいに仕上がるが、少し漆を塗っただけで、重厚さ、風格などが出て、高級感が増す。さすが黒檀、さすが漆といった感じだ。

他も大体はほぼ予想通りだった。漆の本を見ると、漆塗りに適した木と適さない木があるようでリスト等も出ているが、普通、漆塗りでは使わないような木も試してみたのでリストに載っていない木もある。

実際にやってみて目で確認すると納得する。そして、適さない木とはどういう木のことなのか、なんとなく分かった気がする。素材同士の相性なのだろう。適さない木を無理にねじ伏せて使うことはないので、そういう木には、その木に適した仕上げを考えよう。

190315_0851~0001こちらは、蜜蠟とくるみ油での仕上げのサンプル。以前、作ったものなので、木の種類が少ないので、追々、他の木でも試してみようと思っている。

画像では分かりずらいが、優しい感じの艶のある仕上がりになる。この風合いは嫌いではない。ただ、ニスやラッカー等、化学物質を使った塗料のような強い皮膜ができるものではないので、油を浸み込ませたものなので、帯留めや帯飾りなど身に付けるものの仕上げとして使ってしまった場合、帯の生地等へ影響がないか時間をかけて試してみないと不安がある。

やらくなてはならないことは山ほどあるのに、身心がそれに追いつかない。何よりも体が資本と痛感する日々。




風呂の管理

漆の乾燥に温度と湿度が必要だ。私が参考にしている本によると、温度25度以上、湿度90%以上がベスト、ただし、18度以上、70~80%くらいでよいとのこと。

きちんとした風呂は持っていない、自分で作った簡易風呂でやっている。

風呂の中に温湿度計を置き、1時間ごとに温度と湿度を記録している。湿度は、風呂内に塗れた布を入れて上げている為、85%以上は常時キープできているが、温度が問題。加温はしないで保温でなんとか出来ないかと試行錯誤しているが、今の時期、夜間の温度を10度以上に保つのが精一杯。といっても、寝ている間は測定していないので、天気予報を見て、気温が一番下がる明け方の時間から類推してということだが。

色漆等になると、乾燥時の温度や湿度によって発色も変わってくるようで、自在に温湿度管理が出来ないと無理なのかなと、弱気になる。

一度、弱気になってしまうと、悪循環でますます思考がマイナスに向う。気分転換しようにも、外に出れば花粉だらけ。うーん、どうしたものか。

金継ぎ

ひびが入ったり割れた器を漆で補修する金継ぎという技法がある。繕うことによって使い続けることが出来るというだけでなく、金継ぎをすることによって器に風情も生じる魅力的な補修方法だ。

しばらく前に、金継ぎセットというものが売られているのを見た。内容や説明書等の様子から見て、初心者向け、一般の人向けのもののようだった。もしかして普通の人でもできるの?と、その時、思った。

その後、気に入っていた食器にヒビが入ったり割れた時、「もしかして、いつか自分で・・・」と思い、捨てずに仕事場にしまっておくようになった。

190313_1229~0001今、漆の勉強の参考にさせてもらっているサイトが金継ぎ図書館ということもあり、挑戦してみることにした。木に塗った後、微妙に少量残った漆を捨てるのがもったいなかったということもある。

出来るかなあ、無理かなぁと思いつつ、まずは、ヒビ(にゅう)の補修。

器を煮て洗い、乾かした後、ヒビに沿って細いダイアモンドやすりをかけ、固め用の漆を染込ませる、ということろまでやった。

二つやり始めてしまったが、やりやすい皿の方からひとつずつ試してみるべきだったな、と、やり始めてから反省。いつもせっかちな自分の性格を再確認。

その後の作業は、ぼちぼちと進めていこうと思っている。

190313_1230~0001ヒビではなく、見事に真っ二つに割れた器もとってある。こちらの補修は難度が高いので、漆の扱いにもう少し慣れてからやってみるつもり。

でも、その前に、ヒビの補修が上手く行くかどうか・・・だよね。


お盆完成

190310_0957~0001柿渋は、なんとかゼリー状にならずに、ゲル化一歩手前で持っていた。左の画像は、5回ほど塗り重ね、かなり色は濃くなってきたところ。

しかし、表面がぱさぱさでイメージしていたような仕上がりにはならなかった。柿渋仕上がりは、柿渋の団扇のつるつるテカテカした感じをイメージしていたが、かなり違う。塗り重ねれば、もっとつるつるしてくるかと思ったものの、塗り重ねてもマットなまま。

柿渋って、艶消しの仕上がりだったのか・・・、それとも、柿渋が古くなって劣化してきているせい?いずれにせよ、イメージしていたものと違う仕上がりになってきている。

実際に使うのではなく飾り盆であれば、そういう仕上げもよいのだろうが、実際に使うことを考えると、もっと表面がコーティングされている感じに仕上げたい。手に持った感じもざらついているよりは、もう少しつるつるしている方が気持ちがよいだろうなあ。

しかし、ニスやラッカーは使えない。この上から、蜜蠟を塗っても白木ではないので浸み込まないし・・・と、とりあえず、残っている柿渋を使いきるために、柿渋がなくなるまで、ひたすら塗り重ねた。

190312_1047~0001結果、こうなった。かなり色は濃くなった。そして、光っている、艶々ではなく、テカテカなので柿渋団扇のイメージに近いといえば近いのかもしれないが、何か違う気がする。テカテカだけど、なぜか表面がざらついている。
最後の方は、ゲル化が進んでいて、さらさらした液体の部分と粒粒が混在する奇妙な状態になり、粒粒の塊がどんどん大きくなっていたのを無理やり潰して塗った。好ましくない結果となるのも当然だろう。仕方ないか・・・、仕方ないよね。

劣化した柿渋を無理やり使うのはよくないということが分かっただけでもよしとしよう。

そして、上に塗ってしまうと、彫りの詰めの甘さがカバーできてしまうことが分かった。磨きだけで仕上げていたら、かなり締まりのない面に仕上がっていたろう。しかし、上に色のある(色の濃い?)ものを塗ったことで、凹凸がはっきりして陰影が出てきたように見える。(よく見ると粗は分かるが。)木を木地のまま磨いて仕上げるのと、上に何かを塗って仕上げるのとでは、大きな差があることも分かった。今後の考察の余地あり。

イメージしていた仕上がりとは程遠いものになったが、柿渋が終わったということで、これで完成とする。


スプーンを作る2

190309_1606~0002作り始めてから、柄の形の選択を誤ったことに気付いたが、やり直せないのでそのまま続行。ノコギリと切り出し小刀で大まかな形を作った後、彫刻刀で形を整え、#180と#400のペーパーで磨いた。

ここまでの段階では、一応、スプーンらしきものに見えるが、果たして使いやすいのかどうか疑問が残る。

作りながら、普通に売られている何気ないスプーンもそれなりに形のバランスが整っていることに感心する。工業製品は、たとえプリンやヨーグルトについてくるプラスチックのスプーンなどであってもデザイナーがいることを思うと、それなりに整った形に仕上がっているのは当たり前なのだろうが、自分で作ってみなければ、さほど気にも留めなかったことだった。

自分で作ってみると、それまで考えていなかったことや見えていなかったことが見えてくる。そして、スプーンに留まらず、器や他のカトラリーなどの制作の裏側にも思いが広がる。

素材に合った形というものがあると思う。今回、参考に出来る木のスプーンがなかったので磁器のスプーンを参考にして作った。やはりこの形は磁器で作る方が合っている形だなと、感じた。最初は、彫刻刀の彫り跡を残した仕上げにするつもりだったが、この形ではその仕上げは合わないことにも気が付いた。仕方がないのでツルツルに磨いた。仕上げ方法に合った形というものもある。今まで扱ってきた素材では、それを無意識にこなせていたが、木ではこれから失敗を繰り返して学んでゆくことになるのだろう。

私が作ってきたものは、美術か工芸かというとなかなか微妙なところにあったような気がする。かつては実用で使われていたが、今は実用よりコレクションとして集められているもの。特に私が作っていたのは実用というより観賞用のものだった。今回、スプーンという実際に使うものを作ってみて、いろいろと考えさせられている。自分で使う用のものであっても、使うものを作るとなるといろいろと考慮することがあるのだから、他人様に使ってもらうものを仕事として作っている人たちは、作る上で考慮しなくてはならないことがたくさんあるのだろうなと想像する。

そういう目で身の回りのものを見直してみると、ちょっと違った見え方がしてくる気がする。





スプーンを作る1

さて、錆漆の作業をと、再び、鳩屋さんのサイトを熟読し、場合によっては錆漆は失敗して固まらないこともあることを知る。

最初に塗りのサンプル作りをしようと思っていたが、その前に、一通り漆塗りの工程を経験した方がよさそうだと、作戦変更。

木のスプーンを作ることにした。

なぜ、スプーン?鳩屋さんのサイトの工作図書館のページに木のスプーンの作り方が出ていたから。

今まで、漆の本や漆屋さんのサイト他、いくつかの参考資料を参考にしながらやってきたが、それぞれやり方が微妙に違っていたりして、どうすればよいのか悩みながらやっていた。しかし、それでは効率が悪いので、参考にするものをひとつに絞ることにした。その上、当たり前だが、ほとんどが漆器の作り方の説明。私がやろうとしていることと漆器とではちょっと違う部分もある。鳩屋さんの工作図書館のページを見たとき、もしかしたら、私がやろうとしていることの指南としては、これが最適なのではないだろうかと思った。失敗した場合のリカバリー方法などがでているのもよい。

190306_1550~0001ということで、木のスプーン。

今まで、こんなにまじまじとスプーンを観察したことはなかったよななどと思いながら、スプーンの型紙を作成。材料は、帯留めの試作用に取り寄せておいたものがある。お盆と同じく学校教材で確かカトラリーの制作用だったはず。スプーンを作る大きさはあるだろうと、取り出してきたところ、バターナイフ用だった。提出用に「 年 組 氏名 」の提出用のカード付き。

そして、作った型紙に対して材料の長さが足りないことが判明。なんだか私がやることは、いつだってこうなのだ。最初に材料を出して大きさを確認してから型紙を作ればよいのに。

190306_1607~0001気を取り直して、型紙の作り直し。

材料が鳩屋さんで使っている板より厚みがあったので、柄の部分をちょっとくねっとカーブさせてみた。単に、モデルにしたスプーンがそういう形だったからというだけのこと。(だが、後に、後悔する事になる。。。)

190306_2111~0001材料は桂材。これも彫りやすい木。サクサク彫れる。彫れると言うより削れるという感じ。

ノコギリと切り出し小刀だけで、ここまで(→)作れた。ノミも必要になるかと思ったが、まるで鉛筆を削るようにサクサク削れてしまうので、小刀で用が足りた。さすが、学校教材!彫りやすい。と、妙なことに感心。

一応、裏面に関しては、スプーンらしき形体になりつつある。

貝印の計量スプーン

漆の次の作業は錆漆というものが必要になってくる。錆漆は生漆に水練りした砥之粉を混ぜて作る。分量比も決まっている。何割というのを目分量でやって大丈夫なのだろうかと思っていたら、鳩屋さんのサイトに1/4の計量スプーンを使う方法が出ていた。

190227_1025~0001なるほど!と、早合点して、台所で使っている1/4と同じものを取り寄せた。貝印の計量スプーン。

190227_1028~0001このシリーズは大さじ、小さじと、1/2、1/4がある。この1/2と1/4がなかなか便利なのだ。

他にも、置くと水平になるように設計されているのもよい。

190227_1031~0001全てが積み重ねられるようになっていて、コンパクトに収納できるのもよい。

そして、美しい。

1/4は、金継ぎに使う錆漆を作るときに適量が作れる分量なので、1/4だけでなく、1/2も買っておこうと思ったら、別々に買うより4本セットで買ってしまったほうが安いところを見つけてしまったので、フルセットで購入。

さて、錆漆に挑戦!となり、改めて、鳩屋さんのサイトを確認。

そして・・・

鳩屋さんで使っていたのは、このスプーンではないことが判明。

1/4の計量スプーンというのを見て、自分が使っているものと同じと早合点してしまったが、別のメーカーのものだった。確かに、サイトを読みながら、このスプーンの形だと漆をかき出す時、かき出しずらいだろうなとは思ったのだが、1/4の計量スプーン=貝印という思い込みの方が勝ってしまい、よく確認せずに取り寄せてしまった。

190308_1141~0001改めて、計量スプーンを注文。
こちらのメーカーでは1/4の他、1/10というのものあった。

業務用の厨房用品を扱う店で見つけて購入。

スプーン部分の形体は球面なので、漆もかき出し易そう。スプーンの底の形状に合わせてヘラの先端の形を加工すると便利とのこと。なるほど。早速、ヘラも作成。

*
間違って取り寄せてしまった貝印の方は、友人にとてもよい計量スプーンであることを力説して、引き取ってもらった。無駄にせずに済んでよかった。

ヘラを作る

190228_1504~0001お盆をサンドペーパーで磨くのに秘密兵器を使った。まあ、秘密兵器と言うほどではないが、仕事の磨き用のヘラを使った。細い竹の先端を少し削って加工したもの(ヘラ)で細く切ったサンドペーパーを木の面に押し付けて磨くので、細かい部分も磨ける。とても簡単な道具だが、多分、このヘラがなかったら、お盆の凹みの部分を磨くのは難しかったろう。

簡単な道具で使い方も簡単ではあるが、使えるようになるまでには、指が攣りそうになるほど苦労した。多分、父の指導なしで自分ひとりで練習をしていたなら、もう嫌だ!と別の方法を探したことだろう。修行期間は、父とはいえ、師匠の言いつけには絶対服従。手本を見せられてこうやれと言われたら、出来なくてもやるしかない。出来るまでやるしかない。おかげで使えるようになったが、とにかく苦労したのを覚えている。

道具は作業をする上で、とても大切だと思う。こういう仕事をしていく上では、自分に合った道具を手に入れることも、とても重要だと思う。手に入れる方法としては、売っているもので自分に合うものを見つけることの他、既に持っている道具を改良する(加工する)、あるいは、自分で作るという方法もある。しかし、自分で作れるようになるには、ある程度、仕事ができるようになってきて、自分はどういう道具が必要かが分からなくてはならない。

190228_1801~0001漆の道具は、金継ぎの本を見て、漆屋さんのオンラインショップで必要なものを揃えた。ヘラもそのひとつ。取扱商品の中で一番小さいものを注文したのだが、届いて困ってしまった。画像の下のものなのだが、大きい。ヘラの先の巾は4センチある。もちろん、オンラインショップの商品説明にはそのことは明記してあったが、漆用のヘラというものを実際に見たことがなかったので、サイズは書いてあっても「ちょっと大きいかな」くらいの想像はできても、具体的にイメージできなかったのだ。実際に使ってみるまでもなく、これはどう見ても、私が作ろうとしているものに対して大きすぎるだろう。

小さなヘラを探したところ、模型やフィギュアの製作用のものを扱っている店でそこそこの大きさのものを見つけた。先端の幅だけを確認して使えるかと思い取り寄せたが、こちらも困った。長さが短いように思える。これなら、エポキシの接着剤を買うと付いてくるヘラと大差ない。あれは、使い勝手がよくない。

どちらも使い勝手が悪そうだと、使う前から予想が付く。プロはプラスチック製は使っていない。プロは木(桧)のヘラを使っている。ならば桧で作ればよいではないかとなるが、手元に桧の板はない。そもそも桧ならどんな材料でもよいのか、それとも特別な板なのかも分からない。
どうしたものかと悩んでいたら、金継ぎ図書館の鳩屋さんのサイトにヘラの作り方が出ていた。

竹の割り箸で作る付けベラの作り方
桧のヘラの作り方

そうか、竹か!確かにしなりの必要なものを作るには強靭な繊維を持つ竹はうってつけの素材。ヘラ用の竹なら仕事場に常備してある。なぜ、思いつかなかったのだろう。

190228_1857~0001ということで、早速、太さの違うものを2本、作ってみた。

多分、右側の方の太い方のヘラは手元の方を細くしたほうが使い勝手がよいと思うが、使ってみて先端の形を変える必要が生じた場合のことを考え、とりあえず、このまま。使ってみてから持ち手の方の加工は考えることとする。

春を感じる

公園の梅を見に行った。もう、ほぼ満開。木の下は散った花弁で白くなっている。描かないうちに、今年も散るか。散るだろうな。

屋外でスケッチをするには、描いているのを他人に見られるのが嫌だという以外に、いくつか問題があることに気が付いた。梅の花を至近距離で見ようとすると、ピントが合わないことに気が付いた。老眼というやつだ。

老眼鏡を作っていない。本を読むときに使っている度の低い眼鏡はあるが、室内での作業ならまだしも、屋外となると眼鏡のかけ外しに困る。室内なら、外した眼鏡を安全な場所に置けるが、屋外だと外した眼鏡の置き場所に困る。どうしよう。

遠近両用の老眼鏡を作ろうかどうしようか、ずっと悩んでいたが、やっぱり必要かな・・・、やっぱり悩む。

190306_1625~0001悩みつつ、歩いていると、木蓮の蕾が大きくなっているのが目に入った。桜等と違って、木蓮の花は大きいので、蕾が大きくなり始めるのも目立つ。枝先に膨らみつつある蕾を見るのは、なんだか嬉しい。

190306_1624~0001木々の芽が膨らみ始めてきたせいだろうか、なんだかいつもと違う感じがする。さて、何が違うのか?と、あたりを見回して、松の幹に巻かれていた「こも」が取り外されていることに気が付いた。「こも」が外されたか〜、春だなあ〜と、思って、「こも」が外された木をしみじみ見ると、「こも」が巻かれていた部分だけ幹の色が違う。まだ湿っているのだ。今日、外されたばかりということのようだ。「啓蟄」に合わせて外したのか、それとも、たまたま今日が「啓蟄」だっただけなのか。

190306_1630~0001そして、もうひとつ、異変に気付いた。

杉の木が黄色いのだ!遠目に見ても分かるほど黄色いのだ。言うまでもなく花粉症の原因。木が黄色く見えるほど花をつけるのかー、そりゃたくさん花粉も飛びますよね、と、妙なことで感心する。

190306_1631~0001そして、よせばいいのに「どんな花なのだろう?」と、近くに寄って見てみたが、遠目に黄色く見えた部分はあまり花らしくない形をしている。「これが花なのだろうか?」と、これまたよせばいいのに触った瞬間、もわ〜んと粉が飛び広がった。花粉が飛んだのが目に見えるということは、それほど花粉の量が多いということなのか?いやはやビックリ、ハックション。くしゃみと鼻水の大盤振る舞い。

梅が咲いたと喜んで、木蓮の蕾が膨らんだと喜んで、杉の花だけご遠慮願いたいというのは、杉に失礼というものだ。しかし、やっぱり花粉症の人にとっては憂鬱の種。

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