2006年12月
2006年12月31日
暇つぶし短篇【つまり】
飲んだくれには用は無かった。用があるのはそのポケットの中にある財布だけだ。いや、実際財布にも興味はない。やはり見ているのは世間的には偉人だといわれる人の絵の描かれている紙だったのだ。
それに辿り着くには相当な苦労がいるだろう。しかしオレはなんとしてもあそこまで辿り着かなければいけない。何を考えてもダメだ。無心で、ただ目的の紙を手にいれるだけ。
飲んだくれには薬を飲ませた。飲ませたからには眠ってもらわねばならない。眠らなければ財布にさえ辿り着けないだろう。そう考えると恐ろしかった。眠れ。眠れ。眠れ。眠れ。ただただそう思い続けた。
オレの思いとは裏腹に飲んだくれは一向に眠る気配が無い。まだまだ序の口だとか何だとか叫びながら馬鹿みたいに愉快な笑顔をオレに向ける。オレにはそんな顔よりも紙が必要だった。いらない。あの紙がオレには必要だ。
飲んだくれが眠ったのはそれから少し経ってからだ。しかししっかりと眠るまで時間がかかっていた。そのくせ深い眠りにつくとどうやっても起きそうに無かった。それがなぜか悔しくてしばらく財布に手を出せなかった。
財布を手に取る。
心臓が高鳴る。
紙を取り出す。
鼓動が早まる。
そこで意識は途切れた。
死を意識しはじめたのは何歳くらいの頃だったろう。それまでは人が死んでも何も思わなかった。
人が死ぬシーンを見ても何も思わなかった。
自分が死ぬことをイメージすることもなかった。
死をイメージすると胸が詰まった。詰まった胸を解放させられるのは人の声だった。他人がいることで心が楽になった。死をイメージすることをやめた。
そうか。
怖かったのは。
恐れていたのは。
紙切れが取れるか取れないかではなく。
その危機感ではなく。
死への恐怖。
死への絶望。
死への直感。
そして。
生への冒涜で。
生き急いだ。
つまり・・・・・・・・・・・・。
それに辿り着くには相当な苦労がいるだろう。しかしオレはなんとしてもあそこまで辿り着かなければいけない。何を考えてもダメだ。無心で、ただ目的の紙を手にいれるだけ。
飲んだくれには薬を飲ませた。飲ませたからには眠ってもらわねばならない。眠らなければ財布にさえ辿り着けないだろう。そう考えると恐ろしかった。眠れ。眠れ。眠れ。眠れ。ただただそう思い続けた。
オレの思いとは裏腹に飲んだくれは一向に眠る気配が無い。まだまだ序の口だとか何だとか叫びながら馬鹿みたいに愉快な笑顔をオレに向ける。オレにはそんな顔よりも紙が必要だった。いらない。あの紙がオレには必要だ。
飲んだくれが眠ったのはそれから少し経ってからだ。しかししっかりと眠るまで時間がかかっていた。そのくせ深い眠りにつくとどうやっても起きそうに無かった。それがなぜか悔しくてしばらく財布に手を出せなかった。
財布を手に取る。
心臓が高鳴る。
紙を取り出す。
鼓動が早まる。
そこで意識は途切れた。
死を意識しはじめたのは何歳くらいの頃だったろう。それまでは人が死んでも何も思わなかった。
人が死ぬシーンを見ても何も思わなかった。
自分が死ぬことをイメージすることもなかった。
死をイメージすると胸が詰まった。詰まった胸を解放させられるのは人の声だった。他人がいることで心が楽になった。死をイメージすることをやめた。
そうか。
怖かったのは。
恐れていたのは。
紙切れが取れるか取れないかではなく。
その危機感ではなく。
死への恐怖。
死への絶望。
死への直感。
そして。
生への冒涜で。
生き急いだ。
つまり・・・・・・・・・・・・。
2006年12月26日
虹の盲目
カーテンの隙間から光が差し込むのは総意によるもので、再び飛び立つために必要なことを何も考えずにやろうとすることもあなたの勝手であり、そういうことを言うためにこの世に生まれてきたのではないので今生の別れなどほぼ同時に過ぎ去ってしまうものなのです。
虹を知っていますか?
それはそれは綺麗だそうで。
どうやっても渡りきれない川を挟んでふてぶてしくモロは立っているのです。マナスにとってもこの川はどうやっても攻略の出来ない遊びに似ていました。モロもマナスも虹が好きでした。とてもとても好きでした。
見に行きましょうか?
それもそれでいいですけれども、どうしたってこの川の上をふわりふわりと飛ぶわけにもいかないでしょうに。
モロもマナスも何も考える必要が無いので座り込んでしまいました。
短いですねぇ道というものは。
長いのは距離であり短い道もまた一興でしょう。
マナスは考え込む必要が出てきたようで、なにやらうんうんと唸り始めたのですが、そんなことはお構いなしのモロにはそういったことも見てみぬ振りをし、話を聞いていないようなマナスに少しムッときました。それでもモロはマナスのことを嫌いではないのでマナスを置いていくようなことはしなかったのです。
どうやったらうまくいくのか考えてみたのですけれどどうしましょうか、何も考えが思いつかない訳ではないのですがどうしましょうか。
虹が見たいです。
思いついた、かと言ってそう簡単に越えられるほど小さな壁でも無い様で、壊れることの無いことにいらいらしてきたのでしょうがモロは何にも知らないような顔をしてマナスを見ていたのです。もちろんマナスには力がありましたがそういう力とかそんなことはこの時必要なものではなく、どう言えばいいのでしょうか力とは逆のものがマナスにはありませんでした。モロがふと見上げた空にはなんにも無く、マナスの見ている所には四葉のとあるクローバーがありました。
コレを使って何もしないのはばかのやることだとは思いませんか?
虹が見たいのだけれど?
何もしないのはばかのすることでも何かやることが出来ないのも事実だったので、マナスはその四葉のとあるクローバーに手を近づけることが出来ないでいました。そうなってしまってはモロも虹を見るのを諦めざるを得ません。しかしそんなことは嫌だとモロは思ったのでしょう。虹を必死に探しました。
虹はここにはありませんよ。
そうは言っても虹が見たいのには変わりが無いのです。
あ、先がほら、ああほら。
それならばそっちもほら、ほら。
モロとマナスの釣竿の先が大きく撓り、声しかしなかったここがざわつき始めました。これは、どうしても釣れそうの無い大きな魚を狙っていたのですが、それにも飽き少し釣れそうな魚を狙った途端の出来事なのでした。モロもマナスも今まで思っていたことを忘れて夢中で糸を引いていったのです。するとどうでしょう、川から上がったのは長靴でした、それも片方ずつでした。モロが右、マナスが左、長靴を手にして苦虫を噛み潰したような顔をしています。
どうしてこうも不運なのでしょうかね。
うん・・・。ん?不運?うーん、これは不運なんでしょうかね?不運?うん、不運。
不運かどうかはこの際は放っておいたほうがよろしいでしょうが、モロもマナスも長靴を履いたのです。もちろん長靴の中は濡れていますからモロもマナスも足がひんやりと冷たくなりました。それがどうなったともなくモロの頭の上に綺麗なちょうが飛びまわり始めたのでした。それを見たマナスも飛べればなと思った途端息を荒くしながらその考えを改めました。
どうしましょうか。足が冷たいです。
どうも何もわかっていないみたいですこのちょう。足が冷たいのもこの川が隔たりになっていることも。
ちょうがわからないのも無理はないのですが、それでもわかってもらいたいとマナスは思いました。マナスの頭の上には何もありません。ただ下のほうを見ると四葉のとあるクローバーがあるだけです。
コレを使って何もしないのはばかのやることだとは思いませんか?
虹が見たいです。
マナスもモロも何も知らなかったのです。ばかにはばかのよさというものがあることを。四葉のとあるクローバーを手に取ったマナスはその右手に力を込めました。モロには力がありませんからマナスがその力の方向を間違っただけでモロは大変なことになってしまいます。とりあえずは成功と言ってもよいでしょうか、マナスが力を使い終えたときモロは何事も無くちょうと話をしていました。そうしてマナスが力を込めた四葉のとあるクローバーは大きな大きな船へと変身を遂げたのです。
コレを使って何にもしないのはばかのやることだとは思いませんか?
虹が見たいです。
ちょうと話をしているモロはマナスが力を込めた四葉のとあるクローバーを見てはいません。モロにはちょうすらも見えていなかったのですがそういうことはただの苦労でありましてなににも変えられることはないのでした。
どうしてです?
虹の事ですか?
いいえ、ちょうの事です。
虹が見たいのです。
船を使って川を渡ったマナスはモロに近付きました。しかしモロはモロでちょうと話をしていたのでそのことには気付くはずも無く、ともすればちょうにも気付かれていなかったのかもしれませんがそれもまたしがない物事であるのでした。
いきましょうか。
ですね。
モロは船に乗りました。もちろんちょうとの話は終えていません。ただ流されることの無いよう船に進んだだけなのです。こうしてモロとマナスは船に乗って出かけていったのです。マナスはもう少しここで何かをしたかった様子でしたが、モロはそんなことは知りませんのでマナスは流れに逆らって船を動かしたのでした。
虹を知っていますか?
それはそれは綺麗だそうで。
どうやっても渡りきれない川を挟んでふてぶてしくモロは立っているのです。マナスにとってもこの川はどうやっても攻略の出来ない遊びに似ていました。モロもマナスも虹が好きでした。とてもとても好きでした。
見に行きましょうか?
それもそれでいいですけれども、どうしたってこの川の上をふわりふわりと飛ぶわけにもいかないでしょうに。
モロもマナスも何も考える必要が無いので座り込んでしまいました。
短いですねぇ道というものは。
長いのは距離であり短い道もまた一興でしょう。
マナスは考え込む必要が出てきたようで、なにやらうんうんと唸り始めたのですが、そんなことはお構いなしのモロにはそういったことも見てみぬ振りをし、話を聞いていないようなマナスに少しムッときました。それでもモロはマナスのことを嫌いではないのでマナスを置いていくようなことはしなかったのです。
どうやったらうまくいくのか考えてみたのですけれどどうしましょうか、何も考えが思いつかない訳ではないのですがどうしましょうか。
虹が見たいです。
思いついた、かと言ってそう簡単に越えられるほど小さな壁でも無い様で、壊れることの無いことにいらいらしてきたのでしょうがモロは何にも知らないような顔をしてマナスを見ていたのです。もちろんマナスには力がありましたがそういう力とかそんなことはこの時必要なものではなく、どう言えばいいのでしょうか力とは逆のものがマナスにはありませんでした。モロがふと見上げた空にはなんにも無く、マナスの見ている所には四葉のとあるクローバーがありました。
コレを使って何もしないのはばかのやることだとは思いませんか?
虹が見たいのだけれど?
何もしないのはばかのすることでも何かやることが出来ないのも事実だったので、マナスはその四葉のとあるクローバーに手を近づけることが出来ないでいました。そうなってしまってはモロも虹を見るのを諦めざるを得ません。しかしそんなことは嫌だとモロは思ったのでしょう。虹を必死に探しました。
虹はここにはありませんよ。
そうは言っても虹が見たいのには変わりが無いのです。
あ、先がほら、ああほら。
それならばそっちもほら、ほら。
モロとマナスの釣竿の先が大きく撓り、声しかしなかったここがざわつき始めました。これは、どうしても釣れそうの無い大きな魚を狙っていたのですが、それにも飽き少し釣れそうな魚を狙った途端の出来事なのでした。モロもマナスも今まで思っていたことを忘れて夢中で糸を引いていったのです。するとどうでしょう、川から上がったのは長靴でした、それも片方ずつでした。モロが右、マナスが左、長靴を手にして苦虫を噛み潰したような顔をしています。
どうしてこうも不運なのでしょうかね。
うん・・・。ん?不運?うーん、これは不運なんでしょうかね?不運?うん、不運。
不運かどうかはこの際は放っておいたほうがよろしいでしょうが、モロもマナスも長靴を履いたのです。もちろん長靴の中は濡れていますからモロもマナスも足がひんやりと冷たくなりました。それがどうなったともなくモロの頭の上に綺麗なちょうが飛びまわり始めたのでした。それを見たマナスも飛べればなと思った途端息を荒くしながらその考えを改めました。
どうしましょうか。足が冷たいです。
どうも何もわかっていないみたいですこのちょう。足が冷たいのもこの川が隔たりになっていることも。
ちょうがわからないのも無理はないのですが、それでもわかってもらいたいとマナスは思いました。マナスの頭の上には何もありません。ただ下のほうを見ると四葉のとあるクローバーがあるだけです。
コレを使って何もしないのはばかのやることだとは思いませんか?
虹が見たいです。
マナスもモロも何も知らなかったのです。ばかにはばかのよさというものがあることを。四葉のとあるクローバーを手に取ったマナスはその右手に力を込めました。モロには力がありませんからマナスがその力の方向を間違っただけでモロは大変なことになってしまいます。とりあえずは成功と言ってもよいでしょうか、マナスが力を使い終えたときモロは何事も無くちょうと話をしていました。そうしてマナスが力を込めた四葉のとあるクローバーは大きな大きな船へと変身を遂げたのです。
コレを使って何にもしないのはばかのやることだとは思いませんか?
虹が見たいです。
ちょうと話をしているモロはマナスが力を込めた四葉のとあるクローバーを見てはいません。モロにはちょうすらも見えていなかったのですがそういうことはただの苦労でありましてなににも変えられることはないのでした。
どうしてです?
虹の事ですか?
いいえ、ちょうの事です。
虹が見たいのです。
船を使って川を渡ったマナスはモロに近付きました。しかしモロはモロでちょうと話をしていたのでそのことには気付くはずも無く、ともすればちょうにも気付かれていなかったのかもしれませんがそれもまたしがない物事であるのでした。
いきましょうか。
ですね。
モロは船に乗りました。もちろんちょうとの話は終えていません。ただ流されることの無いよう船に進んだだけなのです。こうしてモロとマナスは船に乗って出かけていったのです。マナスはもう少しここで何かをしたかった様子でしたが、モロはそんなことは知りませんのでマナスは流れに逆らって船を動かしたのでした。
アルクSS3
鍵を閉め家を出た。
今日は公園のほうをまわろうかと思いながら歩を速める。
いた。
一匹見付け殺した。あと何匹殺せばヤツに辿り着けるだろうか。
いた。
また殺した。
また殺した。
殺した。
公園に着いたころにはもう随分と時間が経ってしまっていた。そろそろ帰ってもいいかなと思いその場を去った。
家に着いて玄関を開け、中へ入った。その瞬間だった。
!
?
あれ?
動かない。体が。
あれ?
繋がっていない。体が。
私は彼に殺された。
私の体をまるでただの布であるかのようにバラバラに切り裂いた彼。体を元に戻しながら彼のことばかりを考えていた。まるで恋をしたかの様に盲目的にだ。
私はこの時すでに私を殺した彼に白羽の矢をたてていた。もちろんこの時は単なる盾として利用できればいいくらいに思っていた。
これから私は彼と出会う。出会って一緒に戦って恋をして愛しあって別れる。誰がそんなことを予測できたろうか。
私はいままでずっと一人だったのだから。
今日は公園のほうをまわろうかと思いながら歩を速める。
いた。
一匹見付け殺した。あと何匹殺せばヤツに辿り着けるだろうか。
いた。
また殺した。
また殺した。
殺した。
公園に着いたころにはもう随分と時間が経ってしまっていた。そろそろ帰ってもいいかなと思いその場を去った。
家に着いて玄関を開け、中へ入った。その瞬間だった。
!
?
あれ?
動かない。体が。
あれ?
繋がっていない。体が。
私は彼に殺された。
私の体をまるでただの布であるかのようにバラバラに切り裂いた彼。体を元に戻しながら彼のことばかりを考えていた。まるで恋をしたかの様に盲目的にだ。
私はこの時すでに私を殺した彼に白羽の矢をたてていた。もちろんこの時は単なる盾として利用できればいいくらいに思っていた。
これから私は彼と出会う。出会って一緒に戦って恋をして愛しあって別れる。誰がそんなことを予測できたろうか。
私はいままでずっと一人だったのだから。
アルクSS2
「アルクェイドぉおー」
何がこうさせたのか。
「うおおぉ、やめろぉおー」
誰がこうしたのか。
「死ぬぅシヌゥー」
何故こうなったのか。
それは二時間ほど前、公園のベンチでの出来事。
「おお〜い」
どこかで聞いたことのある声だなと思って首を振ってみた。けど誰もどこにもいない。
「こっちぃ〜」
気味が悪くなってきた。コレが巷に言う幽霊?ってやつか。
「ほらぁ、こっちだってばぁ」
しっかり声を聞いてみてその声がする地面のほうに目を向けた。
「やっほー」
そこには・・・・。なんかちっさいアルクェイドがピースしながら立っていた。
「え?いやいや、そんなはずないだろうが・・・」
目を擦ってからもう一度確認してみる。
「・・・」
うん。なんかちっさいアルクェイドがいる。
「って、はぁ〜?」
「なによぅ、人のこと見ていきなり『はぁ〜?』だなんて」
ちっさい!なんでこんなちっさいんだ!?手の上に乗る、これは手の上に乗せられるぞおい!
「お前なぁ、吸血鬼だからって何でもありなわけじゃないだろうに・・・」
「え〜?いいじゃない、SSなんだしなんでもありで」
ざっけんな!ってかなんだSSって!?
「ったく、それはいいとしてなんでそんなにちっさくなってる?」
「あのねあのね昨日テレビ見てたらさぁ、あ○っ女○さまっちいさいってことは便利だねっていうのがやってたのよ」
「・・・はぁ・・・それで?」
「そりゃあやってみないとね〜、本当に便利かどうか」
「ああそう、そうですか、さようなら」
こういうときは関わらないほうがいい。アルクェイドがこういうことをしたときは絶対厄介なことになるんだ。
「ちょっとまちなさいよー」
「遠慮しとく」
だめだだめだ振り向いたらおしまいだ。
「・・・くなっ・・え」
その時アルクェイドが何か言ったみたいだけどしっかりと聞き取ることはできなかった。けどもう聞き返すこともしない。面倒なことに巻き込まれるのはゴメンだ。公園を出て帰ろう・・・。
「あれ?」
急に景色が変わった。その時まさかと思った。そのまさかだった。
「おいおいおいおい・・・・」
さっきまで居たところを振り返ってみてみた。が、ベンチが無い。座っていたベンチが無くなっていた。
「ちょっとまってくれよぉ・・・」
「へへー」
にこにこ笑ったアルクエェイドがそこにいた。
その瞬間オレの折角の日曜日ががががが。
「アルクェイドぉおー」
「うおおぉ、やめろぉおー」
「死ぬぅシヌゥー」
何が危険かって、なにもかもが危険なんだよこんちくしょう!!
オレは逃げ惑っていた。わりとあらゆるものから。虫とか猫とか犬とか本当に怖かった。
「あっはぁー♪たっのしー」
あー!!ったくこのばか女がっ!
「うあぁーあぶねー」
もう少しで公園をジョギングしている人に潰されるとこだった。
「もう嫌だー!」
こんな日曜日。
何がこうさせたのか。
「うおおぉ、やめろぉおー」
誰がこうしたのか。
「死ぬぅシヌゥー」
何故こうなったのか。
それは二時間ほど前、公園のベンチでの出来事。
「おお〜い」
どこかで聞いたことのある声だなと思って首を振ってみた。けど誰もどこにもいない。
「こっちぃ〜」
気味が悪くなってきた。コレが巷に言う幽霊?ってやつか。
「ほらぁ、こっちだってばぁ」
しっかり声を聞いてみてその声がする地面のほうに目を向けた。
「やっほー」
そこには・・・・。なんかちっさいアルクェイドがピースしながら立っていた。
「え?いやいや、そんなはずないだろうが・・・」
目を擦ってからもう一度確認してみる。
「・・・」
うん。なんかちっさいアルクェイドがいる。
「って、はぁ〜?」
「なによぅ、人のこと見ていきなり『はぁ〜?』だなんて」
ちっさい!なんでこんなちっさいんだ!?手の上に乗る、これは手の上に乗せられるぞおい!
「お前なぁ、吸血鬼だからって何でもありなわけじゃないだろうに・・・」
「え〜?いいじゃない、SSなんだしなんでもありで」
ざっけんな!ってかなんだSSって!?
「ったく、それはいいとしてなんでそんなにちっさくなってる?」
「あのねあのね昨日テレビ見てたらさぁ、あ○っ女○さまっちいさいってことは便利だねっていうのがやってたのよ」
「・・・はぁ・・・それで?」
「そりゃあやってみないとね〜、本当に便利かどうか」
「ああそう、そうですか、さようなら」
こういうときは関わらないほうがいい。アルクェイドがこういうことをしたときは絶対厄介なことになるんだ。
「ちょっとまちなさいよー」
「遠慮しとく」
だめだだめだ振り向いたらおしまいだ。
「・・・くなっ・・え」
その時アルクェイドが何か言ったみたいだけどしっかりと聞き取ることはできなかった。けどもう聞き返すこともしない。面倒なことに巻き込まれるのはゴメンだ。公園を出て帰ろう・・・。
「あれ?」
急に景色が変わった。その時まさかと思った。そのまさかだった。
「おいおいおいおい・・・・」
さっきまで居たところを振り返ってみてみた。が、ベンチが無い。座っていたベンチが無くなっていた。
「ちょっとまってくれよぉ・・・」
「へへー」
にこにこ笑ったアルクエェイドがそこにいた。
その瞬間オレの折角の日曜日ががががが。
「アルクェイドぉおー」
「うおおぉ、やめろぉおー」
「死ぬぅシヌゥー」
何が危険かって、なにもかもが危険なんだよこんちくしょう!!
オレは逃げ惑っていた。わりとあらゆるものから。虫とか猫とか犬とか本当に怖かった。
「あっはぁー♪たっのしー」
あー!!ったくこのばか女がっ!
「うあぁーあぶねー」
もう少しで公園をジョギングしている人に潰されるとこだった。
「もう嫌だー!」
こんな日曜日。
アルクSS1
アルクェイド=ブリュンスタッド、彼女は吸血鬼なのです。とはいっても僕は人間なのですから、たとえどんなに彼女を愛そうとしても、手に入れることはままならないといった様子で、それはそれは苦悩しなければならない日が続いていました。一時は僕も吸血鬼になれればとかんがえたこともあるのですが、運がいいのか悪いのかどうしても吸血鬼になることができませんでした。
そんなある日僕は街でアルクェイド=ブリュンスタッドを見かけました。それはもう僕は彼女を愛したいと思っているのですから、彼女をいつまでも視界の中に入れておきたかったので、自然と彼女の後を追っていました。
数分経って路地裏の行き止まりで彼女が立ち止まりました。そして振り向きもせずこう言いました。
『あなたはなにもわかっていないわ』
僕はそれは違うと思いました。何も解っていないのはアルクェイド=ブリュンスタッドのほうなのですから。どうして僕が彼女の名前を識っているのか、どうして僕が彼女が吸血鬼だということを識っているのか、何も解っていないのはアルクェイド=ブリュンスタッドのほうでした。
『消えて』
そう聞こえたその時、何がこの身に起こったのか一瞬理解できませんでした。体の一部が熱くなり、なにかの液体がどろどろと自分の中から流れていくのを感じました。僕は悲しくなりました。アルクェイド=ブリュンスタッドに何も伝えられず自分が消えてしまうことにたえられるはずがありません。
『一度でいいから愛したかった』
最後に遺せたのはこの言葉くらいでした。擦れ声でアルクェイド=ブリュンスタッドに届いているかもわかりませんでした。
僕は意識が途切れる間際、夢を見ました。アルクェイド=ブリュンスタッドが、僕の愛したかったアルクェイド=ブリュンスタッドが何もかもわかっていました。どうして僕が彼女の名前を識っているのか、どうして僕が彼女が吸血鬼だということを識っているのか、そして僕のこと、さらに僕が想っている気持ちまで。それはとてもうれしいことでした。何よりもうれしいことでした。
とうとう僕は彼女を愛することができたのでした。あれだけ悩んだ日々もこれで報われるでしょう。彼女に包まれながら消えていけるのです。これで僕もはっきりこう言えます。それもうれしくてたまらないことでした。
僕が愛したアルクェイド=ブリュンスタッドは吸血鬼なのです。
そんなある日僕は街でアルクェイド=ブリュンスタッドを見かけました。それはもう僕は彼女を愛したいと思っているのですから、彼女をいつまでも視界の中に入れておきたかったので、自然と彼女の後を追っていました。
数分経って路地裏の行き止まりで彼女が立ち止まりました。そして振り向きもせずこう言いました。
『あなたはなにもわかっていないわ』
僕はそれは違うと思いました。何も解っていないのはアルクェイド=ブリュンスタッドのほうなのですから。どうして僕が彼女の名前を識っているのか、どうして僕が彼女が吸血鬼だということを識っているのか、何も解っていないのはアルクェイド=ブリュンスタッドのほうでした。
『消えて』
そう聞こえたその時、何がこの身に起こったのか一瞬理解できませんでした。体の一部が熱くなり、なにかの液体がどろどろと自分の中から流れていくのを感じました。僕は悲しくなりました。アルクェイド=ブリュンスタッドに何も伝えられず自分が消えてしまうことにたえられるはずがありません。
『一度でいいから愛したかった』
最後に遺せたのはこの言葉くらいでした。擦れ声でアルクェイド=ブリュンスタッドに届いているかもわかりませんでした。
僕は意識が途切れる間際、夢を見ました。アルクェイド=ブリュンスタッドが、僕の愛したかったアルクェイド=ブリュンスタッドが何もかもわかっていました。どうして僕が彼女の名前を識っているのか、どうして僕が彼女が吸血鬼だということを識っているのか、そして僕のこと、さらに僕が想っている気持ちまで。それはとてもうれしいことでした。何よりもうれしいことでした。
とうとう僕は彼女を愛することができたのでした。あれだけ悩んだ日々もこれで報われるでしょう。彼女に包まれながら消えていけるのです。これで僕もはっきりこう言えます。それもうれしくてたまらないことでした。
僕が愛したアルクェイド=ブリュンスタッドは吸血鬼なのです。