宗義です。
気が付いたら僕は、あのカブトガニ定食屋の前に居た。
定食屋にもかかわらず、外界からの客人を、自ら拒絶しているようなその佇まい。
ショーウィンドウにディスプレイされている守護獣(カブトガニ)の効果と見てまず間違いない。
しかし、ここで逃げ帰ってしまったら、「もし女子に生まれていたのなら、ミステリーハンターを目指していた」と豪語する、僕の冒険心が廃るというもの。
カブトガニ穴に入らずんばカブトガニ子を得ず、だ。
迷わず行けよ、行けばわかるさ!
意を決して店内に入ってみると、一人、足を豪快に組んで新聞を広げている店主と思しき中年の男が無言でカウンターに座っていた。
新聞から目を離さないまま「ご注文は?」と店主が言った。まだ席も決まっていない。
「カブトガニ定食ください。」
「はぁ?」店主はようやく新聞を下ろし、訝しげにこちらを見る。
「あの、カブトガニ…。」
「いいの?戻れなくなるよ?」と店主が言う。
「構いません。覚悟はできてます。」
「かしこまりました。」
店主は厨房に入り、僕は一人想像を巡らせた。
カブトガニ定食とは、どのような姿で僕の前に現れるのだろう。
やはり姿焼きだろうか。食卓に置かれたカブトガニのインパクトは絶大だ。裏返しで出てきたら尚更だ。
腹の部分は、できれば一切見たくない。地を這い蠢く節足動物を彷彿させる。
或いは、甲羅の中にカブトガニミソをふんだんにからめたパスタというパターンも考えられる。
となると実はここは定食屋ではなく、今流行りの小洒落た古民家カフェということか?そう言えば店主の帽子は無駄に長かった。
店内は沈黙と、奥ゆかしい日本家屋独特の湿った木の匂いだけが漂っていた。
そんな、夢を見たんだ。
気が付いたら僕は、あのカブトガニ定食屋の前に居た。
定食屋にもかかわらず、外界からの客人を、自ら拒絶しているようなその佇まい。
ショーウィンドウにディスプレイされている守護獣(カブトガニ)の効果と見てまず間違いない。
しかし、ここで逃げ帰ってしまったら、「もし女子に生まれていたのなら、ミステリーハンターを目指していた」と豪語する、僕の冒険心が廃るというもの。
カブトガニ穴に入らずんばカブトガニ子を得ず、だ。
迷わず行けよ、行けばわかるさ!
意を決して店内に入ってみると、一人、足を豪快に組んで新聞を広げている店主と思しき中年の男が無言でカウンターに座っていた。
新聞から目を離さないまま「ご注文は?」と店主が言った。まだ席も決まっていない。
「カブトガニ定食ください。」
「はぁ?」店主はようやく新聞を下ろし、訝しげにこちらを見る。
「あの、カブトガニ…。」
「いいの?戻れなくなるよ?」と店主が言う。
「構いません。覚悟はできてます。」
「かしこまりました。」
店主は厨房に入り、僕は一人想像を巡らせた。
カブトガニ定食とは、どのような姿で僕の前に現れるのだろう。
やはり姿焼きだろうか。食卓に置かれたカブトガニのインパクトは絶大だ。裏返しで出てきたら尚更だ。
腹の部分は、できれば一切見たくない。地を這い蠢く節足動物を彷彿させる。
或いは、甲羅の中にカブトガニミソをふんだんにからめたパスタというパターンも考えられる。
となると実はここは定食屋ではなく、今流行りの小洒落た古民家カフェということか?そう言えば店主の帽子は無駄に長かった。
店内は沈黙と、奥ゆかしい日本家屋独特の湿った木の匂いだけが漂っていた。
そんな、夢を見たんだ。