はいどうもアニキです。

猛暑の猛威はどこへ行ったのか、涼しい夜が続きますね。
秋真っ只中です。

昼間は若干暑いですがね。

しかし、東京ではすっかり蝉の声も聞かなくなってきました。


そんな気持ちのよい秋の昼下がり。


道端に一匹の蝉が落ちていました。

大きなアブラゼミ。

真夏の昼頃に「ジリジリジリ…」と鳴くアイツです。


完全に仰向けになってピクリとも動いていませんでした。

蝉のことをよく知らない素人から見ると、ただの亡きがらと思ったことでしょう。

しかし僕はアマチュアの蝉研究家(自称)なので、すぐに生存の可能性を見出だしました。


寿命が差し迫った蝉の死に際って、落下して裏返っても体力がなくて起き上がれません。

そしてそのまま、死を待ちます。

あとは蟻さん達が片付けてしまいます。



そこで僕は、動かなくなったそのアブラゼミの生死を確かめるべく、しゃがみ込んで指でつついてみました。



ツンツン。



ピクリ。


するとセミは、にわかに足をバタつかせ、


セミ「俺はまだ生きているぞッ!!」

と言わんばかりにもがき始めました。


僕は話しかけました。



僕「…飛べるか?」


セミ「…そんなのやってみなくちゃ分かんねえ。そうだろ?」


僕は意を決しました。

起き上がれないほど弱っている蝉でも、勢いよく投げてやると飛び立てることを知っていたからです。

おもむろに、むんずとセミを掴み、立ち上がった勢いでそのまま天空へ放り投げました。


僕「そらッ!」


思わずあげた声に後押しされるように、セミは力強く羽ばたいて空の彼方に消えていきました。




僕は蝉達のいなくなった空を見上げながら、ふと後悔の念にかられました。


セミは、ただ静かに最期の時を待っていたんじゃないだろうか?

余計なことをしてしまったんじゃないだろうか??


そんなことを考えていたまさにその時、一匹の蝉が僕の目の前を横切っていきました。

まるで戦地に赴くプロペラ機が挨拶代わりの遊覧飛行でもするかの様に、縦に横に、時に八の字を描きながら飛び去っていきました。

それがさっきのセミなのか、まったく違う別の蝉なのか確認できませんでしたが、力強く羽ばたいたセミの姿を思い出しながら、これで良かったんだと考え直しました。


そう思うと、あんなに暑くて鬱陶しかった夏が、急に恋しく感じられるようになりました。