危機の宰相

アマゾンで頼んで、意外に時間がかかりましたが、連休中に届いたので早速読んでみました。

予想以上のこれまた名著でした。

やはり沢木耕太郎氏の本は全部すごい。

で、沢木さんもすごいのですが、

日本の高度成長を支えた池田勇人氏、田村敏雄氏、下村治氏の偉大さも理解できました。

不勉強な私は、日本の高度成長というものは、ある程度歴史の必然性みたいなものがあって、

「誰かが何をどうしたからこうなった。」

というような話ではないのだと思っておりました。

しかし、実は池田勇人元首相は田村敏雄氏や下村治氏といったブレーンを得て、派閥内でもほとんど支持者のなかった「高度成長論」を主張し、佐藤栄作や福田赳夫などの「安定成長論」論者との争いを乗り越えて、未曾有の経済成長を実現したのだということを初めて知りました。

やはり、歴史を切り開くのは優れたリーダーであったのです!

しかし、本書にも書かれていましたが、「高度成長」のことを書いた本は多くが絶版になっており、勉強したくても本も読めない。

これは非常に残念なことですな。

我々は歴史を知らなさ過ぎます。

現代の経済社会を生きる私たちには絶対必要な歴史認識だと思います。

特に最後のほうで書かれている下村治氏の「ゼロ成長論」は現代人に絶対必要な教訓でしょう。

下村氏は60年代の「所得倍増」を予見し、昭和65年以降の「いざなぎ景気」も予見していたが、73年のオイルショック直後に

「日本はゼロ成長社会になる」

と予想しておられるのです。

「経済の成長は生産性の向上によって起きる。高度成長は、日本が欧米諸国との技術格差をすさまじいスピードで取り込んだことによって起こった。」

従って、欧米諸国に追いついて追い越してしまった時点で日本の経済成長は一気に鈍化すると言っておられのです。70年代の初めに!

さらに下村氏は、

「ゼロ成長だからといって悲観することはない。経済がゼロ成長に適応してしまえば不況も何もない静かな状態が生まれてくることになる。」

とも言っておられます。

これが、先日、NHK「その時歴史が動いた!」でやっていた

「日本は江戸時代のようになるのがよろしい」

という言葉につながるのでしょうな。

実感できない「いざなぎ越え」景気に浮かれている現代人にとっては大いに教訓となる言葉です。

野口悠紀雄先生の「日本経済改造論」と併せて読むと尚、勉強になるでしょう。

いやー実に面白かった。