日本経済改造論―いかにして未来を切り開くか


野口先生のこの本を、再度読んでみたのですが、33ページに「産業別資金供給(増減)」という資料が出ています。

戦前、戦後の企業の資金調達形態を表す資料なのですが、これが興味深い。

概略を示しますと

(株式・事業債による調達:借入れによる調達)の比率
すなわち、直接金融と間接金融の比率


1931年(86.4:13.6)
1935年(70.2:29.8)
1940年(46.9:54.1)
1945年(6.7:93.1)


これは本に出ていた数値(増減額)から私が構成比を計算したものですが、1931年と1945年を比較すると見事に180度逆転しています。

野口先生によると、

・1930年代までは企業の資金調達は直接金融が中心だった
・企業の配当性向は強く、株主が企業の意思決定に大きな影響を及ぼしていた
・大企業の経営者のうち、内部昇進者は3分の1程度でしかなかった
・いわゆる「アングロサクソン的」経済構造だった

で、これを大きく変えたのが1940年前後におこなわれた経済改革で、

・戦時経済体制の確立と軍需産業を育成するため
・配当制限や株主の権利制限をおこなって直接金融を抑制する
・大銀行(日本興業銀行を中心とする長期信用銀行)を育成

という方針を採用。

その結果、大株主の意向で経営者が決まるのではなく、経営者は内部昇進者が占める。
また、企業は従業員の共同体としての性格を強め、年功序列や終身雇用が支配的となった。


というようなプロセスを経て現在のような借入れに偏った資金調達が主流になったそうです。

このことは、以前、事業再生コンサルタントの立川昭吾先生も、近畿税理士会神戸支部主催の講演会で指摘されていました。

昔は「商売は借りてやるもの」ではなかったわけです。

商売は借りてやるものになったのは軍需産業を育成するためであり、戦後は軍需産業以外の産業を育成するために、同様の政策が続行された。

で、その方針がいまだに続けられているわけです。

もう、方針を変えるべきですな。

方針を変えることについていけない企業は、今後ますますタイヘンなことになると思います。


下村治氏は「日本は江戸時代のようになるべし」

と言われましたが、

江戸時代よりも、明治時代のバイタリティーあふれる日本になるべきなのかもしれません。

私は明治時代の歴史モノもよく読みますが、明治人はすごい!