危機の構造






危機の構造―日本社会崩壊のモデル (中公文庫)
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この本も何回読んだか記憶が定かではないですが、また読んでしまいました。

非常に面白くタメになるので、一気に3時間くらいで読めてしまいます。

この本を読むと、自分自身の行動が、この本に書いてあることの影響を大きく受けているなあといつも感じます。

1976年に出版された本ですが、日本人の行動原理を的確に捉えているという点では、まったく色あせることはありません。

むしろ、昨今の経済危機によって、日本社会が今後さらに危機的な状況を向かえることが予想される現在においては、ますますこの本の価値が増しているともいえると思います。

JAL(日本航空)の救済問題、環境問題、財政危機、経済政策

何をとっても、現代日本の向かう方向は、日本人特有の情緒主義、非科学的な発想、盲目的予定調和説 などなど、この本で指摘されているとおりの思考方式によって決定・実行されています。

おそらく、日本人は、この先も

「社会的現実を科学的に分析し、この分析に基づいてこれを合目的的に制御するという社会科学的な態度と能力が日本人には決定的に欠如している」

という性質から脱却することは出来ない。

従って、日本において本当の資本主義が定着することも、経済学などの社会科学が発展することもありえないと思います。

ただ、私は日本社会は、小室先生が言われるところの破局とは違った方向に進むのではないかと思います。

人口が減少し、経済規模は縮小。大企業は減少。公務員や政府組織も縮小。貨幣価値は下落し経済大国としての地位は下がる。

日本は技術立国と言われて久しいですが、あらゆる分野での技術革新が飽和状態にあり、かつ日本人特有の勤勉・真面目さが失われつつある以上、外国に対する技術指導などを業務とする産業も衰退。

工業製品などの開発・製造については空洞化に歯止めが利かず、日本国内では何も生産できなくなる。

そして基本的には農業、漁業、林業、医療、高齢者へのサービスなどを主たる産業とする国になるのではないか。

谷口正和先生が「2010年革命」で書いておられる

「ものづくり大国」から「こころ作り小国」

へ変わっていくと私は思います。

これは、そんなに悪いことではない。

この本で語られている日本人的な行動原理も、ウラを返せば心優しく、カタイことを言わず、他人を思いやり、助け合う美しい性質ともいえます。

日本は今よりもっと住みやすい、良い国に変わっていくのではないでしょうか?

今回は、そういう期待を感じながら読みました。