幾山河―瀬島龍三回想録
幾山河―瀬島龍三回想録
クチコミを見る

瀬島龍三さんご自身による回想録で、実に読み応えのある本でした。

瀬島龍三さんは、戦時中は大本営参謀を務め、戦後シベリアに11年間抑留された後、帰国後は伊藤忠商事に勤務して、副社長にまで登りつめ、その後は中曽根内閣の臨時行政調査会のメンバーとして活躍された方で、山崎豊子さんの「不毛地帯」のモデルといわれている人です。

(「不毛地帯」もすごい小説ですが、この本はもっとすごい)

こういう人が昭和の日本の繁栄を支えたんだなあ

という肯定的な感想と、

大本営参謀という指導的な立場にあり、日本を不幸な戦争に導いた

という否定的な感想などが混ざり合った、複雑な気持ちになります。

不幸な運命に翻弄されながらも時代を生き抜いた瀬島さんの人生には、大いに惹かれるところがありますが、

一方で真珠湾攻撃の作戦を立案し、命令書を書いた大本営参謀と同じ人物が、

時をへて、中曽根内閣の臨時行政調査会のメンバーとして国鉄民営化や電電公社の民営化(NTT設立)などにブレーンとして関わっておられたと考えると、ちょっと複雑な気持ちにもなります。

私は若い頃から、東京裁判をはじめとする、戦中・戦後の昭和史に非常に関心があるのですが、

その理由は、この時代が、このように100%肯定も出来ないし、
100%否定も出来ない複雑な時代であり、

一方で、そのような複雑な時代を、ご苦労されながら生き抜いた先輩たちの生き様に惹かれるからだといつも思います。

瀬島さんは残念ながら2007年に亡くなられましたが、

我々日本人は瀬島さんたち諸先輩方の遺志を継いで、ホントにがんばらないとダメですね



「平成日本のよふけ」に出演する瀬島さん。
終戦直後、ソ連との停戦交渉にあたった瀬島さんが、戦後賠償として、日本人捕虜60万人をシベリアで労務提供させるとした密約を交わしたという疑惑を否定しておられます。
密約説を主張した人たちは謝罪したのか?