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▲去年10月に開催されたソウル航空宇宙及び防衛産業展示会(ADEX)で韓国型戦闘機(KF-X)の模型が展示されている。


檀君以来最大の武器開発プロジェクトである韓国型戦闘機(KF-X)事業が本軌道に上がった。開発だけで8兆6000億ウォン〔約7700億円〕が必要となる超大型事業であるだけに国内外的な関心も高い。

国防科学研究所(ADD)とハンファシステムが開発した多機能位相配列(AESA)レーダーは試作品が完成した状態だ。エンジンや電子装備を始めとした構成品も組み立てを待っている。これら装備は来年に姿を現わす試制1号機に搭載される予定だ。

しかし、KF-Xの核心である航空武装を巡る憂慮は相変わらずだ。米政府の意思決定の遅延でアメリカ製航空武のうち相当数がKF-Xにシステム統合されていない。武装問題が解決されなければ、KF-Xは訓練機水準に過ぎない。これを解決するために開発会社である韓国航空宇宙産業(KAI)や運用主体である空軍などを中心に様々な方案が提示されている。

◆KF-Xの武装に変化の可能性

現在KAI主導で開発が進行中のKF-Xの致命的な問題は武装の装着だ。米政府の非協力でアメリカ産の精密誘導爆弾(JDAM)とイギリスMBDAのミーティア、ドイツのIRIS-T空対空ミサイルの装着だけが確定した状態だ。アメリカが態度を変えたとしても、F-35Aに使われる武装と大きな違いは無い。

F-35Aは強力なステルス性能とリアルタイムネットワーク機能を備えている。アメリカがF-35A開発当時にAIM-120中距離空対空ミサイルを何の問題意識無しに搭載したことも絶対的なステルス優位のお陰だ。

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▲ドイツ空軍の要員たちがミーティア空対空ミサイルをタイフーン戦闘機に装着している。


一方、KF-XはF-35Aよりステルス性能が劣る。アメリカのようにAIM-120をそのまま搭載すれば、ステルス戦闘機との性能格差を埋めることができない。中国やロシアのように150km以上の距離を素早く飛んで行く長距離空対空ミサイルが必要なところだ。米ロッキードマーティンが2020年代初期を目標にAIM-120より射距離が遥かに長いAIM-260新型長距離空対空ミサイルを開発する理由だ。

KF-Xに搭載されるミーティアミサイルは現在の状況でこのような要求条件に符合する武器だ。音速の4倍を超える速度で最大200km離れた敵機を撃墜することができる。ミーティアミサイルがKF-Xの空中戦能力を大きく高めることができるという評価を受ける理由だ。 

一方、最新型AIM-120は160kmを飛んで行く。アメリカがAIM-260を実戦配置すれば、AIM-120は一世代以前の武器に転落する。

問題は短距離空対空ミサイルだ。最大射距離が25kmのIRIS-Tは最新型のAIM-9より射距離が短い。ノルウェー空軍のF-16やタイ空軍のグリペンなど第4世代戦闘機にだけ使われており、第4.5世代であるKF-Xには合わないという指摘を受けてきた。

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▲F-35戦闘機からアスラーム空対空ミサイルが発射されている。


IRIS-Tをアスラームに交替しようとする動きが提起されているのもこれと無関係ではない。イギリス空軍が採用してタイフーン、F-35に搭載されるアスラームはIRIS-Tより35kmを更に遠く飛んで行く。米政府がAIM-9のシステム統合を承認していない状況で、KF-Xの開発をつまづき無しに進行して戦闘力を高めようとすれば、アスラームの搭載を考慮する必要があるという指摘だ。

ここに射距離が500kmに達するタウロスを始めとした長距離空対地ミサイルが搭載されれば、戦略的な抑制能力はより一層強化される。

空軍がF-15Kにタウロスを装着する時は21ヶ月が掛かった。一方、KF-Xにタウロスを装着するのに必要な時間は12ヶ月に過ぎない。米ボーイングが作ったF-15Kと異なり、KF-Xは国産戦闘機であるだけにシステム統合の手続きがさらに容易であるからだ。性能が検証されたタウロスとミーティア、アスラームミサイルを備えれば、戦闘力を高めてKF-X開発のリスクは減らすことができる。

これと関連して、国内技術の蓄積と防衛産業育成の次元で1次生産物量はタウロスとミーティア、アスラームミサイルを搭載するが、2次生産物量は国産の中距離空対地ミサイルを装着しなければならないという主張が出ている。

100%国内開発はリスクが大きい。開発を完了しても堪航認証〔Airworthiness certificate、耐空証明〕を受けなければならず、KF-Xに搭載して性能試験も進行しなければならない。この過程でどのほど多くの時間が掛かるのか分からない。ミサイル開発の経験を備えたイギリス・ミーティアミサイルの開発期間が25年に達したという点を勘案すれば、我が国はそれ以上の時間が掛かることもある。

ミサイルの形状や弾頭など核心技術が不足であるだけにタウロスK-2の技術を応用、KF-XとFA-50に搭載する方案が費用対比効果が優れているという評価だ。KF-Xのリスク緩和のためにもKF-X初期生産分は外国武装を搭載して、長期的な観点で海外企業との協力を通じた国産武装の開発を考慮するのが適切な理由だ。

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▲去年10月に開催されたソウル航空宇宙及び防衛産業展示会(ADEX)を訪ねた観覧客たちが韓国型戦闘機(KF-X)の模型を見ている。


◆リスク減少戦略に悩んでこそ

KF-Xを成功的に開発して実戦配置するまでは多くのリスクが残っている。

リアルタイムネットワークを重視する現代の戦場環境は戦闘機を機械ではなく、電子製品の性格が強い装備に変貌することを要求する。それだけに開発の過程でリスクが大きい。KF-Xの開発及び運用の過程で発生するリスクはシステム統合と機体開発を担当するKAIに集中している。コロナ19事態でインドネシアが技術陣たちを韓国から撤収させて、開発分担金もキチンと出していない状況はKAIの負担を加重させている。リスクの減少または分散戦略が必要なところだ。

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▲フランス海軍航空隊所属のラファール戦闘機が米海軍の原子力空母に着艦している。


一部で『リスク減少=既得権の放棄』と認識したりもする。しかし、航空宇宙産業先進国はシステム統合企業と構成品製作会社がリスクを分担する。フランスのラファール戦闘機は開発会社であるダッソー航空を中心に電子装備及びレーダー製作会社であるタレス、M88エンジンを作るスネクマなどが参加した『ラファール・インターナショナル』が販売と輸出を担当する。ユーロファイターのタイフーン戦闘機もエアバスを中心にロールスロイス(イギリス)、MTU(ドイツ)、アレニア(イタリア)などが集まって『ユーロファイター有限会社(GMBH)』を作って生産や販売などを担当する。

戦闘機を媒介に多数のヨーロッパ企業が株式を保有したまま開発と生産、販売に参加して収益創出のためにリスクを分担して販売を促進する効果を得ている。ドイツやイギリス、フランスなどヨーロッパ各国の政府も直・間接的に自国防衛産業企業に対する株式を持っている場合が多い。政府もリスク分担に参加する訳だ。

KF-Xも同じだ。100km離れた所にある敵を攻撃する能力を備えた戦闘機の開発は国内で初めて進行されるのだ。戦闘機開発の経験が無い中堅企業であるKAIとしては負担が大きい。

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▲韓国型戦闘機(KF-X)に搭載されるF414エンジンが去年10月に開催されたソウル航空宇宙及び防衛産業展示会(ADEX)でハンファブース前に展示されている。


実際の飛行試験で発生する様々な問題点を迅速に解決して、販売増大のための基盤を用意するためにもハンファエアロスペース、ハンファシステムなどKF-Xに構成品を納品する国内外の防衛産業企業を集めて『KF-Xインターナショナル』を作る必要があるという指摘が出る理由だ。政府もKAIの株式を持っているので、KAIを通じて間接参加することができる。これはKF-Xに信頼を持つことができない潜在的購入国の不信を下げる効果もある。

現在KF-Xの開発は戻ることができない段階まで進入した状態だ。空軍の戦闘力を強化して航空宇宙産業の発展に肯定的な影響を与えようとすれば、先端航空武装の装着とリスク減少戦略が必須だ。空軍やKAIなど防衛産業業界の動きに関心が集中する理由だ。


開発だけで8兆6000億ウォン〔約7700億円〕が必要となる超大型事業であるだけに国内外的な関心も高い。

F-35は開発に約4兆円、ユーロファイターは約2兆円くらいらしい。
KF-Xはこれから試作機も作ってって…7700億円からどれだけ膨らむか。