愛知県自閉症協会・つぼみの会は名古屋市教育委員会に、今回の支援級担任による暴力事件の件で、12月1日に要望書を提出しましたので、こに掲載報告いたします。



平成27年12月1日

名古屋市教育委員会
教育長 下田一幸 様

特定非営利活動法人
愛知県自閉症協会・つぼみの会
理事長 本山信彦



■千種区の名古屋市立中学校特別支援学級担当教諭による生徒への暴力報道を受けての改善要望


 名古屋市千種区の中学校における「自閉症の生徒に暴力」を伝える報道に接して、名古屋市のみならず全国の自閉症児の保護者ならびに支援者は大きな衝撃を受けています。
 私ども愛知県自閉症協会・つぼみの会は設立以来48年以上に渡り、自閉症児・者とその家族の幸せを追求し、行政や教育委員会の方々とともにさまざまな活動に取り組んで参りました。今回、なぜ言語道断と言える暴力行為になったのか真相を究明し、二度と起きない方策を講じて実行することを求めます。
 
そのため、下記のとおり、当会から要望をいたします。貴職におかれましては、真摯にご対応いただき、平成27年12月26日(金)までに、対応の経過と改善方策について文書にてご回答いただきますようお願いいたします。


 
          記


1 本事件への対応

(1)真相解明
 中日新聞(平成27年11月17日朝刊)が報道した事件の真相を調査解明してください。調査結果を公表してください。

(2)被害児のケア
 自閉症がある者は、記憶が場所と結びつきやすく、暴力を受けるなどあった場所に行くと記憶が生々しく蘇り、体調を崩すことがあります。信頼していた「先生」から殴られたショックはどれほどつらいものか、想像に難くありません。被害を受けた児童の心のケアを行なってください。

(3)安心できる学習環境の整備
 報道によると、別の児童も当該教諭から暴力を受けていたとあります。「必要な指導」として暴力を振るうことが日常化していたのではないかと疑念をいだいています。在籍児童たちが安心して学べるよう早急に学習環境を改善することをお願いします。

(4)加害者の責任
 加害を行った教諭について、厳正な処分を求めます。

(5)監督責任者の責任
 学校長を始めとして、特別支援学級の運営について責任を有する者の責任を明らかにし、見て見ぬふりや監督不行届が放置されないよう厳正な処分を求めます。

(6)教育委員会としての責任
 教育委員会として、当該学校において学校内での虐待防止措置の徹底(後述)について責任を果たしていたかどうかについて検証し、責任を明らかにしてください。

 
2 学校内での虐待防止措置の徹底
 この事件を契機として、名古屋市教育委員会として、障害者虐待防止法29条に定める「就学する障害者に対する虐待の防止等」が十分に講じられますことを要望します。

(1)現在の防止体制の検証、改善
 学校については、障害者虐待防止法において、自主的な虐待防止の措置をするものとされており、その内容は、1.研修の実施、2.普及啓発、3.相談体制の整備、5.虐待に対応するための措置などです。現在の市立学校においての虐待防止体制はどのようになっているのかについて、ご教示いただきたい。
 また、現在の虐待防止体制を検証していただき、不十分な部分について改善をお願いします。

(2)全校調査、保護者アンケートの実施
 学校内で、他にこのような虐待が行われていないかについて、特別支援学級および養護学校において全校調査の実施を要望します。あわせて、保護者アンケートの実施を要望します。

3 特別支援教育の質向上

(1)教員の質向上
 教員をはじめとする教育関係者が自閉症や発達障害について正しい理解をすることと、支援のスキルを身につけて実践していただくことが必要だと感じています。当会や、名古屋市発達障害者支援センターが主催するセミナーなど、理解や支援に向けたさまざまな既存の機会があります。まずは、既存の仕組みや機会を最大限に活用すること、さらに強化する仕組みを作り、教育関係者ひとりひとりが実践していく方策を講じてください。

(2)学校全体としてのバックアップ体制
 自閉症・発達障害などの障害のある児童生徒への教育は、専門性と経験を必要とします。担任に任せきりにして、孤立をさせることで、教諭を追い詰めて強引な指導につながることがあります。学校長を始めとして、特別な教育ニーズをもつ児童生徒に対する教育をバックアップする体制を築くことを要望します。

(3)「個別の教育支援計画」「個別の教育指導計画」の活用、保護者、他の専門家との連携
 虐待行為に至らないための予防として、児童生徒の個別の状況を把握していることは絶対条件です。教員と保護者、医療、福祉との連携のツールとして、個々の本人の特性の理解・把握の上での指導計画、支援の組み立てがなされるよう、「個別の教育支援計画」、「個別の教育指導計画」の作成内容の充実、活用を要望します。

(4)名古屋市特別支援教育連携協議会の設置要望
 教育は教育関係者だけでということではなく、当事者団体や福祉関係部署とも深く連携して取り組んでいただくことを強く希望します。当会としてできるかぎりの協力を惜しみません。
 名古屋市の特別支援教育をより良い内容にしていくために、名古屋市教育委員会が、障害当事者家族団体も参画する「名古屋市特別支援教育連携協議会」を設置することを要望します。



(参考)
障害者虐待防止法29条
(就学する障害者に対する虐待の防止等)
第二十九条 学校の長は、教職員、児童、生徒、学生その他の関係者に対する障害及び障害者に関する理解をする障害者に対する虐待に対処するための措置その他の当該学校に就学する障害者に対する虐待を防止するため必要な措置を講ずるものとする。

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