古くて新しい世界に誇れる青森の郷土料理

後世に伝えたい、残したい、先人の知恵が集約された多種多様の食材と類まれな青森の食文化をご紹介いたします。 料理本や教科書に登場する事の無い古くて新しい青森の魅力ある料理の数々を ご覧下さいませ。

生白魚のお刺身

590{小川原湖産生白魚刺身。}
青森の東側に位置する小川原湖の特産品に白魚があります。データによると日本一の漁獲量を水揚げしているそうですが、ほとんどの青森県人も知らない統計になります。
天然うなぎ、公魚、ゴリ、蜆、藻くず蟹などが水揚げされていますが、青森県の西側津軽地方では小川原湖の幸はあまり出会うことのないものであります。
9月ごろになると、画像のサイズの小さな白魚が鮮度抜群で青森市の市場にお目見えします。
小川原湖周辺では踊り食いも出来るのかもしれません。
透明でバリッと一体ずつがパックに詰められ、それをサッと水洗いをして少し柑橘を利かせた出汁醤油でいただくのがなかなか乙です。
市場に観光の方々がお出でになってその白魚をずいぶん所望するらしく、魚屋さんとの話では「たぶん、白魚と知らなくて、静岡とかのシラスと勘違いしているのでは?」という結論になりました。
シラスは鰯の幼魚ですが、白魚は白魚のままです。春先になると小指ぐらいまで大きくなるもので、卵とじや一本上げで天ぷらなどにするものです。踊り食いにするものは素魚(シロウオ)でこれまた別種のものです。
が、なかなか毎日魚を扱っている人でなければ覚えるのに苦労する話かもしれません。
このサイズ以上のものを生食するとちょっと口ざわりが気になりますので、このサイズをお蕎麦でも食べるようにズッとすするとちょっとだけ玄人感があるでしょうか?


紫菊のお浸し

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{紫菊のお浸し。}
東北では秋の菊を食するのは当たり前のことですが、
青森で多く食べられているのは黄色い菊で、有名な品種は
阿房宮(あぼうきゅう)という黄い菊です。
紫色の菊は「もってのほか。」という呼び方をします。
青森ではなぜか紫の菊だけを「もってのほか」といいますが、
聞くところによると山形のほうでは菊全般を「もってのほか」というと
聞いたことがあります。
どうやら、どこかの紋章が菊の紋なのでその紋章を食べるとは
「もってのほか」ということで、その様な呼び方をするというらしいです。
どちらにしても、お花を食べるという文化はとても素敵な文化ですから、
その様な食文化の中で生まれ育ったことはとても恵まれたことと自分は感じます。
菊の品種によって歯ざわり香り甘味などの味わいは変わりますが、
全般的に菊は独特の香りと苦味は大人の味わいです。
年を重ねるほど、人生で苦しみを味うほど苦味がご馳走になり、
茗荷や山葵や芥子などの苦味を美味しいと感じるようになれば、
大人の仲間入りといえるかもしれませんね。

津軽割烹店主話もご覧ください。http://www.tk-mirai.com/
ヤフーブログ‘食の桃源郷 青森’もご覧ください。http://blogs.yahoo.co.jp/tugarukappoumirai/25149827.html

菊のお浸し

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{我が家で取れた菊のポン酢掛け。}
青森の秋の風物詩の味であります菊のお浸し。
その歯ざわりと香り、独特の苦味と甘味はとても美味しいものです。
秋を感じさせる郷土料理の一つですが、たっぷりのお花だけを
食べると言うのは、とても素敵な風習だと個人的には思います。
特別史跡の三内丸山遺跡のお墓からも分るように、太古の縄文人も
お花を手向けてきたように、お花と人との関係は深いものでしょう。
多分、東北ではポピュラーなものと思いますが、関東から西南では
菊をたっぷり食べる風習は無いものと推測いたします。
関東から来れれたお客様にお勧めしても最初は「えっ!」と言う顔をされます。
向こうではお刺身の脇に飾り程度でほんの少しあしらっている程度で
菊の醍醐味を味わうと言うことは無いでしょう。
「こんな美味しいものを秋に味わえないなんて不憫だな~。」と感じてしまいますが、
気候風土的にも春夏秋冬がはっきりしていて秋の平均気温が10℃前後のところ
でなければたくさん菊が出来ないのでしょう。
一説によると新潟だか山形の方では菊を‘もってのほか’と呼ぶらしく、
伺ったところ、ある御大家の紋章が菊であることからその紋章を食べるとは
「もってのほか!」と言うらしいとの事。
青森では特別そのように言うこともなく、ただ‘黄菊’とか品種で‘阿房宮(あぼうきゅう)’が
知名度があるので‘阿房菊’などといいます。
どんな菊でも大抵食べる事が出来るのですが、美味しいのは大輪に咲く
一般的には観賞用の菊が甘くてとっても香りが良く美味しいものです。
なかなか食べる機会はありませんが・・・・。
収穫時期になるとゴミ袋一杯に貰ったりするので、食べるのに忙しいですが、
津軽の先人たちは、同じ時期に取れるキノコやほうれん草と和えたり
多種多様な食べ方を編み出しております。
花の真ん中は苦いので、真ん中を残して花をむしり、たっぷりのお湯に
多めにお酢と塩を少々入れて湯がきます。お酢を入れないとどす黒く茹で上がります。
茹でた菊は水に落とし、冷やして被る位の水に灰汁抜きで泳がせておきます。
食べる時に水気をギュッと搾り、ポン酢をかけたり、一昔前までは酢醤油で
食べたものです。
今年は秋が暑かったので菊も少し日焼けしてるものが多かったですね。
  

津軽割烹店主話もご覧下さい。http://www.tk-mirai.com/
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玉菜とマイカの漬物

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{玉菜(キャベツ)とスルメ烏賊の漬物}
食材に恵まれた環境と数ヶ月豪雪に覆われる気候風土という津軽地方。
神に祝福された土地とはこのような条件を言うのではないかと個人的には思うものであります。
どんなにロケーションがよくても食べるものがサッパリダメだとか、
雪がなくて寒くもなくて過ごしやすいけど、水も空気も食べるものもパッとしないとか、
そこそこ食の条件をクリアーしていても災害が多いとかだと‘神のおぼしめし’とはなら無いでしょう。
そんな条件の中で生まれてきた類稀な食文化の津軽の郷土料理の漬物文化の多さは
右に出るものは無いでしょう。
漬物に海産物をふんだんに使う文化はなかなかお目にかかれません。
魚とお米を漬けた保存食は見受けられますが、浅漬けでも慣れ漬けでも魚介類を
多用するのはそれだけ天然海産資源・農産物に恵まれた土地ならでわでしょう。
今回ご紹介する漬物も「これだけで、ご飯にも酒の当てにもいいかも・・・。」
と思ってしまう味わいの‘玉菜とイカの漬物’です。
丼一杯食べれる飽きさせない美味しさは、ご飯や味噌汁の合いの手という
漬物の位置付けを飛び越し、世界に誇れるすばらしい津軽のご馳走です。
なぜか津軽ではキャベツは玉菜(玉の菜っ葉だから)になったのに、
白菜は白菜のままなのは世界の七不思議に数えられるかもしれませんね。
作り方はマイカのシーズンが終盤に掛かった頃、津軽では玉菜が旬になります。
マイカは冬のヤリイカとのバトンタッチをする頃で体格も大きく、刺身には大味に成り、
夏のサッパリしたシコシコ感もなくなってくるので、加熱した方が美味しい時期です。
その為、鮮度抜群お刺身で食べれる程の鮮度でも、ゆっくり茹でて、一口大に切り、
御酢を絡めて置きます。
彩と爽やかさのために、人参生姜の千切りを用意します。
玉菜は洗って、ザクザクと切り、一度水に落としてシャキッとさせます。
そこそこ水切りしたら、大き目のボールにイカ・玉菜・人参生姜・輪唐辛子に塩を加え
混ぜ混ぜします。ここでお塩の代わりに三五八(さごはち)漬けを利用してもいいでしょう。
三五八とは塩・麹・もち米をその割合であわせた調味料の素の様なもので、
東北日本海側ではお馴染みのものです。今で言う塩麹でしょうか?
調味料の塩梅がいいと、馴染ませて2時間ほどでも置くと食べれます。
2~3日置くとイカの旨みも出て、玉菜とイカの甘味が絶妙に絡み合い、
パクパクいけるでしょう。
このような料理を作る人も評価できる人も少なくなっているご時勢は虚しいものです。


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津軽平野産葉唐辛子の佃煮

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{葉唐辛子の佃煮}
作っていて「秋だな~。」と感じる料理の一つです。
夏の野菜類も終わりに近づき、稲刈りも始まる頃からお目見えする葉唐辛子。
あまり一般には売られていない食材ですが、青森の昔ながらの市場の八百屋さんや
道の駅などにお邪魔するとお買い求めいただけるでしょう。
農家の皆さんは畑の空いたスペースに、冬の漬物などを漬け込む作業に必要な
唐辛子を育てておくものです。
そんなに手間隙掛かる作物でも無いですから、家でもそうですが黙っていても
育ってくれる優れものです。
育った唐辛子の青いうちに獲り、葉は一枚ずつ切り離し、唐辛子の実と
葉を別々にしておきます。葉は洗ってサッと茹で、水に落とし水切りし、
大まかにザクザクと切って、鍋に移します。
唐辛子の実を葉っぱの量の十分の一程度刻み入れ、八方出汁を注ぎ、
火に掛けクツクツと煮含めます。
自分はあまり煮込みません。大体火が入ったなという程度にとどめます。
その方が葉唐辛子の独特の苦味と香りを楽しめ、ちょっとピリ辛のところが
食欲もお酒も進めてくれます。
葉っぱ自体に辛味はありません。入れる唐辛子の実の量で辛さは調整できます。
自分のちょうどいい塩梅に辛味を調整し、ご飯のお供、酒の肴にするのが
この時期の楽しみです。
家庭ではどちらかと言うと、唐辛子のみではなく、ここに時期もののイクジ(アミガサ茸)や
黄菊や茗荷、粗め昆布などを加え、津軽でいう秋の‘塩辛’などにして濃い目の佃煮にして
食べる事が多いでしょう。
まだ、母親の料理を頬張っていた頃、秋の塩辛が食卓に出たときは、熱々ご飯に
塩辛をたっぷり乗っけて、口に駆け込んだものでした。
その向かいで親父は余った唐辛子の実を醤油で煮付けたり、炙ったりして、唐辛子の端をかじりながら
「辛い、辛い。」と言いつつ、熱燗をちびりちびりとやっていたものでした。
今はお店でこの料理をお出ししても、ご理解いただけることは少なくなりました、
それだけ衰退していく郷土料理の一つかもしれません。
唐辛子は全国的にもあるものですから、各地で似た料理はあると思いますが、
菊やキノコ、茗荷や粗め昆布などなど具沢山に入る葉唐辛子料理は数少ないかもしれません。
スーパーでも見かけることは無い食材ですし、葉っぱを選別する作業も時間がかかるものです。
けれども、この絶妙な味わいとしみじみとした美味しさは何か神経をくすぐる楽しさがあるものです。

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