2005年01月28日

アスリートから実業家へ供Californiaの剣士−e-bogu.com

6160fa8d.jpg井橋@TUGです。

 前回のコラムでは、NBAスターのマジック・ジョンソンを紹介しました。ダウンタウンなどの商業環境を改善するというミッションの実現に向けて、アスリートとしてのブランドをビジネスブランドに転換し、したたかに、そして忍耐強く事業を展開する彼の姿を通してビジネスの可能性の奥深さを感じました。

 今回は、交換留学中にインタビューさせて頂いたカルフォルニア州トーランスの起業家、有賀太郎さんをご紹介したいと思います。
 会社名はe-bogu.com Inc.、インターネットを通じてマーシャルアーツ(武術)道具を世界中に販売しています。2004年の売上高が約3百万ドル(前年1.4百万ドル)、スタッフ10人の事業規模で、最近は映画「ラストサムライ」「キルビル」のヒットが寄与して居合刀や袴の売り上げも伸びているそうです。昨年は、大河ドラマ「武蔵」の米国放送の合間に同社CMを流すなどユニークなプロモーションも行っています。

 e-bogu.comのこれまでの成功は、有賀さんのアスリートとしての評価と人的ネットワーク、そしてビジネスモデルを進化させたSCMの知識に因るところが大きいと考えられます。

 有賀さんは一流の剣道アスリートです。日本、ブラジル、カナダで剣道を習得し、国際大会においても上位入賞を多数獲得、近年はカナダ代表チームのキャプテンも務めています。カナダの大学卒業後に日本IBMに就職したのですが、その間も世界中の剣道アスリートと日本の剣道防具店との仲介役として、海外からの高品質防具・竹刀などへの需要に積極的に応えてきました。こうした、多忙な仕事のあいまに友人からの要望になんとか応えてきた経験が、その後渡米し起業に至る大きなきっかけになっています。起業後は、この友人剣士のネットワークを通じて、e-bogu.comは米国含め8カ国に事務所を拡大しました。

 また有賀さんのITコンサルタント(日本IBM、Deloitte & Touch)としての知識・経験もe-bogu.comのビジネスモデルを進化させました。同社は高品質商品を破格の値段で提供しています。例えば、上級者向けの防具一式は日本では100万円相当ですが、同社は同じ商品を約3,000ドルで提供しています。日本の防具メーカーが中国・韓国といった低賃金国へ製造部門をシフトしている背景の中で、同社は、韓国系共同経営者の人脈などを通じて、これらの国の製造工場と直接供給契約を結びました。そして、工場との間にSCMシステムを構築し、顧客からの受注窓口であるインターネットサイトに自動応答システムを導入して、運営の機動性・効率性を高めました。こうした事業基盤が低価格戦略におけるマージンを保障し、本社・物流センターを移転拡大した後も借り入れはほとんどありません。

 このようにe-bogu.comは、有賀さんのアスリートとしての高い評価・信頼、それが生む人的ネットワークを絶対的な競争優位として、そしてそれを活かすビジネスモデルに彼のSCMの知識が大きく寄与して、潤沢なキャッシュフローと高成長を実現しました。

 今後は、2003年から武術全般に商品レンジを拡大したことで、空手道具流通大手のGolden Tigerなどとの競争、新カテゴリー商品の供給元・マーケティング先の開拓などの課題が考えられます。一方で同社は、日本の螢錙璽襯疋▲好蝓璽肇汽檗璽函紛手チャンピオン国分利人がCEO、百以上の道場を運営)との独占契約を獲得するなど、次の手を着々と打っています。総合武術道具プロバイダーとしての同社の成功は、SCMをより洗練させ、アスリートの評価に加えてマネジメントの評価・信頼を更に上げ、そしてグローバルネットワークを発展させていく、このプロセスの成功にかかっていると考えます。

井橋 英蔵(いはし えいぞう)
TUG - -Passion for the Next

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