2005年03月17日

上海市場におけるドイツのブランド力

こんにちは、木場雄一郎です。
卒業式まであと10日あまり。私は既に新規ビジネスに全力投球中です。

これまでにもご紹介しましたとおり、私の新規事業は中国マーケティング支援
のためのコンサルティング及び関連機能の提供です。
上海オフィスの準備も終わり、来週から稼動し始めます。私も月に2,3回のぺ
ースで出張しております。
中国ビジネスに興味をお持ちの方にピッタリなメルマガをスタートしました。
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今日は、上記メルマガの明日配信予定分からお届けします。


 修士論文執筆のため、昨年秋に上海消費者に外国ブランドについてのインタ
ビュー調査を行いました。調査の目的のひとつに、上海消費者が外国ブランド
の原産国をどの程度細かく認識しているかを知るというのがありました(この
調査については、以前のコラムでも触れた記憶があるので、内容が重複してい
たらスミマセン)。

 インタビューでは日本、中華圏(中国大陸、香港、台湾)、欧米の3地域に
ついて消費者の認識を調査しました。特に中華圏と欧米については私なりの仮
説を持って調査に臨みました。

中華圏についての仮説
 香港と台湾は中国大陸と同じ中華圏に属し、中国政府の主張では「ひとつの
中国」であるが、香港はほぼ1世紀に渡りイギリス領として、イギリス流の社
会・経済システムを基礎に発展した地域である。また台湾も半世紀以上にわた
り独自の社会・経済システムにより近年急成長を遂げた地域である。
 これら地域は中国大陸が経済発展を始めた1990年代初頭には、すでに先進国
並みの経済力を持っており、中国大陸の消費者から見れば、外国のような感覚
で香港・台湾ブランドを見ているのではないかというのが私の仮説であった。
 しかしインタビューの結果、中国消費者は香港・台湾ブランドも中国ブラン
ドであると認識しており、私の仮説は間違っている事が分かった。

欧米についての仮説
 外国についての情報が、まだ先進国ほど豊富でない中国では、消費者が特定
の国やブランドに対する情報を十分に持っておらず、もう少し大きい範囲(地
域など)でイメージ形成しているのではないか。つまり欧米各国それぞれのイ
メージではなく、アメリカとヨーロッパ、あるいは日本の消費者もかつてそう
であったように外国=アメリカというようなイメージを持っているのではない
かというのが私の仮説であった。
 インタビューの結果、私の仮説はほぼ正しい事が分かったが、同時に大変興
味深い発見があった。上海消費者のドイツに対するイメージである。


上海におけるドイツのブランド力
 上海におけるドイツのイメージは高い。国を挙げて中国市場へ積極的に進出
しているドイツは、いち早く自動車の合弁生産を開始し、フォルクス・ワーゲ
ンのサンタナは上海スタンダードともいえる車種となり、街中を埋め尽くして
いる。またグループ企業であるアウディも高級車として中国市場でのイメージ
が高く、共産党幹部が好んで乗るブランドとなった。一般の消費者にとっては
BMWが憧れの車ナンバーワンである。
 上海消費者のドイツ志向は自動車だけではない。家電ブランドのブラウンも
高い認知度を誇り、上海市内を走る地下鉄や、最先端都市を象徴するリニアモ
ーターカーはシーメンス製である。
 ドイツは日本が得意とする家電、工業製品などにおいて、日本を上回るほど
の高いブランドイメージを獲得することに成功しているのである。

 またドイツはヨーロッパの国として、情緒的イメージにおいても高いイメー
ジを持っている。インタビューやアンケート調査から上海消費者が欧米ブラン
ドに対して高い情緒効用イメージ(豪華さなど、効用の度合いが定量的な尺度
で計測不可能なもの)を持っている事が分かったが、上海の消費者はヨーロッ
パの一員であるドイツに対しても高い情緒効用イメージを抱いていることが分
かった。同じ工業国である日本とは、この部分が大きく異なる。


 以前にもご紹介した「効用イメージ・マトリックス」に当てはめると、ドイ
ツは機能効用イメージ、情緒効用イメージ共に高い「ダイヤモンド」の位置に
あるといえる。日本ブランドがドイツに立ち向かうには、情緒効用イメージの
強化が欠かせないといえる。


木場雄一郎

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