2005年03月18日

AACSBの面談を受けて−KBSの国際的多様性

こんばんは、井橋@TUGです。

先日、KBSでAACSB International(The Association to Advance Collegiate Schools of Business)の面談に参加してきました。AACSBは、ビジネススクール(以下BS)の国際認定機関です。現在同校は認定の更新にあたって再審査を受けており、その一環として学生数人が面談を受けたのです。この面談で議論に挙がった“BSにおける多様性”について今回考えてみたいと思います。


AACSBは、認定の意味についてHPに以下のように記述しています。

AACSB International accreditation assures stakeholders that business schools:
・Manage resources to achieve a vibrant and relevant mission.
・Advance business and management knowledge through faculty scholarship.
・Provide high-caliber teaching of quality and current curricula.
・Cultivate meaningful interaction between students and a qualified faculty.
・Produce graduates who have achieved specified learning goals.
(AACSB International, 2005)

審査では、他のBSの学長または同等クラスの審査員が評価・アドバイスを行います。上記HPによれば、現在、日本でその認定を受けているのはKBSだけのようです。認定の意義について議論はあると思いますが、他の日本のBSが認定取得を失敗している例を聞くと、とりあえず同校は一定基準はクリアしたという程度は考えていいと思います。

上述の“BSにおける多様性”に話を戻します。面談では「KBSではもっと多様性を高めるべきではないか」といった学生側の意見が議論を呼びました。多様性の尺度は様々ですが、今回は学生の国籍(国際的多様性)に焦点を絞って、国際交換留学生の受け入れ授業に関わる事例を考えます。

KBSの授業のほとんどは日本語で行われているため、約30人の交換留学生を受け入れる冬学期にはIP授業と呼ばれる英語で行われる授業がいくつかあります。しかし、KBS学生で履修する人は少なく、クラスによっては日本人がほとんどいないものもあります。様々な要因が考えられますが(英語が不得手など)、日本人学生の興味を惹く議論を導く授業が少ないという理由が比較的多く、そしてより深刻な問題です。

日本語教育が中心であるKBSでは、各学年90人前後の学生のうち留学生は1割以下です。また、交換留学先の数は比較的充実していますが、家庭の事情等で断念する学生も多くいます。こうした状況を考慮すると、KBS学生にとって、IP授業は、日本外での就労・学習経験をもつ学生達と議論できる貴重な場であると考えられます。もちろん授業外で学生が交流する活動も多くあります。しかし学習の効率性という観点から考えると、KBS学生と交換留学生がひとつの場所に集まり指定された議題について集中して意見交換を行うIP授業という場は、日本以外のビジネスを巡る実情や考え方について、最も効率的に学ぶことができる場です。

こうした効用を考慮したIP授業の改善も学校側は考えるべきです。日本人学生も新しいことを学べる授業を設計するために、具体的には、
・ 日本人学生が交換留学生と議論を交わしたいと考えているトピックを積極的に授業に盛り込む
・ 日本を紹介するレクチャーといった部分は効率的に片付ける
・ 日本語授業と重複するケースはなるべく避ける
などの改善策が検討できると思います。私もIP授業に参加していますが、授業中に「あの日本人同級生がいればもっと議論が深まるはずなのに」といった思いをすることも多々あります。また、先生が意図的にKBS学生の意見をじっくり聞く授業では、交換留学生の満足度も高まっている例も見られます。つまり、授業の進行速度を犠牲にしながらも、日本人学生の議論参加をより促すことによって、日本のビジネスに興味をもつ交換留学生の満足度も上がるという副作用の可能性も期待できるのです。

今回は“BSにおける多様性”というトピックの中でも、IP授業の事例に絞り、KBS学生の効用の観点から、そして学校側の施策だけを考えました。ただこの事例だけを考えても分かるように、KBSにおける国際的な多様性を高めようとする場合、日本語によるMBA教育という同校の基本方針を考慮した独自の施策が必要になります。つまり、KBSが母国語によるMBA教育の効用を重視しそれに期待する学生が多く集まっているという文脈を考慮すると共に、BSとして時代に即した国際的観点を養う場を提供する必要性も考慮しなければならないという課題を解決するための、独自の教育体制を創っていかなければならないのです。単純に海外BSのケース・授業スタイルを導入するのではなく、学校・先生そして生徒が、BS教育の中心である授業内の議論において、仮説・検証・修正のサイクルを繰り返すなかで独自の施策を創造していくことを期待します。

AACSB International、http://www.aacsb.edu/



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