2004年08月24日

著作権をめぐる動き

井橋@TUGです。

日本でもiPod miniが発売されて、東京・銀座の直営店「アップルストア銀
座」には午前10時の開店までに、約1500人が行列を作りました。これ
をきっかけにハードディスク搭載の携帯デジタル音楽プレーヤーの普及も一
気に進むかもしれません。
現在私がいるトロントのサマーセッションでも、10代後半から20代前半の学
生の多くがMP3プレーヤーを毎日聞きながら通学してきます。数人の学生と
、日本でファイル共有ソフトWinnyの開発者と同ソフトの違法利用者が逮捕
された話をして、ファイル共有ソフトによる音楽などの違法公開の話をする
機会がありましたが、「何が悪いんだ。友達もやっているし、自分自身やろ
うと思っていた。」という答えが返ってきます。彼らの口からは、eDonkey
、Bit Torrentなどの名前が次々に出てきます。

映画・音楽業界とファイル交換ソフト開発者との訴訟争いが長期化している
中で新しい動きも見られます。

Creative Commons (creativecommons.org)は、著作権の代替としてより実用
的な権利を模索しています。グループのmission statementによれば、「著
作権ではinnovationとprotectionを同等に扱い、balance、compromise、
moderationといった考えがこれを支えてきたが、この考えは現在危機に面し
ている。Creative Commonsはこの考えを再生させようとしている。我々は、
"独自の権利"を活用して、特定の用途に対しては創造的作品を公開する。」
となっています。通常copyrightでは全ての権利が保護されますが、
Creative Commonsは、利用者が利益を得ない限り、これらの一部を公開しよ
うとしています。これらの権利は既にいくつかの国で取得可能になっていま
す。

BBC (the British Broadcasting Corporation)は、彼らが保有する記録物の
一部を一般に公開しようとしています。自然科学の歴史に関わるドキュメン
タリーを始めとして、2,000作品ほどを今秋からダウンロード可能にする予
定です。こうした動きの理由として彼らは、公共の放送会社としてBBCは人
々の共有物であると考えていること、を挙げています。

8月20日、米連邦控訴裁は、GroksterやMorpheusなどのファイル共有ソフト
を合法と判断し論議を呼んだ下級審判決を支持しました。この判決によって
、PtoPソフトユーザーの行為を理由に、ソフトウェアの開発/提供元である
企業の業務を停止させることができなくなります。これを受けて、ファイル
交換ソフトKazaaの開発元である豪Sharman Networksを支持する弁護団は、
「米国の娯楽業界の幹部らも今やPtoP技術を認め、ソフト開発者らと連携し
て同技術の商用化に取り組まなくてはならない。(米国の娯楽業界は)今こ
そ、弁護士から事業を取り戻し、デジタル配信の未来に向けて事業を進める
時だ」と述べています。

これに対する娯楽業界はお互い様子見の状況で訴訟以外の対応は鈍く、ファ
イル交換ソフトの猛威を前にして、ゲーム理論でいう囚人のジレンマに陥っ
ているようにも見えます。しかしこうしたソフト開発者だけでなく、それを
取り囲む動きも日々変化しています。今後いずれかのプレーヤーの動きをき
っかけに、著作権をめぐる娯楽業界の対応はおおきく活性化するかもしれま
せん。

井橋 英蔵(いはし えいぞう)
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