2004年11月25日

音楽配信サービスビジネスと利便性

こんばんは、松森@TUGです。

前回iPodについて取り上げましたが、パソコンで音楽を楽しむ行為は近年広まりつつあります。音楽CDや配信サイトから楽曲を取り込み、オリジナルCDを作ったり携帯プレーヤーに転送したり。今回は、前回の補足的コラムとして音楽配信サービスについての議論をしてみたいと思います。

先日、MaicrosoftがWMP上で音楽配信をスタートさせるなど楽しむ機会が増えている一方で、われわれの趣味娯楽の生活において今後問題となってくることがあります。それは、こうした配信される音楽データや著作権技術で各サービス独自のものが採用されているということです。つまり、楽曲を購入したパソコンでしか利用しないという場合はいいですが、携帯プレイヤーやネット家電でも再生しようとした場合、他のサービスからの乗り換えが難しいという問題が起こってきます。

実際iTunes Music Storeのビジネスモデルは、iTunes Music Store単体というよりも、Apple社のiPodの販促ツールとしての意味合いが強いようです。同社は、このサービスが長期的に多額の利益を生み出す可能性を持っているとは考えていないと語っていますし、現在のデジタル音楽ダウンロードの価格の約3分の2は、レコード会社やその他の著作権保有者に支払われており、楽曲ストア自体の利幅は薄いかマイナスだという指摘もあります。つまり、音楽配信サービスは単体で利益をあげにくくむしろ楽曲や携帯プレイヤーの販促ツールとして捉えられており、例えば、Apple社のiTunes Music Storeで購入した音楽データは、Apple社のipodでしか再生できません。Microsoft社のWMPの音楽配信サービスは、HDD・フラッシュメモリ等多数のプレイヤーで再生できるようになっていますが、最も普及しているiPodでは再生できません。

こうした現状は、デファクトスタンダード争いの一事例として考えることができます。互換性を無くし、乗り換えのスイッチングコストを押しあげることで自社顧客の囲い込みを図るというものです。現状では音楽配信サービスはさほど普及していませんが、今後の普及過程の中で、ある一社の音楽フォーマットが「公平な競争な結果、圧倒的なシェアを取った」場合、その音楽フォーマットが足かせとなり、ユーザが自由にサービスを選べなってしまいます。

このように、音楽配信サービスには非常に大きな可能性があると同時に、これから考えていく必要のある問題があります。仮にオープンではないフォーマットが主流になった場合、ある特定の集団が強い権限を持つ可能性が出てきます。これらの事に注意しながら次世代の音楽を楽しんでいく必要があるでしょう。


松森 重之(まつもり しげゆき)
TUG --Passion for the Next


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