これに関して、私は以下のように考えます。
全国知事会が公用車のカーナビ等についてNHK受信料の事実上の免除を要請したことは、単なる経費削減の枠を超え、現代の放送制度が抱える根源的な矛盾を改めて浮き彫りにした。
今回の要請の背景には、放送法が制定された1950年当時の前提が、現代において完全に崩壊しているという現実がある。
かつては「受信機を設置する=NHKを受信する」という図式が成立していたが、民放が普及し、多様なデバイスが存在する現在、この法解釈は技術的・社会的な乖離を生んでいる。
技術革新が加速するたびに法改正を行うべきだったにもかかわらず、制度は硬直したまま放置された。この不作為こそが、受信料制度に対する国民の不信感や矛盾の火種となり、NHK党の台頭を許す土壌ともなった。
かつての郵政省やNHKが、時代の変化に適応することを怠った責任は極めて重い。
また、1991年のWOWOW開局というスクランブル放送の実用化は、制度を抜本的に見直す絶好の好機であったはずだ。しかし、NHKは自己の利益を優先し、この転換期を無視した。
NHKは「公共性」を主張するが、国民の納得を得られない強制徴収に、一体どのような公共性があるというのか。
さらに混乱を助長しているのが、NHKの立ち位置の曖昧さだ。
多くの国民はNHKを実質的な「国営放送」と捉えているが、NHK側は法的・人事的な統制を嫌い、この呼称を否定する。
しかし、全国知事会が今回、行政としての「免除要請」を真っ先に行った事実こそ、自治体側もまたNHKを「国営的な性格を持つ組織」と認識していることの証明に他ならない。
現状、NHKは公共放送としての特権的な基盤に守られながら、国営放送としての責任(行政による管理や公平性)からは逃れ、既得権益を享受しているように見える。
時代に即さない放送法を盾にした身勝手な運用は、もはや許容される限界を超えている。今回の要請を機に、NHKのあり方を根本から問う議論を行うべきではないか。
