裕太君の自殺について、学校側と家族側の見解は大きく食い違う。
丸子実業高校の高木房雄校長は「先輩がからかうなどしたが、自殺の主な原因とはいえない」などと言っている。

「あの人はちょっとおかしいから相手にしないほうがいいですよ」というのが県教委職員の私への忠告だった。問題が発覚する前のことだが、これ自体異常だ。
こう言ったのは一人だけではない。県教委内部にこういう空気があった。

メルマガでは配信しなかったが、この件についてはブログで6日に「丸子実業高校一年生が自殺!学校、県教委、再三のSOS無視」
http://blog.livedoor.jp/tuigeki/
と短く一報を書いているので、これを読んでからこのメルマガ記事を読んでほしい。

私は高山さんから最初にメールを貰った次の日に高山さん宅に電話している。出たのは裕太君だった。最初事情をよく知らないので裕太君を聾唖者だと思った。
後で分かったことだか、ストレスから声が出ないようだ。のどというのは以外に心理的影響を受ける所だ。
喋り方を物まねされ傷ついたーという裕太君の自筆のメモが残っている。自殺の大きな原因だ。ブログに掲載してある。


私は、米澤修一教育次長と11月10日午後5時頃、電話で話している。
「最悪のケースになったらどうしますか?」と問うと、
「いやいや、そういう心配はしていません。大丈夫です」
と答えていた。言外におかあさんが騒ぎすぎているだけですよーというニュアンスが感じ取れた。

この「件」の経緯を見ていると、延長線上に悪い結果が待っているように私には思えた。年少者の自殺を報じるニュースと似ている点がいくつもあった。
しかし、教育次長にこうまで言われると私に押し返す術はない。

「件」に「事」が加わり「事件」になってしまった後、米沢次長をやっと捉まえ電話で話した。裕太君が死んだ6日の午後7時40分頃のことだ。
「この前言ったことを憶えてますか?」と聞くと、
「まだ、自殺と断定されたわけではないですから・・・」
唖然とする。確かにこの時点で断定はされていないが、この期に及んでそんなことを言うのかーと思った。
自殺でなければ、なんだというのだろう。まるで母親が何かしたようなことを言う。

断っておかなければならないが、米沢次長はそう悪い人ではない。本来は高校の教員でもある。異動で県教委に来ているだけだ。役人臭さもない。私が最初にかかわったときは係長クラスだった。(田中県政下ではよくあることだが)それがいつの間にか次長になって驚いている。物腰が柔らかく、威張るタイプではない。
表情もいつもにこやかだ。
ここに顔写真がある。
http://www.pref.nagano.jp/kyouiku/kyousoumu/kasyokai.htm

上の米沢次長の発言は私に気を許したせいかも知れない。だから、書くのをためらわないでもなかったが、事の重大さと、教育次長という地位の重さを考えて書いた。

裕太君の自殺の詳細を、母親のかおるさんに聞いた。自宅の自室で自転車の盗難防止用のチェーンをどこかに引っ掛け、それで首を吊ったという。自殺防止用に部屋のドアは以前から取り払っていた。そういう母親が子供にいったい何をするというのだろう。

夜中の4時か5時ごろ、ドスンという音が聞こえたような気がした。その時は見に行かなかったが、あの音がそうだったのか・・・・と悔やんでいた。
文章にすれば無味乾燥だが、こう語ったときの肉声は慟哭そのものだった。

学校や県教委は高山さん親子に「変り者」のレッテルを貼り、真剣に対応していなかった。こういう告発をするのは言ってみれば変り者だ。おとなしい人は泣き寝入りをする。そういう人は温厚で常識人だといわれるのかもしれない。

かおるさんは機械の設計士をしている。パソコンは得意だ。資料はメールで沢山送られてくる。私の所だけでなく、県や議員、相談機関、マスコミにもいろいろ送ったという。それを学校や県教委は、問題をあちこちに拡散する好ましくない
人物ーと捉えた。しかし、切迫した状況の中でこのようなことをするのは当然ではないだろうか。かおるさんは県教委がイメージしていた被害者像ではなかった。
じっと耐えて口数少なければ救いの手が伸べられていたのだろうか。
時代は変わっている。それと共に被害者の意識も変われば、行動も変わる。それに付いていけずに「変な人扱い」していたのではないのか。今どきの親がメールを使ってあちこちに問題を訴えるのは当たり前ではないか。

考えてみれば、学校や県教委は楽でいい。文句を言ってくるものには「変り者」のレッテルを貼り、痛めつければいい。おとなしい人は泣き寝入りをする。県教委のやっていることは、彼らは意識してないだろうが、見せしめだ。分かっているのだろうか。
高山さん親子のケースを同じような立場の人が見ているとどう考えるだろうか?うっかり学校側と争えないなーと思うだろう。

公務員の親はこういうことがあってもまず訴えたりしない。怪しいケースはいくつかあるが表面化しない。

ここである推論が成り立つ。いじめなどで告発をする人はごく一部ではないのか。自分の子供の責任を過大に感じて訴えない人は結構いるのではないだろうか。こういう場合は問題は表に出ない。こう考えると訴える人は確かに変り者かもしれない。しかし、その上にあぐらをかいている学校や教育委員会は正常なのだろうか?


長野県では、平成4年1月に飯田高校で生徒が同じ生徒を刺殺する事件が起きている。県はこれについて争い、裁判で負けた10年後にやっと謝罪している。殺された生徒の親の小野寺勝さんも最初は変な人扱いされた。これについての検証委員会が平成14年4月に設けられ、二度とこうした事件が起こらないようにーと1年間に渡り11回の会合が持たれたが、「結局役に立たなかったのではないか」と、かおるさんは言っている。
http://www.nagano-c.ed.jp/kenkyoi/sigoto/gyousei/iida/

この委員会の事務方だった職員が、今度の丸子実業高校の問題にも深くかかわっていた。一職員が、たまたまめぐり合わせで同じような問題を担当する立場になっただけかもしれないが、それだけにこの職員は過去の経験を生かして問題に対処すべきだったのではないかと思う。
私は5年も長野県政を取材しているので、この職員とも旧知だ。温厚で常識的な人柄だと思う。

だが、この問題の対応には問題があった。
裕太君が死ぬ前のことだが、「いや違うんですあのお母さんは特別なんです」と言っていた。特別だからこそ特別な対応をすべきだと思うが、長野県庁一般にそういう意識はない。行政として特別扱いはすべきでないーという論法が長野県庁では幅を利かせている。
今なんと言うか聞きたい所だが、こっちも向こうも時間がなくて聞けないでいる。

7日水曜日午後6時半ごろ県教委の直通番号に電話したが、何回呼び出し音がしても誰も出なかった。珍しいことだ。違う電話に掛けて、たまたま出た職員に聞くと、この日は定時退庁日だったことが分かった。以前から水曜日は定時退庁日だったが、皆なかなか帰らないので、通達が出て先週から一段と厳しくなったのだという。

生徒が自殺するーなどということはめったにあることではない。その時期にこの対応。お役所仕事の典型か。県教委では一応、残業してもいいか?とのお伺いを上に出したそうだが、議会対応以外は罷りならんーということだそうだ。

県教委にはこういった問題への対策課として「こども支援課」がある。
http://www.pref.nagano.jp/kyouiku/kodomos/kasyokai.htm
1997年1月、須坂市内の中学校に通っていた前島優作君(中学1年生:13歳)が「いじめられていた」という遺書を残して死亡した事件があったが、この中学生の父親の前島章良さんが課長になっている。
体験を行政に生かしてほしいーという狙いだったが、この前島さんも体験を生かすことができなかった。前島さんには高山さんの立場に立って貰いたかったが、私が11月中旬、前島さんと話したときには「我々はー」というものの言い方をしていた。内部の視点でものを言っていた。これでは外部から課長になった意味がない。

高山さんは前島さんを敵対視していた。前島さんが「自分も子供を亡くしているのでー」と話したことが高山さんには「あなたの子供は死んだわけではないでしょう」と捉えられている。
両者の感情の行き違いだろうが、期待されたことと逆のことが起こっている。

高山さんが電話しても出ないことがあったという。前島さんに確認すると「確かに夜2時ごろに掛かってきたことがあり出なかった」と認めている。認めてくれたことが救いだが、そういうことはあったということだ。夜2時ごろの電話が適当でないことは分かるが、高山さんのほうも普通の状態ではなかった。

丸子実業の校長は自殺の原因は家庭にもあると言っている。かおるさんは二年前に離婚している。そのことを指しているのだと思うが県教委側も、同じニュアンスのことを言っている。かおるさんは「離婚しているとものも言えないのか」と言う。こんなことを言い出す校長も県教委もおかしい。
実をいえば、前島さんにも同様の批判がある。家庭内の問題を苦にして優作君は死んだのだーという声がある。前島さんもそれは承知している。
「校長の言っていることはおかしい。対処したい」と前島さんは言っていた。

他にも細かい争いのタネはある。
県教委側は「高山さんがいろんな電話番号の電話から掛けてくる」と言うが、高山さんに聞くと、「私の電話から掛けると出ないので友だちの電話から掛けた」と言う。これは高山さんの友人にも確認したが事実のようだ。とにかく、互いに不信感剥き出しだ。

そういった中での冒頭の職員の忠告だった。それを鵜呑みにするほど私は初心ではないが、やはり影響を受けていたのだろう。ちょっと引いたのは否めない。悔まれてならない。

私の携帯にかおるさんから裕太君の死を知らせる電話があった時、最初実感がなかった。疑っていたのだ。県教委に確認してようやく事実だと分かった。自分の愚かさにあきれた。

「だから、あんなに言ったのにー。どうして書いてくれなかったのー」
かおるさんの言ったことが苦く思い返された。

裕太君は
「いつ新聞に載るの?明日?あさって?」
とかおるさんに聞いていたという。
かおるさん親子はあっちこっちのマスコミに訴えのメールを打っていた。こういう結果になるまで、どこもまともに取り上げなかった。

こういう問題のエキスパートといっていい日垣隆にもメールを打ったという。かおるさんは沢山のメールを打っているので、日垣隆に出したメールに、つい自分の名前を書くのを忘れた。そうしたらえらい剣幕で日垣隆に怒られたという。人にものを頼むのに名前も書いてこないような奴はロクでもない奴だーと言われた。

裕太君は「おかあさん、この人はダメだよ」と言ったという。

日垣隆は飯田高校殺人事件検証委員会の委員で、実質的に委員会を仕切り、被告席に座らされた関係者をいいように怒鳴り上げていた。日垣は中学生時代に自分の弟が学校側の不注意で死亡した私憤を委員会を利用してぶちまけただけではなかったのか。
これについての関連過去号はここから。10件出てくる。
http://tinyurl.com/dlz3m

なお、このこのメルマガに載っていることで分からないことがあったら、その言葉をこのページの【マガジン内検索】欄に入れて検索すれば関連過去号が出てくる。

この問題が表面化する前の11月中旬、県教委幹部に「日垣に突っつかれるより、私を相手にしていたほうがまだマシでしょう」と言うと、苦笑いしていた。

教育というのはいったい誰のためにあるのか?と思う。問題のあるものに「変り者」のレッテルを貼って済むのであればこんな楽なことはない。学校・県教委ぐるみで、文字通り首吊りの足を引っ張ったのではないか。

ブログ「田中県政追撃コラム&取材メモ」
http://blog.livedoor.jp/tuigeki/
ここに高山さん提供された資料が載っている。まだこの他にもあるが、技術的問題で掲載していないものもある。これから掲載していく予定だ。
この事件に関してはまだ書くことがある。取り敢えずこれだけ書いたーと思って貰いたい。

事件がマスコミで報道されてから、非常に多くのアクセスがある。ワイドショー番組が放送される時間帯にそれが跳ね上がる。一時間に300を超えることもある。修正→ 500近くいくこともある。アクセス検索システムから「丸子実業」「自殺」などの検索ワードで検索している人が沢山いることが分かる。

テレビで見て、インターネットで確認するーそんな人が多いのだろう。