怖くてできない、小沢事情聴取

西松建設の違法献金事件が大変な騒ぎとなったが数カ月後には、あれはなんだったのか─ということになるだろう。
いま取りざたされているのは、数百万円から数千万円単位のカネだ。政権交代前夜の覇権争いにしてはあまりに額がちいさい。もっと、ドでかいスキャンダルが選挙間近になってさく裂する可能性がある。数億から数十億円単位の話が飛び出せば西松建設の話などすっ飛んでしまう。そうなれば形勢は一挙に逆転だ。

東京地検特捜部が小沢一郎民主党代表の公設第1秘書大久保隆規容疑者をいきなり逮捕し、その後同じく元秘書の石川知裕衆院議員を事情聴取、さらには小沢氏の事情聴取も行われるのではないかといわれていたが、その後事態は沈静化している。

小沢氏は国策捜査だと検察批判を展開したが、検察は常に正しいと信じる国民が多数を占める現状では盛り上がりに欠けた。一旦は検察批判のトーンを下げたものの、検察の弱腰や自民党への飛び火を見越して強気の発言もしている。

検察の事情聴取を受けてもいいと発言しているが、これは検察への逆襲でもある。肝心の検察からは事情聴取に関するリーク情報がその後出ていない。
この事件に関して検察のリークが非常に多い。多すぎてわかりやすいぐらいだ。マスコミは検察の手先になっている。

民主党の西岡武夫参院議院運営委員長は樋渡利秋検事総長の証人喚問を検討すべきだといい、これに自民党は反発している。まるでマフィア映画のような展開だが、これにはマスコミも一枚かんでいることもあって扱いは地味だ。へたに騒ぐとマスコミにまで火の粉が飛んでくる。

1992年9月、当時世間を騒がせていた、佐川急便5億円ヤミ献金事件で、疑惑の人となった金丸信元自民党副総裁を検察が略式起訴ですませたことに抗議する男性が検察庁の看板にペンキを投げ付ける事件があった。黄色いペンキで汚された検察庁の看板は、文字通り検察の汚点の象徴で、その映像のインパクトは百万言に勝る影響力がある。
この映像を大量に流してもいいはずだが、なぜかマスコミはしない。検察に遠慮してのことだろう。

また2002年4月には、検察の裏金疑惑を内部告発をしていた三井環元検事がテレビ出演や週刊誌とのインタビューをひかえた直前に逮捕されたこともある。検察による口封じと批判をされた。
この際、こういったこともぶり返して大きく報道されるべきだが、そんなことをすると検察の不興を買い、リークにありつけなくなることを恐れるマスコミは検察にとって都合の悪い情報には極力手をつけない方針だ。


検察は、なにが飛び出すかわからない小沢氏の事情聴取など怖くてできないだろう。したとしても形だけのものになる。政治資金に関したことで何の問題もない政治家はほとんどいない。問題は与党である自民党のほうがより深刻だ。
小沢氏も元は自民党であり、政界暗部の裏の裏まで知り尽くしている。小沢氏はいま最大のピンチだ。あんまり追い詰めると苦し紛れになにを言い出すかわからない。小沢氏には超弩級の隠し玉が何個もある。返り血を浴びるのは自民党の方だ。

検察がへたに事情聴取などすれば、小沢氏は墓場まで持っていくつもりだった超弩級の爆弾を特捜部の懐で爆発させるかもしれない。野党第一党代表の取調室での供述を握りつぶすことはできない。事情聴取のあと、これこれこういった話をしてきました─とテレビカメラの前で話せば検察は動かざるを得ない。
そうなれば自民党も民主党もない。公明党にだって飛び火するだろう。政界全体が大激震だ。そんな危なすぎる爆弾の処理が、根は役人の検事にできるはずもない。
このときの主導権は小沢氏にある。自分にとって一番都合のいい話をするはずだ。

小沢氏はここで弱みをみせたら政治生命は終わりだ。死なばもろともで、みんなを道ずれにするぐらいの覚悟はとっくの昔にできているだろう。最初のうちは浮かれていた面々も、へたに追い詰めるととんでもない逆襲にあうことに気づいてか、このごろではトーンがぐっと下がっている。

小沢氏にしてみれば、他にもっとひどいことをしているやつがいるのに、なんで俺がこんなチンケなことで騒がれるのだ。それだったらもっとドでかいことを大っぴらにしようじゃないか!ということになる。