2022年12月29日
高僧像

作としては江戸時代後半の作か。
材は桐材で、木目も荒いものを使っている。
専門仏師が使うとも思えないような適当な材で彫られており、そうした場合、彫刻も粗雑な場合がほとんど。
しかし、この像は目鼻が欠けた中にも、彫刻の腕はしっかりとしたものを感じさせ、そのちぐはぐ感が不思議に感じられた。
想像するに、もしかしたら仏師ではなく、お弟子さんとか交流のあった人が彫った像かもしれない。
傍らにイノシシを侍らし、寄りかかっている姿はなんとも愛嬌がある。
和尚のおおらかな性格まで彫り出しているようで、彫刻の腕だけではないものもあるように感じる。
仏師が仕事としてではなく、この僧侶を知っている人物がこの僧侶のことを偲びながら彫ったと考えたほうが、私的にはしっくりくるというか、そうであってほしい。