2025年03月01日
恵心僧都像

修理が完了し、無事にお寺に納めることができた。
江戸時代の僧形像の彩色像の修理は、いつもそのように仕上げるか苦労することが多い。
今回の修理は解体をおこなわず、剥落止め中心の作業であった。
しかしながら、彩色層の脱落がかなりすすんでおり、顔などの肉身部はすでに彩色層がなく木地になっていたり、衣の彩色も1/4程はすでに彩色層がない状態であった。
ひとまず剥落止めのみで作業をすすめたが、仕上がりとしてはかなり見すぼらしいものとなったため、肉身部のみは彩色することに。
どこまでやるか、悩んだものの衣も正面の目立つ個所は、かなり広い範囲を補彩し、修理完了とした。
制作は元文三年(1738年)
作者は大仏師「寂幻」。ただ、初代「寂幻」ではなく、三代目「寂幻」を名乗っている。
運慶を祖ということにする江戸仏師は多いかもしれないが、この方も雲慶(運慶)から十数代目の系譜であると別の像の修理銘に書かれており、江戸時代でも運慶の人気ぶりがうかがえる。
tukiou1 at 14:36│Comments(0)│