仏像修理の行程
2023年11月12日
薬師如来

薬師如来の台座の一部。
千葉県山武市のお寺。
あちこちのお寺を兼任しているようで、その兼任されているお寺のご本尊。
厨子も含めて、かなり破損がすすみ全壊状態。
おそらく江戸時代の像だが、台座の蓮弁などはしっかりしたもので、或いは各時代の部材が混在しているのかもしれない。
ここのところ破損の程度がひどい像が立て続けで、結構大変。
tukiou1 at 08:33|Permalink│Comments(0)│
2023年10月15日
薬師如来像

大きい像なので2年ほどかけて作業をする予定。
胎内に何枚もの木札が納められており、ある程度の修理の経歴を知ることができる。
もっとも古いものが寛文十二年(1672年)で修理銘の木札。
その後、享保十五年(1730年)。
明治、大正、昭和と各時代の修理銘札が揃っている。
ある時代には、それらの銘札板をいつでも見られるようにとでも思ったのか、背面に取り出し口をつけ、いつでも胎内から板を取り出せるように細工が施されていた。
今回はどうしたものか。
tukiou1 at 07:38|Permalink│Comments(0)│
2023年09月30日
納入品

こうした納入品はまれに出ることがあるのだが、今回のものは変わっている。
像を解体すると木製の小箱が出てきたのだが、納められていたものは、この像を修理したときに出た破片や切りくずなどであった。
顔の一部や手先の一部などが入ってることはあるのだが、修理の際に出た破片や切りくずは初めて。
箱の周囲には文字が書かれており、お寺の名前、仏師の名(木原左近)、延享二年(1745年)、木屑を仏像の腹に納めることなどが記されていた。
屑でも仏像から出たもので、無下にはできなかったのだろう。
当時の信仰の一端を見たよう。
tukiou1 at 20:25|Permalink│Comments(0)│
2023年09月16日
観音及び勢至菩薩像


仁王像と同時期に作業を進めていたこともあり、普段よりだいぶ時間がかかってしまったものの、先日、無事にお寺に納めることができた。
阿弥陀三尊像としての脇侍像。
おそらく中尊の阿弥陀如来と思われる像も残っているが、はっきりは分からないようである。
複数の破損仏も含めて、今はすでになくなってしまった他のお堂から持ってきたものであるらしく、それが古い時期であるため、よくわからない。
勢至菩薩は江戸の中頃の作。
観音菩薩はそれより下った時期の作で、おそらく在地の仏師が勢至菩薩を参考に作ったものと考えられる。
tukiou1 at 06:40|Permalink│Comments(0)│
2023年09月09日
光背

不動明王尊の光背。
光背の部材が外れているということで、光背のみの小修理であずかったもの。
預かったときは、実際に外れている個所は3カ所程度で、他に4~5箇所遊離しているかなという印象だった。
作業を始めると、大きいところから細かいところまでかなりの部分が複数材で接合されており、少しでも触るとその箇所が外れてくるという、かなり面倒な代物だった。
一材で作れるところはそのように木取すればそんなに壊れないのだが、当時、作ったときにはその時の苦労があったのだろう。
ともあれ、うかつに触れない。
tukiou1 at 17:30|Permalink│Comments(0)│
2023年09月03日
十二神将

背面に戌と墨書きされており戌神とわかるが、この墨書きが元のものかは不明。
この像だけ墨書きされ、なぜ他の像は書かれていないのかかが解せないと思う。
とはいえ、他に根拠もないので「戌神」ということで作業を進める。
十二神将は別に干支の動物に対応した雰囲気で作るわけではないが、雰囲気としては申のほうがしっくりくる。
tukiou1 at 10:27|Permalink│Comments(0)│
2023年08月27日
勢至菩薩

長いこと時間がかかっているが、少しづつ進めているところ。
ここのところ、毎日が暑くてつらい。
庭木も葉が枯れるものも出てきてしまった。
tukiou1 at 06:55|Permalink│Comments(0)│
2023年08月19日
十二神将

足らない所や欠けた個所を作り終えたところ。
数が多いので時間がかかる。
エアコンは当然使っているが、7月頃からの夏バテをいまだに引きずっており、体がつらい。
いまだかってない暑さだが、これが毎年続いていくとなると、仕事のやり方も考えていかなくてはならないかもしれない。
夏はもう無理。
知っているお寺ではお施餓鬼を5月に変更したとのこと。
以前に暑さで人が倒れたのが理由とのことだったが、いろいろな行事ごとも含めて変えていかなくてはならない時期なのだろう。
tukiou1 at 18:21|Permalink│Comments(2)│
2023年08月12日
不動明王

過去に一度、おそらく江戸時代に塗り直しも含めて修理されている像。
その際に、足ホゾを切り取り、足先も含めた両足をかなりいじっている。
おそらく安置した際の光背との角度のずれが気になったのかもしれないが、その場合、光背の角度をいじったほうが早い。
何らかの理由があって…、おそらく微妙な立ち位置や角度が気になったのだと思うが、繊細な人だなと感じた。
tukiou1 at 06:09|Permalink│Comments(0)│
2023年07月29日
不動明王

修理前の不動明王像。
台座裏に造立銘があり、寛文六年(1666年)に造立とのこと。
おそらく在地の仏師さんの作で、個性的で面白味のある作風。
ここのところ十二神将をやっていたため、独尊の像が新鮮。
tukiou1 at 19:49|Permalink│Comments(0)│