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写真展 に参加中!
細江英公subj:球体写真二元論/細江英公の世界
place:東京都写真美術館(恵比寿)
category:写真展
date:06/12/10
note:
 戦後の写真界に新たなイメージの地平を切り開いた写真家・細江英公さんの活動を振り返る写真展です。展示は作品集の中から、「おとこと女」・「薔薇刑」・「鎌鼬(かまいたち)」・「抱擁」・写真絵本・「ガウディの宇宙」・「かさぶたとキャラメル」・「胡蝶の夢」とカテゴライズされ、各々のカテゴリーも写真集を中心としたものになっています。

 「おとこと女」(1960)では荒れた粒子とハイコントラストの写真の中に、もちろんヌードというものを越えた何かもありますが、当時の高度成長期の日本のエネルギーみたいなものが凝縮されてるような気がしました。続く「薔薇刑」(1963)ではやはり被写体となった三島由紀夫の作り上げた肉体と美意識=エロスと死、そして狂気が濃密に写しとめられています。

 「鎌鼬(かまいたち)」は秋田の農村を舞台に舞踊家の土方巽をモデルにしたドキュメントですが、土の匂い・収穫の喜び・自然の風・日本の四季を凝縮し更に人間を多いに讃えているような素晴らしい写真でした。特にモデルが荒野を走っているシーンの写真は良かったなあ。

 三島が「この連作は硬質でアスレティックな美にあふれている」とコメントした「抱擁」(1970)、童話写真というジャンルを作り上げた写真絵本シリーズ、まるで曼荼羅のような「ガウディの宇宙」が続き、舞踊家の土方巽の最後を撮った「かさぶたとキャラメル」、舞踏家の大野一雄を撮り続けた作品「胡蝶の夢」と続いて写真展は終了します。

 一通り写真を見て思ったのはタイトルの妙。まさに一つの切り取り方では収まりきらない細江さんの球体のような世界を言い表しているように思いました。

 また興味深かったのはカテゴライズされているコーナーの壁。「おとこと女」→山吹色、「薔薇刑」→黒、、「鎌鼬(かまいたち)」→青、「抱擁」→朱色、写真絵本・「ガウディの宇宙」→白、「かさぶたとキャラメル」→赤、「胡蝶の夢」→紺というカラーリングでした。この色の選び方の意図もなんとなく面白かったです。

評価:☆☆☆☆★
お薦め:☆☆☆★★

note:1/28まで
東京都写真美術館