daidosubj:森山大道 「I. レトロスペクティブ 1965-2005」&「II. Hawaii」
place:東京都写真美術館(恵比寿)
category:写真展
date:08/05/15
impression:
 世界的にも評価が高い写真家・森山大道さんの大規模な個展です。写美の2フロアを使い、これまでの一連の作品を展示した「レトロスペクティブ 1965-2005」と新作「Hawaii」が展示されています。

 「レトロスペクティブ」では「1.1960年代 森山大道の登場」「2.1968-1972 プロヴォークの時代」「3.1970年代 何かへの旅」「4.1980年代 光と影」「5.1990年代 Daido hysteric/2000年代 新宿、ブエノスアイレス、ハワイ」とカテゴライズされ、その時代時代の作品が展示されています。

 ざっとその「時代」ごとの作品を見ると、あまり変わっていない印象のある森山さんの写真がずいぶんと変化・進化していることが分かります。しかしそれは表現上のことであって、逆に変わっていない部分、写したいものを写す、その写したいもの以外は写さないというスタンスは一貫していることにも気づかされました。また森山さんの写真は、モノクロの印刷、つまりかつての印刷技術が今ほど高度でなかった時代の印刷の点=ドットと親和性がとても高く、それゆえに衝撃的で芸術的な作品が様々な印刷媒体によって取り上げられたのかもしれないとも思い至りました。展示されている写真・雑誌双方を見れば一目瞭然なのですが、例えば「三軒茶屋」という歩道を歩く少女を写した作品では、雑誌「記録」の印刷だと少女の顔は黒くつぶれ白い服と背景の道路の暗さの対比が印象的名のですが、展示されている写真では少女の顔ははっきりと写されており、その差、写真と雑誌との違いを明確に見ることが出来るでしょう。

 そして「レトロスペクティブ」を見ることによって森山大道さんの写真世界は加速され、新作「Hawaii」へと導かれます。

 「レトロスペクティブ」はこれまでを振り返るだけあってボリュームのある展示でした。一方「Hawaii」はそれに比べるといささか拍子抜けするくらいの展示数です。しかしながらその一点の迫力には驚かされます。

 ハワイといえば一般的には「青い海白い砂浜」。しかしその「一般的な」景色はほとんどない「ハワイ」の景色が広がります。僕らも観光地に行けばわかりますが、一般的な景観は客寄せのために作られたイメージが多く、そのイメージの外の景色は切り捨てられることが多くあります。しかし森山さんの視線は、その切捨てられた光景の先の何かを見つめているように感じました。

 「レトロスペクティブ」「Hawaii」、森山さんの写真から感じるもの、それは普遍性ではないでしょうか。粒であり波である「光」を捉え、その揺らぎさえも写真に封じてしまうような作品、撮りたいもの以外は撮らないその心意気こそ、普遍性の源であり、森山大道作品の魅力であるように思いました。
評価:☆☆☆☆★
お薦め:☆☆☆☆★
note:
森山大道 「I. レトロスペクティブ 1965-2005」 & 「II. Hawaii」(東京都写真美術館)
・『森山大道 「I. レトロスペクティブ 1965-2005」 & 「II. Hawaii」
会場: 東京都写真美術館
スケジュール: 2008年05月13日 〜 2008年06月29日
住所: 〒153-0062 東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
電話: 03-3280-0099 ファックス: 03-3280-0033