カテゴリ:Review > MILITANT/EDGEMETAL/単音リフ系


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ベルギー出身のSxEメタリックハードコア/現行型ニュースクールHC、2017年発表の1stフル。

CDはMark My Words、VinylはUgly And Proud、TAPEはKick Out The Jamsよりリリースされております。
バンドのメンバーはHeartfelt、元BLADE等といった布陣です。

大まかな分析としては、ミドルテンポ型クラシックstyleなMid 90'sニュースクールの影響下をそのまま現代にアップデートさせつつ、H8000等影響下のエッジメタル的な鋭いリフ使い・アグレッションの組み込まれたかのような具合の音楽性です。しかしギターワークの音使いとリズムの絡まり具合が中々に独創的であり、それを武器にクリーンアルペジオ等といった静の部分は一切見せずに徹底してミドルテンポの隙のない硬質グルーヴを叩き付け続ける様子は、近年の90's型ニュースクール・リバイバル系バンドの中でも中々に独特な感触です。
レーベルInfoとしてFFO: H8000, Earth Crisis, Strife, Absence(※恐らく1st), All Out War...と書かれておりますが、聴いていて非常に納得な羅列でありつつ、まるでそれら要素を分解しつつミックスしこのバンドの色を加えたかのような、ありそうでなかったオリジナリティ溢れる方向性に仕上がっているように思えました。

岩石を削り取っているかのようなザクザクした音色のギターはのたうつようにメタリックな音を叩き付け続け、リズム隊と合わさると文字通りゴリゴリした音塊となっておりまさに「リフの塊」というに相応しい凄まじく硬質な仕上がり。
また、エッジメタル系によく使用される「邪悪」や「暗黒」といった表現とはまた一風違った独特の不穏なメロディを奏でるリードギターも緊張感溢れるムードを放っており、殺気に満ちたあまりに力強いギターワークと、その一つ一つに絶妙に絡まるリズム隊により非常に闘争的なモッシュグルーヴを叩き出しております。
途中疾走するTr.5を除き、2step対応のアップテンポが時折顔を出すくらいでほとんど終始ミドルテンポに徹しておりますが、楽曲全体は淡々としているようでマグマのような熱量を放っておりますし、力強く「Straght Edge!!!」と絶叫するヴォーカルもそれに呼応するかのような熱さ。 
Tr.12にて哀愁に満ちた流麗なギターソロが聴ける以外は愛想(?)を振り撒くこともなく、職人の如くひたすら硬質で殺伐とした楽曲に徹底したサウンドですが、持ち前の独特なリフさばきと絶妙なリズム隊、力強くリズミカルなヴォーカル、そしてミドルテンポの中で巧みに緩急を活かした盛り上がる楽曲展開もあって、ポップとは間違っても表現出来ない音楽性ながらも非常にキャッチーだと感じました。

確かに90'sニュースクールを引き継ぐ音楽性ですが、ただ単にリバイバルというだけでは決して終わらない、あくまで「現行型」として自分達のスタイルに発展させたオリジナルな音が鳴っている一枚です。決して古さを感じさせる仕上がりではないですし、伝統を踏まえつつ着実に進化させ、自分達の音を出している姿勢としては、xrepentancexのThe Sickness of Edenと大いに通じるものがあると思いました。(The Sickness of Edenに関しては個人的にニュースクールの“ニュースクール”だ!と思う一枚です) 
注目度的には比較的いまいち目立たない感もあるかも知れませんが、内容も熱量も本気で素晴らしい1枚であり、僕個人の感想を述べると曲、リフ、音質、アートワークの雰囲気等全てドツボな1枚で、もし「10年代リリースの中から名盤リリースを何枚か選べ!」となったら間違いなくチョイスする名盤です。

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ノースキャロライナ出身のバンド、FALLING DOWNが名を改めてDAY OF SUFFERING(以下DOS)としてリリースした唯一のアルバムです。97年CATALYST Records発、98年Lifeforceより再発。09年にはCATALYSTより12inchもリリースされております。
このブログを読んでらっしゃるほとんどの方は説明不要かと思われますが、所謂ニュースクールハードコア(90's Metalcore)、エッジメタル、Fury Edge、ミリタントと表現されているサウンドスタイルの金字塔的作品です。激マイペースである当ブログではFALLING DOWNは紹介してこちらは未だに紹介してなかったので、令和初更新というこの機会に僕なりの視点で紹介させて頂きます。

90’s当時のニュースクール/メタリックハードコアの王道に近い音を出していたFALLING DOWNから「一体何があったんだ」と言うくらい圧倒的に攻撃的でブルータルとなったサウンドは、バンドの持つVegan SxEアティテゥードとも合わさりまさしく「ミリタント」と表現するに相応しいスタイルであり、前身バンド~90's当時のニュースクールハードコアをあまりに壮絶かつデスメタリックに発展させた様は当時リリースされた他のニュースクールバンドと比較しても明らか行き過ぎな凄まじい進化であったことは想像できます。
しかしながらFALLING DOWNから今作を続けてよく聴けばわかる通り前身バンドの音楽性をしっかり引き継いで進化させているサウンドでして、90'sハードコアをデスメタル要素で覆い隠し過ぎず真っ当に進化させた、90年代のメタルxハードコアの図式を更に発展させたであろう1枚としても偉大な作品です。

サウンドを聴けばMorbid AngelやCarcass(3rd~2nd辺り)、90年代のNapalm Death等を飲み込んでSlayerでまとめたかのようなギターリフがやはり特徴的で、当時としてはかなり低くチューニングされたあまりに分厚く攻撃的で重厚な仕上がり。タイトルトラックであるTr.1のリフはまるで「魔」という一文字を彷彿させるような旋律を奏でておりますが、バンドの姿勢と相まって人類や社会への危険信号かのような鬼気迫る形相を感じます。
疾走パートや時折見せるブラストビートがデスメタリックなブルータリティを深めていくと同時に、ミドル/モッシュパートもあまりにモッシーで重圧感半端なく、緩急に富む凝った曲展開を持ってして凄まじく獰猛かつ殺気に満ちた空気感を醸し出しております。
Tr.3のラストではドラマティックかつ悲哀に満ちた旋律も出てきますが、雰囲気としてはやはりビターな感じです。
また、こういった禍々しいとも取れるサウンドの中を地声の要領で絶叫するVoは非常に生々しく、凄絶なインスト勢との対比で闘争の情景を描き出しているかのようです。

95年にEARTH CRISISが1stフルであるDestroy the Machinesにて当時のデスメタル/スラッシュメタルの要領を得たかのような無慈悲で冷酷な音作りと整合感を効かせハードコアとメタルをより一層リンクさせたかのような形態を見せましたが、このアルバムはより直接的かつブルータルな形でのリンクが実践されており、アンダーグラウンドメタルをそのままどっぷり90年代当時のハードコアに溶け込ませたかのようなスタイルでクロスオーヴァーを更に一歩進めたアルバムではないかと思いました。
少し後に主流になるニュースクールハードコアシーンの一派であるエッジメタルから、更に00年代以降のメタルコアにまで繋がっていく方向性を見出だした1枚とも取れるのではないでしょうか。
当時デスメタリックな感触を持ったハードコアバンドは多々いますが、他とは違うベクトルで大胆過ぎるクロスオーヴァーとオリジナルかつ高クオリティなサウンドを持ってしてニュースクールHC/90’s Metalcoreのクラシックと君臨している、まごうことなき名盤の1枚です。
後追いの僕にはリアルタイムのことは分からないですが、この音は当時本当に衝撃的だったことでしょう。
当時の製作に関するインタビュー等あれば読んでみたいものです。

あと、この手の世界では凄まじい影響力を与えた1枚ですが、個人的には意外な面もありまして。
例えばArkangelやReprisal等のサウンドスタイル(リフ、曲作り)はある意味スタンダードとして世界中に受け継がれている感もありますが、このバンド、このアルバムに関しては(影響力絶大にも関わらず)このサウンドを“直系”で受け継いでいると思わせるフォロワーは案外見当たりません。
後にメンバーが始めたデスメタリック度数大増強のSennacheribの音からもこのバンドの匂いは感じ取れますし、初期Heaven Shall Burn等このバンドの影響を多大に感じ取れるバンドも沢山いますし、同じ90年代にもハードコアxデスメタルを表現していたバンドも多々いますが、そのままこのバンドに似た音像を出しているバンドは個人的に確認出来ておりません。
この唯一のアルバムがまさにonly one、唯一無二の音なのだなと認識出来ます。

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イギリス出身のバンド、Retribute Recordsより2000年発表の5trax。
再生すれば即歪み切ったギターでのサタニック全開アルペジオ+囁きスポークン→ミドルテンポで地を這うようなデスメタリックFuryリフに狂乱ハイピッチとドス黒ローを使い分けるVoが乗っかる展開が聴けるということで、好き者ならば間違いなく即効「これこれ!」となる掴み抜群の一曲から始まる1枚です。
独特のもっさりめな質の中で繰り広げられる特段邪悪でデスメタリックなリフ作りとモッシーな落とし/ミドルパートの含め全てにおいて漆黒度合い120%の明度皆無な無慈悲過ぎる世界観は、デスメタリックなニュースクールHC/エッジメタル好きならば心に響くことでしょう。
全体的に粗い雰囲気とそれ相応の音質によって整合感はあまり感じられず、今の基準を持ってして正直に言い換えれば全体的にしょぼめとも言えるのですが、それを補うかのように全編通してかなりプリミティヴなエネルギーに満ちております。曲それぞれ短い尺ですが疾走パートも多々発生で緩急も抜群です。
時に狂乱系のギターソロも交えつつ、リフの節々にどこかSarcófago等々の80’s地下メタル的な雰囲気にも近い匂いを感じ取れるような気もして、このサウンドに対して「80年代のブラック・スラッシュのフィルターを通したSLAVEARC」と形容したくなるのですが、そんなことを思ってるのは恐らく僕だけだと思います。
さておき、全体のプレイタイムは短めに、一気に濃密な暗黒サウンドを叩き付けていく攻撃的な1枚です。

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ベルギーのエッジメタル/ハードコア、2008年発表の3rdフル。GSRからのリリースです。
所謂Fury Edge/Edge Metalの基本型となるep~1stフル、その基本型をそのまま引き継ぎながら叙情的なメロディを(若干)取り入れた2ndフルと、微妙に音楽性に変化を取り入れているバンドですが、このアルバムでは従来と同じEdge Metalという枠組みでありながら、曲作りの根本を微妙に変えたのかどうなのか、今までと雰囲気の違う音楽性を打ち出しているように思えます。
あの「Arkangelと言えば!」な単音メロリフ使いは後半まで幾分か控えめとなっており、代わりに従来と若干趣の異なる雰囲気を持った(よりSlayer的?な気もしますがノリはスラッシュメタル的ではあらず)鬼のように刻む16分音符リフが烈火の如く繰り出され、ユーロダークネスとも言えるようで少し異なる感触の90's北欧ブラックメタルとゴシック的空気感の混合型のような暗黒性を綴るメロディが一体となり、モッシーなミドルグルーヴを織り交ぜつつ2~3分のタイムで聴き手を圧迫するかのように怒濤の勢いにて繰り広げられます。
バルダー氏の攻撃的な高音絶叫は全く変わらずでこの辺り「あぁ、やっぱりArkangelだなぁ」という感触もありますし、Track7~9は従来のArkangelの作風を引き継ぐノリがグイグイ出てくる楽曲ですが、ほとんどの楽曲から90's Edge Metal感が払拭されており、アップデートされ洗練された作風への変化を感じられる部分が非常に特徴的です。時代・音楽性等違いますが、In Other Climes等にも通じるような攻撃性と洗練具合の良い塩梅を感じます。
そして、Arkangelとして異色な雰囲気を放つ今作の中で最も異色なのが前トラックからのピアノアウトロを引き継ぎ始まるTrack4で、スロウテンポでクリーンのアルペジオを織り交ぜながら灰暗い叙情味を展開する、ゴシカルとも言えるような楽曲に仕上がっております。この曲を筆頭に全体的に随分暗めな空気感を発しており、短くプレイタイムで壮絶に突き進む作風でありながら少しどんよりするような後味の悪さを感じるのもこのアルバムの持ち味でしょうか。(勿論悪い意味ではない)あと、メンバーが在籍しているということもあってかLength Of Timeにも近い雰囲気も少し感じられます。
全体を通して見るとやはり異色気味で、「まだ今作だけ聴いたことがない!」という人は「?」となる部分もあるかも知れませんが、今作の放つ鬼気迫る攻撃性と薄暗い背徳的な空気感は絶品で、間違いなく今後クラシックとして取り上げられるべき名作だと思いますし、僕的にも凄くお気に入りの1枚です。

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ジョージアのエッジメタル/ハードコアバンドの99年作フルアルバムです。Immigrant Sun Records発。

激刻み単音を中心に、Prayer for Cleansingっぽいこねくり回した感じのリフワークから叙情味を抜いてDay of SufferingとArkangelを足したようなギターワークが特徴の攻撃的な音です。すこぶる個性的、という訳ではありませんが、リフワークのセンスも光っておりこの手の音が好きなら間違いない雰囲気です。
ニュースクーラーが想像する「邪悪」をまんま表現したかのような(※個人差有)ドラマティックな暗黒イントロから始まり、SLAYERなメロを大量に含んだリフ作りで表打ち疾走+モッシーなミドルと緩急豊かに展開する超濃密なイーヴル・ニュースクール全開の音世界ですが、音作り自体はドンシャリなギター+乾いたドラムの音でパッサパサとしておりあっさり目な(?)仕上がり。細かい単音リフワークが主軸な辺りを考えると割とマッチしているように聴こえます。
個人的に総括すると、そんなパサパサな音作り含め「叙情味無くして暗黒面におちたPrayer For Cleansing」とも思えなくもないような雰囲気。アルバム中盤、突然優しさを思い出したかのように出てくる唯一のメロデス的哀愁インスト曲含め好きな1枚です。

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