部屋で「g」の野郎を見つけた。
「G」ではない。
体長約1センチ。子供の「G」だから「g」。
あいにく手元に殺虫剤がなかったため、
近くにあった「高電圧殺虫装置」を使うことにした。
正式名称をよく知らないのだが、
ほら、あの小さなテニスラケットみたいな形をしてて、
ネット部の高電圧で虫を殺すというあれだ。
アミ部分を「g」にかぶせて通電してみた。
金属ネットに触れた部分で、小さな火花が飛ぶ。
使ったことがある人は分かると思うが、
蚊や蛾なら、これですぐに動かなくなる。
気持ち良いほど一撃で虫が死ぬ。
ところが「g」はしぶとかった。
小さな火花がパチパチと飛ぶが、まだ動き続けている。
しつこい。
こちらも霊長類としての意地がある。
こうなったら、死ぬまで通電し続けてやる。
「g」にネットをかぶせたままの状態で
ずっと通電ボタンを押し続けた。
約10秒後、それが起きた。
ズバーン!
「g」からオレンジ色の閃光がほとばしり、
すごい音とともに大爆発しやがった。
正直に言う。
思わず「わ!」って言ってた。
常に冷静沈着が売りの私をして、
子供のように間抜けな声を出さしむるとは。
恐るべし、名も知らぬ高電圧殺虫装置。
恐るべし、「g」。
調べてみると、このラケットの金属ネット部は
約1300Vの静電気を発生させ虫を殺しているらしい。
そうか。あの火花は静電気だったのだ。
ということは、冬によくパチっとなる静電気のせいで
私たちの指先の細胞も少なからず死んでいるのかも知れない。
そしてもっと恐ろしいことに思い至った。
静電気を体内に蓄積しながら歩いていると、いつか
ズバーン!
という音とともに、私たちも大爆発するのかも知れない。
そんなのが目の前で起きたら、「わ!」では済まない。
また、そんな季節がやってくる(まだだけど)。




