その昔、我が家に若者が訪ねてきて
「お父さん、がんぶりはずれてますよ」と
私の心を徒に不安にさせて立ち去ったことを書いた。

518 がんぶり外れてます

その後、若者は現れていない。
ついでに言えば、そんな工事もない。

少し前、建築業を営む知人が事務所に来た時に
その話を思い出して質問してみた。

「ねえ、『がんぶり』って知ってます?」

「がんぶり? 知らない。何それ」

「屋根瓦のナニやらだということは分かるんですが、
 実は昔、こんなことがあったんです……」と
顛末を話すと、知人は合点がいったようで

「ああ、たぶん『かんむり瓦』のことですね」と。

屋根の「Λ」の頂上部にある、筒を半分に切ったような
瓦を「かんむり瓦」あるいは「がんぶり瓦」というらしい。

なるほどね。で、それが外れてると言われたんですが。

「それは明らかにヤバいヤツです。相手にしない方がいいです」

「少し前に話題になった、リフォーム詐欺みたいな
がんぶり詐欺ということですか?」

「詐欺かどうか分からないけど、怪しいですね」

「次にそんなヤツが来たら、どうしたらいいですか?」

「僕を呼んでください」

「すぐに来てくれます?」

「まあ、無理でしょうね」

「ダメじゃん」

「じゃあ、こうしてください」

ある朝、やけに気の良さそうな兄ちゃんが玄関先に立ち
「おたく、がんぶりが外れてますよ」と言われたとしたら

「これは親切に、ありがとうございます。
 兄が(「父」でも「知人」でもOK)近くで
 建築業を営んでいるので、伝えておきます。
 もしよろしければ、同業のことですので
 お宅様のお名前をお聞かせ願えますか?
 兄にぜひ伝えたいと思いますので」

と言えば、絶対に退散しますよ、とのこと。

よーし分かった。

次にがんぶり兄ちゃんが来たら試してみることにする。

だから、あの時の兄ちゃんに告ぐ。

これを読んだら、今週の週末にでも来てくれないか?