自転車ときどき世界1周

 アラスカ23日目 フェアバンクスの町〜フェアバンクスから南東に49km地点 教会の脇

 結局丸2日使っても写真はバックアップを取りきれなかったワケだが仕方ない。すでに休みすぎなほど休んでいて、むしろ体がダルいという本末転倒な状態になっていることだし、そろそろフェアバンクスを出発するとしましょうか。

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 どうにかパンケーキ食べきれた

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 フェアバンクスの街中を抜けて

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 このデルタジャンクションから州道2号線へと入っていく

 一応昨日の深夜に降り止んだ雨ではあるが、空には灰色の雲が鎮座しており気が気でない。せっかく一昨日整備してチェーンからの異音もなくなり気分のいいサイクリングであるというのに、これでは一抹の不安が拭いきれないではないか。

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 しかし平坦な道って素晴らしい

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 君の造形はそれほど素晴らしくはない

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 道端にあったサンタ像だが

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 顔が怖い

 なんか連日、平均10km/hとかの日々が続いていたからか、やたらと速いペースな気がする不思議。それでいてちっとも体疲れないのであり、こういう物事が上手く運びすぎている時って、不安になってしまうタイプの人は割といると思う。私なんかまさにそれ。

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 お昼休憩したお土産屋さん

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 木彫りの熊ってヤツですね

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 オマエかー!! 

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 実にいい雰囲気のお店

 お昼を済まし、それじゃあちゃちゃっと午後を走り切っちゃいましょうか〜と走り始めて300m。いきなりの大雨が降ってくるのであり、すぐ側にあった工場の軒下へ緊急避難。

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 こんな場所でもFreeWi-Fiがあった

 ネットが使えるので焦ることなくじっくり腰を据えて長期戦の構えを見せていた私だが、従業員のオッちゃんが「暇なら一緒に車で俺たちの仕事場見にいくか?」とお誘いをいただく。暇ですヒマヒマ、どうしようかと思ってたくらい。

 そのままオッちゃんの車両でドライブして回っていたのだが、戻ってきたのは彼の家。曰く「50分後に仕事終えて戻って来るから一緒に夕食食べようぜ。」とのことであり、いつの間にそんな話になったのか、当事者の私が一番驚いているのですが。

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 アラスカの家がどんな感じが体験できて嬉しい

 夕食を頂き「気をつけて旅行続けてな!」と握手を交わし家族と外出してしまうオッちゃん。おいおいおい、私1人家に残されているのだが、これは好きなタイミングで出発して良いぞということなのだろうか?自由すぎるぞアメリカ人。

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 結局19時に出発

 といっても時間も時間なので、数km走った先で見つけた教会の敷地に許可を貰ってテント張らせてもらう。降り止んだに見えた雨は、再び活動を再開し始めたのであり、せめて自転車だけは軒下にて濡れずにいて欲しいところ。

 しかしアラスカ滞在すればするほど好きになっていくな。私の訪れた国の好き嫌いは、その多くの割合を「出会った人の印象」で左右されるのだが。つまりはアラスカという地域もまた、良い人たちばかりだということです。

 2016年7月19日(火) 走行距離67km 累計42476km

 せっかくマイナーなダルトンハイウェイを走ったのだし、この貴重というわけでもない経験を情報にしてまとめておこうと思う。私はこういう人様の役に立たないようなことに対しては情熱を燃やすタイプなのである。


◎北極海への道

【基本情報】
 アメリカ大陸で2016年現在において北極海へと抜けることができる唯一の道路。この言い方は、カナダで同様に北極海まで走れる道路が建設されているという裏があるため。

 最寄りの町ことフェアバンクスから北に向かって計799km。エリオットハイウェイ133kmとダルトンハイウェイ666kmで構成されている。道中にはレストランの施設が2ヶ所(3ヶ所)のみ存在し、食料を補給できる商店等は存在しない。

 北極海に面するプラドーベイという湾からの原油を搬送するために作られた道路で通年走行が可能。厳冬期の気温はー66℃を記録したことがあるほど寒いため、自転車における走行は基本夏季に行うこととなる。個人的に冬季でダルトン走破するのは「旅行」よりも「冒険」に近いレベルかと。

【情報収集】
 フェアバンクスのビジターセンターにて職員にお願いすれば「Dalton High Way Visitor Guide(ダルトンハイウェイビジターガイド)」、「Bicycling the Dalton Hwy(バイシクリング ザ ダルトンハイウェイ)」という2種類の冊子がもらえる。

 前者はダルトンハイウェイ道路の主要ポイントとそこにある設備等の情報、後者は道路を区分ごとに分けて路面の状態や峠の標高等が歌われており、この2冊で自転車旅行者が確認したい主要なポイントは抑えることができる。

 なおダルトンハイウェイ上には道路ポストが完全に配置されているため、すべてのポイントはMP(マイルポスト)表示で記されている。エリオットハイウェイは国道2号線から入り72MPまで116km。ダルトンハイウェイは0MP〜414MPまで666km。


◎ダルトンハイウェイ走破のために

【道路状況】
 エリオットハイウェイは全面舗装だが、ダルトンハイウェイで舗装されている道は全体の2〜3割程度。よってかなりの割合を未舗装の道を走らざるをえない。

 また前半部分にはアップダウンが集中しており、平坦路がほ飛んで出てこない程である。グーグルマップで調べると800kmの行程で約8000mくらいを上り下りすることになるのだが、このうち前半部分で6000mほどが消費される超山岳地帯である。

 特にダルトンハイウェイに突入して35MP辺りまでは、鬼畜としか表現しようのない凄まじい峠の連続に見舞われる。ダルトンを走破できるか否かはこの前半部分で気持ちが折れないかどうかであると思う。なお後半にはアティガンパスというダルトンハイウェイ上で最高標高を誇る峠が存在するが、正直大した問題はない。

 ダルトンで完璧な舗装をされている場所が35MP〜50MPとコールドフット(175MP)〜220MPの2ヶ所。その他にも所々で舗装された道も出てくるのだが、工事状況が古くアスファルトとダートが交互に出てきたり、ガタガタであったりする場所も多い。あんまり期待しすぎないほうが吉かと。なおビジターガイドに舗装されている道路は表記されている。

【食料搬送】
 ダルトンの何が厳しいかといえば、800キロメートルに渡って無補給であるという点が挙げられる。必然的に大量の食料を持ち運ぶことになるのだが、前述の通りダルトンはアップダウンの連続を繰り返していく山岳路。荷物の持ち過ぎはそのまま自分にダメージが返ってくる諸刃の剣となってしまう。

 ガイド情報には北極海までは8〜15日が必要と書かれており、各個人の走力によって重量にバラつきは出るものの、予備日を考えると最低10日分の食料は欲しいところ。私の場合は雨での停滞なども考慮して12日分の食料を準備し、実際には9日間で走破した。

 また水を補給できる場所も2ヶ所しかなく、特に後半は400kmに渡って無補給地帯が続くことになる。周辺に川は無数にあるが、「細菌がいるからそのまま飲んじゃダメだ」と言われた。飲んだけどさ。

 浄水器やタブレットの薬がフェアバンクスの町でも各種販売しているので、水を大量に持ち運ぶよりこちらを準備するのも良いと思う。浄水器は100ドル前後、タブレットは15ドルくらいだが薬臭くて不味いらしい。

 私の場合は、どうせ浄水器なんて今後も使うことはないと踏んでいたので万が一の場合のタブレットだけ購入し、水は前半戦で5リットル、コールドフットで空のペットボトルをかき集め後半戦は7リットルを携行した。気温が低く水の消費量が少ないこと、道中で多数水をもらう機会があったこともあり、これで途中に水がなくなってしまうことはなかった。

 裏技として中間地点であるコールドフットの町には郵便局があるため、事前に食料の半分をここへ郵送するという方法がある。これを使えば荷物の重量が大幅に削減できる関係で、ダルトンの難易度が一気に下がりオススメの方法だと思われる。私はやってないけれど。

 この方法の注意点として、コールドフットの郵便局は夏の時期の月・水・金曜日で13時半〜18時の間しか営業していない。ちゃんと計算していかないと、最悪ここで2日も足止めを食らうことになる。

【補給】
 エリオットハイウェイに入り20㎞ほど走った場所にあるガソリンスタンド以降、まともに補給できるポイントは56MP地点のユーコンリバー、175MP地点のコールドフットの2ヶ所である。この2ヶ所にはガソリンスタンドも存在するため、バーナーの燃料的な心配は必要ない。ガスカートリッチを使う奴のことなど知らん。

 一応60MP地点のキャンプ場にも小さなレストランがあるが、ユーコンリバーと近すぎて現実的な利用価値がほぼない。キャンプ場に併設してるので朝食ならば・・・と思いきや、開店時刻が10時からなのでよほどスタートが遅い人でないと利用は難しい。

 あと189MP地点から5kmほど脇道に逸れた場所にワイズマンという小さな村があり、ここには宿泊施設や博物館があるらしい。私はコールドフットで1泊したためこの村による理由もなく、スルーしている。

【キャンプ場】
 アラスカ州が正式に出しているキャンプ場が4ヶ所。このうち180MP地点のマリオンクリークキャンプ場のみ8ドルの施設使用料が必要となるが、その他のキャンプ場は無料で使用可能。詳しくはビジターガイドを要確認。

 とはいってもテーブルとトイレ、あとクマ対策用のフードボックスがあるくらい。しかもフードボックスはゴミ箱状態になっていて1度も使用できず。むしろ3日目くらいまで普通にゴミ箱だと思っていたぞ私は。

 別にキャンプ場を選ばなくてもそこら辺で野宿し放題ではあるが、常にクマの恐怖が付いて回るアラスカにおいて人が集まりやすいキャンプ場は比較的安心感がある。言い換えればキャンプ場に1人だけだった場合、「テーブルとトイレがある」以上のメリットは存在しない。

 実はダルトンハイウェイに入って以降、大体60マイル(96km)毎に正規/非正規の違いはあるがキャンプ場が点在している。私はこれを目安にして走行していたのだが、前半戦は厳しすぎ後半戦は楽すぎた・・・というのが感想だ。

 余談だが、ダルトンハイウェイで出会ったサイクリストは私を含め全員ベアースプレーを所持していた。


◎帰り(行き)の移動手段

【バス・飛行機の利用】
 全長が800kmあるこの道は、片道だけを走って帰り(行き)道を他の交通手段を活用するのが一般的。少なくとも私が出会った他のサイクリスト達は、全員がその方法を取っていた。というか往復するとなると色々と大変だし。

 最も良い方法が飛行機での移動。毎日運行しているし、予約を取らなくても満席になることはほぼないらしい。しかも自転車は梱包しなくとも直接積載することができるとのこと。ただし飛行機なのでガソリンの携行缶の中身は処分して乾燥させた状態でないといけないが。

 その他に私が最初利用しようとしたバス会社を利用する方法もある。フェアバンクスーデッドホース間の運行で自転車を含めて310ドル。飛行機よりはかなり安いらしい。

 ただしこのバスは毎日の運行をしているわけではなく、また意外に人気があるのか予約の段階で幾つか満員となっている便もあった。このためデッドホースに到着してからバスを申し込む・・・というのはリスクが大きい。

 とはいえ事前に予約して出発すると、天候が悪化したりトラブルに遭遇したりしても日程の変更が効かないという問題がある。途中で出会ったサイクリストの1人は時間がギリギリになってしまい、深夜の2時とかに走行している猛者がいた。

 バスを利用するのであればデッドホースへ行くのに利用して、帰り道を自転車で走行する方が賢い利用方法だと思う。

【ヒッチハイク】
 デッドホース〜フェアバンクス間がほぼ1本道であるため、ほぼ全ての車がフェアバンクスを通過する形となるダルトンハイウェイ。ユーコンリバーキャンプ場と、アークティックサークル(北極圏ライン)の2ヶ所で大幅に交通量が減り、1時間で10台前後しか車両は走らなくなる。

 しかもその大半はデッドホースにおける業務関連のトラックであり、テロの防止だとか何とかでこうした車両にヒッチハイクで人を乗せるのは一般的に禁止されている・・・らしいよ?

 が、私の感想から言えばダルトンハイウェイはヒッチハイクが容易な道路であると思う。そもアラスカはヒッチハイクにおける移動という考え方がキチンと存在しているようで、割と普通に実施している人を見かけもするしこの方法でデッドホースから戻ってきたサイクリストとも会った。

 確実性に欠けるし危険もあろうが、そのヒッチハイクの行為自体がそういう危険を孕んでいるものなので、今更そんなことのリスクについて言及するつもりはない。

 とりあえず実施するのであれば、デッドホースの町から1マイルほど手前の河川敷ポイントにキャンパー達が野営をする場所があり、彼らの多くが午前中にそこを出発する。午後になるとデッドホースを出発するのは、工事関係の車やトラックが多くなる模様。

 ただしトラックはデッドホースで積み荷を降ろし、空に近い状態で袋の運行をしているようなので自転車の積載というマイナス条件をまったく問題にしないという意味で狙い目なのかもしれない。

【北上・南下】
 全体的に風は南から北に向かっているため、この面のみを見れば北上する方が楽かと思われる。だが最難関である峠多発地帯を序盤の食料満載の状態で迎えることになってしまうため、どっちもどっちじゃないのかね。

 それよりも北上は「デッドホースにたどり着く=ゴール」ではないため、この点における精神的な不安感が強かった。とにかくダルトンは精神をへし折ってくる道なので、体力よりも「ここを乗り切ればゴールだ!」という精神で走れる南下の方が頑張れそうな気はする。往路で道中の道を下見もできるし。

 ただし北極圏ラインの通過だとか、世界の端っこに向けて進んでいるだとかのそういった楽しさは段違いだとは思うけど。まぁ好みで決めれば良いんじゃないかと。


◎その他環境面

【気候】
 太陽の日差しが非常に強く、晴れている日とそうでない日とで気温が全く違ってくる。最終日のデッドホース付近では、午前中は汗かきながら走っていたのに、午後から天候悪化し強風が吹いてきた時は、上着3枚にズボン2枚着てもまだ寒かった。

 気温はおおよそ5〜30℃の間だが、湿度が非常に低いため不快な感じはほぼない。太陽が沈むのが遅い、または沈まないため天気が良ければ0時頃にならないと気温が下がらない一方で、下がり始めると一気に冷え込む。ただし太陽が登ってくるのもまた早く、場合によって5時前とかには暑くなったりも。

 ダルトンに挑戦するベストシーズンは5月後半から8月前半あたりまでらしく、8月の中盤からは雨が増えてしまい走行は適さないらしい。またコールドフット以外の施設は通年営業していないため、これらの施設が開いている夏の時期でないと走行が厳しいという事情もある模様。

 総じて山の標高自体は高くない。最高峰のアティガン峠で1440m程度でその他の峠はいづれも1000m以下である。なおアティガン峠を境にして以北はツンドラ地帯へと切り替わる。

【動物】
 熊の対策に関しては他のアラスカ全域と同様。食事場所・食料の保管場所・就寝場所の3カ所を分けるということを守り、ベアースプレーを枕元に置いて祈って眠るくらいしか対処の方法がない。

 走行中に関しては実はそれほど問題ないと感じた。道路上で偶然出くわし、しかもそいつが腹ペコで人を恐れないタイプでこちらが全く対応できないほど不意を突かれる可能性もないではないが、道路上を走っていれば基本見通しは良いのでどうにかなるかと。

 それよりも蚊の対策をしておかなければならない。防虫ネットと虫除けスプレーは必須の持ち物で、できれば蚊取り線香もあった方が良い。

 未舗装路を走る関係上、走行ペースが遅いため走っている最中でも蚊が襲いかかってくることがままある。虫除けスプレーをしても服の上から刺してくるヤツ、ヘルメットの穴に入り込んで刺してくるヤツなど数に物を言わせて群がってくる。

 姿を消したと思っても、1匹見かけると仲間を呼ぶのだろうか何十匹にも数が増えてしまうので要注意。蚊に悩まされずに済んだのは、最終日のツンドラ地帯で強風が吹きすさんだ時くらいだった気がする。

【山火事】
 割と火災が多発する地域らしい。帰り道では近くで大規模な火災が発生したらしく、コールドフットの前後100マイル以上に渡って煙が覆っている状態が続いていた。

 この手の情報はユーコンリバーとコールドフットのビジターセンターで教えてもらえるので、道路の工事状況も含めてとりあえず覗いてみた方が良い。

 それにしても天気といい山火事といい、私は恵まれた状況で自転車走行が出来たのだなと今になって思う。


◎まとめ

 とかくアラスカの他の道とは段違いでキツくて大変な道だったが、そこを無理してでも走る価値のあった道だった。なおゴールとなるデッドホースの町より以北、北極海に通じるプラドーベイまでは石油会社の敷地となっているため自転車での走行は許されていない。

 北極海自体はデッドホースからバスに乗って行くツアーが存在しており、3時間で60ドル以上のお値段とのこと。ボッタクリじゃねーかという文句は置いといて、私は「ダルトンハイウェイを自分の力で走りきる」ことが目標であったため、このツアーにはハナから興味がなかった。

 かなり厳しい道なので、じっくりと事前準備を行い万全の状態で臨んだ方がいい。なおダルトンに挑戦するバイク乗り・自転車乗りは「セブンズ ベースキャンプ ホステル」に集まる傾向があるため、直接話が聞けるこのキャンプ場を利用するのが吉。おそらくフェアバンクスの宿泊先で値段も1番安い。

 アラスカ20〜22日目 フェアバンクスの町

 さて順調すぎる感じでフェアバンクスの町へと戻ってきた私であるが、あまりにも都合良くいきすぎて人息つく暇も無かったのであり、厳しいダルトンを走り続けた日々とジョンのトラックに揺られ続け、流石の私も寝こけるわけにいかず頑張り続けて12時間。有り体に言えば無茶苦茶眠い。

 空は明るいがまだ眠っている町の中を走り、とりあえずマックでキャンプ場が開くまで時間調整。セブンズベースキャンプホステルへと舞い戻り、預けていた荷物を回収しつつテントを設営。最後の力を振り絞って砂埃で汚れまくっているウェア類を洗濯して力尽き昼寝。

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 本気で限界ギリギリだった

 16時頃に目覚めてとりあえず食料の買い出しに。本来ならば自転車の掃除も実施したいところだが、それは明日に回すことにしてダルトン走破した自分への細やかなご褒美にビールを飲もうじゃないか!実に9日間もビール飲んでなかったのであり、こんなことでは健康になってしまう。毎日ワイン飲んでいたけれど。

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 スペアリブが安かったので夕食に


 翌日。ダルトンハイウェイのことを忘れないうちに午前中を使い、道の内容をまとめてみたり。天気が悪くて雨が降っているのだが、フェアバンクス初日に滞在したビリーズバックパッカーホステルへと宿を移動する。

 別にキャンプ場は快適で居心地良いのだが、ビリーの家はWi-Fiがすこぶる快速であり、この機会に撮り溜めしておいたオセアニアの写真データをクラウド上に移行しておきたかったのだ。コンデジだけでも軽く7000枚は撮影したし、こういうガッチリ休む時でもないとやらない作業だもんで。

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 どうせ今日は雨だし

 同時進行であちこちから異音がするロシナンテ号の洗浄作業をば。オークランドで受け取った荷物の1つ、チェーン洗浄器がついに活躍する時が来たのでありワクワクしないこともない。たかが掃除で楽しそうだね私。

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 相当時間短縮できた

 ガタガタ道が続いたので各部分のネジの締まり具合とかもチェックしたのだが、やはりというか緩んでいた。今の私ほど緩んではなかろうが、気持ちをしっかりと保ってないから緩んだりするのだと、いかにも消防で聞きそうなお説教をかましてギチギチに締め直してやった。

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 あとはず〜っとアップロード作業


 さらに翌日。もう雨はずっと降り続いてるし、そもそも私のやる気が限りなく0だしということで、昨日に引き続きひたすら作業を継続。これだけダラダラしていても、別段フェアバンクスの町を観光しようとか思ったりはしない。

 先日キャンプ場でパンケーキ作ってるのを見て羨ましくなり、私も作ってみたのはいいがアメリカの1箱のサイズは大きすぎるんだよ。朝食から4枚も5枚もパンケーキ食べて、まだミックス半分も残っている事実。完全に持って余しているけど持ち運びたくもない、されとて宿に残していくのは悔しい私。こういうのを後先考えずって言うんですね。

 今日だけで文庫本2冊も読んでしまい、荷物が軽くなるのは嬉しいけれど、この調子じゃそう遠くないうちに再び本が枯渇してしまうこと必至。まぁいっか、未来の私に苦労してもらおう。

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 休んでる間にこれで体重増えないかな?

 なんか何時までたっても雨が降り止まないのだけども。いくら私でもそろそろ出発したい気持ちが出てこないこともないのであり、どうしたもんやらと思案中。

 1つ分かったこととして、私は海外で特にすることがない日は大概読書している模様。

 2016年7月16日(土) 走行距離12km 累計42404km
 2016年7月17日(日) 走行距離 5km 累計42409km
 2016年7月18日(月) 走行距離 0km 累計42409km

 アラスカ19日目 空き地〜フェアバンクスから北に約600km デッドホースの町

 北極海への道9日目にして最終日。長かったダルトンハイウェイを走る日々も今日で終わり。走っている最中は辛いことだらけだったダルトンも、今となってみれば坂道とか蚊の記憶が蘇ってくるのであり、人の記憶はそんなに都合よく改変できません。

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 なおこの夜が夜中1番暖かかった不思議

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 なお今日が道路のコンディション1番悪い

 道が悪かろうが何だろうが、残っているのは100kmにも満たない海までの道。前半あれほど苦しめられたアップダウンは姿を消し、北極海へと続く1本道が延びる景色はダルトンの終焉を飾るに相応しい寂寥感。

 このまま感動的にゴールしたいところなのだが、30kmほど走ったところで道路工事。しかも長距離に渡って実施しているため自転車の走行は認められないという仕様。まぁこれに関しては中間地点にあるコールドフットのビジターセンターで教えてもらっていたため覚悟はできていたけれど。

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 ということで30マイルほどピックアップ

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 標高100mもないけど雪が残ってる

 ようやく下ろしてもらえたのはゴールである町ことデッドホースの手前5km地点とかさ。地平に見え始めた町の姿を確認して感極まって云々・・・という、読んでる人が引いてしまいそうなポエミーな感想を書くこともできず。

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 なんかアッサリとしたゴールになってもうた

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 デッドホースの町

 まぁ町とか言ってはいるが、その実は油田採掘のために設けられた巨大な工場群であり、期間工が働いているのみで居住者がいるわけではない。そして北極海に面する湾こと「プラドーベイ」に至っては会社の敷地内となっているため一般人は立ち入り禁止なのである。

 つまり私の北極海を目指す走行は海から10㎞ほど手前のデッドホースにて終了なのである。一応「北極海を見るツアー」というのが、ここデッドホースから申し込めるのだが2時間で69ドルとのことで、ハナっから行く気はない。そんなお金あったらビール買うよ。

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 海じゃなくてここは湖

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 一般人用に開かれてる数少ない施設のプラドーベイホテルへ

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 ここのランチビュッフェを食べて終了とする

 飛行機なら2〜3時間でこれるのだと

 見るべき場所などほとんどないデッドホースの町。食事時間を入れても3時間も滞在せず町を後にする。いいんです、そもそもダルトンハイウェイを走破するという目的でここまで来たのであり、デッドホースや北極海自体は大切ではないのですよ。

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 自転車旅行ってのは道中を楽しむもんなのだ

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 それでは町のはずれでヒッチハイクの準備をば

 残りの食料は多めに見積もって3日分。つまり自走して帰ることは現実的ではないというか、あんな道2回目を走るとかマジ勘弁なのであり、ここで車を捕まえることは必須事項であると言えなくもない。究極は飛行機で帰れるけどさ。

 結果としては7代目の車でフェアバンクス行きのトラックに乗せてもらうことに成功。こう書くとあっという間に感じるが、時間的には1時間半くらいやってましたが。交通量が少なすぎるんだよね。

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 さぁフェアバンクスへと戻るぜよ

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 途中でお菓子やジュースを頂いたりとか楽しい道中

 実走で8日間かけた道をあっという間に通り過ぎていくトラックに乗って。帰り道では悪天候や山火事などいろいろと悪条件の中を走行していたことを思うと、私はなんと運が良かったのだろうとダルトンハイウェイに感謝したり。

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 山火事の関係で煙だらけ

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 実にデカくて楽しいドライブでした

 翌朝4時半。無事にフェアバンクスの町へと到着する。往路に9日間、復路は12時間。まぁ自転車1日分のペースが車1時間分を上回ったから上出来だと思いたい。どうもありがとうジョン。

 2016年7月15日(金) 走行距離42km 累計42392km

 アラスカ18日目 道路脇〜フェアバンクスから北に525km地点 空き地

 北極海への道8日目。昨日余計に距離走ったのと、さすがに疲れが溜まっているとので目覚ましをセットせずに寝てみることにした。結果としては7時過ぎの起床であり、普段と比べて2時間ほどの寝坊。それではダルトン終盤戦にまいりますか。

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 ツンドラの上は別に寝心地良くない

 未舗装路で走りづらいのはもちろんなのだが、それ以外にも通過していく車が巻き上げる砂埃が非常に厄介。オマケに小さな石飛礫も弾き飛んできたりと迷惑この上ない。何故私が毎日無理してでも川沿いにテントを張るのかって、この砂埃に1日中身を晒しているからだ。

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 せめて寝るときくらいはスッキリしたい

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 幸い道中にいくらでも川があるし

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 本日ダルトン2日目 この先は楽しい地獄ばかりだよ

 イメージで北極海が近づけば、寒さに震えながらの走行を余儀なくされるとばかり思っていたのだが、現実には暑くて汗ながしながら自転車走らせている。寒いよりは暑い方が好みだが、かといって暑い場所を走りたいわけではない。アラスカに来れば真夏のシーズンも涼しく過ごせると思っていたのにとんだ誤算である。

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 道路工事の人から水とオレンジを頂く

 やっぱり辺鄙な道だからか自転車乗りに対して優しい人が多いダルトンハイウェイ。気づけばほぼ毎日誰かしらに助けてもらっている私であり、皆様のおかげでどうにか走り続けてます。こりゃ途中で嫌になってリタイヤとかできないな。

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 この会社敷地でお昼休憩させてもらった

 勢い余って2時間くらい滞在していたのだが、何しろこのポイントは蚊が出てこない。どこへ行っても蚊に悩まされるダルトンにおいて、心休まる数少ないポイントなのであり、PCの充電がてら長時間居続けた私を誰が咎められようか?

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 久しぶりに出てきたトイレは使用禁止だった事実

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 もう道とツンドラしか出てこねぇ

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 道とツンドラとロシナンテ号しか出てこねぇ

 とにかく水浴びしたかったので川を探して走り続け、結果的に大きな湖の脇にて本日終了。川と違って流れていないためか水温が高く、5分くらい遊泳しても平気なのであり、久しぶりに水泳を楽しんだんだぜ。

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 ワインも肉もこれで最後

 いよいよ明日でダルトン走破の予定。走りきるのはいいのだが、ちゃんと帰り道を戻れるのか不確定なのであり、気持ちが一息つけるのは上手いこと乗せてくれる車を見つけた後だったりする。とりあえず明日の夜はデッドホースの町に泊まるのも辞さない準備だけはしてますよ。野宿の準備、だけれども。

 2016年7月14日(木) 走行距離92km 累計42350km

 アラスカ17日目 チャンドラーシェルフキャンプ場〜フェアバンクスから北に446km地点 道路脇

 北極海への道7日目。寝るときは暑くて仕方がないのに、深夜になると寒くて凍えるという寒暖の差が激しすぎる毎日。体感ではあるが、気温は5〜30度くらいの間を上下していると思う。

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 ちょっと寒いくらいの方がウェア着込むので蚊に刺されずありがたい

 さて出発して早々にダルトンハイウェイにおける最高地点のアティガン峠への上り坂に差し掛かる。ここが最後の踏ん張りどころだと自分に言い聞かせ、気合を入れて来てみれば・・・

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 工事中で自転車は通行禁止とのこと

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 トラックにピックアップされてあっという間に頂上へ

 納得いかねぇ!そりゃ上り坂なんてできる限り回避したいし、坂道の途中で「麓から頂上までは自転車を載せれるリフトを作るべきだ!」とか思ったりしている私だが、こうして本当に回避してしまうと文句タラタラなのである。まぁルールに対してグチグチ言っても仕方ないのだけれど。

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 ということで楽勝だった峠を越えて下り坂に

 アップダウンばかりのダルトンハイウェイも、アティガン峠を越えると海まで下り基調の平坦路が続く。そりゃあ未舗装路の道ではあるが、ここまでこれたのならばダルトン走破はもう難しくない。

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 今日だけで10匹以上見た

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 山を下った先はツンドラの世界

 ツンドラなんて社会の授業で聞いて以来だが、こうして自分で訪れてみるとその美しさに息を飲むというものだ。こればっかりは「ダルトンの厳しい道中を自力で越えてきた」というファクターがなければ楽めなかろうよ。

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 今日も1人阿呆なサイクリストが

 前半戦の不安定な天気と打って変わり、連日晴天が続く。つまり凄まじく暑いのであり、ゴールまで補充が効かない水の残量を心配しながらの走行が続く。もう開き直ってガバガバ川の水飲んでやろうかしら?真夏なのに水温5度以下で実に冷たくて気持ち良い水なのだ。

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 と思ってたらトラックの運ちゃんから水と食料頂く

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 遮蔽物なんて存在しない世界

 これだけ僻地に来ても蚊の存在は消えないのであり、ちょっとでも立ち止まろうものならばあっという間に数十匹単位で周囲を取り囲んでくる最悪の刺客。たまに見かけたガードレールに自転車を立てかけての一休みもままならない。

 つまり、楽なようでちっとも楽にならないダルトン後半戦。体力的な厳しさから、とにかく我慢!という状況にシフトしたと思われる。

 ペース自体は速いので、当初計画していたキャンプ候補地には16時前に到着したのだが、話に聞いてたテント張れそうな場所が見当たらない。もうちょい先かなぁ・・・とかフラフラ進んでいるうちに、気づけば10マイル以上も走ってしまう。

 もうとにかく川辺だったらどこでもいいわい!と方針を変更するも、あれほど頻繁に見かけた橋や川がいきなり姿を消す。どんな嫌がらせだよ?と文句を言いつつ車のUターン方向転換ポイントで夕食&行水を済まし、近くの草地に無理矢理テント張って終了とす。

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 大変でした

 眠りたいのに沈まぬ太陽が強烈な日差しで照りつけて暑くて休めないテントの中。昨日までは山岳地帯だから、時間が遅くなると山の陰に太陽は隠れてしまっていたのだが、そこは地平線まで広がるツンドラ地帯。全く休めそうにありません。

 本当にどこまでもままならぬダルトンハイウェイである。

 2016年7月13日(水) 走行距離124km 累計42350km

 アラスカ16日目 コールドフットキャンプ場〜フェアバンクスから北北西に370km地点 チャンドラーシェルフキャンプ場

 北極海への道6日目。まだ残り400km弱もあるのに最後となる補給地のコールドフット。仮にうまく行けたとしても今日を含めて4日間での到着となるのかと思うと、ワクワクする反面気が重い。それでは今日もダルトンりますか。

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 私を含めてテントは3張り

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 ネクストサービス240「マイル」なんだよね

 昨日に引き続き、路面は舗装された道である。しかもコールドフット以降は明らかに最近作られた感じの、なんとも素晴らしい道ではないか!アップダウンも少なくて、こりゃあブイブイ言わせながら走っちゃいますよ。

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 5マイル先のキャンプ場で最後の給水

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 と、思っていたのにまさかの故障中

 おいおいおい!残りの水1ℓで私に400km走れというのか?川の水は豊富にあるが、いろんな人から「細菌がいるから浄水器使えよ」と言われている手前、あんまり無茶はしたくないのですけれど。もちろん浄水器なんて持ってませんよ私。だって1万円とかするんだもの。

 結果的にはキャンプ場に係員みたいな人がいて、その人からタンクの水を頂き事無きを得る。なんというかトラブルを常に運の良さで回避している気がしないでもなくて、いかにも私らしいと思ったり。

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 このワイズマンというのがもう1つの人が常駐する村

 つまり補給地点あるんじゃん!と私は声を大にして言いたいのだが、まぁダルトンハイウェイ上にはないですね。そういうのがまかり通るなら、この先100km地点の脇道にコンビニとか作ってもバチは当たらないと思うんだけど。

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 いいじゃないか!川があるんだし

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 こんな僻地で自転車使ってヒルクライムするんだと

 午前中いっぱいは素晴らしく整備された道路だったが、後半戦からいよいよ未舗装の道へと逆戻り。情報ではこの先ゴール直前まで舗装された道は存在しないらしいので、覚悟を決めなければいかんですよ。

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 それじゃあ行きますか

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 というところでお茶やらお菓子やらいただく

 お昼に食べたスパム缶が実にしょっぱくて、でも節水していかないとなぁ・・・というジレンマに悩んでいたところでのタイミング。頂いた生姜入りのお茶は実に私の喉を潤してくれるのであり、勢い余って2回もお代わりさせてもらったでござる。

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 今日はずっと川の脇を走ってる感じ

 というのも山の谷間を走ってるからであり、このブルックス山脈こそが北極海へと抜ける最後にして最大の峠なのだそう。つまり今は平坦基調の道なのだが、この先には大きな峠が待ち構えているということでもある。

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 ということで峠の手前

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 同時にここから森林限界が始まるらしい

 山以外で始めて「森林限界」という言葉を使ったよ。などという感慨もつかの間、斜度10%のダート坂道が私に襲いかかる。正確には私が臨んでいるので「立ち向かう」と言った言葉が適切か。

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 大変なのもそうなのだが、蚊がつきまとうのが最悪

 2段階で構えるアティガン峠、前半戦の坂道を登りきったところのキャンプ場にて本日は終了。峠本番を前に、足を休めて明日に備えるなんて茶壺さん冴えてます。本当は前半戦の坂道も明日に回す予定だったのだが、思いの外午前中に距離走ってしまったので、今日余計に頑張りました。きっと明日は楽できるでしょう。

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 あの山を越えれば(300kmで)北極海だ

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 いつも代わり映えしない夕食

 2016年7月12日(火) 走行距離110km 累計42226km

 アラスカ15日目 アークティックサークルキャンプ場〜フェアバンクスから北北西に291km地点 コールドフットキャンプ場

 北極海への道5日目。とりあえず今日もクマは出てこなかった・・・という気持ちを胸にして、テントをたたみ始める私。ダルトンハイウェイの道中には、人が常駐している村が2ヶ所だけあって今日はそのコールドフットへと走る予定。

 別にポツポツと人工物もあるし、1時間に10台くらいはトラックやバイクなんかとすれ違うしで、文明が恋しいとかそういうワケではないけど、人の住む場所にたどり着けるというのはなんだか嬉しい。まぁ3日もいると、人のいないところが恋しくなるけど。

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 急ぎ目に準備してたので野営場所を撮影し忘れた

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 バイバイ、北極圏ライン

 かなりの割合で未舗装路なダルトンハイウェイだが、その中で今日は唯一走行ルート全てが舗装された道を走れる日。もう昨日の経験からちょこちょこダートが混じることはわかっちゃいるけど、それでも路面状況は雲泥の差だ。

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 アスファルトを愛せるね

 個人的に道路公団という存在には色々と物申したいところはあるが、今は「道路をアスファルトで舗装してくれている」という仕事に対し、ただただ感謝の気持ちを述べたいね。旅行自転車は人様が整備した道を走ってナンボの遊びです。

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 しかも本日は大きな峠が2つしかないという優しさ

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 町かと思いきや原油のポンプ工場

 午前中で70kmを走るとか僥倖のペースにご満悦。既にチェーンやギアから軋みのような音が鳴り続けているロシナンテ号だが、メンテナンス系の荷物は全てキャンプ場。とにかくゴールまで保ってくれることを信じ、不具合は全て見なかったことにして走り続ける。

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 あまりに交通量が少ないので路面状態が良い中央を走る

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 道中に出会える数少ない人工物のトイレとゴミ箱

 ここで昼食休憩を取った後、見事に空が晴れわたる。道よし、天気よし、気温よしと3拍子揃った状況でのダルトン走行は、素直に走っているのが楽しいと思いますよ。ダルトン初日なんかキツすぎて、文句の言葉すら浮かんでこないほど満身創痍だったのに。

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 調子に乗って下り坂飛ばすとダートがある罠

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 あっという間にコールドフットへ到着

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 あまりにも立派なビジターセンターにビビる

 人口自体は10数人しか住んでいない場所らしいが、シーズン真っ盛りの現在は実に多くの旅行者やトラックの運ちゃんで賑わうコールドフット。ガソリンの補充とおっそいネット(有料)、充電に水の補給。そんな感じでやりたいことは沢山あるが、そんなことより重要なのは

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 食べ放題の夕食だ!

 私はこのために自転車こいでここまでやって来たんじゃなかろうか?とか目的を見失うほどには楽園であった。あまりにも楽園なので明日も滞在したいところだが、僻地における物価高はそれを許してくれない事実。

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 ちなみにキャンプ場は無料(というかダルトンで有料なのは1ヶ所だけ)

 とりあえず今日がダルトンで1番楽できた日になるであろうことは想像に難くない。できることなら、その期待を裏切ってもらえると嬉しいのだけれども。

 2016年7月11日(月) 走行距離100km 累計42116km

 アラスカ13・14日目 60マイルキャンプ場〜フェアバンクスから北西に238km地点 アークティックサークルキャンプ場

 疲れすぎて1日停滞した日。これが水場もない辺鄙な場所だったら無理して走ったかもしれないが、幸いにしてここには飲み水もすぐ側にカフェもある。トラックの運ちゃんが「今日は天気が悪い」と言ってたし、ここはじっくりと時間かけていこうではないか。

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 その運ちゃんからエナジードリンク頂く

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 コーヒ−1杯で半日以上ここにいた

 なお雨は5分くらい降っただけだった。天気が悪いとはなんだったのか。


 翌日。ダルくてギリギリだった両足も幾分回復し、朝5時からいそいそと準備を始める私。とにかく朝早く出発して、できる限り早い時間にゴールすることを心がけるようにしたい。個人的に20時とか21時に走るのは気持ちが急いてしまうから好きじゃないのだ。

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 ということで7時には出発

 丸1日休みを入れたおかげでかなりペダルが軽い。ダルトン初日の時には「体がぶっ壊れるか、気持ちが負けるかの二者択一になりかねん。」・・・とか思っていたのだが、環境には適応するものです。かといって大変な道でキツすぎることに変わりはないのだけれど。

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 私とは逆方向にダルトンチャレンジしてる

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 実は彼は昨日休んでる時に1度出会った

 と、2組も他のサイクリストと出会ったりして、こんなに勇気付けられることはない。この道が普通の道なら特別そんな感情湧きもしないだろうけど、わざわざこんな辺鄙な道を走り、しんどい思いをしているのは自分だけじゃないという事実を目の前で確認できることの嬉しさよ。ちなみに5日ほど前には日本人サイクリストもここを走っていたらしい。あっはっは、馬鹿はたくさんいる。

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 「名前のない川」なのか「名前がない川」なのか

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 おそらく今後永久に使われないであろうポンプ

 最初こそ厳しい斜度の峠もなく、今日は割と楽できるかもなどと考えてしまったのがマズかったのか。アホみたいな斜度の坂を登らされること2回。もう動けないので峠の頂上にてお昼休憩しようと自転車を止める。すると近くのキャンピングカーから出てきたオッちゃんが「どうだ?一緒に朝食食べないか?」とのお誘いを受ける。ん、朝食?

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 もう最高に最高です

 アメリカに入ってから見かけるキャンピングカーは、デカすぎて何事かと思っていたのだが。なんというか、普通に家だった。部屋がキッチンと寝室に分かれてるし、室内シャワーに洗濯機まで完備とかさ。おそらく一般的な東京23区内のアパートより広くて豪華な気がする。

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 こういう旅行もまた楽しそうだ

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 すっごく雰囲気のいい夫婦で楽しかった

 良いことは続くもので、ここから中間地点のコールドフットの町までは、路面が未舗装路から舗装された道へと変わる。ダルトンが厳しい道であることのかなりの割合は、路面が未舗装であることに起因しているのでこりゃイケる!やってやるぜと走りますよ茶壺さん。

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 走りましたとも

 まぁね、走ってみてわかったのだが「舗装路ときどき未舗装路」でしたが。むしろキツい坂道の場面とか、そこはちゃんと整備しといてよ!という箇所ほどダートだったりする事実。ちくしょうダルトンハイウェイに翻弄されるがまま。

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 それでもどうにかゴール

 このポイントこそが北極圏へと突入したことを示す看板なのであり、ここより以北は沈まぬ太陽の世界となる。季節的にも夏至の直後とあって、白夜の世界を体験することができるのであり、まぁどうせ疲れてるからサッサと寝てしまいますけども。

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 食事をするごとに荷物が軽くなっていく喜び

 2016年7月 9日(土) 走行距離 0km 累計41923km
 2016年7月10日(日) 走行距離93km 累計42016km

 アラスカ12日目 コロラドクリークトレイルヘッド〜フェアバンクスから北西に155km地点 60マイルキャンプ場

 北極海への道2日目。なお2日目にして早くも挫折しそうな程に満身創痍でもある。自転車旅行ってこんなにも体力と精神の限界にチャレンジするような遊びだったけか?

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 朝とか関係なくいつも明るい

 側の川で朝食に使う水を取りに行ったら謝ってコッヘルの蓋を落としてしまう。仕方ないので周囲にわんさか蚊がいる中、服を脱いで水温5度以下の川へと潜って捜索を試みる。

 まぁものの1分で限界というか、これ以上は生命に危機が迫るレベルと判断して泣く泣く諦めましたけど。朝から全身びしょ濡れで蚊と戦いつつ、ガタガタ震えているという滑稽な姿である。

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 とりあえず出発して

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 いよいよダルトンハイウェイに突入

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 こんなにステッカー貼られてる看板も珍しい

 いやね、エリオットハイウェイがアップダウンが多くて大変だ・・・とか言ってましたがその比じゃない。今にして思えば、あんなのなんでもなかったね。

 未舗装路なのは分かっていたことだし、坂道だらけなのも分かっていた。でも所詮頭で理解していることなんて大した意味はないのであり、実際に走ってみてダルトンの鬼っぷりにオカシクなりそう。

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 最初の看板に来るまでですら一苦労

 路面コンディションに加え、あまりにもキツすぎて速度が5km/hとかしか出ない。明らかに普段よりも力使ってるのに、速度はおよそ3割減ですよ。なんなのさこの道。

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 景色は実に綺麗だけどさぁ

 オマケに太陽が陰ると凄まじい数の蚊が私の周りを飛び回る。全身に虫除けスプレーしてようがお構いなし。服の上や顔面、ヘルメットの穴から侵入して刺してくるという鬼畜っぷり。ただでさえ大変な道なのに、一休みすることもできなしない。

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 北極海からずっとこのパイプは繋がっているのだそう

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 もう今日はここで止めようと本気で考えた昼食休憩場所

 想定よりも遥かにペースが遅く、時間的にもギリギリな走行だったのだが、前方に見えるは路肩で止まっている車。何事かと思ったら、タイヤがバーストしてしまいスペアタイヤに交換作業をしている最中であった。

 スルーして先へ行きたいところだけど、オッチャンどうやらスペアタイヤの外し方がわからないみたいで困っているし、流石にこのまま無視して先へ進むことはできないよ。ということでタイヤ交換作業をお手伝い。

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 前職でこの手の作業をしといて良かった

 首尾よく交換を終えたはいいが、こりゃどう頑張ってもゴールにたどり着くのは20時はたまた21時か。しかし疲れ切っていた両足を1時間ほど休ませたのと、お礼に頂いたドーナツとジュース、そしてこの先から運良く道路が舗装路へと変わったことが相まって・・・・やっぱり20時半に到着した。

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 まぁ遅くても明るいし問題ないけどさ

 ダルトン道中で2ヶ所しかないレストラン。普段ならばケチって使わないところだが、この道に関してはそんなこと言ってらんない。利用できる施設は全力で使っていかなくては。

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 やっぱりアメリカはハンバーガーなんですね

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 ここだけ別世界だった 

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 これが有名なユーコン川か

 このレストラン周辺はキャンプ禁止なので、さらに4マイルほど先へと進みキャンプ場にてフィニッシュ。どうにか今日を乗り越えた・・・という気分なのだが、最短でもゴールまではあと6日かかるんだよね。既に100回近く「もうフェアバンクスに戻ろうかなぁ」とか本気で思っているのだが、明日も先へと進めるだろうか?

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 このキャンプ場、無料の飲み水があって大助かり

 2016年7月8日(金) 走行距離117km 累計41923km

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