海外でのお金の取り扱いについて、慎重すぎるということは無いと思っている。何かの間違いで無一文になった場合、どんな選択肢を選んでもバットエンド直行ルートになりかねない。

 昔から海外旅行をする際には、現金の取り扱いについて様々な方法が語られてきたのであり、私が長期旅行をするにあたって準備した金銭関係のまとめである。


◎国際キャッシュカード

 一昔前にはトラベラーズチェックという、旅行者用の小切手を使用するのが金銭の持ち運びとして一般的な方法だったそうだ。しかしこの方法は銀行での手続きが面倒であるためなのか、単純に流行から外れたのか現代ではほとんど活用されていない。

 そんなことをしなくとも、現在では国際キャッシュカードが1枚あれば海外のATMから直に現地通貨を引き出すことができるのであり、防犯性はともかく利便性は圧倒的となった。

 とはいえ、どんな田舎でもATMが存在する日本のような国は少なく、またATMの機械そのものがダウトであり、入れたカードが出てこない・・・といった洒落にならない自体に直面している旅行者も数多い。

 そんな点がありつつも、面倒で騙される危険性の高い両替をしなくても良いキャッシュカードの存在は大きい。私はリスク分散の意味を込めて2種類のカードを作成した。

 さて、国際キャッシュカードは日本の銀行で現在5行がサービスを実施している。どうせ利用するのであれば、最も利用料金が低くなる銀行にて手続きするのは当然のことであり、そこら辺を調べてみた。

銀行名

レート

引出し手数料

年会費

提携サービス

新生銀行

VISA為替レート+4%

無料

無料

なし

シティバンク

CITI米ドルレート+3%

210円

無料

なし

楽天銀行

VISA円換算レート+2.94%

無料

1000円

楽天ポイント

スルガ銀行

VISAレート換算+3%を円換算

210円

無料

ANAマイレージ

りそな銀行

VISA為替レート+2.5%

無料

1000円

なし


 国際キャッシュカードを使用する際に面倒となるのがレートである。単純に引き出し手数料の他にレートが数%上乗せされてしまうため、引き出す金額によって手数料が変化し、どこの銀行がお得なのか異なってくる。


 全体的な特徴としては、年会費のある銀行はレート換算率が良い(パーセントが低い)傾向にあり、年会費のない銀行はその逆だといえる。


 シティバンクにあってはレート換算計算が他行と違うので一概に比較できないのだが、預金金額が50万円を下回ると口座維持手数料に毎月2100円を取られてしまうので、あんまり利用したくない。


 年会費をどう考えるかで大分変わってくると思うが、私はレート率の良い「りそな銀行」をメインバンクにしようと思う。


 サブバンクには年会費の必要がない銀行ということで、新生銀行かスルガ銀行を選びたい所であるが、どちらが良いだろうか。


 単純計算で1ドル=100円として計算すると

・新生銀行

 100ドルおろした時のコスト・・・・・・・・・・・・・・ 400円

 300ドルおろした時のコスト・・・・・・・・・・・・・・1200円


・スルガ銀行

 100ドルおろした時のコスト・・・・・・・・・・・・・・ 510円

 300ドルおろした時のコスト・・・・・・・・・・・・・・1100円


 となる。おろす金額が大きいと、レート率の良いスルガ銀行の方が得することになる。甲乙付け難い感じなのだが、長期旅行者に圧倒的な人気を誇っているのは新生銀行らしい。そんなにサービス云々の違いがあるとは思えないけど、ここは素直に新生銀行をサブバンクとしておく。私は流されるがまま系男子である。



◎キャッシング


 さて、長々と国際キャッシュカードの説明をしてきたが、海外における現金の引き出し方においては他にも方法がある。それがクレジットカードによるキャッシングという手法だ。


 キャッシングとは、クレジットカードでお金を借りることをいい、カードの支払日に引き出した分のお金と金利が上乗せされて口座から引き落とされる。


 海外においては前述したレートの関係で、キャッシュカードでの引き落とし金額が高くなる傾向があり、レートに左右されず一定金利のキャッシングは、海外で手数料が少なくて済む現金引き出し方法として活用されている。


 一応計算してみると、一般的な海外キャッシングの返済利息は普通のクレジットカードでは年利18%が多い。この利息の期間はキャッシングした日からカードの支払日までであるため、支払日に近い時にキャッシングした方が返済期間が短くなるため、当然利息も低くなる。


 支払日までの期間は、カード会社の営業日に休日や祝日が重なってくることで変わるのだが、最短で19日、最長で56日間となる。したがってその利率は


・19日の場合 18%×19日÷365日=0.94%


・56日の場合 18%×56日÷365日=2.77%  という計算になる


 おおっ!国際キャッシュカードで最も利率が良かったスルガ銀行のレートが2.5%なので、確かにキャッシングの方が利率が良い場合が多い。


 と、いうことで旅の間の現金の入手方法は


1、クレジットカードによるキャッシング

2、国際キャッシュカードによる引き出し

3、他国で下ろしたお金を両替する


 という優先順位で実施していこうと思う。どこまで1と2の方法が通用するかがキモだと思う。



◎クレジットカード


 そんなワケで便利なクレジットカードだが、世界1周をしようと考えてクレジットカードを作ろうとしている人がいるならば、社会人のうちに作成しておくことをオススメする。


 カード会社が審査する関係で、無職となってしまうと入手できるカードの選択肢が大きく減ってしまうからだ。予防接種と並んで早い段階での事前準備が必要となる活動の1つであるといえよう。



 ではどんなクレジットカードが良いのかということだが、カードの種類にあっては世界1周という観点から、サービス内容云々よりも「使える地域が如何に多いか」で選ぶことにした。


 とりあえずリスク分散でメインとサブの2枚のカードを準備した私は、メインカードにVISAカードを、サブカードとしてMasterカードを選んでいる。とりあえず世界各地で使用することが可能となると、現実的に他のカードを選択する余地がないんですわ。


 国内で高いシェアを誇るJCBカードだが、世界での普及率にあっては1.3%と微々たる結果である。裕福層が持つイメージの強いアメックスカードは、手厚い保証がある反面、アジアの地域や貧困国での普及率が悪い。ダイナースカードも右に同じ。


 まぁ基本的に世界中どこでも使えるVISAカード。それに予備として特にヨーロッパ地域で強いMasterカードがあれば、カード利用可能の地域で使えなかった。・・・みたいな状況は、まずないといえる。なにしろこの2種類でカードシェア率は90%越えなのだし。


 カードの発行会社だが、それこそ1000を超える数があるのであり、個人で好きな会社を選べば良いと思うんよ。年会費無料で効率良くポイントが付くならそれで十分でしょう?



◎緊急事態の送金


 こうして2重3重に対策をしてはいるけども、荷物を全て取られてしまったら意味がないのであり、万が一何らかのトラブルで無一文になった場合として、日本の友人から当座のお金を振り込んでもらうやもしれない。その場合は


1、パスポートを掲示して口座を作り、その講座情報を日本に伝えて振り込んでもらう

2、パスポート情報によって臨時の口座を作る。これに日本から振り込んでもらう

3、Western Union という金融会社に日本の銀行等から送金する

 

 ・・・といった手段が存在する。とはいえ、1と2の方法は口座が開けなかったり、振り込まれてもタイムラグがあるためすぐに引き落としができないといった事例が報告されている。


 結局3のウエスタンユニオンを利用して、もともと保持している口座に振り込んでもらうのが、手っ取り早い解決法であるといえる。まぁ、口座のお金がなくなるまで無理して旅をするつもりはないけども。

 どっちにしても荷物を全て盗まれたのならば、私がお金を引き出す手段を得るために、カードの再発行をしなければならないのであり、素早い現金入手は困難だといえる。 


 ウエスタンユニオン




 そんなわけで、海外における現金は基本的にカードから引き出す形となる。手数料関係を無視すれば、日本国内で現金を引き出すのと別段変わった方法を取るわけではないと思うが、果たして。


 お金に関しては、この他にも現地通貨と円やドルとの換算から、両替における知識まで、覚えておくべきことが多数あると思う。大切な物というのは大抵の場合、面倒臭さと表裏一体なのだろうなぁ、残念ながら。