2015年6月30日〜7月17日  8月13日〜8月23日  8月24日〜9月4日
 走行日数41日間
 累計走行距離2926km(1回目1247km・2回目1088km・3回目691km)
       (14839km〜16086km・17576km〜18664km・18849km〜19540km)
 ※1回目はマレー半島、2・3回目はボルネオ島を走行

◎道路
 路面の状況は非常に素晴らしい。なお車両は左側通行。しかしバイクの割合が減って車が増えた影響なのか、二輪車に対する配慮が欠けていると感じるのも事実。路側帯が狭いのはまだ良い方で、車道2車線でスピード出せそうな道でも全く路側帯が存在しない道があったりすることも。
 郊外の道ではそれほど危険はないが、とにかく街中においての走行は車主体の道路が造られている側面もあり、恐ろしい思いをする。
 高速道路を自転車で走行することが可能な面白い国なのだが、走行可能な高速と不可能な高速があるため料金所の看板にて要確認。とはいえ高速道路は景色の変化が少ない上に、車線の合流等で入ってくる車両の恐怖感が半端ないため、個人的には無理して走るほどではないかと思う。混ぜるな危険。

◎治安
 非常に良い。タイの深南部が治安が悪いため、隣接しているマレーシア北部地域もどうかと思ったりしたが、全く問題なし。なお、警察組織の力というか立場が強いのか、交通警察の人達が使用しているバイクがちゃんとしてる(日本の白バイと似てる)ことに驚いた。これは他の東南アジア諸国では珍しいかと思うのだが。
 田舎・観光地共に街中での雰囲気に緊張感を感じることは少ない。実際、夜間においても人の往来をよく見かけたし、私は入っていかないけれども人通りの少なそうな裏路地とかにも平気で入ったりしてた。
 海外旅行をする上での基本的な注意点を守っていれば、そんなにトラブルに遭遇するようなことは少ないんじゃないかね、責任は持てんけど。

◎ビザ
 ノービザで90日間の滞在が可能なため、国土面積から鑑みて滞在日数を全く気にしなくても良い。私は短期間で都合3度の入国をしているワケだが、この程度の出入国の繰り返し(ビザラン)は全く問題ではない様子。
 自転車旅行をするにあたって日数的な問題となることは全くない。そう思ってもらって良い。まったくもって良い国である。

◎交通事情
 車に関してはなかなか紳士的な走行をする人が多かった印象。一昔前の日本もそうだったらしいが、車に対して「利便性」よりも「格好良さ」を重要視している気がする。ワンボックスやバンタイプの車両は100%商用関係車で、個人で乗っている車はセダンやスポーツカーを多く見かけた。
 そんな車社会なので、何度かそれはそれはアホみたいな速度出して走る輩にヒヤリとさせられた。同じことはバイクにもいえるが、マレーシアでは車の割合が大きいので相対的に車との遭遇機会が増える。そして自転車的に怖いのは大きな車なのである。
 あと、この国で信号無視した車は1度も見なかった(バイクは山ほど見た)。威嚇のクラクションを鳴らしてくることもまずないし、国民の意識が高い国である。

◎特徴
 1、主にマレー系・中華系・インド系と幾つかの民族が混在している多民族国家である。他の東南アジアのどの国よりも華僑の影響力を感じるし、地図にも載ってない小さな地区でも中国漢字を見かけることは数多い。
 2、国土がマレー半島とボルネオ領とに二分されている。ボルネオ領におけるサラワク州とサバ州はそれぞれ強い自治権があり、普通の国と同じように入境審査が実施される。というか、これらの州に陸路で入るにはインドネシアなりブルネイを通過するしかない(州境には道がない)ため、陸路移動者はあんまり意識しない。
 基本的にこのまとめではマレー半島(ウエストマレーシア)についてメインに扱っており、ボルネオ領(イーストマレーシア)に関してはボルネオ島まとめにて記載している。

◎言語
 どの人種の人達も英語の通用度が非常に高い。というか、この国で会話に苦労したという記憶がない(単純に英語における会話の苦労を除く)。勝手な想像なのだが、異なる民族間でのコミュニケーション手段は基本的に英語となっていたので、こうした背景が大いに影響しているのだと思われる。
 実際、チャイナレストラン内では中国語が飛び交っていたし、インド系のお店も然り。とりあえず旅行者が出没するような地域においては、英語が通じずに苦労するという心配はしなくても良いんじゃないですかね?
 言い換えると、ボルネオ島のど田舎地域では英語の通用率は低かった。基本的に田舎に行くほど現地語しか通用しなくなっていくのはどの国でも同様である。

◎宿・Wi-Fi
 物価に対して宿代が高めの印象を受ける。一部の観光地では500円前後の超格安宿も存在するが、基本的にツーリスティックな町以外での宿泊費は1000〜1600円程度である。それ以上の料金も多いが、その場合は野宿してた。
 ちなみに田舎の安宿は「HOSTEL」か「旅社」と表記されている。小さな町でもこうした安宿が1〜2つくらいはあったりするが、本当に僻地だったり郊外の地域には「Homestay」の看板が道路沿いに点在しているので、コチラを利用するのもありかと。なお、Homestayには1度も宿泊してないので言及はしない。
 設備は立派で、エアコン付きの宿がほとんど。ゲストハウス系であれば大抵無料の朝食がサービスに含まれている。とりあえず私がお金を出して宿泊した宿には100%Wi-Fiが設置されていた。速度もなかなか速くて快適である。旅社系の宿は長屋の2階に位置している場合がほとんどで、自転車を担ぎ上げるのがやや面倒くさい。部屋数も10室以下で、家族経営しているパターンが多々見られた。
 別にぐいぐい交渉しなくても、値段を聞いて他の宿も確認しようとすると「ちょっと待て!○○リンギットでどうだ?」と割引きしてくれるパターンが多かった気がする。そんなに料金が違うわけでも、お客が私1人というワケでもないので、多分私の魅力の結果だと思われる。

◎自転車店
 結構自転車が人気であるのか、大抵の街中にスポーツサイクル店が存在する。しかしラインナップに関しては店内をほぼ見ていないので何ともいえない。とりあえずパーツは高級グレードばかりを販売していたなぁ。
 意外な点で、首都であるクアラルンプールでは自転車店の姿をほとんど見かけない。このためマレーシアでは、クアラルンプールで自転車の修理や部品の補充を計るよりも、普通の町にあるサイクルショップに赴く方が良いかと思われる。そもそもクアラルンプールは自転車での走行を拒絶した構造となっているため、自転車で走行することに向いていない。

◎物価・食事
 私的「食事がうまい国ランキング」で、中国からNo.1の座を引き摺り落としたほどレベルが高い。しかも料金が非常に安価で素晴らしい。ただし、1皿の量はかなり少量。多民族国家の関係か、マレー系・中華系・インド系と多様な系統と、いい具合にそれらが混ざり合って新たな食文化を形成しており、食に関心のある人は非常に楽しい環境だと思われる。
 フードコートに入っている屋台飯を食べる場合、別途テーブルを出しているお店の飲み物を頼むのが基本ルール。そのため、別々に料金を支払うことになり、若干面倒である。まぁお皿を盛ってきた時に会計してくれるので、のんびり座っていれば良い。
 自転車旅行者が(多分)好んで利用する「ぶっかけ飯」がセルフ方式であったり、他の東南アジア諸国では全く気兼ねせずに貰える水や氷に対しての扱いがややシビアだったりと、独特の印象を受けることが多い。
 屋台の平均価格が100〜300円くらい。別途注文の飲み物代が30〜60円程度。
 これだけならば東南アジアとしては通常の料金なのだが、残念なことにマレーシアはビールが非常に高額である。ビール瓶1本の値段は約500円と日本よりも高額であり、気軽に手を付けることは躊躇われる。なお、350㎖缶でも220〜250円程度。なおコンビニとスーパーとの価格に開きがある国なので、リカーショップやスーパーで購入すれば多少は安くなる。酒税が激しく高いのはビールなので、単純にアルコールを摂取したいならば、他種のお酒を選択すれば多少割安で楽しめたりする。でも私はビールが飲みたい人なので、理性と欲望の間を行ったり来たり。 

◎総括
 初のイスラム系国家ということで割と緊張していた国だったのだが、走ってみれば人は親切だし飯は美味い、その上かなりの先進国家ということもあり非常にストレス少なく走ることができた。
 海を挟んで東西マレーシアではかなり印象が異なるが、レベルの高さはどちらも同じ。ただしイーストマレーシアにおける自転車旅行者は壊滅的に少ない。まぁこれはインドシナ半島を縦断するルートが自転車旅行者に人気なため、比較することでその差が際立つだけなのかもしれないが。
 熱帯雨林地域なのでとにかくスコールに遭遇することを念頭に置いたルート作りが大切。あんまり頑張って距離走ろうとすると、スコールで動けずにお幅に時間をロスした挙げ句、夜間走行を余儀なくされた。などという状況になっては目も当てられない。私は乾季での走行だったにもかかわらず、結構な頻度でスコールに遭遇したこともあり、時期に関係なくこの点には注意が必要でしょう。
 そうそう、犬について。ウエストマレーシアでは全く吠えられることなく、タイ犬の攻撃性は国の特色だったのか?とか思っていたのだが、イーストマレーシアに入ってからはガンガン吠えられるわ追いかけられたりした。ボルネオ島でもインドネシア犬は全く吠えなかったことから、島という地域特性というワケではないと思う。というか、犬に関して1項目作った方が良いかもと今思った。