2015年9月16日〜2015年12月28日
 走行日数105日間
 累計走行距離8442km(19625km〜28067km)

◎道路
 実は道路状況は可もなく不可もないという程度。一般的に許容範囲の道(綺麗な舗装されてる道路)であっても、郊外においては制限速度が100km/hを越えているため、路側帯も無いような道路幅では狭すぎると感じる。交通量が極めて少ないため問題となることは少ないが、自転車・追い抜き車・対向車が横一列に並んだりすると非常に危険。
 田舎地域で幹線道路でない道を走る場合は、ほぼ未舗装路であると考えた方が良い。そのため、アドベンチャー的な観光をする場合、そういった場所を走行するに足る装備であることが必須。
 また国道1号線を始めとする主要幹線道路においてもその路面状態は様々で、悪いところだと砂利石をロードローラーで圧力加えただけだろ!的な場所もあるため、余りにも過信しすぎないほうが良いかと。ただし主要道路で未舗装路に当たることはまずない。というか北部に関してはその主要道路は1つしか無い。
 なおパース南部を除いて走行が大変と思うような坂道はほとんど見られない。むしろ起伏が少ない関係なのか、かなり強い風が吹き続けることの方が問題。

◎交通事情
 とにかく車はぶっ飛ばす。私も何度か乗車する機会があったたのでよく分かるが、車の立場からすると変化のない道がひたすら続くことになるためスピード上げるし運転中の集中力も低い。そのため他国と違って郊外こそが危険だったという印象。殆どの車は自転車に対し大きく迂回して避けてくれるのだが、100台に1台とかの確立ではあっても、超高速の車がすぐ脇を通り抜けていくのは安心できるワケがない。
 町中の方が制限速度厳しいし、自転車道が充実している関係でよほど気が楽である。何しろこの国の人達は信号を守るし標識に従うのである。日本人が持つ普通の感覚で成り立っている車社会だと思ってもらって構わないと思う。即ち一般人の運転レベルは全体的に低いということでもある。

◎補給
 西オーストラリアを走るにあたって最大の試練となる一翼を担う。最大で288kmに渡りロードハウスはおろか、水すら補給できないという区域もあるため、大量の食材を備蓄しながらの走行が求められる。特に厳しい気候と相まって、北部地域では如何に大手スーパーで上手く補給できるかが(節約志向の)自転車旅行の要となる。
 ダーウィンからジェラルトン間における国道1号線沿いの町において「ウールワース」「コールス」というオーストラリア2大スーパー若しくは「IGA」というスーパーがある町は

○ダーウィン・・・・・・・・・・ウールワース&コールス
   ⇅約300km
○キャサリン・・・・・・・・・・ウールワース
   ⇅約500km
○カナララ・・・・・・・・・・・コールス
   ⇅約250km
○ホールズクリーク・・・・・・・IGA
   ⇅約300km
○フィッツロイクロッシング・・・IGA
   ⇅約200km
○ダービー・・・・・・・・・・・ウールワース
   ⇅約100km(ただし私はこの町訪れてない)
○ブルーム・・・・・・・・・・・ウールワース&コールス
   ⇅約500km
○ポートヘッドランド・・・・・・ウールワース
   ⇅約15km
○サウスヘッドランド・・・・・・コールス
   ⇅約200km
○ウィックハン・・・・・・・・・ウールワース
   ⇅約50km
○カラサ・・・・・・・・・・・・ウールワース&コールス
   ⇅約600km
○カーナーボン・・・・・・・・・ウールワース
   ⇅約400km
○ジェラルトン・・・・・・・・・ウールワース&コールス&IGA

 ・・・と限られている。なお、これらの道中には約100〜150km位の間隔でコンビニ兼ガソリンスタンドであるロードハウスが存在することが多く、スーパーの3〜5倍の料金ではあるが補給ができないというわけではない。
 町の数が少ない北部に対して、ジェラルトン以南のパース周辺では町と町の間隔が短いため補給で苦労することは少ない。しかし、オーストラリア南部の東西を結ぶ「ナラボー平原」道路においてはノースマン〜セデューナ間が実に1200kmにも及ぶ広大な平野区域があるため油断は禁物である。
 この中間にはロードハウス以外の村というべきなのか、ユークラという唯一の集落が存在するものの、商店の品揃えも物価も最悪レベルなので、財布に優しい補給は不可能に近い。(とか言ってるが、セデューナ手前の約50km地点にあるパノンという町があり、そこなら補給は可能)
 個人的には北部のブルーム〜ポートヘッドランド間、カラサ〜カーナーボン間が最も厳しい走行であった。あとカーナーボン〜ジェラルトン間におけるロードハウスの水道水は濃度が高い塩水で飲むことができないため、充分な水の携行が必要となる。
 そうはいってもどの地域でも交通量が皆無ということは無いため、本当に身の危険を感じたら走行中の車に助けを求めれば、野たれ死ぬようなことはまずない。

◎気候
 非常に広い国であるため、北部と南部ではその気候も全く異なるといって良い。私が走行した時は夏季本番ではなかったにもかかわらず日中の気温が40℃を超える日があったりする等、北部地域における環境の厳しさは凄まじい。なお暑さの主要要因が直射日光によるもののため、日陰に避難することでかなり厳しさは緩和される。まぁ、その日陰が存在しないのがオーストラリアなのだけども。とにかく日差しを避けるための帽子等の装備は重要。
 南部に移動するに従って快適な気温の時間帯が増え、終いには朝夕は寒くて仕方ないレベルにまで気温は下落する。というかこの国は1日の気温変動が激しいため、それなりに体調管理に気を配らないと風邪引いたりする危険は高い。
 同じ南部地域であってもナラボー平原東部からは気温も上がる。その周辺では20℃とかで快適な気温がいきなり倍近くに上昇したりするのであり、せめて気持ちの準備をして訪れたいところ。

 なお「キンバリー地域」と呼ばれる西オーストラリア州北部及びその周辺では、11月から4月の雨季にかけて道路が水没して走行不能になる恐れがある。私も時期的にゆっくり走りすぎると先へと進めなく恐れがあったため、ポートヘッドランドの町まではかなりハイペースでの走行を意識していた。ちなみにこの地域における町の周辺には、国道1号線の通行可否状況が看板に表示されている。

◎自転車店
 大体どの町にも1つくらいは自転車店がある。品揃えも非常に素晴らしく、特に長期自転車旅行がこぞって活用するマラソンプラスタイヤを多数の店で見かけたことは心強い。路面状況が良いためメカニカルトラブルに陥ることが少なく、修理等を依頼したことがなかったので店の質に関しては何とも。
 お国柄なのだろうか、他の国ではあまり見かけない牽引用のリアカーとかを何度も見かけ、面白かったのを覚えている。起伏が少なく町と町との距離が離れている関係で、荷物を大量に運ぶ必要に駆られるオーストラリアを走るのであれば、リアカー牽引のメリットが最大限生かせるため、実に理に適った販売方式だと思う。

◎総括
 いわゆる「オーストラリアの大変な方」をまとめたもの。西半分の土地に人口の20%程度しか居住者がいないことからも分かるように、ひたすら広大な土地を次の町目指して走り続けることになる。
 特に北部地域は厳しい自然環境も相まって、充分な事前準備をしていかないと泣きを見ることになるので要注意。
 場所にもよるが、野生動物でクロコダイルとか毒蛇等、死ぬ危険性のある生き物が出てくる地域も多岐に渡る。例え電波があって救急車が呼べたとしても、現場まで最寄りの町から数時間の距離・・・という状況は珍しくないため、安易に危険地域の海や川で泳いだり、草地の奥まった方へと入り込んではいけない。
 自転車で走り回るにはかなり辛い地域であることは確かだが、設備が充実している先進国でもあるため、キャンプツーリングに慣れたサイクリストであれば、走破する難易度自体はそれほど高くはないと思われる。2000kmくらい信号機が無いとかザラなので、走行していて気持ち良いの何のって。
 内陸部を含めるとオーストラリアの自然を楽しむ的観光はおおよそ西側に集中しているのだが、とかくその地点までアクセスするのが大変なのであり、目的地までの距離と必要日数は事前によく吟味しておくことが重要かと。