2016年5月13日〜6月26日
走行日数45日間
累計走行距離2591km(38579km~41170km)
◎北島と南島
主要な2つの島(実は3つらしいが)で構成されているニュージーランド。北島は人口が多くやや小さい(約11万㎢)のに対し、南島は人口が少なくやや大きい(約15万㎢)構成である。そのため北島の方が交通量が多くて自転車旅行的には大変だと言われたりもしたが、実際走ってみた感想としては「ニュージーランド国内では比較的多い」という程度。
むしろ北島は全体的にアップダウンが少ない傾向にあるため、体力的な意味では楽な日が多かった。かといって南島が坂道ばかりというわけではないし、北島に関しても峠道や山だってある。
全体的な傾向として「そういう傾向があるよ」くらいに捉えておいてほしい。
ただし気温は2つの島でかなり違う。冬の時期だったこともあり南島ではとにかく寒い思いをしたが、北島に入ってからはかなり楽になった。実際、北島からは上着を薄手のタイプに交換したりしている。
◎道路
路面は主要道路なら全て舗装されてると思って良い。田舎道では少々コンディションが悪いこともあるが、このレベルで文句出すようじゃ他の国で走れないとは思う。そのくらいレベル高いですよ。
なおニュージーランドは山の国で、アップダウンばかりだと多くの人に言われたが、実際には急激な斜度の坂は少ないし、1つ1つの峠も標高は大したことない。走ってるうちに数百メートル登ってた・・・みたいなことも結構多く、それほど坂で困窮した思いはない。ただし1日で1本くらいは峠を登らされるのもまた事実。
側道や自転車道路も充実しており、そもそも都市部を除けば車両の数自体が少ないため、何とも気持ちよく走ることができる。日本と同じく左側走行なので戸惑いも少ない。
また町の距離が大体100km前後に1つはある感じで、自転車旅行をするものとしては「毎日ちょうど良い」程度の距離で町へと辿り着くことができるため、無駄に食料を持ち運ばずに済み楽である。
何だか良いことづくめの気もするが、郊外の山道でも制限速度100kmとか普通で、ワインディングで先が見えない道から猛スピードで車が出てきたり、追い抜いかれたりもする。どの国でも言えることだが過信は禁物。
あと田舎道における小さな橋は大抵1車線に縮小されているため、少々注意が必要。50mほど手前に「ONE LANE BRIDGE」って道路に描かれているのが目印。
◎治安
問題無し。初日に「ニュージーランドでは盗難が多いから充分注意した方が良い」とか言われたのだが、都市部はともかく田舎じゃそんな危険ないですよ。過信は禁物だろうけど、先住民に対する差別意識とかも全く見られなかったし、道行く人達は実に朗らかに挨拶してくれるですよ。
というか、そもそも住んでる人があんまりいない。田舎では住民よりも旅行者の姿を多く見かけるような国なので、どちらかというと羽目を外しすぎてる旅行者とかに注意した方が良いかもしれない。日本よりも一回り小さいとか評されるこの国の人口は約420万人。とりあえずギスギスしている印象はない。
◎ビザ
日本人ならノービザで最大90日間までの滞在が可能。なおこの国はワーキングホリデービザを発給しており、取得することで1年間の滞在が可能であるが、国土の大きさ的にそんな長期間の滞在は必要ない。というか別にワーホリビザは自転車で走り回るための長期滞在ビザではなかったな。
んなことよりノービザ入国の場合、ニュージーランド出国用のチケットを事前に予約しておかないと飛行機に搭乗させてくれないという罠がある。このため入国時には既に次の国へとフライトプランを計画しておくことが求められ、ニュージーランドサイクリングは強制的に制限時間有りでのサイクリングとなってしまう。ダミーチケットで通過できるのかは知らん。
とりあえず私はオーストラリア出国の時点で第3国へのフライトチケット掲示を求められたし「チケットなければ入国できないわよ」と空港職員に直接言われた。なんちゃってルールの国も多いとは聞くが、ニュージーランドはかなり厳格にこのルールを採用している印象なので、渡航する人は注意されたし。
◎交通事情
直線道路がひたすら続くというのは嘘ではないが、真実でもないニュージーランド。むしろ私としてはアップダウンを含んだワインディングロードが数多くあるという印象。そんな道ばかりだからか、ニュージーランド人は全体的に運転が上手いと感じた。
それに付随して国民的な気質か知らないが、交通弱者に理解のある運転手が非常に多い。横断歩道で待っていると、大概の車が止まって譲ってくれる。今のところこの原則をきちんと守ってくれる国は、ニュージーランド以外に私は知らない。
一部に自転車のスレスレを通過するような危険なトラックがいたりもしたが、そういう輩は何処の国でもいるもので、少なくともニュージーランドはその絶対数が実に少ないと思う。
町から出てしまえばすぐに制限速度が100km/hになるが、怖い思いをした経験は片手で数えるほどかと。ベトナムやインドネシアなんかでは、1日2~3回くらいドキッとしたことを思うと雲泥の差である。
◎特徴
1、自転車による旅行者が非常に多い国として有名。私が訪れた時は冬季のオフシーズンだったこともあり、数組の旅行者としか出会わなかったが、それでも休日には自転車ツーリングチームと出会ったり、多くの車が自転車を積載して走行しているのを目撃している。
そうした需要に応えてなのか、そもそも設備が良かったから旅行者が増えたのか定かでないが、自転車による配慮が非常に高いレベルで備わっている。特にユースホステルことYHAの自転車旅行者が利用できる「Low Carbon Traveler」サービスは何度も利用させてもらった。最初は料金が一律になるのかと思っていたが、どうやら一定の割引き率(32.5%)なのだとのこと。この国のユースは最も安い場所で23.4ドル(会員価格)、都会の高額な場所では29ドルまで開きがあり、またフライチャンズ系列のユースの名前だけ利用しているホステルではこのサービスは利用できない。詳しくはこちらのHPに詳細が乗ってる。色々あるけど他のバックパッカー宿よりほぼ確実に安価で宿泊できるので、利用価値は極めて高い。
2、キーウィ(kiwi)の意味。
①ニュージーランドの国鳥。日本で言うところのキジ(ん、トキかな?)のポジションに位置する鳥で、ニュージーランドにしか生息してない。
天敵がいないために翼が退化して飛べなくなってしまった鳥で、運がいいと出会うこともある。というかそれっぽいのを見かけたのだがすぐに逃げてしまったし、今考えると野ウサギだった可能性も否定できない。まぁロマンだロマン。
②ニュージーランド人の通称。私が出会った多くのニュージーランド人は自分たちのことをキーウィと呼んでいた。ネットとかでは「侮蔑の意味を含む」とか書かれていたけど全然そんな雰囲気はなかったな。
でもなぜそう呼ばれているのかは知らん。
③ニュージーランドフルーツことキウイ。やたらと安価でたくさん見かけることが多かったキウイフルーツはニュージーランドが原産らしい。そもそも名前が鳥のキーウィに似ているから命名されたらしい。栄養価高くて値段も手頃なため、割と食べる機会も多かった。
◎言語
英語。割と発音に特徴があるらしいが、そんなに気になることもなく。ああ、でもオーストラリアよりヒアリングで苦労したような気もするな。旅行者が多い国だけども、とりあえず英語で喋っておけば問題なかった。ヨーロピアンもアジア人もアフリカ系も「とりあえず共通語は英語」という感じ。そりゃそうか。
それとは別に日系人の旅行者もかなり多いようで、公共施設等の注意書きには日本語による説明も一緒に加えられている。ATMとか100%日本語による言語変換できたので非常に楽だった。もうATM関連で出てくる単語は覚えたから英語でも良いけど、安心感が違う。
◎宿(野宿)・Wi-Fi
特徴の項でも揚げたがYHAにおける自転車旅行者割引き制度があるため、存在を教えてもらって以降はYHAにしか宿泊していないし、それ以外の安宿に宿泊するメリットがほぼない。特にニュージーランドはWi-Fi事情が厳しく、無料でWi-Fi使えるスポットが非常に少ない上に、バックパッカー宿では1日にネットで使用できる容量上限が決められている宿が多いらしい。この点、YHAにはそうした容量縛りが存在しないので、ニュージーランドではお世話になることが多かった。
あと単純に訪れた季節が冬期であった関係上、物価高の先進国にしては結構な割合で宿泊を繰り返した。自転車旅行者割引きだと1泊13ドル(約940円)とかキャンプ場より安くなることもあったりで、つくづく町中にあるホリデーパークというキャンプ場は使えないと思ったよ。無料Wi-Fiあるかと思いきやほとんど有料だし。本当、この国で完璧に無料でWi-Fi使わせて貰ったのは図書館以外記憶がない。
町の公共施設の軒下にテントを張らせてもらう等、野宿も行なってはいるけども、オーストラリアと比較すると野宿事情はやや厳しい。というかオーストラリアが楽すぎただけかもしれない。郊外にあるレストエリアも単なる空き地だし、施設が揃っている場所は有料であることがほとんど。宿泊はそれなりにお金を使わされましたとも。
◎自転車店
中規模以上の大きさを誇る町(目安は2大スーパーのどちらかがある町)でないとサイクルショップがないことも多い。山岳国なことが影響してか、そのラインナップはMTB系統が非常に多くツーリングバイク的商品はかなり珍しい。要するにマラソンシリーズ等のタイヤの調達とかはやや困難なので注意されたし。
総じてスタッフは自転車旅行者に慣れてるようで、こちらが下手くそな英語でも問題なく作業・商品を出してくれるので有難い限り。んで、お店には国内のおすすめサイクリングルートガイドマップ(無料)があったりして、便利に活用させてもらっていた。
しかし自転車旅行者が非常に多い国であるため、もっとお店の数が多くて良いと思うんだけども。お店とは違うけどもYHAには自転車旅行者用の鍵付き倉庫とか、空気入れの貸し出しがされていたりと設備自体は充実していた印象。
◎物価・食事
高い。オーストラリアと商品大体同じだが、円相場の関係で同じ値段がつけられている場合はオーストラリアより5~10%ほど安くなる。ところが大抵の商品がオーストラリアよりも10~20%、物によっては倍の値段がつけられているため、実際にはニュージーランドの方が物価高。
自転車旅行者の頼みの綱である2大スーパーことカウントダウン&ニューワールド、それに小さな町で大活躍のフォースクエアの計3店には割安のホームブランド商品があるが、これの値引率がそれほどでもないためか全体的に物価高のイメージを後押しした感がある。
あと北島にはパックンセーブ、南島にはフレッシュチョイスのスーパーがあり、この2店舗が値段的には最も安かった。
結局ニュージーランドでもレストラン系の店に入ることは1度もなく。マック?だからアレは1ドルで使えるWi-Fiのお店だといっておろう。なおニュージーランドではマックのWi-Fi接続に電話番号(これにPWが送られてくる)が必要であるため、事前準備してないとネットができない罠。
余談だが、ニュージーランドではスーパーの総菜パンを割と好んで食べていた。特にニューワールドのパンは割引きされてることもままあり多々お世話に。和食派の私ですが、今やすっかり洋食っ子ですよ。
重要な点として、ビールの値段は食材と比較するとやや安価であること。恐らく酒税の関係とかそんなところだろうけど、全体的にオーストラリアよりも割安だと感じたのはビールくらいだった気がしないでもない。アウトドアのアクティビティとか平気で100ドル以上の料金をふっかけてくるし、誰もが大好き温泉ことホットスプリングも入用料20ドル(約1500円)とか当たり前。
あと過疎地域では商店の品物値段が倍になったりするため、個人商店しかないような町は要注意。国道基準であれば、最大でも150km以上に渡ってチェーン店が存在する町と町の距離が開いてることはないので、事前に大きな町で食料を買い込んでおく方が吉。
◎総括
強く思ったのは「冬季に自転車旅行で来ると色々苦労する」ということだろうか。まぁ夏は夏で旅行者が多すぎてキャンプ場に泊まることすらできないとか、各種アクティビティも予約必須だったりとかで大変らしいが。
とはいえ路面凍結もしていなかったし、北島に来てからはそれなりに暖かくなり楽できたのも事実。観光客でごった返すのが苦手な人は、あえてオフシーズンを狙ってみるのも良いかもしれない。ただし、トレッキングとかの遊びや一部のキャンプ場なんかはクローズされてるけれど。
意外なことに犬には結構吠えられた。ただしその大半は、庭の敷地内から自転車に乗った私を見つけて威嚇しているというもので、要するに「ちゃんと番犬してる」ということ。東南アジアみたいにバッグや人に向かって噛み付いてくるような恐怖感は全くない。