2017年4月5日~5月16日
走行日数42日間
累計走行距離646km(60470km~61116km)
◎道路
主要道路を外れるとかなりの割合で未舗装路が出てくるため注意が必要。グアテマラは人口集中している地域が軒並み高山地帯にあるのだが、そうした地域で下手に迂回路通ろうとすると未舗装&急斜面のコンボで無茶苦茶苦労する。私の場合はランキンの町へのアプローチで標高1000mアップ&60kmの距離を自転車乗って進めないレベルの未舗装路にハマってしまい酷い目にあった。
また、坂それ自体においてもかなり厳しい斜度が頻発するため、自転車押しての移動を余儀なくされることが多い。これに加え、必死で坂を登り終えても同じ標高で安定することは少なくて、下手すると川1つ渡るために一気に500m近く下がった後、再び同じ高さまで登り返すといった鬼畜な道が出てくることもままある。
そのため北米から南下してきた人であれば、この国の山岳地帯からは1日の走行距離を6~8掛けして算出するのが体力的に無理のないスケジュールになると思われる。
舗装されている道路に関してだが、側道がある場合は微妙な段差で分けられていることが多く、この道路幅が狭まると段差を乗り越えるのに横滑りしないかと若干躊躇する。そしてグアテマラはやたらと橋とか工事とかで道路幅が狭まる機会が多い為、町中で邪魔しまくるトーペと合わせて自転車2大邪魔くさい障害物として鬱陶しく思っていた。
あとアンティグアの町中は全面石畳となっており、自転車で走るのには最低な町であるということを付け加えておく。
◎治安
町における住民の防犯レベルは北米から南下してきた身として1段階上がったように感じる。1人で町中歩くことに不安を感じたりすることはなかったが、やっぱり夜中に出歩くのは極力避けたほうが無難だと思う。治安の良いアンティグアに長期滞在してたから勘違いしそうになるが、そのアンティグアですら中心部から外れた町の周辺ではあまりよろしくない雰囲気。
バスで一瞬通過しただけだが、首都のグアテマラシティは明らかに難ある感じ。グアテマラ人が「グアテマラシティは危険だから行かないようにしてる」と言ってたので、マジで危険度が高いんだと思う。でも北部から南下してアンティグアに行こうとすると、グアテマラシティを通らないルートはもれなく未舗装路&激しいアップダウンを走らされるんだこれが。
治安良いとされるアンティグアでも結構な数の浮浪者とかを見かけるのだが、7年前にはそういった人がこの町にはいなかったと教えられたこともあり、どっちかというと治安不安の方向に進んでいる印象を受ける。
◎ビザ・入国
ザル。何も調べることなく10秒でスタンプ押されて終了するお気楽国境である。ただし、ここグアテマラより東部に位置しているエルサルバドル・ホンジュラス・ニカラグアの中米4カ国で滞在日数が合計90日分を許可されるという少々変わった方式を採用しているため、あんまりグアテマラで長期滞在するとこの先を抜ける日数が厳しくなるため注意が必要。一応、首都のグアテマラシティで90日分の延長手続きができるらしい。
◎交通事情
バス関係は危険な抜き方するドライバーも多いものの、田舎道はまぁまぁマナーの良い運転といえる。しかし国道1号線のような主要道路は交通量が多く、ドライバーのマナーも悪いため走行には割とストレスが溜まる。でも細い道を走ると急斜面&未舗装路のコンボを食らったりするので悩ましい。
町中においてはオート3輪のコレクティーボが所構わず走りまくっており割と危険。バスが通れずにストップしている場合とかでも脇をすり抜けて走ってきたりすることもあるため、狭い場所でも注意を切らさないことが重要かと。
あと急斜面を登っているトラックなんかが対向車が来た関係で停車すると、その場で再発進することができずにそのままバックしてきたりする。これが思った以上に危なっかしくて怖い思いをした。
◎特徴
1、全国的にスペイン語学校の料金が安く、ある程度の規模の町ではホステルなどで学校と提携して割引キャンペーンを行っていることが多い。日本人的には日本人宿があるアンティグアとシェラに滞在して勉強する人の割合が多いが、それ以外の町でも無数のスペイン語学校が存在している。
どこかの町である程度学校に通い、そこから移動した先の町にて再び勉強する・・・といった学び方をしてる人も多く、これならば1箇所に長逗留しすぎてダレてしまう問題を解消できるという利点がある。私は荷物の受け取りをするため動くことができなかったのだけれども。
2、地方における少数民族の衣装が煌びやかで地域ごとに特色があり非常に面白い。なおそうした田舎グアテマラの子供は好奇心旺盛で自転車旅行者を見かけるとやたらと叫び声あげて追いかけてきたりするのだが、彼らは「写真を撮られると魂が抜ける」と教えられている人たちが多く、無用なトラブルを避ける為にも写真撮影のお願いをしない方が吉である。別に全く気にしてない人もいたけれど。
3、2017年現在でグアテマラ郵政は活動していない。スペイン語の勉強で長期滞在する人にとって、日本から荷物を受け取るのにいい塩梅であるためこれは割と大きな問題点だといえる。
代案手段としてヤマト便に代表される国際宅急便が利用できるのだが、住所と電話番号必須の上に手続きがかなり面倒くさいため、事前にしっかりとした調査をした方が吉。私の場合はヤマト便で荷物到着までに13日、送料5350円(5kgまで)、これに物品の関税約55%(銀行にて支払い)を必要とした。
◎気候
ちょうど乾季から雨季へと変わる時期であったため、アンティグア滞在中盤からは17時頃になるとスコールのような雨が降ることが増えた。でも基本的に1日中雨が降り続けるようなことはない。なお天気予報は当てにならない。
山岳地帯なので標高高い場所では日が落ちると涼しいのだが、北部や沿岸部といった標高低い場所ではかなりの暑さとなる。まぁ主要都市が集まる国の中央部分はほとんど高地に位置しているため、全体的な印象として中米では過ごしやすい国であった。
◎言語
スペイン語。観光地で且つ外国人相手の商売をしている人は英語も話せるが、一般人で英語のコミュニケーションは期待しないほうがいい。日々外国人を相手にしているホームステイ先のオバちゃんですらスペイン語以外の言語はほとんど話せなかったのであり、推して知るべし。
グアテマラはスペイン語学校が安いことで有名な国で、今後の中南米諸国のためにと3週間ほど学校に通ったワケだがこうした学校でも英語を介さない先生は多い。
◎宿(野宿)・Wi-Fi
メキシコとの比較で安くてキレイな宿が使えるため非常に満足感が高い。特に田舎の宿では50ケツァール(750円)でもトイレ・シャワー付きの広々とした個室だったりするため、あんまりテント泊しようとは思わなんだ。ただし田舎の安ホテルではWi-Fiがない場合も多い。
都会にはホステルがあるのだが、こちらは宿ほどにはコスパ良くない。ただほぼ全てのホステルが旅行会社と併設してたりでカウンターにてツアーやバスの申し込みができたのであり、こうした点は利点なんだろうなぁ・・・自転車旅行者でなければ。
国土がそれほど大きくないこともあり、3~4日走り続けてもホステルがないということは稀であるため前述のWi-Fi問題はそれほど深刻ではない。小さい町でもオサレカフェ行けばWi-Fi使えることが多いし。
◎犬
グアテマラの犬はおとなしい。自転車を見つけても吠えかかってこられた記憶がとんとない。ただし野良犬の数それ自体はかなりのものである。メキシコと国境を隣接してるとは思えないほど犬の気性が違うことからも、私は犬には国民性というものが存在してると信じて疑わない人である。
◎自転車店
金物屋と兼業して自転車用品を扱っている店は多い。ちゃんとしたスポーツ自転車を扱っているショップとなると大都市でなければ見つけるのは難しいと思われる。
私はアンティグアで数店舗のショップを利用したが、品揃えが悪かったり日本の3倍の値段を付けてたりですこぶる印象が悪い。なお扱われてる自転車は圧倒的にMTBタイプが主流。
店員の腕も未熟であり、リアギアの取り付け方向を間違えたりタイヤの振れ取りができなかったりとかその程度であるため、グアテマラ国内で自転車の修理や部品の調達は極力避けた方が賢明というのが私の感想だ。
その割に小さな道の路面状況が最悪なので、トラブルが発生しやすい国だとも思う。ルート選択は慎重に。
◎物価・食事
こちらはメキシコ比較で高いし選択肢も少ないしで残念な印象。国内どこでも鶏肉を扱ってるポジョ・カンペーロというチェーン店やれチキン屋台があるため、KFCが好きなタイプなら楽しめると思う。そのKFCだが、これらの店の人気が高すぎてグアテマラにはほとんどお店が存在しないとかなにそれスゴイ。なお1食の料金は観光地じゃなければ300円しない程度。
メキシコと同様に食事にトルティーヤが付いてくることが多いが、グアテマラのトルティーヤは小さくて厚みを増した形をしておりこれがすこぶる不味い。もっとメキシコを見習えと本気で憤慨したぞ私は。
主要ビールが3種類あるのだが、料金が一律でないため1番安いブラバばかり好んで飲んでいた。なお人気のガロはロング缶で150円ほどに対してブラバは90円、田舎であれば60円とかその程度。物価の安い中米では侮れない値段差だといえる。
あとこの国では煮沸した水でもお腹壊したのであり、なるたけミネラルウォーターを飲むよう心掛けていた。最も大抵の宿にてミネラルウォーターは補給できるので、購入機会はそれほど多くなかったが。
◎総括
とにかく坂道&未舗装路で走るのが大変な国。自転車での走行にも「大変さ」は色々な種類があるので一概には言えないが、私が訪れた国の中でトップクラスに苦労したことに偽りはない。
思い起こすと自転車押して坂道登っていたか、クソ暑い環境下にゆでダコ状態で大汗かいていた記憶ばかりが思い出されるのであり、一言で語るとグアテマラは「自転車走行に適してない」国である。
もっとも中米の国々ってのは大体そんな環境ばかりだし、自転車で走ることが難しいことはその国を走らない理由にはならないもんだ。道中自転車ぶっ壊れたりもしたが、それでも私はグアテマラを走ることができて良かったし面白かったというのもまた正直な気持ちだ。