2017年5月29日~6月10日
走行日数13日間
累計走行距離674km(61985km~62659km)
◎道路
いったいどうしたことなのか、コスタリカの道路は一部の主要道路や高速道を除いて側道がほぼ存在しない。しかも道路幅も狭いため、車両の追い抜き危険が一気に跳ね上がる結果となった。それほど交通量はないとはいえ、トラック同士がすれ違う場合などには生きた心地がしないほどスレスレを通過されるのでシャレにならん。私が走った道では国道34号線ではどうにか側道が続いていたが、それ以外の道においては全く考慮されていない道であった。
さらにニカラグアから入って坂道が圧倒的に増えたしアップダウンの斜度も厳しいものが多い。幸いにしてかなり小さめの道路でも未舗装になることは少なく、路面状況も良いので走る分には何とかなるが。
あとホンジュラス・ニカラグアで見なかった邪魔者のトーペがちょこちょこと姿を表すようになった。数はそれほど多くないとはいえ、坂が急角度なのでかなりおっかない存在であることに変わりはない。ナンテコッタ。
◎治安
これは難しい。北部に位置する3カ国より明らかに町の雰囲気は良くなったように感じるのだが、町中における家々の防犯レベルは以前高いままである。経済レベルが上がったから、「夜に出歩く」とか「腕時計を身につける」みたいな行為を多くの人がしているのを見たし、そうした行動がまぁ許されるレベルになってきたと感じる一方で、この国では割と多くの人からトラブルにあった話を聞いた。
防犯レベルが高いのに加え、貧富の差が激しい方が治安は悪化する傾向にあるため、物価が高くともコスタリカではテント泊をするのは控えて無難に宿に泊まっていた。
実は日本人の海外サイクリストは結構コスタリカの国で犯罪被害に遭っているのだが、その遠因に一見すると治安が良いよう見えることと物価が高いことからテント泊をしてしまうことがあると私は考える。
◎ビザ・出入国
問題なし。入国ではなく出国時に8ドルが必要となるのだが、この手続きが私の訪れたパソ カノアス国境では道路対面にある別の建物にて行われており、かなり探し回ることとなった。あと出国時にツーリストカードに内容記入を求められたのだけど、もう出て行くのにその国のツーリストカードを記入させる理由が分からないのですが。
なおニカラグアから入ると、まずこのイミグレーションの立派さでコスタリカという国のレベル高さを実感することになると思う。
◎交通事情
とりあえずクラックションを鳴らされることがほぼなくなった。だが町中での運転はかなり自分勝手な走り方をする人が目立った印象もある。特に小さな道でもスピードを落とさないで走る車が多いので要注意。
道路に側道がないというハード面の問題が大きい気もするが、自転車を追い抜きする際に大きく避ける車両が減ったと思われる。特にトラックはスレスレを抜けてくることも多くて胆を冷やす場面が何度かあった。
反面、バスの運転が非常に紳士的になったのが印象深い。だいたいどの国でもバスは最低な運転マナーをするのだが、彼らの運転マナーが良かった国は総じて先進諸国でった。このことからコスタリカという国が非常に高いレベルを誇っていることが伺えると思っている。
◎特徴
かつて中米の楽園と呼ばれた国。この背景には安定した治安や豊かな経済、軍隊を持たない国といった特徴から言われているとのこと。
ことの真偽はさておき、確かに軍隊は存在しないがその点警察組織が非常に強い権力を持っているようで、普通に軍事キャンプみたいな場所で重火器の訓練っぽいことしていたりと、きれいごとでは済まされない部分がちらほら見え隠れする。
治安に関しては別項で歌ったので置いといて、経済においても隆盛を誇っていたのは3~40年前だったというのがこの国に住んでる人の弁である。当時は1ドル=5コロンくらいで現在の100倍くらい貨幣が強かったのだそう。
ということで、個人的にはコスタリカは楽園というほどではないかと思う。良いところもそうでないところもある普通の国でした。
◎気候
かなりの頻度で雨が降る。この雨も短時間に一気に降るスコール的な場合もあれば、半日近くに渡ってしとしと降り続ける梅雨みたいな雨もあったりして、読み間違えると悲惨な目にあう。
一応午前中の時間帯は雨が降らないことが多いので、雨季のコスタリカを走るのであれば朝早くの走行を心がけることが重要ではないかと。
国中央部は山岳地帯で標高高い場所が多く、それほど暑さは気にならない。反面、沿岸部で海抜0mが近いポイントで峠を登らされた時にはあまりの暑さで熱中症になるのでないかと不安を覚えるほどに暑すぎる。特に山を降りてきて気候が一気に変わると体へのダメージも大きいと思われるので注意した方が良い。
◎言語
スペイン語なのだが、他の中米諸国と比べると英語を話せる人の割合がかなり高い。聞いたところではコスタリカ政府は教育に関して力を入れているらしく、教育費に対しての費用がかからないとのこと。このためコスタリカは中米で識字率も抜群に高い数字を残しているし、こうした点に英語を話せる人が多い理由があると考える。
またコスタリカの観光地限定ではあるが、アメリカからの移民が結構な割合で移り住んでいるようで「売り地」等の看板にも英語が使われていたのが印象的である。
◎宿(野宿)・Wi-Fi
食料の高さから比較するとまだ良心的とも言えるか。特に我々はペアで走っていたので1部屋2ベッドの料金で宿泊することで宿代を多少は抑えることができたのだと思っている。なお1泊は12~15ドルくらい。コロン払いだと若干割安になることが多かったので、その場合はコロンで支払うとかセコセコ遣り繰りしていた。
部屋自体は小さくなったり2階部分まで自転車を運んだりといった面倒ごとが増えた気がするが、ただ寝るだけのベッドが置かれたのみという部屋から、アメニティグッズが支給されたりとサービスが良くなった。特にどんな安宿でもシーツが綺麗にされているためノミとかダニの危険を考慮しなくても平気なのは有難い。
とりあえず全ての宿にWi-Fiがあったし、その速度は明らかに他の中米諸国より速くなった。この手のインフラレベルに対してはコスタリカで不満に思うことはほとんどない。特にFreeWi-Fiもバスターミナルを始めとして、ちょこちょこショッピングモールや大きな町中で使えるのを確認できたし。
◎犬
特に問題ない。というか野良犬の数が激減したのでそれほど気にすることが少なかった。1度か2度ほど吠えられた記憶があるけど問題にならないと思う。
◎自転車店
いきなり先進的なショップが多数出てきて驚いた人です私は。特に人口数が少ないと思われる町でもレベルの高いショップがあるわ、扱ってるパーツも最高級グレードから大衆レベルのものまで多種多様。金額的には日本で買うより割高だけど、部品補充に関してはコスタリカであれば大抵のものが調達できると思います。自転車旅行に関するアイテムということになるとかなり難しいとは思うけども。
とりあえずグアテマラ以降で自転車に問題があった場合、コスタリカにまで辿り着ければ何とかなる!と私はここで言い切ってしまうね。
◎物価・食事
もう無茶苦茶高い!中米諸国という点で見れば異常なレベルで高すぎる。一部の商品に関しては日本よりも高値が付くレベル。ニカラグアから国境を超えた瞬間に全ての商品が2倍以上に跳ね上がる衝撃はちょっと言葉にならないというか。
食堂で1食が5~600円くらいするのだが、内容的には他の中米諸国と大差ない。治安的に野宿をするのは不安が大きかったのでホテル泊をしていたのだが、1日の使用金額がビール飲まないでも2500円とか達することも多く、コスタリカには長居できないと思わせるに十分である。ただしこの国では水道水を直接飲むことができるため、水に関してはお金をかけずに済ますことが可能。食事でも無料で水が付いてくることが増えたし、そうでなくともそこら辺に水道の蛇口があるので水分補給には困らない。まぁ暑すぎてコーラ買うことも多かったけど。
◎総括
北部から南下してくるとニカラグアとコスタリカの国境を境として、大きく環境が変化することになる。道も町も人も雰囲気もガラッと変化するのだが、暑さだけは全く変わらないというのが私のコスタリカに入っての実感だった。
簡単に語れば先進国的になるのだが、物価に関しても同様に先進国の値段を示すため中米諸国の物価に慣れている身としてかなりしんどかった。反面、自転車における旅行という行為を楽しい遊びとして認識してくれる人が多く、実に多くの人たちからお世話になった国でもある。そんなワケで私にとって中米で最も印象深い国となったコスタリカでした。