2017年6月27日~8月7日
走行日数42日間
累計走行距離2223km(63317km~65540km)
◎道路
かなり良い。主要道路には大きな側道があることが多く、走行においてのストレスが少ない。大都市においても結構な頻度で自転車専用道が作られているため、他国に比べれば都市部への侵入・脱出におけるリスクが低いとは思う。
だが小さなギャップや細かい凸凹は結構あるため、下り坂で調子に乗ってぶっ飛ばすと最悪、大クラッシュする危険があることを忘れずにいたい。
地味にメキシコで怖い思いをしたトーペがコロンビアにもある。ほとんどの場合は起伏が緩やかで乗り越えるのに問題ないのだが、ときどきやたら鋭角に突き出た危険なトーペがあったりするので要注意。
なおアンデスだが、コロンビアのアンデス山脈は比較的標高も低めだし坂の斜度も緩やかな場所が多い。私のルートでは標高で3300m強までしか登らなかったし、道中の補給や宿泊施設も豊富で困ることはなかった。後半は重量軽くするために非常食以外はほとんど食材積まないで走ったりしたけど、全く問題になることがなかったレベル。まぁ問題になってからじゃ遅いのだけど。
1つ注意点として2017年現在でボゴタから南へと進んだ場合、エクアドル入国までにどのルートを通っても未舗装路の走行を余儀なくされてしまう。これを回避するためにはボゴタから西へ走ってイバゲ・アルメニア方面へと抜けるルートを選択することになる。そもそもカルタヘナ発のサイクリストでボゴタへ向かう人は相当なレアだと思うので、この情報が意味ある人なんてほとんどいないと思うけど。
◎治安
大都市は悪い。この「悪い」というのはスラム街だけの話ではなく、普通の目抜き通りや観光地といった場所も含めての印象である。
だがまぁコロンビア政府は治安の改善に相当力を入れている印象で、外国人が闊歩するような観光地にはとにかく多数の警官がいるためトラブルが発生するような雰囲気は薄い。
つまり警官がいない「ちょっと裏通り」等は非常に危険なのではないか・・・という感じ。都市部における住宅等の防犯レベルは中米諸国と大差ない(厳重!)が、ボゴタでは路上でのトラブルにおける警察介入の現場を2度も見てるのですこぶる印象が悪い。あと夜間における人通りなさを見ていると、暗くなってからの外出は怖くてできないぞ私は。
なお田舎においては一部の町を除いてほぼ問題ないと感じる。まぁこれはほとんどの国において共通することではあるが、一応用心のためにも野宿は控えていた。
外務省の渡航情報によれば特に南部はものすごい危険地帯に認定されているのだが、自転車で走行してみた感想としては特に違和感は感じない程度。この危険の内情が麻薬がらみのゲリラ危険とかそういうのが強いらしく、特に土・日曜日などは一般人が仕事休みで休日ゲリラになるから危険なのだ・・・とか色々聞いたのが、むしろ休日なんかはサイクリストが多くて安心感強かった。
歴史的な側面からもとにかく治安の悪さを心配していたが、他の中南米諸国と同様の注意を払っていれば別にコロンビアが特別危険だとは思わないって感じかな。
◎ビザ・出入国
ノービザで90日間の滞在が可能。なお入国においてはヨットのキャプテンが手続きをしてくれているためノータッチ。カルタヘナの町のどこにイミグレーションがあるのかも分からないレベル。
なお陸路における出国は、そこに至るまでに舗装されているイミグレーションがイピアレスの1箇所しかないこともあってか非常に混雑している。しかもこのイミグレ出国と入国窓口を一本化してるため通常の2倍並ぶことになる。自転車の盗難が心配で非常にドキドキした。なお審査はザル。
◎交通事情
なかなか悪い。面白いのが超大都市はかなり自転車道路が整備されている関係で、道を選んで走ればそれほど車両との危険に遭遇することがないのだが、これが中規模程度の都市になるとそれほど道が整備されておらず道路上を走る羽目になってしまい、恐ろしい思いをする機会が増える点。と言ってもメデジンやボゴタも怖かったが。
割とランナバウトの交差点が多いのだが、交通量が多くてマナーが悪い場合にこのタイプの交差点は相性最悪。ネイバの町とか中心街へ遊びに行かなかったのは、町中の通過時にこれで怖い思いをしたから。
あと市内ではかなり2輪車の割合が多い。トラックやバスよりもこのバイク集団が無茶な運転してくるため、コロンビアではバスよりバイクの方がイメージ悪い。
郊外にさえ出てしまえば交通量がガクンと減り、運転マナーも良好になるためそれほど危険は感じない。ちなみにクラックションを常に鳴らしまくるアホはバスのみ。他の車両はそれほどでもない。
◎特徴
なんとコロンビア、生水が飲めます。と言っても国土全域どの町でも飲めるわけじゃなくて、大型都市とその近郊やアンデスの標高が高い場所に位置する町とかなら。前者は上水道が整備されているのだとして、後者の場合は山から流れてくる水をそのまま使っているだけなんじゃないか?とか思うのだが、ぐいぐい飲んでも全く問題なかった。というかむしろコロンビアの水はやたら美味くて好んで飲んでいた。結果的にコロンビアでは最初のカルタヘナで何も知らずに水を購入したのが最初で最後となった。
◎気候
基本的にアンデスにおける標高差により気候が異なってくる国である。赤道直下の国だしな。
低地では5~10月が乾季であり「よっしゃ、雨降らない!」とか喜んでいたのだが、山岳地帯は普通に乾季じゃなかったりした。
低地では40度を超える暑さになる一方で、首都のボゴタでは標高2500mあり、ちょっと天気が崩れると寒くて震えがくるほどには寒くなる。場合によって吐く息が白く見えるくらい。
あと山の上は単純に天候が安定していない。ボゴタに滞在した4日間で雨が降らなかったのは1日だけだったし、イピアレス付近では毎日雨が降った。標高の高い峠を越える際には山頂に引っかかってる雲の中へと突っ込んでいくことも多々あった。2000m以上の状況では全身濡れてしまうと低体温症で動けなくなるレベルで危険であるため、雨具の所持は重要事項だと思う。
◎言語
そりゃもうスペイン語。ボゴタやメデジンレベルの大都市でも、英語を解する人は極少数だと思っておいたほうが良い。でも片言程度なら英語を喋る人結構いたのもまた事実だが。基本的に英語を主力としてどうにかなるレベルではないと私は思っていた。
◎宿(野宿)・Wi-Fi
宿泊費安いし宿のレベル高いしでほとんどテント泊をしていない。カルタヘナ・メデジン・ボゴタといった超大都市では宿泊費も高くなるが、そうした町にはホステルがあるため普通の町のホテル泊くらいで一応宿泊可能。言い換えるとコロンビアでは田舎町のホテル代金が都会のホステルと同等の安さということ。なお1泊の料金は500~1000円くらい。
標高低い場所では水シャワーが基本で、1500mくらいを境目にホットシャワーのある宿が出てくる。2500mまで登ればまずホットシャワーだと思って間違いない。なおシャワーヘッドに後付けされた電熱式タイプが多いので、上手く水量を調節しないと暖かいお湯にならない。
あとガソリンスタンドに併設されているホテルやモーテルをよく見かけたコロンビア。それほど町からの距離が離れてなくともそうしたホテルが多いので、この国の特色なのかもしれない。なお値段は町のそれと同等からやや高い程度。確実にレストランが併設されているため、宿泊しても食料の供給的に困ることはない。
かなりの割合でWi-Fiも接続されているが、回線貧弱だったり安定してない物にも当たったので割と運が絡むかも。とりあえずホステルのWi-Fiは流石というか安定して速いので、快適にネットで遊びたければ大都市に行くべし。
他にもセントロの公園(コロンビアではパルケという)にはFreeWi-Fiスポットがあり、1度登録してしまえば割と簡単に接続できるし速度も速い優秀な存在。そんな場所でスマホ出してて大丈夫なのか?とか最初は思ってたのだが、公園周りにはこのFreeWi-Fi求めて結構な人がスマホ弄ってたので大丈夫だろ!と気楽に利用するようになっていた。危険と思われるデカい町にはWi-Fi接続ポイントなんてたくさんあるから利用しないし。
◎犬
南米の犬は凶暴だと聞いていたのだが、コロンビア犬も好戦的なヤツが多い。特にアンデス入って標高上がり、気温が落ち着いてきたことでか犬が吠えまくるようになったと思う。
飼い犬はロープ等で繋がれていたり敷地の柵から出られないようされていたりすることが多かったが、一度追いかけてくるとしつこい犬が多くて面倒である。しかも上り坂で逃げ切れない時に来るので始末が悪い。実は山の頂上付近で1回タイヤを噛まれており、何事もなく済んだから良いものの、これでタイヤに大穴空いたりしたらどうにもならない大問題となるとこだった事例がある。
2度ほど犬叩き棒をぶち込んで黙らせてやったりもしたが、基本的には逃げずに自転車から降りて向かい合い興奮状態を落ち着かせるのが犬に対する攻略法だとされている。
◎自転車店
非常に優秀。かなり小規模な町でもプロショップが1件くらいあるため、トラブル発生しても何百kmも移動しなくてはならない事態になることは少ないと考える。人口でいうと1万人超えてる町なら大丈夫じゃないかな?
基本的に自転車のパーツなんてどの国でもそこまで値段に変化がないのだが、コロンビアの物価の安さを反映してか修理にかかる工賃が非常に安いのが魅力的。それでいてショップ店員の腕も良いと思う。自転車が人気の国はこういうところが素晴らしい。アメリカ大陸縦断で自転車をオーバーホールさせるのであれば、北上南下どちらにしてもコロンビアで行うのが最も理にかなっていると言える。
ただコロンビアにおける自転車というのはスポーツとしての扱いが主であり、旅行として使うようなバッグやタイヤの部品取り扱いは少ないと言わざるをえない。これがあれば完璧だったとすら思う。
◎物価・食事
これが良かった。コロンビアの食事は中米から続く超ワンパターンメニューなのだが、この国の食事は何処で食べても美味しい。特にメインの前に出てくるスープがしっかり出汁とってあり好きだった。
ちなみに一般的な食堂にメニューは存在せず、基本となっている「ご飯・肉・サラダ・プラタノ(バナナもどき)・豆」等のパターンで構成されており、肉の種類を伝えることで内容が決まる。場合によっては豆をスパゲティで選べたりもする。
北部の方がやや物価が高いが、その中で特に物価高のカルタヘナですら1食250円とかで食べれたし南部の安い場所では100円そこそこの場所もある。それでいてボリュームは多いし味も良い。本当に中米諸国は何だったの?と疑問を呈したくなるくらい、似たような料理の割に満足度が高かった。
あと飲み物は特に注文しなければ、食事とセットでレモネード水等が付いてくることが多いのだが、低地のクソ暑い中でほんのり甘いこの飲み物が飲めるのは有り難かった。北部だと大抵の店で1ℓくらいの水差しごと持ってきてくれるのも本当に助かります。
ただ食事と比較すると飲み物はやや高め。とにかく暑いので水分補給にとジュース買うことも多かったが、小さな商店で大型ボトルとか買うと平気で200円とか飛んでいく。スーパーで安価な商品を買えばこの限りではないが、そうした安売り商品を扱ってる大型スーパーがあるのは中規模以上の町だけなんだよね。そんで中規模以上の町では大抵水道水が飲めるときた。
なおビールは主要銘柄が4種類。料金は全てバラバラだがスーパーにて350ml缶を買えば1本70~80円くらい。北部では扱いがほとんどないビールとかあったりして面白かった。
◎総括
いや結構登ったわアンデス山脈。北中米までの国と比較すると、半端じゃないアップダウンを繰り返すことになるコロンビア。でもこの国は道路や補給に自転車の普及度合、そして何より人が素晴らしく親切で、厳しい山岳ステージを始めるにおいてコロンビアという国からスタートできたことは非常に幸運だったと思う。
このまとめでは意図的に「人の良さ」という項目を省いており、それはどんな国でも悪人もいれば善人もいる中で、私が出会った僅かな人たちだけの印象で何かを語るべきではないと思っているから。
その前提の上で、コロンビアの人たちには本当に親切にしてもらった。ちょっとこれはどうしても書いておきたかったので仕方ない。
現状ベネズエラの情勢がとんでもないことになっているため、ほぼ全てのサイクリストが南下するならばエクアドルへと抜けるルートを取ることになる。そんで道路の状況的に東西2本ある道のうち、西側道路を伝っていくのが主流となっているのだが、ちょっと山越え未舗装路抜けて、東側の道を走るのも悪くないと感じた。西側ルートを走ってない者の意見ですが。
私は1月くらい滞在すると次の国への展望が強くなってくるのだが、珍しくコロンビアは出国するまで「もう1月くらい滞在していたい」と思っていた国であった。