2018年7月25日~9月12日
走行日数50日間
累計走行距離1666km(84721km~86387km)
◎道路
チャコ地方を除く主要道は自転車でも安心できるレベルの側道が作られているのだが、定期的に速度殺しの段差があるのが玉にキズ。木々の影で道路の凸凹が見えにくくなってる場所も多く、下手に速度出してると転倒しかけることもあるため注意が必要。
全体的に標高の低い国だが東部を中心に斜度の厳しいアップダウンが多いので走行自体はなかなか大変。シウダーデルエステ~アスンシオン間の場合、ちょうど東西の中間地点あたりから坂道がなくなり平坦基調になる。
チャコ地方を含めてもかなりの場所で路面状況は整備が行き届いている印象で、むしろアスンシオンの町中など交通量が多い場所の方がよっぽどズタボロ。
チャコ地方は散々脅かされて覚悟持って臨んだのだが、主要道路に関してはほとんど舗装されており現在も精力的に道路工事がなされていることから全面舗装になるのもそう遠くない時期だと思われる。もはや現状この地域における敵は路面状況などではなく暑さだ。
◎治安
大変よろしい。南米の首都は大抵治安が悪いのだが、パラグアイはアスンシオンでも1人で歩き回って危険を感じたりしない程。もちろん夜中に歩き回ったりとかは別だろうけど。
個人的にはアスンシオンより東部シウダーデルエステの方が嫌な雰囲気を感じた。この電気店街は16時に営業終了するといきなり人通りが途絶えて危険度を増すので、買い物行く場合は午前中から訪れるのが吉。
他の町に関しては通常程度の防犯意識を持ってればまず大丈夫だと思う。南米の治安優等生って感じ。
◎ビザ・出入国
基本的にザル。国土面積的に90日あればほぼ全ての場所を回っても十分時間足りるし、イグアスの滝を見に数日間で出入りとかしたけど(新しいスタンプなしのパスポートで)何も言われなかった。
あと日本人はある程度料金支払えばパラグアイの永住権が取得できる。海外における最も簡単に永住権取得して移住できる国であり、私もこの国旅行してる最中に永住権取得して移住してきたばかりの人に会った。
◎交通事情
パラグアイのドライバーは基本クラクション鳴らしません。アスンシオンだと時たまあるかな・・・という程度。もちろんこれが運転マナーそれ自体の質とは関係ないワケだが、それだけでもなんか印象良い気がする不思議。
町中における危険車両である3輪タクシーとかほとんどおらず、信号もキッチリ守るので首都のアスンシオンでも自転車を使って頻繁に出かけていた。思い出してみてもパラグアイで車両に対して腹を立てたことはほとんど記憶にないのであり、道路事情も相まって自転車で走りやすい国だと思う。
◎特徴
1、日本人居住区が合計7か所ある。全て東部のパラグアイ主要地域に存在しており、ブラジルやボリビアといった国より訪問するのが容易。私が訪れたところではピラポ・イグアス・コルメナの3か所には資料館等があるため色々と当時の活動を見聞きすることが可能である。
またイグアス・コルメナの居住地には日系人の方が営業している宿もあるし、大抵の場所には農協があるため日本食材店よりも安価で日本食材を買い揃えることが可能。納豆が普通に購入できることに感動した。
2、シウダー デル エステの町が免税の町として有名。だがこれは正規の免税街ではなく、パラグアイの人たちが勝手にやってるアングラな売買なので何かと問題も多い。私がそうだったワケだが、こうした下地があるため小さな個人商店などで商品を購入する場合、領収書の金額確認から中身の確認までキッチリ確認することが大切。何処で騙されるか分からないのであり、こうしたフェイクに対して自己解決できる気合いがないのであれば大型店舗に行った方が無難。
◎気候
大陸性気候というのを存分に感じたパラグアイ。8~9月とまだ冬を過ぎたばかりの時期だが、晴天が続くと35度を超えてくる気温になる一方で、悪天候では最高気温が10度を下回る日もあった。
1度雨が降り始めると2~3日天気悪い日が継続することが多く、宿に長逗留することになった原因の1つがコレ。ただしスコールというよりは弱い雨が長時間降り続ける事の方が多かったので、短距離ならばタイミング見計らって走るのもアリだとは思う。
基本的に日光が強いことでの暑さであるため、日陰に入ると驚くほど過ごしやすかったりする。なので夜中は思ってるより冷え込むことが多い。チャコ地方では流石に寝袋使うほど寒くはならなかったけど。
◎言語
スペイン語だけでなく先住民族が使っていたグアラニー語も幅広く使われている。特に田舎の方に行くとグアラニー語の方が使用頻度高くなる傾向があり、実際パラグアイの公用語はこのスペイン語とグアラニー語の2つが指定されている。
あとチャコ地方にはドイツ移民が多い関係でドイツ語も使われてた。もちろん私は何言ってるのか分からないためドイツ語を(多分)使っていた・・・という表現が正しいのだが。
◎宿(野宿)・Wi-Fi
ペルー・ボリビアと同程度に安いだろうと思い込んでると痛い目を見る。都市部のホステルはお安いが、小規模都市における一般的なホテルは結構良い料金なので気軽に使えるほどではない。
とはいえパラグアイの主要ルートであるアスンシオン~シウダーデルエステ間には有名日本人宿がたくさんあるため特にこだわりなければこうした宿を使えば良いと思う。設備良くて料金も周辺宿より安いですよ。
都市部ではストレスない速度でWi-Fi使えたが、田舎地域ではそれなり程度しか速度出ないため人によってはやきもきするかも。あと南米の南部3カ国で非常によく利用していたガソスタWi-Fiだが、パラグアイではこれがほぼ全滅しており宿以外のWi-Fiを見つけることが非常に難しくなってしまったと思う。
私が町中で使ったWi-Fiは公園内のFreeWi-Fiやカフェくらいで、野宿を主体とすると結構大変かもしれない。まぁチャコ地方ですらネット使えたことを思うと、週1~2回使う程度ならそれほど困窮しない。そうでなければSIMカードをどうぞ。広告見たら100Mで約20円とか無茶苦茶安くて驚いた記憶がある。
◎犬
現地の人からは「パラグアイの犬は凶暴だから十分気をつけて」とか言われたが、個人的には南米の中でもかなり大人しい方だと感じる。そういえばパラグアイでは最後まで犬叩き棒を使ってぶん殴るということがなかったのであり、運もあるかもだがやはり襲われる回数自体が少なかったことが一因としてあるかと。
◎自転車店
エンカルナシオン・シウダーデルエステ・アスンシオンの3都市周辺には先進的なショップがあった。アスンシオンでは色々とパーツ交換もお願いしたが、見学してる私に対し説明をしてくれながら作業してくれたりと非常に親切だった。店員の腕も良かったと思われる。
ただし自国生産のパーツとかは無いため基本的に値段割高と思っておいた方が良い。それでもアルゼンチンやチリより関税低いことを考えると安いと思うけど、基本的に南米諸国でSHIMANO製品はコロンビアを除いてどこも似たり寄ったりの料金だと思う。
◎物価・食事
これは安くなった。特に食関連の値段が下がり、普通に食堂使っても「まぁいいか」と思えるレベルまで物価下がったのは嬉しい。パラグアイも畜産が盛んなためか肉関連が非常に安く購入可能。お店と部位によってかなり値段にバラつきあるため一概には言えないが、100グラム20~30円の肉とかゴロゴロある。
また国全体的に電化製品の値段が安い。無理してシウダー デル エステ行かなくともエンカルナシオンやアスンシオンでも南米他国と比較すると良心的な値段でそうした商品を購入することが可能。
そしてビールの値段安いのが非常に嬉しい。自国製ビールだと350ml缶で60円弱。他国産ビールはバラつきがあるのだが、ときどきパラグアイ産ビールよりお安いタイプもあったりする。暑い国なので平気で1ダースとか購入してたけど500円しないとか素晴らしい国でした。
レストランは安い場所で1食250円くらい。ただし大抵の場合は飲み物別で注文する必要がある。
割とスーパーの文化圏であり市場は大きな町にしか存在せず、そちらの物価はイマイチ把握していない。それよりもチェーン店ではない一般スーパーには運が良いと「だしの素」が販売されてたりする。日経食材店も多い国だが、個人的にこれがパラグアイの販売商品で最も印象に残ってる。次点はアスンシオンのスーパーでコーヒー豆が量り売りされてたことかな。
◎総括
位置的に南米の心臓と(主にパラグアイ人が)評するパラグアイだが、西部からのアクセスが悪かったり目立つ観光業が無いためイマイチ訪れにくい国でもあり、自転車のみならず旅行者の少なかったパラグアイ。
だが私はこの国に来て本当に楽しかったと思っている。特に入国当初に縁あってお世話になった日系の方とお会いすることができ、それがキッカケで幾つかの日本人入植地も回ったりしたのだが、何処も非常に興味深い話を聞かせてもらえることができた。
んで日本人じゃなくてパラグアイに住む現地の人たちなワケだが、特にパラグアイでは彼らの良さを感じることが多かった。私が南米のノリに慣れてしまってチョットのことじゃ腹立たなくなっただけかと思ったけれど、おそらくパラグアイの人たちは緩やかで親切な傾向があるのだと思う。
そんな感じなので滞在していることが実に楽しかった国だ。自転車で走る分にも良い国だと思うのだが、山なし国でありながら東部はキツい斜度のアップダウンが連続するためやや大変だったけど。暑い中走って夕日を眺めつつ冷えたビールを飲むというのがこの国における正しい自転車旅行スタイルだというのは間違い無いと思う。