せっかくアマゾン川は個別にタグ作ったこともあるので、扱いとしては各国まとめのように総括を作りたいと思った。・・・のでこの形で1記事作ることにする。ブログ的にも途中で日付が抜けるの気持ち悪いし。
なお大前提として「アマゾン川をイカダで下る」ということに対してのまとめであり、普段の自転車用総括より更に限定的な自己満足のために起こした記事である。普通にアマゾン川を下る(上る)のであればフェリーや高速ボートを使えば良いだけの話で、そういう大多数の人にとって毒にも薬にもならないことに私は情熱をかけるタイプである。
2018年9月26日~12月16日
航行日数56日間
累計航行距離約1500km(プカルパ~レティシア)
◎イカダについて
【作成と依頼】
プカルパの町においての話だが、アマゾン川イカダ下りのスタート地点とする人が多いポイントということもあり、自力でイカダ作らなくても職人のオッちゃんに作成を依頼するということも可能であった。その他イカダ下りの有名どころとしてプカルパより上流に位置するアタラヤや、植村直己がイカダ下り出発地としたユリマグアスといった町がある。
プカルパの場合、町の対岸側へ渡し舟で渡った場所に居住用のイカダハウスが多数並んでおり、そこで聞き込みしていればイカダ作ってくれる人を探し出すことはそれほど難しくないと思われる。
私の場合は職人のオッちゃん監修の元に自力でイカダを組み上げたワケだが、自己満足という点の他にも自分でイカダを組むことによるメリットはある。
それは「イカダの強度を気の済むまで強くできる」という点で、イカダが沈没する主要原因が「障害物との衝突」である以上、この利点は非常に大きい。
1つ言っておくと、イカダを作成した私も久保さんも建築に関して素人であり、日本で遊びで作ったDIYの経験とネットで得た知識をベースにしてイカダは作られている。イカダの小屋部分程度ならばそこは大した問題ではなく、誰でもやる気の問題で作りきることが出来ると私は思う。職人のオッちゃんにお願いしたのは主に材料を調達するための探索と材木屋との交渉による部分。
問題なのはイカダを高い強度にすると比例して必要資金が上がる関係にあるため、イカダ各部位の相場が分からないからといって製作を丸投げすると、彼らが利益を増やすため強度を犠牲に安く作り上げようとするのが容易に想像できる点。所謂「手抜き工事」というヤツだ。
土台部分についてはよっぽど適当でもない限り、チャチに作ったところで完全に崩壊するとは考えづらいが、建物部分に対しては費やした手間と資材で明らかに差が出るのであり、ここを如何に心血注いだかがそのままイカダ下りの成功率を左右すると私は考える。
【必要資材】
5×5mの土台を作成するのに当たってトーパと呼ばれる木を計19本並べることになった。そこから格子状に2段目、3段目と別種の木を敷き詰めている。これらをどの間隔で敷き詰めるかで床の強度が変わってくるが、この部分が崩れてはお話にならないということもあり合計200m分のロープでトーパと一緒にガチガチ固定した。最上段の床板にする木は材木屋で平板100枚を購入して丁度の量であった。
小屋部分は縦横が4×4mで高さは最高地点が220cm、入口及び左右の端を150cmとした。これに基礎部分と柱、屋根にそれぞれ角材を購入して活用している。この他に壁部分はベニヤ板、屋根部分にはトタンを張ることで作成した。
イカダを係留するためのロープは右側が余長10m、左側に30m分のロープを取り付けていた。この他に屋根の水をバケツに流すため塩ビパイプを左右にそれぞれ4m。
更に15mの細い紐、50m分のゴム紐、各種類の釘、ワイヤー、ハンマー、ノコギリ、マチェテ(現地の鉈)、鉄線鋏、防水シート、テープ、なんかは必要資機材として購入した。
イカダ全体の重量は2~3t程度になったと予想しているが、これに関しては実際計ったわけでないので「そうだと思う」以上のことが言えないけど。
【資金】
単純にイカダ作成で使った費用を箇条書きで記すと
<イカダの土台>
・トーパ(丸太)12本 100ソル
・床板100枚 100ソル
・角材20本 70ソル
・ボートチャーター合計 348ソル
・釘(各種合計で) 13.5ソル
・ロープ約250m 200ソル
<小屋部分>
・角材 262ソル
・トタン板 222ソル
・ベニヤ板 115ソル
・網戸 68ソル
・塩ビパイプ15m 7.5ソル
・傘釘 10.5ソル で合計1516.5ソルとなる。
これにアドバイザーのオッちゃんへ支払いで600ソルを出しており、総額は2116.5ソルであった。日本円に換算すると約7万円だ。これ以外にイカダ作成や修理に活用する必要資機材の他にも、生活用品や調理器具も必要だと言えるがこれは割愛。
とりあえずイカダを作って漕ぎ出すまでに、我々の作成したイカダで1人頭1000ソル(約33000円)ほどの費用が捻出されている。これを高いと思うか否かは個人の自由だが、2ヶ月近くをこのイカダで生活したのだと考えると、なかなかお安く済ますことができたと言えないかな?
なおこのデータは毎晩ビール飲みながら収支決算を付けてデータに残していたものであり、事細かに帳簿付けてるとこういうまとめで役に立つということがよくわかる。
【強度】
イカダはその形態から「土台」と「小屋」との2つに大別することが可能であり、十分な浮力を有しているならば土台に関しては必要以上に強力な補強作業をする必要はない。そうでなくとも木を4層に重ねて敷き詰め、各層ごと十分な固定処置を行っている土台はそう簡単にバラバラになることはない。
つまりイカダの強度とは小屋の強度こそが重要で、この小屋とは細かく「柱」「壁」「屋根」部分に分けることができる。
柱に関しては太い角材を使用し各柱毎の間隔を狭めればそれだけ強度が増すので予算と要相談として、壁と屋根においては主に使用する素材が重要になると言える。
壁に関しては私の場合ベニヤ板を活用してこしらえたのだが、これは耐久力としては非常に低いと言わざるをえない。イカダ下り始めて1ヶ月も経過した頃にはカビる部分ありフヤけてしまう部分ありと、かなりガタが来ていた。それでも単純に壁として使うだけなら問題ないが、ベニヤ板というのは障害物に対する防御力は皆無に近いため、ちょっとした立木などにぶち当たると簡単に突き破られてしまう代物で、これは建物内にいる人間にも危険が及ぶことになるため考えモノではある。
この壁に対して強度を求めるならば、床板などに使用していた平板を重ね合わせるという方法が考えられるのであり、手間と金銭を度外視するならばこちらの方が良いだろう。実際、アマゾン川に浮かぶ多くのイカダハウスは平板を重ねて壁面としている家屋が一般的であった。
これとは別に屋根。イカダで下る場合によく使われるのがトタン以外にバナナの葉を敷き詰めたモノである。もちろん単純な強度で言ったらトタンの方が強いし、水を吸うこともないためバケツに水を落としやすく、劣化しないのでメンテナンスに気を使う必要もない。
だがバナナの葉に関しても通気性の良さと何より修繕が簡単に行えるという利点がある。イカダ航行してるとトラブルでダメージを受ける箇所は、圧倒的に屋根の張り出している部分なのであり、こうしたポイントを気軽に交換できるバナナの葉というのが悪い選択肢とは思わない。個人的には水の消費量が増える多人数ならトタン屋根がいいかと思う。
何れのパーツも予備を携行して何かトラブルがあった際に修理・交換が可能なよう最初に準備しておいた。最初から「どこか壊れるだろう」くらいの気持ちでいたのだが、小屋部分は冗談でなく修理による修理を繰り返しツギハギだらけで歴戦の戦士みたいな状態でレティシアへと到着したと言える。
【水没対策】
というわけで最初からイカダが水没する可能性は考慮に入れており、こうした場合における対策として救命胴衣と防水バッグをそれぞれ準備しておき、パスポート等の貴重品や電子機器を入れて入口付近に設置していた。
これで最悪沈没した場合は「イカダから脱出する際ついでにバッグを持って逃げ出せるように」という話し合いがなされていたのだが、幸か不幸かこの防水バッグや救命胴衣が活躍することはなかった。
その他にソーラーパネル等の屋外で使用する電子機器には手を滑らした時の保険として落下防止の紐とカラビナを付けたりしてたのだが何のことはない、充電用品のモバイルバッテリーの方を滑らせ落としてしまいロストしたのは私です。その他にはパスタを挟むトングも洗濯中に落としたりしている。なおアマゾン川は水中透明度が完全に0なうえ、流れも水深もそこそこあるため水中で一瞬でも手を離したら見つけることはまず不可能である。
イカダ小屋の周囲には2重のゴム紐を張り巡らせており、雨避けカバーのバタつき防止に活用したり、衣類を固定することで風に飛ばされないようしていた。このゴム紐は風が強い場合に長モノを固定するとか実に様々な場面で活躍しており、当初予定とは随分違う使い方になった。やっぱりロープ関係というのは予備を持ってて損はない。
◎川下りについて
【基本情報】
世界最大の流量を誇るアマゾン川はプカルパの町から河口まで4000kmを超える距離で伸びており、川沿いにはプカルパから約1000km地点にイキトス、約1500kmでレティシア、約3000kmでマナウス、4000km超を流れた河口にベレンといった都市が点在している。
ブラジルを流れているイメージが強いが、アマゾン川はコロンビア・エクアドル・ペルー・ボリビアといった南米の多様な国に広がっており、今回私が川下りをしたポイントもペルーを流れるアマゾン川である。
イカダ下りは一部の旅行者に人気があり、プカルパからも年に数組のイカダーが似たようなルートを川下りしてるらしい。イカダ下りそれ自体ではアタラヤ~プカルパのコースが有名だが、こちらは僅か数日で川下り終了してしまうため私的に「イカダ体験コース」みたいなイメージが強い。
ブラジル領に入ると間もなく軍隊の検問があり、2018年現在でイカダがそこを通過できるのかは不明。なお私がネットで調べた限りでは、近年そのポイントを通過したレポートを出してるイカダーは見当たらない。
【川の特徴】
大まかに分けるとプカルパからイキトスの町まで川は北北西へと伸びており、イキトスを超えると東へ向きを変えることになる。
イキトスまでは無数のUターンカーブを繰り返しながら進む関係で、カーブの内側・外側に2本の水路が通じているパターンが多い。こうしたカーブは内側の方が水流安定しており、またショートカットにもなるため積極的に狙って入ろうとしていた。もっとも水の流れ的にイカダは外へ外へと流されるので侵入するのは簡単ではない。
このテの180度カーブは外側の水流が非常に緩やかであるため、放っておくと外岸に寄せられ全く前進しないどころか渦巻いて後退してしまう場合もあり、まぁどうやっても最後は外側に膨れるのだが何とかカーブの内側にイカダを寄せてスムーズに航行したい・・・というのが常に頭の中にあった。3人でオールを漕ぐ程度じゃイカダの推進力は川の流れに負けてしまうので。
イキトス以後は川幅が広がり鋭角なカーブが減ることもあって、一度川の中央に入ってしまえば長時間安定したまま流すことが易しくなる。ただし反対の岸まで1kmとかザラにあるため、余裕持った着岸を計画してないと日が暮れても着岸の目処が立たずに川中央で途方に暮れてしまいかねない。特に中州へ着岸しようとしたものの、地図の情報と異なり中州の位置がズレている、若しくは中州そのものが無い・・・という可能性があるため、常に着岸失敗した時のリカバリ案を考えておくのが良いと思う。
なおアマゾン川は基本的に護岸からもう足がつかない水深となるポイントが多く、着岸させるにしても水中に杭を打って係留するというのは難しい。とはいえ遠浅の草地だったりするとイカダを係留できそうな支持物が存在しないため、杭は無くてはならない重要アイテムだが。
イカダが流れる平均的な速度は5~8km/h程度で人が歩いてるよりやや速いくらいだが、急流ポイントではこの倍くらいの速度になることもある。だが、イカダを寄せられるか否かは水面の荒れ具合や風によるところの影響が大きく、こうした条件が良いと速い流れであってもイカダの着岸移動は案外アッサリできることもある。当然だがその逆のパターンもあるけれど。
【気候】
熱帯雨林気候であるアマゾンは、高温多湿で短時間に大量の雨が降るスコールが多いのが特徴といえる。しかし夜中は気温も下がり寝苦しいというようなことはないし、下手すると肌寒さ覚えるくらい気温も下がる。
季節についてだが、私の場合は雨季の始まりという時期からスタートしたのだが、アマゾン川の水量は雨季・乾季によって大きく変動するとのことで、乾季だと川幅が狭くなり全体的に進行スピードが遅くなるといったことを聞かされた。これが雨季の場合、川の水量が増えたことで地上部分の木が水中に浸かり水面から飛び出してしまう。このためイカダが壊れる原因となる障害物との衝突危険が増える。どちらの季節が航行に適しているのかは判断つかない。
とりあえず暑さに関してはそれほど心配しなくとも常に周囲の川に飛び込むことで涼を得ることが可能なため心配することはない。それより注意すべきはスコールに伴う強風で、場合によっては白波が立ちオールでは全く動かすことが不可能な状況となってしまうため、強風の危険を感じた場合は着岸させるなどして安全を確保させるか、いっそ障害物に衝突する危険のない川の中央にいる方が良い。
【危険】
最終的にイカダにおける危険な点とは「人」と「沈没」の2大要素に区分できる。前者に関しては動力を持たないイカダで悪意のある人間がボートに乗ってやってきた時点でどうしようもないことが言えるのだが、それでもまぁ多少なりともスペイン語をできるか否かでずいぶん違ってくるとは思う。少なくとも好奇心満載でイカダにやって来るペルー人は大勢いるため、何かしら最低限コミュニケーションが取れる方が良いのは間違いない。これはイカダを目標地点に着岸させたいけど岸まで寄せきれず流されてしまった際、ボートに助けを求めるということが割と発生するためという面もある。
もう1つの沈没案件だが、基本的に夜間航行というリスクの大きいことをせず、イカダ内部からでも常に外の様子を確認できる体制が整っていれば危険な状況に陥る可能性はグッと少なくなる。実は水面の状況だけを言うなら夜の方が安定している印象なのだが、夜でも結構な数の貨物船等が航行しているアマゾン川では船に衝突する危険性もそこそこ高いと思われる。イカダやる人ならば時間的な切迫は無視して良いと思われるので、距離を稼ぎたいという理由で夜間航行はやめておく方が無難。ライトや見張りを付けて対策しても、船の方がイカダを見つけ避けてくれないと意味ないところがあるし。
その他に流れが速くて強い風が吹いてる時は無理して流すことをせず係留しておく、スコールが寄ってきそうな場合は着岸させてやり過ごす・・・と言った事前の回避策を確立させておくことが重要で、危険な立木の多い急流護岸地帯に入り込んでしまったら人の力で危機を乗り越えられるかは「運次第」と言えるほどオールパワーではイカダをコントロールできない。
個人的にはペルー人が普通に使ってるボートパワーを「100」とするなら、私たちのイカダにおける3人体制でオールを漕いだパワーは精々「5」程度であったと思っている。
やはり経験により危険を事前に察知し回避できるようになるというのは間違いないところで、合計3度の大衝突の他にも2回ほどベニヤ板を破られるような衝突をしている我々だが、これらはいずれも前半戦で発生しており、徐々に危険な状況を感知して事前回避ができるようになってきたのだと思われる。
【補給】
荷物の搬送量ということなら1ヶ月分の食料を積み込んでもなんら問題にはならないイカダだが、上記の通り高温多湿の環境であるため生鮮食品の足が速い。ジャガイモですら10日を超えると痛み始めたし、私がお腹を下した原因は長期保存していたレモンを絞ったことだと思われる。柑橘類が腐るってヤバくない?
スタート地点からは塩漬け肉も持って行ったのだが、僅か5日目にはヤバそうな臭いを放っていたりと食料を保存するのに最も不向きな土地であると思う。釣った魚を干物にしようと吊り下げ用のネットも活用したが、あまり良い実績を上げたとは言い難い。特にエイの干物は1日でシャレにならないアンモニア臭を放つようになってしまい、釣りエサにすることすらできず処分してたりする。
しかし現代のアマゾン川においては、小さな村でも流通がしっかり機能しているため、野菜を含む大抵の食材は簡単に確保することが可能だ。イカダですら丸1日航行すれば最低でも3つや4つ位は村を通過するのであり、自炊が可能な環境で現金を確保しておけば、飢えるという可能性はほぼ考えなくて良い。言い換えるとその程度すらきちんと準備できないような人はイカダ下りをすべきではない。
その他にたんぱく質の確保として釣りをするという方法がある。私は釣りに関して完全素人だがそんな私でも竿も使わずライン(糸)と小麦粉を練り合わせたエサで簡単に釣り上げることが可能なアマゾン川は、とりあえず釣り用品を準備しといて損はない。ただしナマズ以外の魚を釣るならばそれなりに下調べや経験・知識を有している方が良い。
余談だがアマゾン川で釣れるナマズは頭部にやたら硬い骨があり、その特徴的な形も相まって一般的な魚を捌くのとはやや手順等が異なる。ソテーや揚げ物で食すことが多かったが、臭みもなくて美味である。
なお水に関してはスコールで屋根から落ちる水を雨どい通してバケツに貯める方式を採用し、小屋内のバケツと合わせて120ℓ(40ℓバケツ×3)分の水と、これとは別に予備として購入した20ℓで総計140ℓを確保していた。毎朝のコーヒーから始まり午前午後に麻雀で毎回紅茶淹れるわ筋トレ後にはプロテイン飲んでるわで消費量激しかったと思われるが、水が枯渇して困るということはほぼなかった。1週間ほど雨が降らないと困窮する計算だが、この時期のアマゾンでそういった心配は必要ない。
【病気等】
前提としてデング熱やマラリアの感染危険がある地域であるため、極力蚊に刺されないようにしたい。そうは言っても刺されまくるのは避けられないのだが、こうした病気を事前に調べて似たような症状が発生した場合にどうのように対処するか、といったことをある程度決めておくことは大切だと思う。我々の場合は最悪、病院へ行かなくては危険な状態だった場合、イカダを捨てて近くのボートに助けを求める打ち合わせはしていた。
その他とりあえず各種の内服薬から傷薬まで、まぁ一通りは購入して最低限の対処はできるように備えていた。特に蚊に刺されたことを考えかゆみ止めやアルコール液は途中で買い足したりするほど大量に使用した。あと重要だったところで経口補水液。南米の薬局ではこれが粉末で販売されており、食あたりになった際の脱水状態で大変役に立った。通常の旅行でも1つあると安心アイテムだなこれ。
あと普通に泳いでいると問題ないアマゾン川だが、川底の泥に足をつけて活動してると何故か足の皮が剥ける。最初は水虫か!?と驚いたが、指の股だけでなく足の裏とかも皮がめくれて別物だと気付いた。菌でも入るのだろうか?最初はかなりの痛みを伴うので軟膏を準備しておく方が良い。
存外ピラニアは出てこないアマゾン川だが、それでも切り傷作った場合はきちんと処理していた。これは単純にアマゾン川の水が綺麗に見えないから雑菌とか入ってくるのでないかと心配したため。町の生活排水とか全く処理しないで垂れ流しであるため、まぁどう考えても綺麗な水ではないのだがアマゾン川はその水量の豊富さから、多少の汚れは薄まってしまう関係で存外平気なのだと聞くが・・・そんなの分かったもんじゃないし。そういや川の水を飲むことは1度もしなかった。最初に川の水でラーメン食べたけど。
【生き物】
アマゾン川にはピラニアを始めとした肉食の水中生物が棲んでいるわけだが、こうした生き物はそれほど危険ではない。ナマズの仲間でアンモニアの臭いを嗅ぎ付け直腸などの穴から体内に侵入し内側から食い破る奴がいるらしく、川の中で用を足すことはしないよう努めていたが、普通に川の中で泳ぎまくっていたもんね。
なおピラニアは流れのない場所に生息するらしく、本流を流されていると出てくることは滅多にない。すなわちピラニア釣りたいのならば大きなエディ(水の淀み)や流れのない支流などに入り込む必要があるのだが、イカダでそうした場所に入り込むにはオール使って多大な労力を要することとなる。
そうした魚類よりもいつの間にかイカダに入り込む蟻や蜘蛛といった昆虫の方が困りもので、特に蜘蛛は危険な毒を持ってそうなタランチュラを何度も見かけており、土台の隙間とか見えない場所に手を突っ込んだりするのは躊躇われる。蟻に関してはとにかく数が多いのが大問題で、いろいろな種類がいるが、人の肌を噛むと猛烈に腫れる種がいたりと厄介。しかもペルーにはスプレー式の殺虫剤しか取り扱いがないため奴らの殲滅を図ることは非常に難しい。というか諦めてどうにか同居していた。
その他に日中だと虻、日が沈み始めると蚊が大量に出てくる。特に虻は外でオールを漕いでると、コチラから見えない場所に張り付いて血を吸うという悪行甚だしく、黄昏時さえ避ければそれほど猛威を振るわない蚊よりも厄介な存在として最初から最後まで嫌らしく邪魔してきた。なお、網戸に張り付くと何故か逃げ足が極端に鈍る傾向があり、ハエ叩きなんぞ使わなくても指で摘んで殺してた。
あと夜の草地では小さな虫が光源に寄り集まってくるのだが、これはイカダの隙間から幾らでも侵入してくるという状態なので、対処のしようがない。まぁウザい以上の問題はないけども、ウザいというのは時に他の何よりも深刻な問題となるし。とにかく蚊帳を使って早々に逃げ込んでしまえば流石にそれ以上悪さはしない。そして翌朝になるとひどい時で数千匹単位の死骸を掃き掃除することになるため、こうした掃除用具をちゃんと準備しておかないと泣きを見る。
あまりに生物の文句ばかり繰り返したので1つくらいアマゾンの生き物で良かったこと言っておくと、アマゾン川に生息する2種類のイルカは簡単に見ることができますよ。イルカと出会うアマゾンツアーなんてイカダやってりゃ必要ないね。
【まとめ】
他に例を見ない特殊な旅行形態であるイカダ下り。面白いのは体力的な側面をほとんど必要としないという点で、イカダ下りに必要な能力は自転車旅行以上に精神力であるといえよう。もっとも個人的にはアマゾン川を移動する主要手段であるハンモック船なんぞより、気心知れた仲間と気楽に移動できるイカダの方がよほど気楽であるという気もする。
1からイカダを完全手作りするかはプカルパ到着するまでハッキリしていなかったが、より「楽しさ」を求めるのであれば間違いなく自分で作る方が良い。何より自らの作ったイカダで流れるというのはその責任を全て自分自身で負うこととなるため、川下りするのにグンと張り合いができて気持ちが違う。
とにかく長い期間を他人と全く離れずに過ごすことになるため、ストレス耐性こそが重要だと私は思う。色々と違う考え方や行動スタイルをどこまで譲歩してどこまで突き通すのか。普段1人で自由に旅行している身だからこそ気にしたことのない点が、イカダという閉鎖空間では常に考える必要に迫られる。じゃあ1人でイカダ下りすればいいじゃないか!といえば確かにそうなのだが、それはそれで防犯上の問題を始めとして全く異なった旅行形態であるといえよう。少なくとも有り余る時間を1人で過ごすというのは別の意味でキツい。なんか宇宙飛行士の適正みたいな話になってきたな。
ともあれ歩くのと変わらない速度でアマゾンの自然の中を移動していくというのは、遅ければ遅いほど楽しさが増す旅行において最高に贅沢な手段の乗り物であるといえる。アマゾン川をイカダで下る旅行者が増えることを望みつつ。