2019年2月22日~4月24日

 走行日数62日間

 累計走行距離3145km(88780km~91925km)


◎道路

 アマゾン地域にでも行かない限り主要道路においては質の良いアスファルトが続いている。しかし少しでも海岸線から内陸部へと入ると小規模なアップダウンが連続する道となり、これが何時まで経っても終わらなかったりするため体力的に相当厳しくはある。

 結果的にブラジル入国後に標高が500mを越すような山は1度も登ることはなかったのだが、1日の獲得標高が1000mを超えることは幾度もあり、決して自転車で走るのが楽な国というワケではない。

 主要道路は側道広めに作ってあり安心感があるものの、結構路面状態はボコボコで路面のギャップを避けるためにメイン路に入ったりもするのだが、この乗り越え部分に段差作られてることが多くてストレスがある。段差という点では町の出入り口にトーペが設置されて国なので、斜面の途中にあったりする町だと吹っ飛ばされかねないため注意が必要。

 基本的に50km走って全く補給ができないということはまずないし、特にガソスタを始めとした郊外のドライブイン系施設には食堂のみならず無料で冷水・シャワー設備にWi-Fiまで整っているため野営するのも楽。アマゾン地域以外であれば食料一切持たずに走行してもまず大丈夫といえるほど。


◎治安

 これはまぁ良くはない。といってもこれはあくまで州都のような大都市においての話であり、田舎においては南米でも1・2を争うほど多くの人に親切にしてもらった国だし野宿もしたワケだが、危険を感じるようなことはむしろ少なかったと思う。この田舎と都会の治安差が他国以上に極端であるため、ブラジルが余計に治安悪いのだと感じているだけなのかもしれないが。

 大都市に入っても昼間は人通りも多く活気にあふれており、ファーベラ(スラム街)とかに近づかなければそこまで危険な雰囲気はない。まぁ建物の防犯状況とか見ると、非常に厳重なのであり「安全だな」と感じることは無いにしても、観光名所ではパトロールしている警察も多いしいきなり襲われたりする予感は薄い。

 ところがちょっと裏路地とかに入り込んだりすると、一気に別世界というか危険度段違いの場所に豹変したりすることも多く、そういう意味ではアメリカと似ていると感じることが多かった。

 というのもブラジルも貧富の差が非常に激しい国であり、そのマイナス面がモロに出てしまってるというか、町の規模がアメリカほど広がりを持っていないため、裕福層と貧困層の住んでる地域が距離的に離れていないよう思われる。綺麗なスーパーや銀行の出入口でも普通に浮浪者が寝てたり徘徊してるのがブラジルで、こうした人たちを排除して貧民街へと押し込むのがアメリカってイメージ。

 まぁとにかく田舎の道路標識にはしょっちゅう弾痕が残っているほどの銃社会ではある。都市部においては暗くなったら絶対外出しないということを他国以上に徹底して心掛けていた。

 あとどう見てもヤバそうなファーベラ地域だけど、基本的に大都市の町外れに存在してる感じで町を出入りする際にはその近くを通過する傾向があるんだな、これが。まぁ危険な地帯を抜けるまで下手に主要道路から外れて適当に入っていくとかしないほうが正解だと思う。


◎ビザ・出入国

 南米において日本人は唯一ビザの発給が必要である国。とはいえ日本人は2018年より電子ビザ手続きが可能になったこともあり、以前と比べてハードルはずいぶん下がったように思う。

 ただこの電子ビザ、ブラジル国内で滞在延長手続きが出来ない関係で、90日以上の滞在を予定してる場合は以前と同様の領事ビザにおける手続きが必要となる。当初予定で私は90日以上の滞在を見込んでいたので料金約2倍の領事ビザをパラグアイにて取得したのだが、結果的に領事ビザである必要はなかった、まぁ仕方ない。

 肝心の出入国だが、陸(川)路の小規模な国境においてブラジルは警察組織がイミグレーションを兼ねている場合が多い。そのため国境沿いにイミグレが存在せず、自分で町の警察署まで訪問してスタンプを貰わねばならない。だけどそのテのイミグレは日曜・祝日には開いていないし、お昼休みもあれば18時以降はもちろん閉鎖してしまうため注意が必要。なおこのスタイルを取っている国境の町は、必然的に町中においてノービザ入国が認可されている地域でもあるらしい。

 手続き自体は基本的な質問事項に受け答えするのみで非常に緩いとは感じるが、係員はもちろんポルトガル語しか話せない人だったので大変苦労した。

 そして3月も後半に入った頃「2019年9月から日本人はブラジルビザ免除」という報が入ったのであり、なんだよもうちょっと早くやれよ・・・という気持ちが拭いきれなかったりする今日このごろ。


◎交通事情

 クラックションを鳴らしてこない運転モラル高い方の国ではあるが、土地の大部分が人口希薄地帯ということもあって無茶苦茶に飛ばしまくっている大型車がかなり多い。

 交通量少ないからか知らんが、前方の状況が把握できてない状況でも平気で反対車線に出て追い越しをする悪癖があり、相当な回数自転車の真正面から突っ込んでくる車両とはち合わせとなることがあった。しかも2度ほど逆走状態の車の方が「邪魔だ」とクラックション鳴らしてきたことがあり、これは現時点で最低の運転マナーを誇るベトナムと同レベルのことやっているのだと猛省してもらいたい。

 車両とバイクの割合が半々くらいの印象で、バイクは割と側道を走る人も多いため思わぬ位置から追い抜いて行ったりするパターンがあり注意が必要。なおバイクの運転技術もあんまりな印象で、状況が未舗装路や雨上がり直後だったとはいえ私の目の前でバイクが転倒したのを2度も目撃している。路面良くない状態でそんなスピード出すから・・・と思う走行だった末での転倒で、まぁ自分が制御できない速度を出すライダーが多いという印象。余談だが転倒した2人に大きな怪我はなかった。見過ごすわけにもいかないし目の前で事故るの止めて欲しい。


◎特徴

 アマゾン地域では川が主要な交通手段の1つとなっている・・・というかまともに整備されてない未舗装路しか陸路における道がなく、現在においても陸路より水路の方が主要な交通手段として認識されている。それを象徴するかのようなウマイタ~マナウス間の国道319号線はアドベンチャーロードとして一部のオフロードライダー等に人気なのだが、特に雨季でこうした地域を走行すると酷い目に会うのは間違いない。大きな川には大概フェリーの定期航路があるので、この地域を移動するのが難しいと思う場合はフェリーを利用する方が無難。


◎気候

 要するに雨季におけるアマゾン地域しか走ってないのだが、もう無茶苦茶に雨が多い。といっても1日中雨が降り続けることは稀で、短時間に大雨が降る「スコール」というイメージ通りの雨。天気予報を見ると向こう10日「雷雨」ばかりの日が続くのが常であるが、実際の天候は雲量多めの曇り空という日が続くと思ってけばそれhど間違いではない。

 湿度が高い暑さであるため、雨が降ったことによる打ち水的な冷却効果はそれほどではなく、むしろその後に陽光が照りつけたりすると路面の水が蒸発して凄まじい湿気の中を移動する羽目になり困りもの。しかも雲の動きが速い関係で大雨直後に太陽光・・・というパターンは多い。

 しかし気温自体は35度を超えることは滅多になく、夜間も凌ぎやすい温度まで下がるため夜中に寝苦しいほど暑いということはなかった。まぁ雨季だしな。というか日本は何で夜になっても温度下がらないのかね?

 一般道路ならそれほど雨を気にしなくても問題ないし、レインウェアを使わなくとも雨天走行に支障はないといえるため、時間的な余裕を持って走ればアマゾン地の雨はそれほど気にすることがない。ところが未舗装路を走る場合は勝手が違うというか、定期的に雨で土に水が撒かれるため常に地面がぬかるんでいるというコンディションが形成されるため非常に厄介。

 なおアマゾンというのは熱帯雨林の地域なので、正確には「乾季」というのは存在せず「小雨季」と表現する方が正しいかと思う。何にしても12~3月くらいが最も雨の多い時期となるため、この時期に未舗装区域を走るのはオススメはしない。


◎言語

 南米唯一にして世界最大のポルトガル語使用国であるブラジル。とりあえず他の南米同様に英語の使用率が低いこの国で、それなりに意思疎通するためにはやはりスペイン語が有効だと言える。というのもポルトガル語とスペイン語はかなり近しい言語であるため、普通にスペイン語で話しても半分程度は内容通じたりする。

 ただまぁスペイン語自体もやっつけ程度の能力で、その半分しか通じないというレベルでは会話に関してかなり厳しいと思っといた方がいい。それでもブラジル人自体が英語よりスペイン語の取得率高いため、スペイン語がこの国においても有効であることに変わりはないし、基本的な数字や文法が同じ(似てる)ので最低限の内容を伝えることは可能。


◎宿(野宿)・Wi-Fi

 人口4桁くらいの小さな町でも数件は宿があるイメージで、そのうちの1件くらいは1000円を下回るような安宿がある。なおスペイン領であった南米他国とは町の構造が根本的に違うため、町の中央に位置するパルケ(公園)に行っても周辺に宿があったりはしない。ブラジルの場合はとりあえず長距離バスターミナルの周辺から探索を開始するのが基本戦術だといえる。

 HOTELとPOUSADAS、あとときどきDORMITORIOという宿泊施設もあり、ポウサダスはおそらく民宿寄りの施設と思われるが別に常に安かったりするワケではない。ドルミトリオに関しては見た目からして安宿の雰囲気を存分に醸し出してる施設ばかりで、実際そういう宿だった。どこの宿でも大抵Wi-Fiはしっかり付いてて速度も良好だし、部屋内でも使えるように考えて配置されている。そしてブラジルでは安宿でもかなりの確率で無料の朝食が用意されているのが嬉しい。最も多いスタイルはパンとマーガリンにコーヒー&ミルクというスタイルで、ちょっと良いトコだとパンに挟むためのハムやチーズ、他にバナナ等がセルフで置かれている。特に説明とかはなく、6時~8時くらいの間で用意され各々が勝手に食べるスタイルなので、遅くに行くと何も残ってなかったりする場合も。なお冷水とコーヒーは常にセルフで飲み放題となっていることが普通で、これは宿だけでなく商店やレストランでも同様である。

 ちなみに観光地や大都市といった場所だと全体的に宿の値段が上昇するが、代わりにホステルが登場するため1泊の料金的にはさほど変わらず宿泊することができる。要するに地方なら同じ料金で個室に泊まれるため、治安の悪さも相まってブラジルで大都市に滞在するのは旨味が少ない。単純にコスパが最も良くなるのは地方都市くらいのホテル泊だと思う。私が泊まった町で例えるとポルトヴェーリョやサンタレン、アサイランディアの町とか。

 ちなみに郊外のガソスタやれレストランには長距離ドライバーのためなのか無料のシャワー施設がついてることが多く、何度かテントも張らせてもらったりしたが実に快適だった。町と町との間隔が短いためあんまり野宿しなかったけれど、お金節約してテント泊増やしてもそれほど苦労しないと思われる。ただし(アマゾン地域だけかもしれんが)雨が多い関係で、どこか雨を避けれる場所で設営しないとスコールの勢いが激しいため色々と危険。

 なおWi-Fiは一般のレストラン等でも設置率高いし、郊外のガソスタなんかも使えることが多い。結局ブラジルで長期間ネットに接続できなかったのは、フェリー乗って移動してる最中だけだったんじゃないかな?


◎動物

 アマゾン地域だから仕方ないのかもしれんが無茶苦茶に蚊が多かった。マラリアやデング熱に感染危険のある地域なので、あまり刺されないよう注意したいとか言ってらんない。宿の部屋に入ったらいきなり目視で4~5匹飛び回ってるのが確認できるレベルで蚊が飛んでるのにどうしろと?とりあえず蚊取り線香と虫除けの薬は常備していた私。

 その他のジャングル的な危険生物は道路上を普通に走行してる限りではそれほど出てこないのだが、蛇だけはかなりの頻度で出くわすため気は抜けない。毒持ってる種類なのかは知らんけど、1日で車に轢かれてる奴を含めれば5~6匹見かけたこともあったし。

 犬は可もなく不可もなく。食堂で飯食べてても寄ってくる野良犬の数も少なかったし、走行中に追いかけられた経験も多くない。そっちはあまり気にならなかったかな。


◎自転車店

 人口5万を超えるような町なら先進的で大きなショップが1つくらいはある。それより小さな規模の町でも自転車を専門に扱う修理店なりは点在してるので、まぁトラブルの対応自体は対処しやすいかと思われる。

 品揃えに関しては基本グレードのSHIMANO製品ならば問題なく入手でき、私の場合は次のヨーロッパの物価高さを考慮してブラジル終盤に色々なパーツを交換したりとかしてる。いや、自転車の部品なんて何処の国でも大して値段変わらないかと経験上思うのだが、ヨーロッパ走ったサイクリスト曰く「ヨーロッパはサイクル用品まで全て高い」という話を聞いたので。

 店員の整備レベルは他の南米諸国と変わらないと感じたが、小さな町だったりすると作業に要する部品がなかったりすることも多いので、有り合わせの工具で何とか対応したり古くなって消耗しているベアリングをそのまま使い続けたりとかしていた。まぁ物が無いと工夫でどうにか対応するのはその通りだと思うし、ペルーみたく勝手に分解して「これ無理だわ」とか放り投げたりしないので、とりあえず自転車預けることに抵抗は感じないし。

 自転車で旅行するということに対して非常に親近感を覚えてくれる店員が多く、色々助けてもらったりしても料金受け取らず「良い旅行を!」みたいな感じでサービスしてくれたりと、ここでもブラジルの人の良さを強く感じることが多かった。


◎物価・食事

 ペルーやボリビアより高いけど、エクアドルより安いかなという感じ。宿に泊まって毎食レストランで食べても一応2000円以内で収まる程度だと思う。南米ならコロンビアと同程度というイメージかな。

 なおレストランは大都市でもない限りワンパターンのメニューなのだが、しかしブラジル料理は満足度が非常に高い。自転車乗りには有難いのがセルフ方式でお皿に食材盛り放題だが料金固定という店が多く、ブラジル料理といえば!のシュラスコ店含めてこうしたお店ばかり通っていた。ただし一部の店では同様の方式で重量計って料金を算出する店もあるため事前に要確認した方が無難。

 大体1食200~450円くらいでやや高目だが、どのお店でもガチガチに冷やした冷水とコーヒーは無料で飲めるし、思い切り肉が食べれての料金なのでむしろコスパは良いと感じる。宿で無料の朝食出るからほとんど朝は利用しなかったし。

 なお19時にもならずして多くの食堂はシャッター閉めてしまい、日中から継続して営業してるお店は限られる。小さな町だと平日でも1件もお店開いていないという状況が頻発し、またスーパーも同様の時間帯に終了するためタイミング悪いと食いっぱぐれる危険がある。

 とはいえ中央公園やバスターミナルとかに行けばシュラスコかハンバーガーの屋台があるし、バーを始めとした夜中から営業開始するお店もあるっちゃある。私は屋台は結構利用したけど、バーは割高の軽食しか食べれないので行くことはなかった人。1人でバー行って酒飲むタイプじゃないのです。

 とにかく暑い国のためビールが美味いのであり、1本50~80円というお求め安さもあってガンガン飲みまくっていた。スーパーなどではビンよりも缶が主流で販売されてるので、飲み終えた瓶ビールをお店まで戻しに行かなくても良いのが地味に有難い。なお他国ではあまり見かけない269mlという規格が多く、通常の350ml缶はそれほど多く流通していない。

 全国展開してるビールだけでも5種類以上。私はクリスタルという名前のビールが好きだったけど、クリスタルという名前のビールは中南米でそれぞれ同名別種のビールが広く取り扱われており、なんだかちょっとモヤモヤするな。なお店で瓶ビールを注文すると、外気温でビールが温められないように専用の容器で瓶をカバーしてくれる。


◎総括

 いや楽しかったなブラジル。アマゾンという地域のワクワク感は入ってみれば案外整備されてる場所も多く、原住民が暮らしてる未開の土地ばかりではなかったけれども。それでもこの土地を自転車で走って他の南米とは違う景色と環境を存分に感じることができたと思っている。

 整備されてるとは言ったけど、それでも南米全体で見ても最高難易度クラスの道が連発し、自転車の各部品ぶっ壊れまくったしフェリーや車両に乗せてもらうことも多々あった。何とか無事走破することができたのは、この国で私を助けてくれた多くのブラジル人のおかげである。

 そう、この国もまた最初に思い起こすのは人の優しさで、南米に入った最初の国コロンビアと最後の国となったブラジル。この2カ国で最もそうした印象を受けたというのは何とも不思議な気持ちになる。

 何故か邦人自転車旅行者が訪れることの少ないブラジルだが、この広大な国土の中にまだほとんどサイクリストが走破してない貴重な道がワンサカ眠っているのだと思うとワクワクするじゃないか!これからの南米自転車旅行にアンデスのみでなくアマゾンやブラジル海岸線といった選択肢を入れても決して後悔はしないと思う。ブラジルとはそういう国であった。