2019年7月27日〜8月7日
走行日数12日間
累計走行距離1149km(96209km〜97358km)
◎道路
なかなかよろしいんじゃないかと思うです。全体的なレベルで言えばノルウェーとそう変わりはないのだが、土地が緩やかな山々と森林地帯で構成されてるスウェーデンでは無茶な場所に道路を敷く必要がないようでトンネルも無ければ道路を繋ぐフェリーもない。このため普通に道路を走ってる限りなだらかなアップダウンを繰り返す道が続くだけで走行自体にストレスを感じるような場面はそう出てこない。寒い場所で傷むのが早いのか道路工事には結構な比率で出くわすけれど、カナダみたいに何十kmも工事区間が続くことはないし高緯度地域にしては驚くほど質の良いアスファルトで路面が構成されている。
なお町中には自転車専用路があるのだが、段差部分を全く考慮してなかったりと造りはかなりお粗末。道路の片側にしか道が造られてなく、それでいて頻繁に道路左右側の変更をされたりする場面があってあんまり良いイメージはないかな。というかそんな気になるほど町中を走る機会もなかった。
◎治安
非常によろしい。ある程度大きな町のスーパーとかには物乞いとかいるので注意していたが、基本的に旅行していて危険を感じるような雰囲気は全くない。というかそもそもあんまり人がいないのであり、ちょっと町の郊外まで抜ければ森林地帯が広がってるこの国は自転車旅行的に気楽なもんです。
◎ビザ・出入国
シェンゲン協定に属してるので審査無し。入るモデルのも陸路じゃ看板しかないため国境を超えたという実感に乏しいのがヨーロッパの寂しいところだと思う。あと北欧を自転車で走ろうとするとシェンゲン協定の90日縛りは邪魔でしかない。
◎交通事情
隣国ノルウェーに比べて直線的な道路が多く、その分車もスピードを出す傾向がある。一般道路で制限速度100kmというのは、自転車で走っていると結構怖いものがある。
とはいえ本当におっかない思いをした記憶がない程度にはドライバーの運転マナーが良い国なのでやはり走りやすいと言えるわな。アイスランドやノルウェーほどではないが、この国もキャンピングカーを含む大型車両の割合が非常に多く、ときどき対向車両がいても追い越しを仕掛けてくる奴がいたりする。
基本的なところで北欧自体に人が少なく、更に北部になるとその傾向が強くなるため交通量に比例して危険度が下がる自転車旅行としては北欧での旅行という点において他国と比較し非常に安全度が高いといえよう。少なくとも交通事情は日本よかずっと安全ですよ。
◎特徴
森林地帯が国の大多数を占める関係か蚊やアブといった虫に悩まされることが多かった。2日目に右手首を毒虫に刺され、赤黒く腫れ上がった症状は痛痒さを伴いつつ1週間ほど継続したのであり本当に困ったモンですわ。
多少整地されてようが水場が近くになかろうが自転車止めてテント設営し終えるまでの間に猛烈な数の蚊に襲われる率が他国より非常に高いと感じる。故に蚊取り線香や塗り薬が重要となってくるのだが、割とスウェーデンでは渦巻きタイプより電気式とかが主流のようでスーパーでは簡単に発見できないことがあり要注意。
◎気候
いやー暖かった。これが普通なのか知らないが、2019年夏のスウェーデンは雨は降らないし気温も20度超える地域が多数だしと自転車走らせるのに最高の環境だったと思う。北部では流石に寒くなってきたけど、それでもTシャツ1枚で北極圏であるイェリバレの町走っていたし、湖や川で身体洗うことに気合いを入れる必要がない程度には水温も高くて素晴らしい。
特徴だけを語るならば夏の北欧は雨が多くて大変らしいですよ?町を抜けると雨を避けるための障害物とかもほとんどないしで十分な下準備しとかないと大変だろうなとは思う。
あと高緯度地域なので夏だと夜になっても暗くならない。これは別に北極圏入らなくても同様で、要するに太陽が沈んでも地平線の下ギリギリを横移動してるため日本でいうと夏の午後7時とかの「太陽は沈んだけどまだ明るい」という状況が深夜になっても継続してる感じ。故にオーロラで有名なラップランドではあるが、オーロラを見れる時期というのは早くても8月の終盤になるらしい。
◎言語
スウェーデン語が公用語。とはいえ普通に英語が通じる国なのでやはり問題となることは少ない。ノルウェーよりやや英語の発音にクセのある人が多かったかな?という気がするけど、私が聞き取れるレベルなので普通の人なら十分許容範囲だろう。
ちなみにスウェーデン語は隣国ノルウェーやデンマークとは言語的に近いらしいが、書かれている文字とか見ると近しい言葉なのだなという感じはある。
◎宿(野宿)・Wi-Fi
1度だけ利用したキャンプ場はテントサイトで約3000円。高いとは思うが設備はキッチリ整ってる町中の施設だったので北欧ではこれくらいが標準なのかもしれん。
とにかく野宿が簡単にできるし、ちょっとしたレストエリアには自転車旅行者でなくともキャンピングカーが普通に泊まっていたりする国なので、そうしたエリアを見つけるのも非常に楽である。キャンプ場を使うの「髪の毛切ってシャワー使いたい」とかでもないと利用する必要性が全然出てこない。んなわけないか。
スウェーデンに展開しているスーパーのICAには大抵FreeWi-Fiが飛んでおり、しかもほぼ全ての町にお店が点在してるため短時間の利用ならこれで十分。他にもコミュニティセンターやカフェでも問題なく利用できるためネット使うのに苦労したことはない。
◎動物
蚊とアブ以外のところでそこそこ姿を見たのは立派な角生やした鹿を複数回見た程度。北米だとリスとかが食料袋を食い破って食材盗って行ったりとかあるあるなのだが、ヨーロッパではそうした小型動物の食料盗難も話聞かないし私自身も問題にならなかった。
湖が多い関係で多種類の野鳥が生息しており、バードウォッチングが流行っていたりあらゆる場所で釣り人がフィッシングしてる姿を見ることができるのであり、釣り好きにとって北欧は天国みたいな土地なんだろなとは思う。
◎自転車店
そういや1度もショップに入ってねーや。自転車人口も競技用スポーツ自転車に乗ってる人も多数いるためショップ自体は結構な数あることは分かる。私は基本的に自転車ショップが目に入るとちょっと覗かせてもらう性格の人なので、10日以上滞在してこのパターンは割と珍しい。もしかしてスウェーデンは無茶苦茶自転車の専門ショップが少ないという可能性も無くはない。
◎物価・食事
北欧の中では安い国。ノルウェー人は買い物するのにわざわざ国境越えてスウェーデン入って買い物するとか話を聞いたが、手間とガソリン代を考えても確かにスウェーデンの方が割安だと思えるくらいには物価下がったと感じる。
ノルウェークローネとスウェーデンクローナは対日本円で1割くらいスウェーデンクローナの方が割安なのだが、それでいてノルウェーよりほぼ全ての食材値段が安い。特にビールはローアルコールなら100円切る値段で販売されており、ノルウェーの鬱憤を晴らすかのようにビール飲みまくったモノである。
とはいえ1度だけ使用したキャンプ場は1泊3000円したし、もっと田舎の設備整ってないキャンプ場でも2000円とか普通にかかる。間違っても「物価の安い」国では無いのであり、北欧物価に慣れた人だからこそスウェーデンは比較的物価安の国として位置づけることができるのだと言える。
◎総括
私がイメージしていた湖と森が広がる北欧という世界を体現させてくれた国。来る日も来る日も森林地帯を分け入って進んでいくのは景色的な変化が少なく飽きる人もいるかもだが、アップダウンも緩やかで交通量が少なく気候も抜群、そして走りやすいという環境を思う存分自転車で走れるという意味で最高レベルにある国だと思う。
キャンプやりたい放題だしアウトドアに適した環境がいくらでも広がっている国なので、まさにキャンプツーリングをするためにある感じで、しかも多少トラブル発生しようが日が長いため暗くなる前にリカバリもできる。英語もバッチリ通じるし、町と町との距離が短く無理な荷物の積載をする必要がない。オマケに治安も良いし北欧では比較的物価も安いと文句の付け所がない国である。全てが高いレベルで揃ってるが故に「面白みに欠ける」という意見はわからなくもないけれど。
もし自転車旅行を始めるにおいて最初に訪れる国がスウェーデンである人は幸せであると思う。日本人としては立地的にやや難しいかもしれないけれど、北欧自転車旅行はデンマークと並んでスウェーデンが楽して楽しく走れる国だと私は評価したい。