2019年8月7日〜8月9日  8月15日〜8月22日
 走行日数11日間
 累計走行距離582km(97358km〜97468km・98080km〜98552km)

◎道路
 南部は知らんけど素晴らしい。町を離れた場所でも側道あることが多くて走ってて安心できる。何より道路幅の基準がノルウェー比較で60cmほど広いらしく片側換算で30cm広がっただけではあるが、その30cmが重要なんだよ自転車にとっては。
 主要道路に関しては厳しいアップダウンも少ないし私が走ったエリアで全面舗装だったので人口の多い南部地域では路面状況で心配することはないと思う。なお右側通行。
 なお自転車専用路だが町中には大抵しっかりと整備された自転車路が存在し、しかもノルウェーみたいに無茶な段差だとか変な場所で突然途切れるといった不具合もなく快適に走ることができる。大きな町だと手前5kmくらいから自転車路が出てくるのだが、これにもちゃんと表示看板があって進入路を見落としてしまうような心配がない。
 反面レストエリア等の休憩施設はノルウェー・スウェーデンと比較し随分レベルが下がった印象で、気持ちよく走るならフィンランド、キャンプを楽しむならスウェーデン、面白い道を走りたいならノルウェーと住み分けができてる印象を受けた北欧3ヶ国。

◎治安
 問題なし。ヘルシンキでも平気で野宿したりしてるが特に危険だとは感じなかったな。北部に関してはもう人が住んでる地域の方が少ないのであり、北欧の国で治安云々という点は優先順位的にも下の方に位置してると思ってしまう。ある程度の規模の町だと流石に自転車から離れる時はロック掛けてたけどさ。まぁ対策的にはその程度だった。

◎ビザ・出入国
 シェンゲン協定に属しているので審査なし。隣国ロシアに渡る道の国境にはちゃんとイミグレーションがあるらしい・・・ってそれが普通だもんな。とりあえずノルウェーとの国境を越える場合、ノルウェーの看板はそっけないのに比べてフィンランドはちゃんとした国名記載された看板を立てており「別の国に入った」感があるのは嬉しい。

◎交通事情
 スカンジナビア2ヶ国と比べるとキャンピング車などを使った旅行者の割合が減り地元民が使っているであろう一般乗用車の割合がかなり増えた。これが影響してるかは分かんないけど右カーブや上り坂の頂上付近で進行方向ブラインドにも関わらず追い越しをかけるせっかち野郎の車両割合が多かったと思う。2回ほど無茶な追い抜きしてあわや対向車とぶつかりそうになる車を見たのであり、割と運転が荒っぽい印象があるフィンランド。まぁ「北欧基準では」という枕詞があるためで、一般的に見ればすこぶる運転マナーは良いけれど。
 例えば町中の横断歩道を渡ろうとした場合、車両の9割はちゃんと静止して自転車(歩行者)に道を譲ってくれる。さて日本では何割くらいこれが実施されてるかな?とか色々思わずにはいられない。

◎特徴
 冬季はスノーモービルによる移動手段が一般的らしく、多くの場所でそうした看板を見かける。これがどうやら自転車路も冬季はそうしたスノーモービルの道となるらしい。別にそれは構わないのだがそうした道が森林地帯とかにも無数に伸びていて、野宿ポイントを探す際に「なんかケモノ道っぽいのがあるし行ってみるか!」とか入って行っても永遠同じような道が続くばかりでキャンプに適した場所が出てこないことも多く注意されたし。

◎気候
 天候の変化が非常に激しく天気予報があまり当てにならない。一応北欧では8月も後半になると秋めいてきて雨の降る日も多くなるらしい。私が体験した限りでは1日の中ですら目まぐるしく天候が変わるため、時間に追われ急ぎ足だったフィンランドはこの移ろいやすい天気に翻弄されることが多かった。実は1日中雨に降られた日は無かったりして、何だかんだ上手いこと渡っていけたような気もするけどさ。

◎言語
 フィンランド語。北欧は割と言語が違っても起源が近いためか文法や単語が似ていたりするのだが、フィンランド語に関しては全く別種類の言葉らしい。区分でいうとエストニア語とかが近い言語なんだとか。看板の文字だけ見てると他の北欧と同じような記号とか使われてて似た者同士に見えるのになぁ。
 何にしてもほとんどの人が英語を解するので旅行者の身分としては会話で困ることは少ない。ただし看板の文字で英語表記がなされているのは観光ポイントくらいなのであしからず。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 宿どころかキャンプ場にも泊まってねー。いくつかキャンプサイト覗いたりもしたが最低価格で20ユーロとかだったかな。やはり野宿が簡単な地域なので、ネット環境の優秀さも相まって宿泊施設を利用しなくても何とかなる点が大きい。というかこんな値段じゃ気軽に利用できんがな。
 スーパーのFreeWi-Fiも非常に優秀で使い勝手が良かったし、フィンランドの図書館ではネットするのに困ることもなくストレスなかった。ちなみに列車移動中は充電&ネットという環境下で好き放題やってたのであり、最近の列車ってのはサービス凄いなとつくづく感じたよ私は。

◎動物
 サンタクロースの総本山だけあって相変わらずトナカイはよく見る。しかしその他の動物はせいぜいウサギを見た程度かな。鳥は種類もたくさんいるのだけれど私にゃさっぱり分からないし。
 とりあえず犬を含めこの国で危険生物と遭遇するようなことはそれほど心配しないで良いんじゃないかと思ってる。ハスキーを育成してる施設とかあったけど、ちゃんと躾けられてる犬は大型犬でも理知的だし可愛かったですよ。

◎自転車店
 2回くらい入ったけどどちらも大したパーツは売ってなかったな。というか冬は雪で覆われてしまうこの地域では自転車ショップがスキー用品も兼任してるようで、むしろそちらの方に力を入れてる印象だった。もっと南部の方に行けばまた違うのかもしれないが、北部地域ではそれほど自転車の人気が高くないんだろうな。1年でかなりの時期自転車に乗れないとあればそれも仕方ないか。

◎物価・食事
 これは高い。ただ通過がユーロになったことはちょっと有難いというか、日本円に換算しやすくなったので余計に物価の高さを実感できるといいますか。
 比較した限りではスウェーデンに次いで北欧では2番目に物価安いんじゃないかな。以下デンマーク、アイスランド、ノルウェーというのが私の北欧物価安い順のイメージ。
 ビールは結構良い値段して最低価格でも150円くらいはする一方、低アルコールビールが100円とかで売られてたのでフィンランドではこればっか飲んでたな。スーパーにはホームブランド商品もあり比較的お安くはあるのだが、それでも偽コーラ1.5ℓが150円以上する。やっぱり毎日3食自炊してたが、それができなければ北欧での旅行はあっという間に困窮してしまったろう。
 ただし言い換えればスウェーデンやフィンランドでは3食自炊で野宿を続けてる限り、1日に使う金額はたかが知れてる。私の場合はビールあんだけ買っても1日1200〜1300円くらいが平均だったので、むしろブラジルより安く済んでたりする。

◎総括
 とにかく雨に降られることが多かったフィンランド。天候の良し悪しと国の評価は直接関係ないと思うけど、それでもフィンランドもうちょい晴れてくれたらもっと楽しめたのになぁ・・・という気持ちは強い。まぁこれは夏の北欧全体に言えることで、雨の多くなる8月にこうして走っていた私が悪いのだとも言える。つまり北欧に関しても天候ベストなスケジュールは7月の段階で回りきってしまうということなんだろな。そんな上手くいかないから自転車旅行なんだけど。
 本当は国をほぼ縦断してみたかったのだが、時間的な都合で列車ワープしてしまったのは悔しい限り。森と川、そして湖が織りなすこの美しい景色とキャンプやりたい放題のフィンランドを10日やそこらで堪能しきることはできないのであり、つまりそれだけの魅力を持った国だったということだ。