2019年9月10日〜9月30日
 走行日数21日間
 累計走行距離1198km(100140km〜101338km)

◎道路
 道路によって良し悪しの差が激しい。大都市を結ぶような主要道路は大きな側道が完備されて非常に走りやすくある一方で、小さなローカル道の場合は舗装こそされてる場所が多いものの、その路面造替は酷い有様で走行に対してストレスを感じることが多い。
 山無し国なので何処を走っても峠と呼べるほど標高の高い坂を登らされることは少なく、また坂道があっても斜度10%を超えるような急斜面は稀である。私のルートではキエフとオデッサの町中でちょっと大変な坂道があったかなという程度。
 ただし道路の作り方自体は土地の起伏に関係なく直線的に道作ってるので、数百m迂回するようにカーブ作ればこの坂登らなくてよかったんじゃね?みたいなことは多々感じたが。基本的に郊外だと走りやすく町中は走りづらいという普通の特徴なのだが、これに関してもやや両極端であると思う。
 主要道路はほとんど高速道路状態で走っても景色の変化が少ないことがやや残念だが、そもそもウクライナという国は都市部を抜けてしまえば大体農地か森林が広がってるような景色に変化の乏しい国なので、わざわざローカル道路を利用するメリットが「交通量が少ない」という点以外で見出すの難しいし。それよりもガタガタの路面走って消耗するストレスの方が大きかったのであり、私は素直に主要道を結ぶルートをオススメする。

◎治安
 とりあえず基本情報として、東部の一部地域と南部のクリミア半島はロシアが実効支配している地域で現在も争いが続いており非常に危険な場所である。ウクライナ人からも「東部には絶対に行くなよ」と念を押された場所であり、現状で向かうべきではない。余談だがクリミア半島は世界地図ベースだとロシア領土表記となってることが多いが、ウクライナの国内地図にはちゃんとそうした土地も自国領土として表記されている。そらそうだわな。
 それまでの国と比べて明らかに所得が低い雰囲気を感じるようになり、それに伴ってか田舎町でも浮浪者の格好した人をよく見かけるようになったとは思う。むしろキエフのような都市部ではそうした人の姿見ることが少なかった印象で、これはどう表したらいいのかね?
 ともあれ町中にもスラム街であろう貧困区域が現れたりと、それまでのヨーロッパ各国では見なかった貧困の影響を直接目の当たりにすることが多かったと思う。田舎町でジュース買ったら子供に「金くれ」としつこくせがまれたりもあったので、盗難に関しては十分に気を使って行動していた。
 ただ強盗みたいなアグレッシブな犯罪に遭遇する雰囲気ではなく、キエフなどの大都会でも夜中に平気で歩き回ることができる程度には安心感がある。ちなみに大都市の最低料金ホステルは割と盗難事件が多いと聞いたので、私はホステル宿泊で少しだけ設備と値段の良い宿を選んでいた。

◎ビザ・出入国
 ノービザで90日間の滞在が可能である。陸路でポーランドから移動する場合、シェンゲン協定からの脱出とあって久しぶりに出入国の審査をしたワケだが、長蛇の列を作っている車両を全て抜かして最前列で手続き出来たにも関わらず、全体としてやたらと時間を要した。あとイミグレ職員だけど英語話せない人だったので、質問受け答えも苦労したりと緊張感高かった。
 何気に生鮮食品の持ち込みが禁じられてるようで、スタンプ押された後に荷物のチェックがある。私の場合は「マリファナ持ってないよな(笑)」と聞かれて「ないよー」と答えたらそれで終了したけれど、自転車だから適当にスルーされたのだとは思う。恐らく全ての食材が対象ではなくて、自分で消費する分量ならOKって感じっぽい。判断材料はイミグレに書かれてた看板の絵なんだけど、多分あってる。

◎交通事情
 酷いインフラの割に運転マナーは礼儀正しいしクラックションを鳴らすアホもいない。これは全体的に交通量が少ないので無茶して抜いていこうとする車が相対的に少なくなることがあるとは思う。
 都市部ではトロリーバスの運行が幅を利かせており、それと合わせて普通のバスと路面電車までいるのでかなり気を使う。右車線がバスレーンになっていることも多く、そういった道の方が一般車が少ない(入ってこないとは言ってない)ので走りやすい。
 レベル下がったな〜と思ったのが路上駐車の多さで、駐車場自体が少ないのだろうか道路脇だけでなく歩道に乗り上げてたりして駐車してる車が何百台も続いている。キエフには自転車道あったけど、素直にこの道の上を走り続けることは駐車車両が邪魔して出来ないため、結局車道を走っていたな。そもそもウクライナは車道と歩道との段差にスロープを作らない傾向が強く、自転車がそうした道を走れないよう仕向けてるんじゃないのかと茶壺さん思うですよ。

◎特徴
 1、旧ソ連の崩壊に伴って分離独立した国のためロシアの影響が強く残っている国である。言語や使用文字に関してもそうだが、何より古い無機質なビル群が立ち並ぶ町の姿は正に映像で見たロシアのイメージそのもの。ただウクライナ人的にロシアという存在はあまり芳しくないイメージを思ってる人も多いようで、話するときにはそれなりに気を使っていた。
 2、世界で最も美人が多い国と言われたりするウクライナだが、その言葉に偽りなしと思ってしまうほど美男美女だらけ。キエフやオデッサで行き交う若い人の2人に1人は「こいつモデルかよ!?」とか思ってしまうレベル。
 スタイルも良い人が多く、女性でも私(183cm)とどっこいの身長の人が結構いたりする。そんなワケで終始ニコニコしてましたよ私はよ。

◎気候
 多分秋から本格的な冬に移り変わる移行期だったと思う9月後半のウクライナ。高緯度の割に温暖な国らしく、入国直後とか普通に30度近い気温を叩き出して暑かった。それがキエフでは一転して10度以下まで落ち込んだりと寒暖の差が激しかった印象。風邪ひきかけたのも多分これが原因だ。
 そんなキエフではあるが、雪が降り積もってる期間は3ヶ月くらいだと言われ「すごいだろう」と問われたけれど、北日本と比べると「案外短いんだね」とか思ってしまう。流石に口には出さなかったが。
 しっかりした四季があるらしく、私が走行した場所も多くの木々が色付いて落葉していたのが印象的。
 風は全体的には南や西から吹いてることが多かったが、全くの無風だったり逆方向から吹き付ける日もあったりであまり断定的なことは言えないかな。土地が平坦で遮蔽物も少なく道路が直線的であるため、一旦風が吹くとずっと同じ方向から吹き続けることになり運が悪いと酷い目にあう。

◎言語
 ウクライナ語であり、使われてる文字もキリル文字となるため事前勉強無しだとほとんど意味不明。ポーランドから入ると英語の使用率がガクッと落ち、それまで割と楽に意思疎通できてたのが全く通じなくなる大変さを存分に味わうことになろう。
 ただキエフをはじめとする大都市では英語を話せる人が多い感じであり、特にスーパーのレジ打ちオバちゃんがウクライナ語で料金わからない私に対しすかさず英語で「◯◯円よ」と答えてくれたのは驚いた。
 なおウクライナ語とロシア語は非常に近しい言語であり、お互いがそれぞれの言葉で会話してると半分くらいは意味が通じるとか何とか。どちらの言語も知らない私にしてみれば、それにあんまり意味はないのだけれど。
 ただこの国のタッチパネル等の機械はウクライナ語とロシア語の2つが標準搭載されてるあたり、ロシア語の使用率は相当高いことが伺える。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 安いにも関わらず設備が整っている非常にコストパフォーマンのよろしい国。ホステルは観光地か州都レベルの規模ならある雰囲気で、国土の広いウクライナとはいえ3日以上ホステルの無い状況が続くことは少ないと思われる。
 キエフでは800円くらいの宿に泊まっていたが、最安値で500円以下のホステルもあった。ただ大都市の最低値段ホステルは盗難被害が多いと何かで見た気がして「この値段なら1ランク上でも」という理由からちょっとだけ良い宿に泊まった経緯がある。
 なおウクライナのホステルはキッチンにコンロがないことが多いらしく、私も1度これで失敗したのでそれ以降はとにかくキッチンの設備に注意してホステルを選択していた。
 あとロシア系の安宿にこの傾向が強いらしいが、アパートの一室などをホステルにして使ってるタイプは何故か看板等の標識が無かったりして初見じゃ見つけるのに苦労する宿が多く、ホステルの場所と行き方を事前に調べておかないと辿り着けない気がする。そこまでするならもう予約しちまえ!と後半は割とネットから予約してホステル向かってた。自転車旅行的には自転車の保管場所がちゃんとしてるかって重要なポイントなので、予約するのはリスク高いのだがまぁ大丈夫だったなウクライナ。
 なお宿を使わなくともちょいちょい姿を隠せる森林地帯とかも出てくるため野宿は難しくない。ただ西欧・北欧の国と比較して身体洗えるような川や湖が少ない印象。上手いこと川を見つけてもヘドロが堆積してたり藻で覆われてたりしてることが多く、思った以上に暑かったウクライナで野宿を続けると身体がベタつくのが頂けない。郊外の大型ガソリンスタンドには長距離トラック用のサービスかシャワー施設がある場所も見かけたので、値段は知らんがうまく活用していけば野宿1本でもやっていけると思われる。
 ちなみにWi-Fiは大手チェーン店系のガソスタでは大体使える雰囲気で、しかもウクライナは主要道路にこれでもか!というほどガソスタが乱立しているためほとんど問題とならない。多分ウクライナで丸1日ネットに接続できなかったことは無かったはず。

◎動物
 他のヨーロッパ諸国と比べて一気に犬が凶暴化したウクライナ。久しぶりに100mとか追いかけてくるアホ犬に遭遇できて私は嬉しいってそんなワケないだろう。まだペルーみたいに頭狂った雰囲気を感じないし、素直に停車して向き合えば大人しくなる。
 あと野宿の際に毛虫を沢山見ることが多かった。こいつらは夜中の間にテントやフライシートによじ登って張り付いてることが多いため、注意してないとテント収納時に刺されたり一緒にたたんで仕舞い込む可能性がある。

◎自転車店
 キエフで2つほど見かけたので入ってみたが、どちらもMTB主体の店で取り扱いパーツ等はあまり豊富ではなかったな。ただ割と週末にロード乗りの姿を見かけたので、ウクライナ自体はそこそこスポーツ用自転車の需要がある国だとは感じた。
 中規模程度の町では市場に自転車を取り扱ってるお店くらいしか見当たらず、トラブルが起きた時に修理や交換作業ができるのかはちょっと怪しい雰囲気。トラブル発生したら素直にキエフまで移動して修理するほうが良いかと思ったな。

◎物価・食事
 ヨーロッパとは思えないほど安い。普通のレストランで昼食摂っても300円程度で満足できる。しかもそうした値段でありながら後進国よくあるぶっかけ飯とか衛生観念全く気にしてない料理ではなく、ちゃんとレベルの高い食事を楽しめるという意味でコスパ的にはNo.1と言えるやもしれん。
 観光地における入場料も全体的に安いし宿泊施設も素晴らしい。値段とレベルを兼ね備えたという意味でウクライナは最高の国であると断言できよう。そりゃあ思わず長居してしまうですよ。
 ただヨーロッパ入って始めて水を購入した国でもあったりする。入国初日に汲んだ水道水こそ普通に飲めたのだが、その後に補給した水は鉄の味が強すぎて飲めたものでは無かった。ウクライナの田舎は上水道がまだ整っていないレベルだということだと思う。
 なおビールは瓶・缶の他にペットボトル容器のタイプが登場し、これが1本1ℓどころか2ℓの大容量タイプも多くて気軽に持ち運びできることから好んで購入していた。そんな大きさのビールでありながら1ℓあたりで100円を切る値段で販売されてるウクライナ。本当お財布に優しい国でした。

◎総括
 入国まで具体的なイメージを何1つ持ってなかったウクライナだが、町並みはヨーロッパでも特筆するほど見所あって面白いし物価安いし美人は多いしと訪問して良かったとつくづく感じる。
 しかも自転車旅行者の絶対数が少ないのか、それまでのヨーロッパ諸国とは比較にならないほどドライバーや歩行者から応援されたり声かけられたりした。やっぱりね、そういうのが楽しくて自転車で旅行してる側面ってのは確かにあって、純粋に嬉しいよねそういうのは。
 反面道は直線的で変化のない景色が続き、走行に重きをおくサイクリストにはやや退屈に感じるかもしれない。私にしても1日中向かい風が続いたらこれ発狂するかも・・・と思いながら走ってたことがあり、全く風向きに恵まれたと思うよウクライナ。
 現在のウクライナ情勢的に東部地域を旅行するのが難しく、どうしても私が走ったルートのようにキエフまでしか走れずその後は西なり南なりへ移動することになってしまうが、いつか混乱が収まったウクライナの全土を思い切り自転車で走り回ってみたいと思う。それほど魅力のある国であった。