2019年10月20日〜11月1日
走行日数13日間
累計走行距離793km(102671km〜103464km)
◎道路
高速道路を除いて側道が全く存在せず走るの怖い・・・と最初は思ってたのだが、道路の幅員自体が広く取っているようで実はルーマニアよりも安全・安心に走行できたと思う。
そこそこアップダウンも多い国だが、多くの人が通るであろうソフィアからイスタンブールへと抜けるルートの場合は山のメインを迂回するような道であるため斜度・高度ともにそれほど大変ではない。むしろトルコが近づくと小規模なアップダウンが連続して発生するようになり、そっちの方がよっぽど足にキタ。
ソフィアの町中は至る所で石畳が敷かれており走りづらいわ、歩道にスロープが配置されてなくて縁石乗り越えるの大変だわと非常にイメージが悪い。ソフィアがそうした悪評を一手に引き受けてくれたためか、それ以外の町に関してはむしろ走りやすくて「ブルガリアやるじゃん!」くらいに思っていた。こういうのも人身御供と言うんかな。
道路のインフラはかなり悪く、一桁の国道であってもアスファルトが剥がれて未舗装になってるような道もままある。高速道路が無料で利便性が良いためか、高速脇に位置してる旧道は交通量皆無の代わりに路面状態も最悪の場所が多く、要するに道路自体が忘れられて放置されてるような感じ。
◎治安
ソフィアだけ悪い。人口2番目のプロヴディフの町でも全く不安を感じなかった辺り、ブルガリア全体としての治安は非常に良いと言えるのだけど。ソフィアは落書きだらけだし大部分の建物が1階部分に鉄格子付いてるしでここだけ別の国みたいだった。
◎ビザ・出入国
日本人はノービザで90日間の滞在が可能。まぁ国土小さな国なので滞在期間的な問題は全く感じていなかった。出入国も迅速適当であっさりスタンプ押してくれたし気楽で良いやね。
むしろ問題なのは、ルーマニアと同じく早ければ今年(2019年)中にもブルガリアがシェンゲン協定の加盟国に加えられてしまうという点。大して厳しくもないイミグレ検査が無くなるよりも、ブルガリアがシェンゲン協定国となることでウクライナやモルドバからトルコ方面へ陸路を伝って移動するのにシェンゲン加盟国を避けられなくなることの方が自転車旅行的には大問題。ただでさえシェンゲンでルート選択悩ましい地域なのに、今後のサイクリストは益々ヨーロッパ旅行のルートが制限されてしまうぞ。
◎交通事情
かなり良い。特に車両が無意味にクラックション鳴らす割合がルーマニアより減り、精神的にも大変よろしい国だといえる。都市部の移動は高速道を利用する作りとなっているので下道を走っていると出会う車両はごく僅かだし、その内訳も半分以上はトラックだったりする。道路が悪くて交通マナーは良いという典型的な国の印象。
◎特徴
ヨーグルトなんだけど、なんだかんだブルガリアが1番ヨーグルトに関して力を入れていたとは思う。日本人の場合は明治乳業の関係で猛烈にヨーグルト推しの国だと捉えてしまいがちだけど、東欧は割と何処でもヨーグルトが食べられており、その中でも特にブルガリアはヨーグルトの消費量が多いという感じ。
とりあえずスープや肉料理のソースといった料理にもヨーグルトが使われてることが多く、スーパーで購入するヨーグルトも含めて砂糖等で味付けをしてないタイプである。
そういうヨーグルトを塩味とかに合わせて食すので「すっぱくてしょっぱい」という独特なお味が楽しめると思う。
◎気候
終盤1日雨に降られたが、それ以外は快晴の天気が続いた秋のブルガリア。このため放射冷却が激しく明け方には気温5度近くまで低下する一方で、日中には25度近くまで気温が上昇する。なお天気が悪いと日中でも10度ちょっとまでしか気温上がらなかったので、やっぱり日光の影響が強い地域なんだろな。
風向きも一定してない感じで、農村地帯などでは運が悪いと結構な強風を受け続けるため走行苦労する可能性がある。そんで次の日には全く逆向きの風になってたりとかね。
この時期のブルガリアは紅葉が素晴らしく、国中至る所で赤や黄色に染まった木々が出迎えてくれた。目にも美しい上に、テントを張る際にはクッションの役割をしてくれ身体にも優しい。秋のブルガリアはいいぞ。
◎言語
ブルガリア語である。英語の通用度は7〜8割ってところかな。言語というか文字についてだが、ルーマニアでは使われてなかったキリル文字が復活し、看板の表記が再び読めなくなったことが地味に大変。いや、看板に関しては大抵の場合キリル文字とラテン文字の複合表記があるので問題は少ないのだが。
食堂等のメニューは当然全てキリル文字のみであり、英語用のメニューがある店なんて観光地以外ではほんの一部なため、食事注文は絵がなければ当て感で選ぶしか方法がない。これは1〜2回だけなら面白いけど、毎回実施してると結構なストレスなのだ。私がブルガリア語を覚えようとしないのが最大の問題なのだけどさ。
◎宿(野宿)・Wi-Fi
全体的に設備もサービスも良い宿が多い。料金はソフィアなら1000円以下のホステルが散見されるが、他の都市ではそれより1〜2割ほど値段が上がる割にサービスはむしろ低下してたと思う。やっぱ首都は激戦区だからかね。
森林地帯も多いし川もそここに流れてるので野宿もやりやすい国だが、キャンプ場も利用した。料金的にはホステル泊より高く付いたので、単独の自転車旅行でコスパを求めるならそんなに需要は高くないと思われる。私が利用したキャンプ場はオーナーが日本人だったので、色々と日本語で細かい話を聞けるという特典があるのは大きかった。
キャンプ場も含めて全ての宿泊施設でWi-Fiがあったし、そうでなくとも主要ガソスタやスーパーにもFreeWi-Fiが飛んでいるのでネット接続は問題とならない。しかも速度早いし。
久しぶりに朝食サービスのあるホステルに泊まったが、なんかブルガリアのホステルは全体的に朝食が豪華であったように思う。ただどのホステルでも食事開始が8時半からで、自転車旅行者的にはちょっと遅いとも感じてたが。
◎動物
あんま問題となるようなヤツは出てこないし、ルーマニアに比べると犬の数も減って追いかけられる回数も減った。ただ農地のど真ん中を走ってると、小さな虫がやたらと服に貼りついたりヘルメットの穴に入り込んでウザかったりする。あんま他のヨーロッパではなかったんだけどな。
あとこの季節でもホステルに蚊がいて夜中に刺され起こされることがあった。蚊の対策道具はまだ持ってた方が吉。
◎自転車店
マラソンプラスのタイヤが欲しくて結構お店を回ったのだが、結局発見することはできず。DRAG ZONEという名前の系列ショップがシュワルベ公認の会社なんだけど、聞いたところで現在はマラソンプラスの取り扱いをほぼしていないらしい。あったとしても27.5インチや28インチサイズとのことで、26インチのマラプラをブルガリアで見つけることはかなり厳しいようだ。
ちなみにそれ以外のパーツに関してはまぁそれなり・・・という感じ。流石にソフィアのショップは品揃えが良かったが、店員の態度がすこぶる悪くて信用に値しなかったので何も購入していない。ちなみに私が訪問したショップは1点だけ英語上手くない店主がいたが、他はみんな完璧に英語喋れたので意思疎通的な意味ではやりやすい。
◎物価・食事
ルーマニアより若干高く感じた。自炊メインだと気にならないくらいの差だったけど、ファストフードでないレストランは明らかにブルガリアの方が高い。言い換えると自炊とファストフードで旅行してると1日の使用金額は700円とかその程度だった。
トルコが近づいたためかケバブの屋台が増えた他、全体的にレベルが高くて美味い飯が多い。ただ問題なのはブルガリアは町と町との距離がヨーロッパにしては長い方で、そんな毎回食堂がある町に立ち寄れる訳ではないという点の方が問題の気もした。
ビールはとにかく安いというか、下手すりゃミネラルウォーターとどっこいの値段だったりして、コーラよりは確実に安いという物まである。東欧で広く普及しているペットボトルタイプのビールをよく飲んでいたが、普通に瓶や缶タイプの物も売られているし、そうしたビールもまた安い。本当東欧はビール飲みにとって天国みたいな土地ですよ。
◎総括
意外に山あり谷あり都会に歴史地区も揃ってる見どころ多い国だった印象で、物価の安さに対してサービスが高いレベルで揃っているため旅行するにも楽である。ヨーロッパにおける東端の国であり、サイクリスト的にはここらで予備のタイヤを入手したいところだが、ブルガリアでマラソンプラスを入手することは現状叶わないであろうことをここに記しておく。まぁイスタンブールでゲットできるので気にすんな。
ソフィアを除けば街中も自転車で走るのが苦にならないよう配慮されてるし、郊外でもずっと補給に困るようなことも無くて素晴らしい。国土が小さいので割とアッサリ走り終えてしまったが、ブルガリアみたいに様々な点が高いレベルでまとまってる国は割と貴重だったと思うと、もうちょいこの国を楽しんでも良かったと思う。