2019年11月18日〜12月1日
走行日数14日間
累計走行距離657km(104351km〜105008km)
◎道路
これは非常に良いしレベルも高い。多くの道路で広い側道が作られてるのも好印象だし、路面の質自体も良かったり新しいキメの細かなアスファルトだったり。キングスハイウェイは割と側道のない場所が多かったけども、町を抜けてしまえば交通量自体が少ない国なので記念を感じることはほとんどない。なお右側通行。
死海の沿岸部がー400mに迫る土地でありながら、東隣を山脈が連なっている土地のためこの区間で必ず1000m以上の坂を走ることになる。この区間の坂はかなり斜度が厳しく一気に標高を上げる道なのでかなり大変。ここをどうしてもスルーしたくば南端のアカバから徐々に山へと入っていくしか方法がないと思う。
キングスハイウェイはその山岳地帯ど真ん中を通過するルートなので激しいアップダウンの連続で、体力的にはかなり大変。絶景が見たいとかならオススメするが単に楽して走りたいなら死海沿いを進むのが吉。
私が走行した限りではそれほど大きくない小さめの道路でもしっかりしたアスファルトの道が続いてたりと無茶しなければヨルダン国内では何処を走っても問題がない印象を受けた。自転車で走るという1点においては素晴らしい国だと思う。この国の大変だったり面倒な点はもっと他にあるし。
◎治安
かなり良い。都市部はイスラエルより安心感ある感じで、アンマンの夜でも外を出歩くことに恐怖感を感じないほど緩やかな雰囲気。というかイスラム教の国は夜になると活気を帯びるところがあり、人通りも多くなるため中東でも治安の良いヨルダンで夜に出歩き雰囲気を味わうのはリスク管理的にも良いのでないかとすら思う。
アンマンの旧市街とか近場に廃墟が立ち並んだりしていて雰囲気悪そうだなと思ったし、そもそも私が利用したホテルがそうした場所の一角だったにも関わらずこの感想である。
それに対して田舎はあんまり良い雰囲気を感じなかったというか、単純に貧困の度合いが強くてヨルダン人がアグレッシブに外国人へ関わってくることもあり、彼らが夜中にテントを見つけたりしたら割と平気で盗みを働くのではないかという不安が拭えなかった。外国人を財布としか思ってないぼったくり商売をする輩が田舎でやたら多かったのも要因の1つ。
◎ビザ・出入国
一応入国にはビザが必要な国であり、日本人の場合は国境のイミグレーションでアライバルビザを取得することが可能。とか聞いてたのだが、実際には「そんなの良いから、はよ入国審査やってしまいな」と言われそれで普通にスタンプ押してもらえた謎。あとで調べたところでは日本人の場合ビザ発給はスタンプを押すことでビザも合わせて出ているという扱いになるため手続きは必要ないのだそう。でもビザがないと入国認められないというのは間違いないらしく、イスラエルとの国境であるキングフセイン橋国境ではアライバルビザが発給されない国境であるため事前にヨルダンビザを入手しておかないと入国やっぱり入国は拒否されるとかなんとか。なお出入国時荷物全てX線検査をされたのであり、かなりチェックに関しては真面目な印象。
その他ヨルダンは出国時に10ディナール(約1540円)の出国税が必要となる。
◎交通事情
少しでも前で動かない車両があると直ぐにクラックション鳴らしまくるが、運転自体は割と紳士的だった。流石に歩行者優先の意識は持ち合わせていないものの、歩道を歩いてる人や自転車に対しては煽ったりクラックション鳴らすようなことはしない。
でもヨルダン人ドライバーは単純に運転がヘタクソというか、周囲が見えてないと感じることが多くて気が気でならない。アンマンでは眼前で交通事故起こしたのを見ているが、私の目から見ても明らかに注意不足の追突事故だった。速度も10km/h以下の低速だったし。
何でか知らんが後方をほとんど確認せず車をバックさせるアホが多い。実は1度駐車エリアで立ち止まってる時バックしてきた車両に接触されたりしてる。幸いサイドバッグが掠れたくらいで済んだけども。片側2車線、制限速度80kmとかの高速道で道を間違えたからと平気でバックして分岐点まで逆走するような行動起こすので、やっぱり緊張感ある運転にならざるを得ない。
◎特徴
外国人に対して商売の仕方が官民問わず酷い。個人レベルのぼったくりに関しては他項に記載してるので割愛するが、国レベルでも料金の設定やりたい放題。ヨルダン最大の目玉であるペトラ遺跡の入場料が外国人だと50倍というのはどう考えてもやり過ぎだと思うし、あこぎなことしてる印象は否めない。
主要産業が少ないためどうしても観光業からの収入を多く取りたいのが透けて見えるというか、生活に伴わない関係の値段はどう考えても高すぎる。一例としてアカバからエジプトへのフェリー航路とかも54ディナール(約8300円)とエジプト側の逆ルートと比較して料金3倍以上する。
◎気候
アンマン周辺は標高1000m近くあるため11月だとかなり冷え込む。日中は太陽光が強いのでそれほど寒さを感じないが、それでもアンマンの町で見かけた人でTシャツスタイルだったのは私の他だと白人系の旅行者のみ。ただし死海沿岸部は標高の低さが影響してかかなり暑い。あと南部のアカバまで移動すればおそらく冬でも過ごしやすい程度の暖かさが継続してると思われる。日中はTシャツでも平気だし、走っててもそれほど水分補給をすることがなく走れるのだがとはいえ湿度は非常に低い。洗濯物がよく乾く。そういうことを鑑みるとヨルダンのサイクリングにおけるベストシーズンは初春と晩秋の今の時期ではないかと思っている。
雨・風に関してはそれほど気にすることがなかったというのが正直な感想で、毎日変わらぬ良い天気が続くため天気予報を確認することもなかった。
◎言語
アラビア語である。文字からして紀元が全く異なってるのがよく分かるというか、日本人にとっては縁も薄いしもはや何にもわからない言語であったりする。ちなみに文字は右から左へ向かって読むらしい。
とはいえヨルダンは英語教育が盛んらしく、私も実感としてかなりの人が英語での会話が可能だと感じた。これは割と小さな集落レベルでもそうだったので、ヨルダンの英語レベルは少なくとも日本なんぞより随分レベル高いのではなかろうか。
◎宿(野宿)・Wi-Fi
都市部や観光地なら料金安くて設備もしっかりしたホステルも数多くある。アンマンでは1泊約600円、ワディムーサは750円とかの料金だったが、どちらも2段ベットじゃなかったし設備を鑑みると非常にコスパ良かったと思ってる。宿のネット速度が速いこともあって滞在するの快適だった。
ただし都市部や観光地を除くとそもそもホテルの数が少ないし値段も上がるので利用はしていない。人の多い地域と過疎地域がハッキリ分かれてる国なので野宿は場所を選べば楽勝なのだが、私が走ったキングスハイウェイ周辺は集落が続くポイントが多く野営場所見つけるのはやや大変。
なお小さな町ではネット環境ほぼ存在してない状況で、やたら沢山カフェがあろうと関係ない。むしろステッカーとかにデカデカとWi-Fiとか記されても実際にはネットできないなんてザラ。でも向こうは「Wi-Fiあるよ!」と悪びれもなく嘘付いてくるので自分で確認しないと騙される注意。マックにはFreeWi-Fiが飛んでいるのだが、そもそもこの国でマックはアンマンとアカバの2都市でしか見ることがなかったし。
◎動物
砂漠地帯だとかなりラクダを見かけることが多かった。野生なのか放牧されてるだけなのかは不明だが、アラブ国の砂漠地帯でラクダの群れを観れるというのはある種の憧れる情景でもあり私は非常に嬉しかった。
都市部に近い場所では犬も大人しかったり鎖に繋がれてるのが多いのだが、渓谷なんかでは放牧された山羊とかを追いかける牧羊犬が徒党を成して襲ってくる。しかもこのポイントが斜度のきつい上り坂なのでどうあがいても逃げ切ることは不可能なポイントであり要注意。
それ以外だとこの時期でもそこそこ蚊が多かったかな。蚊取り線香買うこと無かったことからしてもそれほど大した数じゃなかったといえるが。
◎自転車店
首都のアンマンですら先進的なショップはほぼ存在しない。私は旧市街を歩き回り数店自転車を扱う店を見かけたが、おもちゃ屋やスポーツ店が商品の一部として自転車を取り扱ってる店ばかりで、1つだけ自転車専門のショップも見かけたが商品ラインナップは古い型落ち品ばかりだった。
そもそもヨルダン人で自転車に乗ってる人を全然見ない国なので、ヨルダンで自転車の部品交換やれトラブル対応するというのは相当厳しいことが伺える。できるならばイスラエル、そっちに向かうのが難しいならエジプトのカイロまで移動して対処するというのが現実的ではないだろうか。
◎物価・食事
物価という点ではそりゃ間違いなく安い。イスラエルから来たら感動できるレベルでもある。地元の食堂とかなら1食100〜300円とかで食事できるのが嬉しいところ。ただこの国は物に値段が表記されてないことが多く、運よく書いてあってもアラビア文字だったりするためアラビア数字覚えてないと意味がない。
競争激しく多様な人間が入り混じる首都のアンマンでは商品適正価格で販売してる場所が多いし、法外な料金請求されたら別の店を選ぶという手段が取れるので割安で生活が可能。これに対して小規模の村だったりワディムーサみたいな観光地ではとにかくぼったくりが横行してるのでタチが悪い。
村とかだとお店が1件しか無いのでボラれても「じゃあ他で買うよ」とできないのを向こうも分かってるため外国人だと見るや平気で料金3倍くらい請求してくる。ワディムーサに関しては商店が結託している様子で文句が出にくいようレジに通したりレシート出したりする反面、商品値段は手打ちで設定し料金を釣り上げるという手段でぼったくりしてる始末。
この他にも観光客向けのレストランでは勝手に水やジュース、ヨーグルトとか出してきて追加料金を請求するとい手法が横行してるため注意が必要。全体的にヨルダンは外国人旅行者をカモとしか思っていない節があると感じる。
トルコ料理の影響が強いのかここでもケバブ系のファストフード店は多い。イスラム教の関係で豚・牛肉はあまり流通しておらず、マクドナルドにも鶏肉っぽいハンバーガーが販売されていた。その他コーヒーがやたら人気でトルコ方式のお店もあればヨーロッパ風のコーヒー店もよく見かける。これに加えスイーツ店がやたら多いため「甘い物とコーヒー」という黄金パターンがそこかしこで見られてもオカシクないだろうに、そんな光景全然記憶にない。
イスラム教の国なのでアルコール類は一般のお店で販売されておらず、ある程度の規模の町ならリカーショップがあってそこで購入可能。ただし税率無茶苦茶高くてビールロング缶1本で600円くらい。このためヨルダンでアルコール飲むのは対費用的に得策ではない。どうしてもヨルダンでアルコール安く飲みたい場合、アカバの町が免税特区なのでこの町ならば同ビールも1本150円くらいまで値下がりする。
◎総括
かなり田舎でも外国人スレしてる酷い対応を受ける一方で、多くの人から驚くほどの親切を受けたのも間違いない。喜びと怒りの振れ幅が大きく疲れる国ではあったけど、こうした良くも悪くも特徴的な国というのはなかなか先進国では味わうことのできない出来事が多くポジティブに考えれば旅行するにおいて非常に新鮮な出来事に相対できる面白い国であったといえる。外国人として絶対に住みたくない国だとも思ったけど。
国土が小さくまた北・東部の隣国がシリアやイラク・サウジアラビアといった入国に難ある国のためルート的にバリエーションも少なかったが、サウジアラビアビザが解禁されたこともあるしもうちょい南東部へ走ってみるのも面白かったかなとは思う。
とりあえず私が今まで訪れた国の中でかなり面倒臭い系だったことは間違いなく、そういう意味で割と上級者向けの国だったと思っている。これで大変とか言ってたらアフリカ諸国大丈夫なのか?とも思いつつ。